村山由佳のレビュー一覧
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猫にもいろいろ居るように。
アリス目当てで珍しく猫短編集など読んでみたけれど(『猫は見ていた』に収録のエア・キャットを他で読んで気に入ったのもある)、猫好きにもいろいろ居ますなぁ。
にしても短編というのはどうにも、良いところも悪いところもはっきり出ちゃうよね。いまいちかなぁと思っていた作家さんのはやはりいまいちだし、反対に思わぬ出会いもあったりで、まぁほんとに肌が合うかどうかなんだけど…
そうねぇ。結局のところキャラクタ、或いは物語そのものにさえ、生命性を感じてしまうタイプなのよね。極端に云うなら作家の仕事は、生まれてきた物語を伸びやかに世に放ってあげるブリーダー的なも -
Posted by ブクログ
ネタバレメンタルヘルス系。
村山由佳の初期作はあんまり期待していなかった(失礼)のだけれど、予想していたよりもずっとよかった。村山由佳はやはり南の島との相性がものすごく良いなあ。情景描写、特に海の描写が卓越している。『ありふれた愛じゃない』にも通じるものがこの時点で存在している。
しかし『ありふれた愛じゃない』など近年の作品が好きな村山由佳ファンにとっては、本作は初期作品なので書き方としてはやや物足りないように感じる。里緒と、JBと、ゲイリーと、フィオナと、それぞれの人物が傷を負っている、わりにそれぞれの傷があっさり描かれすぎている(あるいはほとんど言及されていない)。そして終わり方がよく分からな -
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Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・ALL BY MYSELF
・MORE THAN WORDS
最後までハマれずに終わりました。
とにかく勝利の一人称が饒舌すぎて、しかも恋愛のことばかりで鬱陶しい。
勝利はかれんを自分の手元に置き、甘やかせることが面倒を見ることだと思っているの?
かれんがいないだけで情緒不安定になってしまう勝利の方がよほどお子ちゃまだし、重たい。
一番好きじゃないのは、勝利がかれんに何かするとき、「~してやる」という言い方をすること。
面倒見てやる、蚊帳を吊ってやる、火鉢を洗ってやる。
面倒を見る、蚊帳を吊る、火鉢を洗うじゃ駄目なの?
勝利みたいなタイプ、絶対無理だ。
自分のことは自分で頑張る。 -
Posted by ブクログ
読みたかった本がおかざき真里さんの美麗な装画になっていたので漸く。
苦しい。W不倫ものだけれど読んでしまうのは、不倫を肯定してはいなくて、全員苦しんで業を抱え込む事になるのが丁寧に描かれているから。村山由佳さんの文章は綺麗ですし、今回は片方の夫婦が京都の人ということで京都弁も良かったです。
嫉妬と、不思議な共犯関係に似た感情が沸き起こるのかな。自らのパートナーには埋められない昏い性癖みたいなものをお互いに別の人と埋める。よくわからない感情です。
やってることはだめだと思っても、登場人物に全員嫌悪感を持つことは無いのも村山さんの力量なのか…と思いました。桐谷の愛人の直恵すら嫌いではない。たぶん、