村山由佳のレビュー一覧

  • 聞きたい言葉 おいしいコーヒーのいれ方 IX

    Posted by ブクログ

    かれんは教師の仕事を辞め、鴨川のホームで働く決意をしたことを、両親に話します。しかし、彼女のことを心配する両親は反対し、ついにかれんは自分の出生の秘密を知っていたことを、彼らに打ち明けることになります。

    こうして、ようやくかれんの希望が容れられ、彼女は自宅を出ていくことになります。勝利は寂しさを押し隠して、彼女の未来のために離れて暮らすことを受け入れようとします。

    本巻は、かれんの大きな決断がくだされたことで、物語の一つのクライマックスをかたちづくっており、これまで勝利とかれんの成長を見守ってきた読者としても感慨深いものがあります。

    0
    2018年11月03日
  • 優しい秘密 おいしいコーヒーのいれ方 VIII

    Posted by ブクログ

    一人暮らしをしていることをりつ子に告げずにいた勝利でしたが、佐恵子の口からりつ子に知らされることになり、しかもりつ子が勝利とかれんの交際を佐恵子に話してしまったため、勝利は佐恵子に苦しい嘘をつくことになります。その後、りつ子が勝利のもとを訪れ、混乱した気持ちを彼にぶつけます。

    今回は、あるいは勝利とかれんがプラトニックな関係でいることの不自然さを解消しようという著者の意図があったのかもしれません。たしかに不自然といえば不自然なのですが、本作の登場人物はいずれも著しくキャラクター化されているので、リアリズムへ向けてエクスキューズをする必要はないようにも思うのですが、「ライト文芸」というジャンル

    0
    2018年11月02日
  • 坂の途中 おいしいコーヒーのいれ方 VII

    Posted by ブクログ

    かれんが今の仕事を辞めて介護福祉士になるための勉強をしていることを知った勝利は、心を乱されてしまい、風見鶏でのアルバイト中にたいへんな失敗をしてしまいます。へしゃげてしまった心を抱えたままでかれんに会うことに戸惑いをおぼえる彼でしたが、かれんから直接彼女自身の決意を聞き、二人がおたがいに相手にふさわしい強さを手に入れるため、彼女の応援をしたいと思うようになります。

    なお巻末には、りつ子が主人公の短編が収録されています。ただやはり、最初のほうで思い描いていた彼女のキャラクターとはあわないように感じてしまいました。

    0
    2018年11月02日
  • 遠い背中 おいしいコーヒーのいれ方 VI

    Posted by ブクログ

    かれんと丈の両親が帰ってくることになりますが、勝利は父と明子の家にはもどらず、一人暮らしをする決意をします。それは、かれんにふさわしい男になりたいという彼自身の強い意思によるもので、そうした彼の気持ちを知った父や明子、かれんや丈たちも、応援をしてくれることになります。

    なお巻末には、風見鶏のマスターの視点から、勝利とかれんの恋を見た短編が収録されています。

    0
    2018年11月02日
  • 緑の午後 おいしいコーヒーのいれ方 V

    Posted by ブクログ

    ついに勝利は、かれんと交際しているという事実を、りつ子に伝えます。気丈に彼のことばを受け入れたりつ子でしたが、そのことがきっかけで彼女の身体は食べ物を受け付けなくなってしまいます。こうして、複雑な事情をかかえながらも、勝利はりつ子のことを放っておくことはできず、彼女の回復を支えるためにできることをしたいと考えるようになります。

    勝利のかれんに対する想いがブレない以上、ストーリーを回していくにはこの展開以外にはないのかもしれないと思う一方で、りつ子のキャラクターとちょっとそぐわない展開のようにも感じてしまいます。

    なお巻末には、京子に恋する丈の視点からえがかれた短編が収録されています。

    0
    2018年11月02日
  • 雪の降る音 おいしいコーヒーのいれ方 IV

    Posted by ブクログ

    かれんと中沢の務める高校で文化祭がおこなわれ、勝利はライヴァルの中沢に対する嫉妬に苦しめられます。そんな彼は、りつ子が勝利への想いをかれんに告げたために、かれんがひそかに苦しんでいたことにも気づかず、二人の関係にすこしずつ齟齬が芽生えはじめます。

    これまであまり進展が見られないまま、大きな波風もなく展開してきた勝利とかれんの恋でしたが、中沢とりつ子の二人が積極的に動くことで、若干ながらシヴィアな展開も見られるようになってきました。

    0
    2018年11月02日
  • 彼女の朝 おいしいコーヒーのいれ方 III

    Posted by ブクログ

    勝利とかれんとの仲は大きな進展を見せないまま夏休みに入り、勝利は合宿のためにかれんと離れなければならなくなります。そんな彼にりつ子が積極的にアプローチを開始します。

    合宿を終えた勝利は、かれんといっしょに、彼女の実母である鴨川のおばあちゃんの元を訪れます。そしてその夜、かれんは今日は家に帰らないと勝利に告げ、二人はペンションで一夜を過ごすことになります。

    現在の著者は官能描写を含む小説も執筆していますが、もちろんベタ甘な純愛をえがいた本作ではそうした展開になることもありません。19歳の男と24歳の女という設定ですが、二人ともキャラクター的な人物造形になっているので、ここまでの作品世界を受け

    0
    2018年11月02日
  • 僕らの夏 おいしいコーヒーのいれ方 II

    Posted by ブクログ

    大学生になった勝利は、これまで同様に花村家でかれんと同居をつづけていますが、二人の仲はこれまでと大きな進展はなく、過ぎ去っていきます。やがてかれんと丈の母親である佐恵子が家に帰ってくることになり、勝利はもどかしい思いを心にいだきます。

    そんななか、大学の陸上部のマネジャーとなった星野りつ子が勝利に好意を寄せ、先輩の原田も彼女の恋を応援バックアップします。

    第2巻も、勝利とかれんの甘酸っぱい恋がえがかれています。あいかわらずかれんが幼すぎるように感じてしまいますが、そのぶん勝利がすこしずつ大人の男に近づいているような雰囲気もあります。

    0
    2018年11月02日
  • ダブル・ファンタジー(下)

    Posted by ブクログ

    上巻では省吾のモラハラ的な支配と志澤との濃密な関係が主だったけど, 下巻は奈津の「自由こその不自由」な葛藤に重きが置かれている。正直下巻は読んでいて良い気はしなかった。彼女の心の闇やタイトル「ダブル・ファンタジー」の意味が明かされるわけだけど, 1mmも共感ができない, 結局職業人としても女としても自立しきれない姿に同性だからこそ苛立つ。
    私は杏子さんみたいな女友達がほしい。一緒にスパ行ってただただ体内・心内の毒素を吐き出す会やりたい。

    0
    2018年11月01日
  • ダブル・ファンタジー(上)

    Posted by ブクログ

    自分というものを持っていなくてなんて身勝手なんだろう……

     脚本家の高遠ナツメ(奈津)は自分の性欲の強さに薄々気づいていた。その性欲を満たしてくれるのは夫の省吾ではなく、意を決して呼んだ出張ホストでもなかった。
     ある日、自分をこの世界に押し上げてくれた恩師とも言える脚本家の志澤から舞台のチケットが送られてきた。
     お礼のメールを送る。それから志澤とのメールのやり取りが続く。最初は近況報告程度だったものが段々と深いところまで相談していく事になる。奈津は親身になって相談に乗ってくれる志澤に心を許していく。

    「舞台の千秋楽に東京に泊まりで出てこれるか?」

     こうなる事を予想していたかのように

    0
    2018年08月15日
  • ダブル・ファンタジー(下)

    Posted by ブクログ

    ストーリー展開が気になって気になって読み終えた頃には深夜3時。
    もう十分おなかいっぱいなんだけど続編があるらしい…。

    0
    2018年07月17日
  • ダブル・ファンタジー(上)

    Posted by ブクログ

    ドラマ化されると知り、読んだ。
    村山由佳さんの作品は、10年ほど前に
    おいコーシリーズにハマったとき以来。
    爽やかで瑞々しいお話を書かれるイメージだったので
    いい意味で裏切られた。
    主人公の気持ちの移り変わりに腹立たしさを感じるが
    これこそがリアルな女性なのかなあと。
    いいところで終わっているので下巻が楽しみ。

    0
    2018年06月20日
  • ダブル・ファンタジー(上)

    Posted by ブクログ

    男女の情愛の話が書かれているのに、どこかエロさよりも結婚、恋愛ってなんだろうってところを考えさせられる作品。

    0
    2018年06月08日
  • 僕らの夏 おいしいコーヒーのいれ方 II

    Posted by ブクログ

    前回の「おいしいコーヒーの入れ方Ⅰ」からの続編になります。

    勝利の一人称の口調で語られる文体はとても読みやすく、90年代のトレンディドラマのような雰囲気が懐かしい気持ちにさせてくれます。

    勝利とかれんのやり取りも新鮮な気持ちを思い出させてくれます。

    娯楽小説としてのんびり昔を思い出したい人にいい本です。

    全体的な90年代感。自分は好きです

    0
    2018年05月26日
  • ダブル・ファンタジー(下)

    Posted by ブクログ

    主に女性の恋愛というか、性欲の話だと思った。作者もそのような人なんだろうなと思いながら読んだ。女性は男性に言い寄られてすぐに寝る、優位に立ってると思い込むけど実際はあばずれだとどこかで見下されるのだ。仕事も男性よりして、奔放な性生活をして、気持ちよくなりながら書いたんじゃないかと思った。

    0
    2018年03月18日
  • 消せない告白 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season III

    Posted by ブクログ

    秀人さんという人柄に、私も自然と引き込まれてしまった。主人公にとって秀人さんとの出会いが自分を立ち止まらせ、ただまっすぐだった心に変化をもたらす。
    主人公が青年から大人の男になっていく、シリーズにとつて重要なストーリーとなっています。
    「一緒に長く過ごすことで恋情が変化するっていうなら、その変化をまるごと味わってみたい。」
    秀人さんの深くて底のみえない想いが感じられる言葉は、終わりのない気持ちを表していてとても印象的でした。
    女性として産まれて、結婚してもこんな風に想われたらこれほど幸せなことはないだろうと思います。

    0
    2018年03月20日
  • 彼女の朝 おいしいコーヒーのいれ方 III

    Posted by ブクログ

    通勤の行き帰り1時間で読めた。とてもあっさりさっくり、気楽に読めるしそれなりに面白く、エンタメ性に富んでいる。ピュアな二人が面白い。

    0
    2018年02月05日
  • ありふれた愛じゃない

    Posted by ブクログ

    全体的な内容の割に長い、落とし所が予想できる流れの中で起きる出来事がそれを揺るがす訳でもないのでダラダラした感じを受ける。村山由佳らしいキラーワードがある点は惹かれる部分ではあった。

    0
    2017年12月05日
  • アダルト・エデュケーション

    Posted by ブクログ

    「ミズキさんでないと、だめな軀になっちゃうよ」。弟を愛するあまり、その恋人・千砂と体を重ね続けるミズキ。千砂はその愛撫に溺れ――(「最後の一戦」)。女子高のクラスメイト、年下の同僚、叔母の夫、姉の……。欲望に忠実だからこそ人生は苦しい。覚悟を決めてこそ恍惚は訪れる。自らの性や性愛に罪悪感を抱く12人の不埒でセクシャルな物語。

    0
    2017年11月07日
  • 遥かなる水の音

    Posted by ブクログ

    「僕が死んだら、遺灰をサハラに撒いてほしい」。パリの旅行代理店に勤める緋沙子は、若くして逝った弟の遺言を叶えるため、モロッコを旅することになる。同行者は、弟の友人だった浩介・結衣という若いカップルと、中年のフランス人男性。資産家の彼はゲイであり、晩年の弟と同居していた。互いを理解できないままに、さまざまな事情を抱えながら、4人は異国を旅する。ムスリムのガイド・サイードも加わり、異文化に触れていくなかで4人は徐々に、互いの抱える問題や思いに気がついていく。そんな折、仕事のトラブルから浩介がパリに戻ることになり・・・・・・。 魂の拠りどころを求めて彷徨う男女の姿を通じて、同性愛、姉弟の愛など多様な

    0
    2017年10月09日