村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる間中、ずっといや〜な気分が続く本だった。それでも読んでしまう。この分厚い本を読んでしまった自分がいる。なんて下衆な話なんだろ、と思いつつ読んでしまった。嫌な思いに包まれながらも面白く…
村山由佳さん、人のことをよく見てるし、きっととてつもなく勘が働く人なんだろうなと思う。私も同類だ。
こういう人いる!そういう気持ち、自分の中にもある!と、次々と巧みに繰り広げられる感情と展開とに、ページをめぐる手が止まらなくなる。
そして、これととても似ている話を実話として知っている。孝之と似た人生を送っている男の人を。年下の女性の後輩からの、自尊心をくすぐるような言葉にほだされ、結婚を心に決めて -
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2023/10/26リクエスト 4
村山由佳さん、デビュー30年なのですね。
ここまで作家を続け、恋愛も結婚も離婚も経験されてることに敬服。
ここ20年の作品は発売とともに、それ以前のものは後に読んだが、毎回ここまで書くとは、と驚く。
それでも毎回新作を手に取るたび、前作を超えている。
それは自らの経験なのか、書く力なのか、なかなかできることではない。このエッセイで時折語られる母親との関係性、生家のご家族、今のご主人、過去のご主人、ネコなど様々なことが理解できた気がする。
本当は奈津と名付けられる予定だった話、だから
『ダブル・ファンタジー』『ミルク・アンド・ハニー』
にでてくるのか!
同 -
Posted by ブクログ
村山由佳のエッセイを読むのは「晴れ時々、猫背」以来。
いや、20年近く音信不通だった友人を出会ったような気持ちでした。これまでの村山由佳さんの人生を知らずにいる(エッセイを読んでいない)ので、彼女の懊悩や葛藤の重さ深さを共有できずにいます。
それでも、昔から感じている親だから愛することができるわけではない、というのは少なからず共感できる部分であり、いずれ自分も同じく送る立場になるであろうことを考えると、どんな感情を抱くのかは不安ですね。
なんというか、自分の場合空虚な気がする。これまでの暗い感情があるにせよ、何も感じないような気がする。喪失感も解放感も。冷たいかな。冷たいよな。
でも、祖母が -
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40代で再開した幼馴染の2人の恋模様を描いた作品で、始終2人の甘い雰囲気と小気味良い掛け合いを楽しめる作品でした。
本作の主人公は小説家である「ハナ」と大工である「トキヲ」。幼馴染である2人はそれぞれ2度の結婚と離婚を経験したのち、恋人となる。本作は月ごと+大きな出来事があった時の15個の章に分かれ、2人のその時々のやり取りが描かれるといったストーリー。
全体として2人が寄り添い合う姿が印象的な作品でしたが、それが2度の結婚と離婚を繰り返した40代の主人公たちが繰り広げているということに意味がある作品かなと。
本作でも触れられているのですが、大人になるにつれ分別がつくようになり「恋の賞味 -
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ネタバレタヒチ女性に憧れる。気丈で、情熱的で、まっすぐ。
日本女性にはないストレートさが何よりの魅力だと思った。タヒチには行ったこともないし、想像もできないが、物語に出てくる情景描写や人間を見ているととてもいいところなんだろうなと思った。
タヒチダンスは見たことがあるため、踊るマリヴァの想像は簡単にできた。
タヒチ女性にも、日本女性にも全く異なった魅力があるとこの本で感じた。真奈は良くも悪くも日本人女性の代表のような人で、何をいうにもちゃんと考えて発言する。この謙虚さは、やはり日本人女性にしかないものだと思った。
村山さんの恋愛小説は、進みが良くてすらすら読める。 -
Posted by ブクログ
実に濃厚、濃密な、家族の物語。そして母と娘の物語。
作者の人物描写や心象表現が、なんと言うのだろう、とても文学的、小説的で、物語そのものに惹き込まれるのみならず、作者のそんな技巧に魅了されながら文字を追う楽しさも味わえたのが良かった。
ただ、物語も中盤を過ぎ、舞台が主人公の高校時代に入った途端に、個人的には、それまでの物語とプッツリ「断線」したような。「あれ?オレ寝惚けて数ページ読み飛ばしちゃったかな?」あるいは「知らぬ間に主人公のキャラクターが誰か他の人と入れ替わっちゃったな?」と思えたほどの「不連続」感。そう感じたのはオレだけ?
思うにたぶん、物語の「その時点」を境に、同じ主人公が紡ぐそれ -
Posted by ブクログ
大工の父親、病気で亡くなった先妻との長男と次男、後妻の連れ子の長女と夫婦の子の次女。6章からなり、それぞれを主人公としながら家族を描く連作短編集の形式をとった一作品です。
母親が亡くなった事で、家族が今までの気持ちを整理し始める。
「雪虫」連れ子の少女に恋をしてしまう次男。二人は、互いの気持ちを認め合う。しかし、父親が同じである事を知らされる。次男は家族から離れて生きる。
「子供の神様」次女は自分が家族の交差点となるように振る舞ってきた。姉も父も子と知った後の喪失感。彼女のその後の恋愛観に影を落とす。
「ひとりしずか」兄への気持ちが残る長女。善良な男との結婚にも踏み切れない。
「青葉闇」早く