村山由佳のレビュー一覧
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新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を超える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは、幼なじみのピノコ。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メイルがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優・鏡耀子の妖しい輝きに、俊太郎は引かれていく。だが、耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく・・・。
あとがきでも触れられているが、メールという手段を介してしか登場しないピノコという人物に対する想像を膨らませることができて、とてもおもしろかった。
二人の女性のどちらもが自分にとって大切だと -
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村山さんの作品は「星々の舟」に次いで2作目。村山さんは人物描写に強みを持つ作家だと思う。言葉で表すのが難しい内面の複雑な想いだとか、人生観を垣間見ることができる発言が小説の中に幾つも出てくる。
読後は前回同様、ポカポカした生温い優しさに包まれた。希望、勇気、そんなものを送ってくれる。
本書では、都会育ちの主人公祐介が失恋(この言葉だけでは不十分だとは思うが)のショックから逃げるように、田舎での生活を始め、そこでたくさんの人達と出会い逞しく成長していく過程が綴られる。
いくつか強引すぎるとも言える設定があるけれど、特に気にならずに読み進めることができるだろう。
登場人物が見せる「個性」にも注 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【翼】 村山由佳さん
父親は自殺し、母親からは「おまえは疫病神だ」と
ののしられて育った真冬。
彼女は自分とかかわった人間が不幸になるコトを恐れ、
他人とうち解けるコトを避け、ダレにも心を開かずに育った。
今、彼女は日本を離れニューヨークで暮らす。
そのニューヨークで大学教授のラリーに見初められ、
彼の真摯で誠実な人柄に少しずつ心を開いてゆく。
ラリーには前妻との間に出来た子どもティムがいた。
ティムは前妻に虐待され、心に問題を抱えた子どもだった。
やがてラリーとの結婚を決意する真冬だが、
彼女に悲劇が襲う。
結婚式の当日、式後に真冬とラリーが新居へ戻る途中
ラリーは強盗現場