村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
星は実質3.5
題名の「風は西から」は奥田民生の曲名。
恋人は将来地元の居酒屋を継ぐため、外食チェーンに就職。就職試験の際、創業者のカリスマ性にあこがれを感じていた。
しかし、入った会社は超がつくほどのブラック企業で、恋人は自らの命を絶ってしまう。
なぜ、恋人は自死しなければならなかったのか?会社は何をしてくれたのか?今後も自死を選択する人が出てくるのではないか?
突然、大切な人を失った人は残された家族とともに会社に真実を明らかにすべく、戦いを始める。
また、この会社が絵に描いたようなクソ会社。しかし、作中で描かれる会社の人間は実際に居そうでこれもまた怖い現実。 -
Posted by ブクログ
読んでいる間中、ずっといや〜な気分が続く本だった。それでも読んでしまう。この分厚い本を読んでしまった自分がいる。なんて下衆な話なんだろ、と思いつつ読んでしまった。嫌な思いに包まれながらも面白く…
村山由佳さん、人のことをよく見てるし、きっととてつもなく勘が働く人なんだろうなと思う。私も同類だ。
こういう人いる!そういう気持ち、自分の中にもある!と、次々と巧みに繰り広げられる感情と展開とに、ページをめぐる手が止まらなくなる。
そして、これととても似ている話を実話として知っている。孝之と似た人生を送っている男の人を。年下の女性の後輩からの、自尊心をくすぐるような言葉にほだされ、結婚を心に決めていた彼女を裏切って浮気をし、子供ができ、そこまでのつもりはなかったのだけれど…と思いつつ結婚して、そのうちまだ若いのになぜか性的に半ば不能になり、それでもまだ枯れつつある体で不倫までしている。物語の中だけの話ではないのだなぁ。
自分は旦那がいないので、そこまで強い不快感はなく、完全に他人事として読めたけれど、それでも、美登利はいただけない。男性に対して自尊心をくすぐることを言うと、効果的で容易に落ちるのは女性の多くが知っている。それを知っていて、そして、実際に頼り甲斐あるなと男性に感じたとしても、手を出してはいけない相手なら、それを口にするかしないかが、その女性の品性であり知性の違いではないだろうか。それを大いに真に受けて、のせられてしまう男性も情けないが…。
読んで何か得たか?というと、それは正直ないかもしれない。読まなければ良かったか?わからない。でもきっと、このような徒労感を味わうことになると知っていても、やはり手に取っただろうと思う。
(抜粋)******
○一般的に女は、自分より若い男からの賞賛を、あんなに単純には喜ばない。露骨にすりよってこられたなら、まず下心を疑う。ろくに疑わずに受け入れる男たちは、自分をよほど高く見積もって色に違いない。幸せなのか間抜けなのかわからない。
○彼女と一緒にいると、自分には値打ちがあるかのように思えてくる。そうした充実感や自己肯定感を、孝之はここ何年も見失っていた気がするのだった。 -
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2023/10/26リクエスト 4
村山由佳さん、デビュー30年なのですね。
ここまで作家を続け、恋愛も結婚も離婚も経験されてることに敬服。
ここ20年の作品は発売とともに、それ以前のものは後に読んだが、毎回ここまで書くとは、と驚く。
それでも毎回新作を手に取るたび、前作を超えている。
それは自らの経験なのか、書く力なのか、なかなかできることではない。このエッセイで時折語られる母親との関係性、生家のご家族、今のご主人、過去のご主人、ネコなど様々なことが理解できた気がする。
本当は奈津と名付けられる予定だった話、だから
『ダブル・ファンタジー』『ミルク・アンド・ハニー』
にでてくるのか!
同じものを食べて心から美味しいと喜び会えるかどうかが結婚生活の肝。
これは本当にそうだろうな。
あとは金銭感覚も違うと大変だけど。
自分のキャパ以上の仕事を受け、2番目の元夫の多額の借金返済をしたとのこと。誰にでもできることではないが、村山由佳ならやりきって、さらに素晴らしい作品を書くのだろう、と納得もする。
今のご主人と末永くお幸せに。 -
Posted by ブクログ
村山由佳のエッセイを読むのは「晴れ時々、猫背」以来。
いや、20年近く音信不通だった友人を出会ったような気持ちでした。これまでの村山由佳さんの人生を知らずにいる(エッセイを読んでいない)ので、彼女の懊悩や葛藤の重さ深さを共有できずにいます。
それでも、昔から感じている親だから愛することができるわけではない、というのは少なからず共感できる部分であり、いずれ自分も同じく送る立場になるであろうことを考えると、どんな感情を抱くのかは不安ですね。
なんというか、自分の場合空虚な気がする。これまでの暗い感情があるにせよ、何も感じないような気がする。喪失感も解放感も。冷たいかな。冷たいよな。
でも、祖母が亡くなった時もそうだったんだよな。祖父が死んだ時は涙が止まらなかったけども、あれは人が死ぬ、近しい人が死ぬということに対する理解がなかったからなんだというのが自己分析。それを経験してしまった以上、衝撃が来る前に、心が防御するんだと思います。
愛情はかけられている自覚はあるし、不幸な生い立ちなわけでもない。それでも、家族である以上当然であると思われる親愛の情というもの、それが少ないのです自分は。
何か足りない欠けている自分には、それを埋め合い支え合う存在は現れないのでしょう。そばにいるけど気づかない、なんて自分に都合の良い解釈なんてできない。
ジュブナイルの黄金時代が好きでなのは、自分には手に入らなかったものであるからという実感があるからこその、憧れが強く出ているんだと思います。
黒い部分が溢れ出そうになってきたので、この辺で。黒い自分語りしてもね。そこに溺れてしまって抜け出せない。 -
Posted by ブクログ
40代で再開した幼馴染の2人の恋模様を描いた作品で、始終2人の甘い雰囲気と小気味良い掛け合いを楽しめる作品でした。
本作の主人公は小説家である「ハナ」と大工である「トキヲ」。幼馴染である2人はそれぞれ2度の結婚と離婚を経験したのち、恋人となる。本作は月ごと+大きな出来事があった時の15個の章に分かれ、2人のその時々のやり取りが描かれるといったストーリー。
全体として2人が寄り添い合う姿が印象的な作品でしたが、それが2度の結婚と離婚を繰り返した40代の主人公たちが繰り広げているということに意味がある作品かなと。
本作でも触れられているのですが、大人になるにつれ分別がつくようになり「恋の賞味期限」が切れたのではないかと悩める方も多いのかと思います。
しかし、想い人の行動に胸がときめくことも、お互いふざけ合って笑い合うことも、子どものように喧嘩することも年齢は関係ないんだよと言わんばかりの展開で、恋に億劫になっている大人の人を励ましているように感じました。
ただ個人的には、ちょっと甘い部分に若干胃もたれしたこともあって評価としては普通になりました。