村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
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話が始まってラストの本当に際のキワまで、
年月を経たせいだけとは言い切れない夫婦の
すれ違っていく気持ちと深まるばかりの溝が
あまりにリアルでした。
それに相手と言葉が通じないという虚しさ、
分かり合えないもどかしさ。
それらを見てみぬふりして生活をし続ける
ことに疲れ、自分の気持ちを誤魔化せなく
なった主人公の絶望感と哀しさがないまぜに
なり立ち竦む様に苦しくなります。
家庭での居場所のなさや満たされなさ、
息苦しさと不自由さを感じながらも
夫婦間の信頼関係を信じていた主人公。
夫が若い女性との不倫にハマっていく様や
バレなければいいという安易で軽率な姿、
典型的に泥沼な展開に読んでいて胸が悪くて、
いっそ読むのを止めてしまおうかと思いました。
でも、きっと何かしら主人公が自分の人生を
再生させる救いがあるに違いないと祈って
なんとか読み切りました。
経済的にも精神的にも自立し、
自分で自分の幸せを決める。
性別に関わらず、そんな芯をもつ
人になりたいと感じた物語でした。 -
Posted by ブクログ
読み進むと、語り手となっている主人公のハナと作者の村山女史とがピタリと重なってくる。
ハナは、自身が自覚しているかなり強烈な恋愛体質、人一倍の寂しがりや、過去に2度の離婚歴、そして千葉の南房総での猫との暮らしなどを考えると、村山女史そのものではと想像してしまう。
生まれて半世紀になろうとしているハナは、もしも自らの心を占める男性が再度出現した時でも、常に恋人気分を味わっていたい性分だ。
がしかし、そんな詮無い願いを語っても寂しいばかりと悟り、これからは一人の豊かな人生後半を過ごそうと、理想郷を求めて千葉南房総へ移り住んだ。
そんな時、38年振りに弟のような存在だった幼馴染のトキヲと再開する。
トキヲもまた2度の離婚歴があるのだが、二人は何故かお互いに繕うことなく素直な付き合いが始まり、3度目の結婚に至る。
トキヲは地元の大阪で一人親方として建築仕事に従事していることもあり、南房総と大阪との遠距離夫婦としての生活だ。
人生の山も谷も越えてから再会した二人は、南房総の美しい牧歌的な風景を背にして、まるで初恋のような瑞々しい恋愛をする。
実際に、人生経験豊富な男女が中年になって落ちた恋なら、ハナとトキヲ夫妻のように、お互いを拘束することなく自然体で付き合えるのかも知れないなと思った。 -
Posted by ブクログ
先日、NHKのとある番組(ネコメンタリー、ではなく)で筆者のお宅に伺っているシーンがあり、(経緯は忘れてしまったけれど)猫に関するエッセイを出されていると知って手に取った。
まさか、随分前から名前は知っているものの、タイミングやご縁なくこれまで作品を読んでこなかった村山由佳の、初読書作品が、こちらの猫エッセイになるとは。
好きな作家のエッセイを読むことは好きだったけれど、小説作品を読む前にエッセイを読んだ作家さんは初めてかもしれない。
けれど、1人の猫好きとして、また、愛する猫を失ったことのある身として、どんな描写も愛おしく、また別れに向かう日々の尊さは寂しかった。
私が愛猫を失ってから10年以上が過ぎており、彼女のメインの飼い主であった祖母はそれ以来猫を迎える気にならなかったので、私にとっての猫は今の所彼女1匹である。
だけどどんなにたくさんの猫と人生を共にしていても、当たり前に1匹1匹が大切で、唯一で、そして特別であることがもみじを中心に描かれながらもひしひしと伝わってきた。
去年、仲のいい知り合いが(たまたま私と同じ名前のついた)愛猫を見送った夏の季節、自分の悲しみを思い出しながら、「時間が解決します」とは到底言い出せなかった。
彼女にオススメできるかな、と思って手に取ったところでもある本書は、だけどそんなおせっかいは心にしまっておこうと思えるものだった。
いつかご縁がもしあれば、きっと自分で出会うだろう。