村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる間中、ずっといや〜な気分が続く本だった。それでも読んでしまう。この分厚い本を読んでしまった自分がいる。なんて下衆な話なんだろ、と思いつつ読んでしまった。嫌な思いに包まれながらも面白く…
村山由佳さん、人のことをよく見てるし、きっととてつもなく勘が働く人なんだろうなと思う。私も同類だ。
こういう人いる!そういう気持ち、自分の中にもある!と、次々と巧みに繰り広げられる感情と展開とに、ページをめぐる手が止まらなくなる。
そして、これととても似ている話を実話として知っている。孝之と似た人生を送っている男の人を。年下の女性の後輩からの、自尊心をくすぐるような言葉にほだされ、結婚を心に決めていた彼女を裏切って浮気をし、子供ができ、そこまでのつもりはなかったのだけれど…と思いつつ結婚して、そのうちまだ若いのになぜか性的に半ば不能になり、それでもまだ枯れつつある体で不倫までしている。物語の中だけの話ではないのだなぁ。
自分は旦那がいないので、そこまで強い不快感はなく、完全に他人事として読めたけれど、それでも、美登利はいただけない。男性に対して自尊心をくすぐることを言うと、効果的で容易に落ちるのは女性の多くが知っている。それを知っていて、そして、実際に頼り甲斐あるなと男性に感じたとしても、手を出してはいけない相手なら、それを口にするかしないかが、その女性の品性であり知性の違いではないだろうか。それを大いに真に受けて、のせられてしまう男性も情けないが…。
読んで何か得たか?というと、それは正直ないかもしれない。読まなければ良かったか?わからない。でもきっと、このような徒労感を味わうことになると知っていても、やはり手に取っただろうと思う。
(抜粋)******
○一般的に女は、自分より若い男からの賞賛を、あんなに単純には喜ばない。露骨にすりよってこられたなら、まず下心を疑う。ろくに疑わずに受け入れる男たちは、自分をよほど高く見積もって色に違いない。幸せなのか間抜けなのかわからない。
○彼女と一緒にいると、自分には値打ちがあるかのように思えてくる。そうした充実感や自己肯定感を、孝之はここ何年も見失っていた気がするのだった。 -
Posted by ブクログ
2023/10/26リクエスト 4
村山由佳さん、デビュー30年なのですね。
ここまで作家を続け、恋愛も結婚も離婚も経験されてることに敬服。
ここ20年の作品は発売とともに、それ以前のものは後に読んだが、毎回ここまで書くとは、と驚く。
それでも毎回新作を手に取るたび、前作を超えている。
それは自らの経験なのか、書く力なのか、なかなかできることではない。このエッセイで時折語られる母親との関係性、生家のご家族、今のご主人、過去のご主人、ネコなど様々なことが理解できた気がする。
本当は奈津と名付けられる予定だった話、だから
『ダブル・ファンタジー』『ミルク・アンド・ハニー』
にでてくるのか!
同じものを食べて心から美味しいと喜び会えるかどうかが結婚生活の肝。
これは本当にそうだろうな。
あとは金銭感覚も違うと大変だけど。
自分のキャパ以上の仕事を受け、2番目の元夫の多額の借金返済をしたとのこと。誰にでもできることではないが、村山由佳ならやりきって、さらに素晴らしい作品を書くのだろう、と納得もする。
今のご主人と末永くお幸せに。 -
Posted by ブクログ
村山由佳のエッセイを読むのは「晴れ時々、猫背」以来。
いや、20年近く音信不通だった友人を出会ったような気持ちでした。これまでの村山由佳さんの人生を知らずにいる(エッセイを読んでいない)ので、彼女の懊悩や葛藤の重さ深さを共有できずにいます。
それでも、昔から感じている親だから愛することができるわけではない、というのは少なからず共感できる部分であり、いずれ自分も同じく送る立場になるであろうことを考えると、どんな感情を抱くのかは不安ですね。
なんというか、自分の場合空虚な気がする。これまでの暗い感情があるにせよ、何も感じないような気がする。喪失感も解放感も。冷たいかな。冷たいよな。
でも、祖母が亡くなった時もそうだったんだよな。祖父が死んだ時は涙が止まらなかったけども、あれは人が死ぬ、近しい人が死ぬということに対する理解がなかったからなんだというのが自己分析。それを経験してしまった以上、衝撃が来る前に、心が防御するんだと思います。
愛情はかけられている自覚はあるし、不幸な生い立ちなわけでもない。それでも、家族である以上当然であると思われる親愛の情というもの、それが少ないのです自分は。
何か足りない欠けている自分には、それを埋め合い支え合う存在は現れないのでしょう。そばにいるけど気づかない、なんて自分に都合の良い解釈なんてできない。
ジュブナイルの黄金時代が好きでなのは、自分には手に入らなかったものであるからという実感があるからこその、憧れが強く出ているんだと思います。
黒い部分が溢れ出そうになってきたので、この辺で。黒い自分語りしてもね。そこに溺れてしまって抜け出せない。 -
Posted by ブクログ
40代で再開した幼馴染の2人の恋模様を描いた作品で、始終2人の甘い雰囲気と小気味良い掛け合いを楽しめる作品でした。
本作の主人公は小説家である「ハナ」と大工である「トキヲ」。幼馴染である2人はそれぞれ2度の結婚と離婚を経験したのち、恋人となる。本作は月ごと+大きな出来事があった時の15個の章に分かれ、2人のその時々のやり取りが描かれるといったストーリー。
全体として2人が寄り添い合う姿が印象的な作品でしたが、それが2度の結婚と離婚を繰り返した40代の主人公たちが繰り広げているということに意味がある作品かなと。
本作でも触れられているのですが、大人になるにつれ分別がつくようになり「恋の賞味期限」が切れたのではないかと悩める方も多いのかと思います。
しかし、想い人の行動に胸がときめくことも、お互いふざけ合って笑い合うことも、子どものように喧嘩することも年齢は関係ないんだよと言わんばかりの展開で、恋に億劫になっている大人の人を励ましているように感じました。
ただ個人的には、ちょっと甘い部分に若干胃もたれしたこともあって評価としては普通になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタヒチ女性に憧れる。気丈で、情熱的で、まっすぐ。
日本女性にはないストレートさが何よりの魅力だと思った。タヒチには行ったこともないし、想像もできないが、物語に出てくる情景描写や人間を見ているととてもいいところなんだろうなと思った。
タヒチダンスは見たことがあるため、踊るマリヴァの想像は簡単にできた。
タヒチ女性にも、日本女性にも全く異なった魅力があるとこの本で感じた。真奈は良くも悪くも日本人女性の代表のような人で、何をいうにもちゃんと考えて発言する。この謙虚さは、やはり日本人女性にしかないものだと思った。
村山さんの恋愛小説は、進みが良くてすらすら読める。 -
Posted by ブクログ
実に濃厚、濃密な、家族の物語。そして母と娘の物語。
作者の人物描写や心象表現が、なんと言うのだろう、とても文学的、小説的で、物語そのものに惹き込まれるのみならず、作者のそんな技巧に魅了されながら文字を追う楽しさも味わえたのが良かった。
ただ、物語も中盤を過ぎ、舞台が主人公の高校時代に入った途端に、個人的には、それまでの物語とプッツリ「断線」したような。「あれ?オレ寝惚けて数ページ読み飛ばしちゃったかな?」あるいは「知らぬ間に主人公のキャラクターが誰か他の人と入れ替わっちゃったな?」と思えたほどの「不連続」感。そう感じたのはオレだけ?
思うにたぶん、物語の「その時点」を境に、同じ主人公が紡ぐそれ以降の物語に本当に感情移入できるか否かを、読者自身の経験値や感性、価値観に挑んで来るかのような、ある種の「位相転換」を作者が企図して描き込んだような気さえした。
そして残念ながら、そこまでのキャパシティを持たない自分にとっては、この「転換」を容易に連続して乗り切ることが難しかったように思う。
しかし同時に、そんな自分自身に向けた印象や感想もまた、本書の物語の「理解」の仕方の一つでもあるのかも知れない、とも思った。