村山由佳のレビュー一覧
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勝利は、原田先輩の妹の若菜の家庭教師をしたり、隣の部屋で父親と二人で暮らしている鈴木幸太という少年の面倒を見たり、大家である森下老人と将棋をしたりして、一人暮らしをつづけています。
その後、かれんが勝利のもとに帰ってきて、久しぶりに二人で過ごすことになります。ところが、りつ子と原田先輩に遭遇してしまい、いまだに失恋の傷から癒えていないりつ子の心ないことばによって、勝利の気持ちはしぼんでしまいます。それでもかれんは勝利の気持ちに寄り添い、二人の信頼関係はまた一つ強くなっていきます。
りつ子と中沢の役回りがおなじような展開ばかりで、既視感をおぼえてしまいます。 -
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一人暮らしをしていることをりつ子に告げずにいた勝利でしたが、佐恵子の口からりつ子に知らされることになり、しかもりつ子が勝利とかれんの交際を佐恵子に話してしまったため、勝利は佐恵子に苦しい嘘をつくことになります。その後、りつ子が勝利のもとを訪れ、混乱した気持ちを彼にぶつけます。
今回は、あるいは勝利とかれんがプラトニックな関係でいることの不自然さを解消しようという著者の意図があったのかもしれません。たしかに不自然といえば不自然なのですが、本作の登場人物はいずれも著しくキャラクター化されているので、リアリズムへ向けてエクスキューズをする必要はないようにも思うのですが、「ライト文芸」というジャンル -
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ついに勝利は、かれんと交際しているという事実を、りつ子に伝えます。気丈に彼のことばを受け入れたりつ子でしたが、そのことがきっかけで彼女の身体は食べ物を受け付けなくなってしまいます。こうして、複雑な事情をかかえながらも、勝利はりつ子のことを放っておくことはできず、彼女の回復を支えるためにできることをしたいと考えるようになります。
勝利のかれんに対する想いがブレない以上、ストーリーを回していくにはこの展開以外にはないのかもしれないと思う一方で、りつ子のキャラクターとちょっとそぐわない展開のようにも感じてしまいます。
なお巻末には、京子に恋する丈の視点からえがかれた短編が収録されています。 -
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勝利とかれんとの仲は大きな進展を見せないまま夏休みに入り、勝利は合宿のためにかれんと離れなければならなくなります。そんな彼にりつ子が積極的にアプローチを開始します。
合宿を終えた勝利は、かれんといっしょに、彼女の実母である鴨川のおばあちゃんの元を訪れます。そしてその夜、かれんは今日は家に帰らないと勝利に告げ、二人はペンションで一夜を過ごすことになります。
現在の著者は官能描写を含む小説も執筆していますが、もちろんベタ甘な純愛をえがいた本作ではそうした展開になることもありません。19歳の男と24歳の女という設定ですが、二人ともキャラクター的な人物造形になっているので、ここまでの作品世界を受け -
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自分というものを持っていなくてなんて身勝手なんだろう……
脚本家の高遠ナツメ(奈津)は自分の性欲の強さに薄々気づいていた。その性欲を満たしてくれるのは夫の省吾ではなく、意を決して呼んだ出張ホストでもなかった。
ある日、自分をこの世界に押し上げてくれた恩師とも言える脚本家の志澤から舞台のチケットが送られてきた。
お礼のメールを送る。それから志澤とのメールのやり取りが続く。最初は近況報告程度だったものが段々と深いところまで相談していく事になる。奈津は親身になって相談に乗ってくれる志澤に心を許していく。
「舞台の千秋楽に東京に泊まりで出てこれるか?」
こうなる事を予想していたかのように