村山由佳のレビュー一覧
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番外編で書いてくれないかなぁ、という希望はアナザーストーリーという形で叶えられました。
勝利とかれんさんが物語の主人公であったのですが、彼と彼女以外の登場人物にも勿論人生はあるわけで。誰もが楽しみ喜び悩み悲しみながら、毎日を過ごしています。人を幸せにしたり、時には不幸にしてしまったりしながら。
誰でが不幸よりも幸福であることを望んでいるはずなのに、なぜか望まない方向へ進んでしまう時もある。それでも、理不尽だと思いながらも、修正不可能だと思いながらも、遠回りに見えても歩み続けることしかできないのだなぁ、と思います。その先にあるのは、きっと幸せの、小さいかもしれないけど、光なんでしょう。
どうしようもなく落ちてしまっていた星野りつ子。その側に寄り添い続けた原田先輩。いやいや、先輩に下心がなかったとは。頭が下がります。今思えば、下心があった人間が寄ってきたとすれば、星野りつ子はカタギの道に戻ってこれなかったのではないかと感じます。そんな雰囲気の時もありましたしね。尻に敷かれる先輩の姿しか見えないですが、お互いに良いパートナーとなるのではないでしょうか。
森下夫婦の関係が修復されたことが一番心を打ちました。最後のセリフの掛け合いが染み入ります。旦那さんの方ですね。森下さんと秀人さんそれぞれの魅力というのは、同じラインで比較できるものではなくて、別の概念として評価すべきところなのです。そうはいうものの、彼我の違いを考えたときに、どうしても比べてしまうもので。それは、森下さん自身が秀人さんのような人がもつ属性を持っていたからかもしれない。過去エピソードを読むと、兄弟なのだなと思いました。それゆえにここの関係の溝は深く苦しかったです。戻ってきてくれて本当によかった。本当に。
物語の終わりはさよならでなく、新しい日々への始まり。
これから先も、勝利たちの人生は続く。多くの困難が降り掛かろうとも、それ以上の幸福が彼らに訪れますように。
自分一人の人生でない、誰もが誰かと繋がり助けあいながら生きている、と実感している彼らならきっと大丈夫。苦しみに耐えきれない時があったとしても、それぞれの強さで持って立ち向かい歩んでゆくはずです。
きっと大丈夫。 -
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よそのお宅の猫を覗かしてもらえる番組
「NHKネコメンタリー 猫も、杓子も。」の本です。
夫が養老先生のお宅に行くと まるが居て
邪魔だったよ。とチロじゃなかったの?
と聞くと、ウーン?ドスンと座ってたけど?
それに、わざと邪魔な所に居るんだよ。
またいで、通ってたんだよ。と
嫌われていたのかしら?
自分の思い出になってしまった猫たちを重ねて見てしまいます。
猫の下僕となった人間も、そうなのよねー。
と共感してしまいます。
テレビで、いくちゃんとたまちゃん・カグラちゃん・大ちゃんと見てその下僕化した作家さん達を見てうふふと癒されてます。
この本が、何冊も続くと嬉しいんだけど。
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Second season9巻。そして「おいしいコーヒーのいれ方」最終巻。
罪の意識から逃げ出した勝利が、マスターと由里子さんに会う場面。正直、何を勝利が話すのか。マスターは何を話すのか。由里子さんは何を話すのか。
全く想像のつかないまま読み進めました。謝罪と赦しがどのような形になるのか、がわかりませんでした。勝利もマスターも、あの事件に対してはきちんとした結論がないまま、その瞬間を迎えるであろうから。
マスターが花村家で語ったことに嘘はなく、少しでも未来へ向かって歩んでいこうとしてはいるのだけど、勝利を目の前にしてどうなってしまうのか、が怖かったです。
マスターが勝利にくれたのは、謝罪を受け入れ、赦しを与え、そして互いに支えあって生きてゆこう、という宣言。ああ、勝利はやっと居場所を与えて貰えたのだな、と感涙。不覚にも。
積読になっていたこのシリーズを読み始めるにあたって、会社の休憩中に読んでいたのですが、まさか職場で泣きそうになるとは思いませんでした。泣かされそうになるとは思いませんでしたよ、本当に。
恋人としてかれんさんの隣にいることがふさわしい存在になることと同じくらいに、マスターに一人の男として認められることも、勝利にとっては大事な大事な命題だったのだと思います。
思い起こせば、カウンターの中から追い出されてしまったことの悔やみ。あそこに戻りたいという願い。かつての場所を取られてしまうかもしれない妬み。さまざまな感情が積み重なっていたのだと思います。
マスターとかれんさん。
この兄妹に認められることが、物語の幹だったのか。
自分の好きな言葉に、『明日が明るい日だと誰が決めた』があります。出典はP2。
昨日と同じ今日、今日と同じ明日。変化のない毎日が続くというのは、思い込みや希望でしかなくて、どこに暗闇があるかわからない。
暗闇から逃げるのでなく、向き合い乗り越えるためにすべきこと、できることは何なのか。
タイトルの「ありふれた祈り」。
それが答えなんじゃないのかな、と思います。勝利とかれんの物語では、それが答えだと思います。
最終巻ですが、当然登場人物たちの人生はまだまだ続いていきます。
星野りつ子に原田先輩、丈と京子ちゃん、若菜ちゃんに中沢氏、秀人さんとダイアンにアレックスと、多くの人々の物語も気になるところです。
番外編で書いてくれないかなあ。 Extra seasonになるのかな。 -
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Secondseason7巻。
勝利がオーストラリアにいる間に、日本にいる面々で何が起きていたのかを、丈の目線で語られています。前巻で既に爆上がりだった丈の評価がさらに上がる7巻です。
いつの間にか、こんなに周囲の人々のことを思いやりことができる男になっていたのか。自分が未熟であることを知りながらも、現在の自分に出来ることを丁寧にやる、というのはなかなかの仕事です。
あの事件の関係者の中では、なんとも微妙な距離にいる丈。当事者のマスターや由里子さん、マスターと兄妹のかれん、加害者の勝利。全員との関係が、誰よりも強いというわけでないし、離れた距離から見ているというほど遠いというわけでもない。
むしろ、そんなどうにも踏み込めない、踏み込みすぎてしまうかもしれない、という距離感でありながら、必要な時に踏み込んでいける丈の心の機微は、なんという感覚なんだろうか。
マスターや勝利たちとのこれまでの繋がりが、丈を成長させたのでしょうね。それは、マスターや勝利も影響されているはずです。
自分に置き換えてみると、マスターの立場だったら、怒りに任せてしまうし許すことはできないだろうと思う。許す態度の裏に、いつまでも忘れられずに、些細なことで爆発してしまうという感じになってしまうと思う。
勝利の立場なら、逃げ出すしかない。逃げに逃げて、風見鶏のコミュニティーには関わらない。自分のしたことに向き合わず、逃げ出したまま。
丈の立場なら、時間が経つことを待つだけ。傷つけずに慰めているような、それっぽいことを言って、自分の身を守りそうだ。
どの立場でも、あんな事件があったなら仕方がないよ、という免罪符を利用して、自分のことだけを考えて生きてゆくと思う。なんと卑怯で惰弱な生き物であることか。 -
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Second season6巻。
ラストで感情が溢れてしまった勝利。後悔に囚われて、自分の感情を押し殺すしかなかった状態から、前進するきっかけになったのだろうか。
自分自身を追い詰めることが、見せかけの贖罪であるとは理解していても、そうすることでしかできなかったであろう日本での自分との別れになれば良いと思います。
どんなことがあっても、人は前に進むしかないのだから。
オーストラリアで出会った人々は、さまざまな悩みを抱え、自身の人生を歩んでいました。進めなくなって押し潰れてしまった佐藤さんや、迷路から抜け出せないリッキーのように、勝利が陥るかもしれなかった人たちも。
処理だけじゃない。アレックスもダイアンも秀人さんも、誰もが何かの拍子にをそれてしまうのかもしれない。
広大な土地を車で進むシーンは、人の歩む道の危うさの暗喩だったりするのだろうか。闇夜でなくて昼間で、行き先は見えているはずなのに、いつの間にか気づいたら違う場所を漂っているかもしれないという怖さ。
その危うさを抱えながら、人は日々を過ごし、さまざまな関係の中で互いに軌道を修正しながら、人生を積み重ねて歩んでゆくのでしょう。 -
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Second season5巻。
4巻の終わりを受けて、どんな形で始まるのかと思いきや、まさかのオーストラリアで開幕。あの出来事から半年後のオーストラリアからです。
秀人さんの元で、アボリジニ研究所のバイトとして過ごす日々。半年後でも、あの出来事の後悔は癒えてはいない様子。あの直後、どんな状況だったのかは語られていないので想像するしかないのですが、見るに耐えないものだったのだろうと思います。
その勝利を見たくないから、5巻を読むのが怖い、と思ったので半年後から物語が始まったのは一安心か。
ただ、それは物事と向き合わずに目を逸らしていることでもあるので、一時的な緊急回避ではあります。
南半球のオーストラリア。日本とは文化も生活リズムも違う場所で、精神を通常運転ができるくらいまでは戻すことが今は優先することなのでしょう。そうでないと向き合うことすらできない。星野りつこが弱ってどうにもならなかった時に、原田先輩と勝利が支えてあげたように、あの事件に向き合うための精神を取り戻すために。
でないと、贖罪はできない。たとえ、マスターと由里子さんが許してくれたとしても、自分で自身を許せずに、堕ち続けるだけになってしまいそうです。
そのキーパーソンになりそうなのが、アレックスか。
今まで出会ってきた人とは、全く違うキャラクターの彼女。劇薬のような気もするけど、予想外のアプローチで支えになってくれそうです。
今のところ、第一印象も間合いの詰めかたも最悪ですが。
丈の手紙が不器用だけど、真剣に勝利を案じてくれているのが伝わってきて優しい。弟分で悪友だったりするけども、親友と呼べる存在は勝利にとって、丈のことなんだなぁ。マスターや原田先輩、秀人さんと年上の存在ばかりが、勝利の支えであり憧れだったりするのだけど、丈もそういう存在でありました。 -
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Second season3巻。
前巻の不穏な幕引きは、大家さんチでの一件でした。
秀人さんかぁ。山男には惚れるなよ、という文言を思い出す人です。社会の通念を放り投げてでも、自分の意を通したいものがある。そのためなら、全てを投げ打っても構わない。という覚悟を隠し持って、ギリギリのところで踏みとどまっている人だ。
それは違うだろう、と思いもするけども、そういう覚悟を持って生きている人には憧れてしまうものです。自分の人生全てを、これまで培ってきたもの全てを捨ててでも、成し遂げたいものがあるのなら、自分自身のためだけに進むことを選ぶ。
憧れです。
そこに憧れる一方で、秀人さんのお兄さんの生き方が魅力がない、というわけではないのが困ったことです。
毎日コツコツチ小さな幸せを積み上げてゆく生き方。地味だけど堅実に、大きな喜びはないかもしれないけど、大きな悲しみもない生き方です。
過去の悪事から更生したから素晴らしい。それは賞賛されることだけども、悪事に身を染めないで行くことが一番。ニュアンスは違うだろうけど、ここの兄弟の違いって、こういうことなんだと思います。
秀人さんが悪い人ではないですけどね。
大学3年生だっけ勝利は。学生生活の終わりが近づいてきているであろう時期に、出会ってしまった秀人さんという存在。マスターともネアンデルタール先輩とも違う大人の男性との出会いは、勝利の行き先に何をもたらすのか、ですか。
勝利の進路が二人の行き先にどう影響するのかなぁ。かれんさんが突然アパートを訪ねてきた理由も不明だしなぁ。あとがきで不穏なこというので、暗い想像ばかりしてしまう。 -
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Second season2巻。
星とかれんの関係は安定飛行に入ったように思えるけども、そうは問屋がおろさないという引きです。そのきっかけとなった出来事が何なのかは、3巻なのでしょう。
大家さん関係な気もするけど、部活関係なのかなぁ。ために溜め込んだものが爆発してしまった、大人の人間関係のような気がするなぁ。
収録のサイド・ストーリー。かれんさん視点での語り。普段は勝利の一人称の語りなので、どうしてもかれんさんの気持ちは想像するしかなく、そのもやもやしたりやきもきする部分が、物語に引き込まれる要素なのですが。
それだと、勝利に偏りすぎだと思うので、たまにはかれんさん視点でもありだと思います。似たモノ同士だなぁ、と思うけども、それは誰しもが思うことであって、その不安や不信を少しずつすり合わせて、少しずつ埋めあって、そうやって進んでゆくのだと思います。
聞き手の桐島先生って、そうか「もう一度デジャ・ブ」の人か。「二度と離れ離れになりたくないんだ」の言葉で気づきました。懐かしいなあ。
運命的な出会いと別れを経験して、奇跡のように出会った二人でも、別れをいつかくるかもしれないこととして考えてしまうという事実。
永遠の愛は存在しない、というのは常に壊れているからかもしれないなぁ。壊れたら、作り直すの連続。その結果、永続に見えるから永遠と思うのかもしれないなぁ。 -
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Second season開幕。
タイトルの蜂蜜色の瞳の持ち主はかれんさんのことなのですが、その瞳がどんな状況でショーリを見つめてくるか、ということです。
前巻の「夢のあとさき」の内容を読めばわかるのですが、まあ幸せであること。
作品は違うけども、「天冥の標」の『混爾』はこういうことなのだろうな。
若菜ちゃんの悩みも、ここにあります。本能的に勘づいているから、不安になる。それをストレートに口に出してしまうと、裏切っている気持ちになるから、罪悪感で望むままに行為に及んでしまう、といったところでしょうか。罪悪感を盾にするという甘え。心当たりがあるようなないような。
進行中にはわからない。そして、本当に欲しいものが得られないから、簡単に手に入りそうに見える偽物に流されてしまうというのも、よくある話です。丈の彼女さんの過ちのように。
闇の星野りつこ再臨。悪い女になってしまうんだよなぁ。次の恋に進まないと、戻ってこられないよなぁ。原田先輩とくっついて仕舞えばいいのに。
ネアンデルタールだとしても、すごく親身に接してくれているのに。先輩の魅力に気づいて欲しい。大切にしてくれると思うんだけどなぁ。