村山由佳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みたかった本がおかざき真里さんの美麗な装画になっていたので漸く。
苦しい。W不倫ものだけれど読んでしまうのは、不倫を肯定してはいなくて、全員苦しんで業を抱え込む事になるのが丁寧に描かれているから。村山由佳さんの文章は綺麗ですし、今回は片方の夫婦が京都の人ということで京都弁も良かったです。
嫉妬と、不思議な共犯関係に似た感情が沸き起こるのかな。自らのパートナーには埋められない昏い性癖みたいなものをお互いに別の人と埋める。よくわからない感情です。
やってることはだめだと思っても、登場人物に全員嫌悪感を持つことは無いのも村山さんの力量なのか…と思いました。桐谷の愛人の直恵すら嫌いではない。たぶん、誠司が入院してる病院の看護師長、彼女よな。
トキ江おばあちゃんもとても良かったです。自分の着たい服を着る、と思ってても、「装うということは人さまへの心遣い」という気持ちも持っていたいです。
着物素敵だな。お着物を想像するのも眼福でした。 -
Posted by ブクログ
いつもさらっと読みたくて手に取るけど、ふんわりした雰囲気の中に刺さる出来事や言葉が現れる。ずっと幸せな雰囲気でいたいのに、突然現実に突き落とされる。
人間観察と心情描写がリアルだなぁと思う。本当に男の子が考えていそうな。作者はどちらかと言うと男目線の方が得意なのかも。
勝利くん、家事もできるし年下だからって甘えてくる訳じゃなく、これまではいいなあと思っていた。けど自分に置き換えると、年下から「お前」と呼ばれたり、まるで年上かのような物言いをされるのは嫌かもしれない。見せかけの頼りがいはいらない。かれんだから合っているんだろうけど。
それより、かれんがいるのにりつ子のことを気にかけ過ぎているのが気になる。
りつ子の体調を気にかけるのは勝利本人じゃなくて良いし、りつ子に望みを持たせるようなどっちつかずの態度は良くない。それは優しさじゃないし、むしろかれんが知ったら傷つけてしまう。
かれんに釣り合うような男になりたいと思っていながら、それどころかすごく不安にさせる行動を取っている。
まぁこんな若い男の子が5歳年上の女性を完全に安心させるなんてことは難しいだろうけど。
かれんからしたら、ただでさえ同級生の勝利とりつ子の関係に気後れするだろうに、はっきりしない勝利にますます不信感が募りそう・・・そんな終わり方だった。
自分が助けたい相手、優しくしたい相手、の優先順位を間違えないようにしないと、と考えさせられた。八方美人は大切な人を傷つける。
勝利はまだこれから学んでいくんだろうし、大学生にしては真面目で大人だと思うけど。
私は村山さんのあとがきを楽しみにしていて、むしろあとがきの方が読みたいぐらいで、今回も特に読み応えがあった。
こんなに思考力がある人が、戦争について語っている。とても興味深い。
お父さんがシベリアで捕虜になったそうで、記憶ではものすごく過酷で日本人が次々と亡くなったあのシベリア抑留かと思うとゾッとするし、そのお父さんが生きて日本へ戻ってこれたからこそ、そして私の先祖も生き延びてくれたからこそ、今、戦争の無い世界でこの小説を読めている訳だから、平和って本当に尊いし、当たり前ではない。
この文庫が発売された2003年から20年近く経っても、企業も政治も〈想像力欠如おじさん〉が日本を牛耳っているし、今でも夜明けは全く見えないけれど、もっと若者が自分の未来について考えても良いし、必ずおじさんが引っ張っていく必要もない。
とは言えお金も希望も無い今の若者が将来に期待するのも難しいかもしれないが、せめて政治に関心を持つぐらいはしないと、〈おじさん〉にお金も未来も奪われてしまうかもしれない。
私も多数派に流されることなく自分の目を養って、物事を見たり判断したいと思っている。
ずっと多数派を選び続けていると、中身は空っぽのままで、物事を客観視できないような人になってしまう。
多数派の意見と、正しいことはイコールではない。勝つことと正しいことはイコールではない。
確かに歴史を見れば明らかだ。
20210625 -
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あのとき夏姫が何を思っていたのか、というのはたしかにわかるけれど「アナザーストーリー」と題打ってまで読むほどのものではないかもな。最後の一文はとってもきれいだったけれど。良くも悪くも映画の付録以上でも以下でもない。
もっと他にエピソード自体を物語に挿入出来たらそれは物語として面白かったのかもしれないけど。これはただ、彼女が何を思っていたかだけ。別に酷評する気はないし、ファンとしてはうれしいけど当たり前ながら単体ではわけわからんと思う。あと短いかな。本にするほどでもっていう。筆者のあとがきはさすがに全部読めるほど時間はないし、興味もあまり持てなかった。創作の苦が味わえるものとして貴重なものとは思えんかったかな。 -
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主人公が作りこまれているけど、やや不遇すぎて自分に卑屈すぎる&展開が辛いので見ているこっちの心が苦しい部分が多かった。
けれど、これはこれで読みやすいし、面白かった。
早く救ってあげてくれとずっと願ってた。
ただ、ベタな展開で「あ。終わっちゃった」感がある。
物語として別に何かつっつく場面はないし、歩太が必ずしも恋愛によって救いが提示されるわけじゃないからそれもそれでいいのかも。
歩太のセリフで「なぜそんなによく知りもしない人間のことを信じられるんですか?」という質問に「自分の人を見る目を信じたいから」っていうのがすごい刺さったし、良かった。あんなこと言えるようになりたいね。
ただ、歩太と対等な立場で会話できる人が彼を救ってほしかったという個人的な願望があったからなんとなくすっきり腑に落ちていないのかも。 -
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ネタバレ性欲が抑えきれない35歳の脚本家・奈津。
下巻に入り新たな男性が登場する。
結果的に一夜を共にした坊主はほんのチョイ役で、下巻の中盤までは仕事で訪れた香港で偶然再開した岩井との関係が描かれます。
「私と一一友情のエッチ、しませんか」
そう、岩井との関係は奈津から誘ったものです。
岩井も妻帯者でいわゆるダブル不倫。
そして岩井との関係を続けながら俳優の大林との関係をも持ってしまう。
奈津...
何故か愛おしく感じてしまいました。
説明
内容(「BOOK」データベースより)
志澤とのかつてないセックスを経験した奈津は、テレビの取材で訪れた香港で、大学時代の先輩・岩井と久しぶりに出会う。夫とも、志澤とも異なる、友情にも似た岩井との性的関係は、彼女をさらなる境地へと導く。抑圧を解放した女性が、官能の果てで見たものは?作家・村山由佳が新境地を切り開いた金字塔的小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村山/由佳
1964年、東京生まれ。大学卒業後、会社勤務、塾講師などを経て、93年「天使の卵~エンジェルス・エッグ」で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞を受賞。主な著作に、第4回中央公論文芸賞・第22回柴田錬三郎賞・第16回島清恋愛文学賞を受賞した『ダブル・ファンタジー』「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズなどがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
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ネタバレセカンドシーズン2作目、シリーズ12作目。
勝利とかれんの仲は良好だし、基本的に平和な巻。みんなゆっくりと少しずつ大人になっている。
マスターと由里子さんにおめでた。あれ?二人はもう結婚してたっけ?これからだっけ。
次作では勝利のまわりで何か波乱が起きそうな終わり方だった。
今回はかれんの元同僚で保健室の先生、桐島先生のサイドストーリー付き。かれんから見た勝利が本人の言葉になっていて良かった。矢崎くんも色々抱えていそうな人で、この二人のことも気になる。この辺りの人物は「もう一度デジャ・ヴ」という作品とリンクしているらしいから、読んでみたい。