村山由佳のレビュー一覧
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一人暮らしをしていることをりつ子に告げずにいた勝利でしたが、佐恵子の口からりつ子に知らされることになり、しかもりつ子が勝利とかれんの交際を佐恵子に話してしまったため、勝利は佐恵子に苦しい嘘をつくことになります。その後、りつ子が勝利のもとを訪れ、混乱した気持ちを彼にぶつけます。
今回は、あるいは勝利とかれんがプラトニックな関係でいることの不自然さを解消しようという著者の意図があったのかもしれません。たしかに不自然といえば不自然なのですが、本作の登場人物はいずれも著しくキャラクター化されているので、リアリズムへ向けてエクスキューズをする必要はないようにも思うのですが、「ライト文芸」というジャンルが明確に成立していなかった本書刊行当時にはそうした配慮が著者には求められていたのかもしれません。 -
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ついに勝利は、かれんと交際しているという事実を、りつ子に伝えます。気丈に彼のことばを受け入れたりつ子でしたが、そのことがきっかけで彼女の身体は食べ物を受け付けなくなってしまいます。こうして、複雑な事情をかかえながらも、勝利はりつ子のことを放っておくことはできず、彼女の回復を支えるためにできることをしたいと考えるようになります。
勝利のかれんに対する想いがブレない以上、ストーリーを回していくにはこの展開以外にはないのかもしれないと思う一方で、りつ子のキャラクターとちょっとそぐわない展開のようにも感じてしまいます。
なお巻末には、京子に恋する丈の視点からえがかれた短編が収録されています。 -
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勝利とかれんとの仲は大きな進展を見せないまま夏休みに入り、勝利は合宿のためにかれんと離れなければならなくなります。そんな彼にりつ子が積極的にアプローチを開始します。
合宿を終えた勝利は、かれんといっしょに、彼女の実母である鴨川のおばあちゃんの元を訪れます。そしてその夜、かれんは今日は家に帰らないと勝利に告げ、二人はペンションで一夜を過ごすことになります。
現在の著者は官能描写を含む小説も執筆していますが、もちろんベタ甘な純愛をえがいた本作ではそうした展開になることもありません。19歳の男と24歳の女という設定ですが、二人ともキャラクター的な人物造形になっているので、ここまでの作品世界を受け入れてきた読者にとっては安心感をおぼえる展開になっています。 -
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自分というものを持っていなくてなんて身勝手なんだろう……
脚本家の高遠ナツメ(奈津)は自分の性欲の強さに薄々気づいていた。その性欲を満たしてくれるのは夫の省吾ではなく、意を決して呼んだ出張ホストでもなかった。
ある日、自分をこの世界に押し上げてくれた恩師とも言える脚本家の志澤から舞台のチケットが送られてきた。
お礼のメールを送る。それから志澤とのメールのやり取りが続く。最初は近況報告程度だったものが段々と深いところまで相談していく事になる。奈津は親身になって相談に乗ってくれる志澤に心を許していく。
「舞台の千秋楽に東京に泊まりで出てこれるか?」
こうなる事を予想していたかのように奈津は志澤との逢瀬に溺れる。
心も体も満たしてくれるのは志澤だったと気づく。しかしそれから夫の省吾とはすれ違いが多くなりやがて奈津は家を飛び出す。
志澤とは4回ほど会ったが全てにおいて満足させてくれた。しかし最後会ってから志澤の態度が急に変わった。
「自分のどこがいけなかったのか」
「悪いところがあれば言ってもらえれば直します」
色々メールを送ったのだが志澤からの返事は一切なし。
もやもやしているところに昔の仕事仲間から久しぶりに電話がかかってきた。
「香港でレポーターの仕事をしないか?」
奈津は少し考えてOKを出す
香港で無事に仕事を終えた最終日に大学時代の先輩にバッタリ出くわす。
彼とは二ヶ月の間だけ付き合った事がある…
とここで上巻は終わり。
親身になって相談を受け奈津と体を重ねた志澤
ただやりたいだけのエロじじぃやん!とツッコミを入れたくなる。
実力のある奈津が今落ち込んでいていい脚本が書けない事に対してこういう経験をさせて今よりももっと上の脚本をかけるようになって欲しいとも読み取れるが…ただのエロじじぃやん!
更に輪をかけて悪いのが友達の岡島杏子、奈津からの話しか聞いていないのに夫と別れる事を煽る煽る。
まぁ、全ての登場人物に対してあまりいい印象は持たなかった上巻ですが下巻で考えが変わるのかな?と期待しつつ下巻を読む事にします「まる」 -
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「僕が死んだら、遺灰をサハラに撒いてほしい」。パリの旅行代理店に勤める緋沙子は、若くして逝った弟の遺言を叶えるため、モロッコを旅することになる。同行者は、弟の友人だった浩介・結衣という若いカップルと、中年のフランス人男性。資産家の彼はゲイであり、晩年の弟と同居していた。互いを理解できないままに、さまざまな事情を抱えながら、4人は異国を旅する。ムスリムのガイド・サイードも加わり、異文化に触れていくなかで4人は徐々に、互いの抱える問題や思いに気がついていく。そんな折、仕事のトラブルから浩介がパリに戻ることになり・・・・・・。 魂の拠りどころを求めて彷徨う男女の姿を通じて、同性愛、姉弟の愛など多様な愛のかたちを描いた意欲作。
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恋ではない、愛ではなおさらない、何か――
浅草の呉服屋の一人娘結城麻子はアンティーク着物の商売を始めた。着物を軸に交差する二組の夫婦。かつてなく猥雑で美しい官能文学。
浅草の呉服屋の一人娘、結城麻子はアンティーク着物の仕入れで、京都の葬儀社の桐谷正隆と出会う。野心家の正隆がしだいに麻子との距離を縮めていく一方、ほの暗い過去を抱える正隆の妻・千桜は、人生ではじめて見つけた「奴隷」に悦びを見出していく…。かつてなく猥雑で美しい官能世界が交差する傑作長篇。
「ほら、よく言うじゃないか。
『人は出会うべき相手にしか出会わない』って。
だけど、神様はときどき、うっかり間違えなさるよねえ」
「何を? 組み合わせを?」
「いいや、順番をさ」
夫婦だからこそ、言えない秘密がある。
身も心も焼き尽くす、ねじれた愛の行方。 -
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あー、星野りつ子さんが苦手だ。
大体の恋愛小説で素直に主人公を応援してしまう私は、主人公を邪魔する者が鬱陶しく感じる。
最初に出てきた時にりつ子さんはライバルになると分かったから、それ故に意識しないようにしていたのに、やはり苦手。
勝利ももっと危機感を持ってくれたら・・・と思うけど、逆に何も意識していないからなのかも。
それにしても勝利とかれんの会話が可愛い。かれんは24にしては少女のような喋り方をするし、勝利は未成年と思えないほど懐が深くよく気が利く。こんな素直に気持ちを伝える男の子、いるのかな。
鴨川旅行の場面が好き。特に海で泳ぐところ。全部がきゅんきゅんする。
ペンションで「和泉かれん」と書いた勝利。かれんのことを思いやって行動していることがよく分かった。
20170706