国内ミステリー作品一覧
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-風光明媚な熊本・天草の島々、休暇で訪れていた大鷹鬼平はバス乗り場で八尋雪枝と知り合いになる。 誘われて御所浦島の同じ旅館に泊まることになる。 雪枝は同じ島内に住む友人を訪ねる予定で、夕食後、友人の夫からの呼び出し電話で出かけていくが、その夜は戻らず、翌朝、溺死体としてフグの生け簀に引っかかっているのが発見された。 時間をおかず東京で、農林水産省の審議官という高級官僚が西銀座の地下駐車場で刺殺された。 まったく関係のない事件だと思われたのだが……鬼平は疑問を抱いた。 美しい海で、真珠貝とトラフグの二つの養殖事業を巡る問題が起きていたことが、どうやら事件にかかわっているらしいと鬼平は睨み、警察庁の宮之原警部に連絡を取る。 社会問題を含んだ壮大なスケールで描く宮之原シリーズの快作。
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3.5本格ミステリの魅力的な要素のひとつ、密室トリック。犯行状況を思い浮かべたり、作品に挿入されている図版に心躍らせたりする読者の方も多いはず。本書は、1892年~1998年に発表された国内外の名短編、名長編、中でも魅惑的な密室が登場する作品を有栖川有栖がセレクトし、磯田和一の詳細なイラストとともに贈るブックガイドである。発表順に“世界最初の長編密室ミステリ”といわれるイズレイル・ザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』をはじめとした海外20作、横溝正史『本陣殺人事件』など国内20作、さらに有栖川作品から磯田がセレクトした『スウェーデン館の謎』を加えた全41作を紹介する。密室ファン必携の書。/【目次】/はじめに/新潮文庫版まえがき/ビッグ・ボウの殺人/十三号独房の問題/黄色い部屋の謎/急行列車内の謎/八点鐘/犬のお告げ/密室の行者/エンジェル家の殺人/三つの棺/帽子から飛び出した死/チベットから来た男/妖魔の森の家/北イタリア物語/51番目の密室/帝王死す/はだかの太陽/ジェミニー・クリケット事件/そして死の鐘が鳴る/投票ブースの謎/見えないグリーン/D坂の殺人事件/蜘蛛/完全犯罪/燈台鬼/本陣殺人事件/刺青殺人事件/高天原の犯罪/赤罠/赤い密室/名探偵が多すぎる/花の棺/ホロボの神/求婚の密室/天外消失事件/人形はテントで推理する/緑の扉は危険/哲学者の密室/ローウェル城の密室/すべてがFになる/人狼城の恐怖/スウェーデン館の謎/あとがきに代えて……=磯田和一/参考文献/創元推理文庫のためのはしがき/創元推理文庫版解説=松浦正人
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4.2邪険な扱いしかしなかった亡き妻に謝罪したい――一代で財を成した傑物・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのはなんと霊媒師。自宅で降霊会を開いて霊魂を呼び寄せようというのだ。霊媒のインチキを暴こうとする超常現象の研究者までもがやって来て、方城家に騒然とした空気が広がる中、兵馬が密室状態の離れで撲殺されてしまう。霊媒は方城家に悪霊が立ち籠めていると主張、かくて調伏のための降霊会が開かれるが、その席上で第二の惨劇が起きた――方城家を襲う奇怪な連続不可能殺人の謎に挑むのは、飄々とした名探偵・猫丸先輩! 著者初期を代表する傑作長編。/解説=巽昌章/新版刊行によせて=倉知淳
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3.0東雲理子(しののめ・りこ)は、城京(じょうきょう)大学大学院に進学。専攻は哲学。修士課程での研究テーマについて図書館で悩んでいるとき、返却したはずの哲学辞典が何度も自分の机に戻ってきてしまうという謎が起こる。 「哲学に興味がおありですか?」 そのときに話しかけてきたのは、どこかミステリアスな雰囲気の銀縁メガネの男。後に判明するのは、この男性が理子の新しい指導教員、大道寺哲(だいどうじ・てつ)だということだった。 理子は大道寺の助けを借りながら、日常の謎に挑んでいく。 ある日を境に姿を見せなくなった喫茶店の常連さん、何度待ち合わせをしてもどうしても会えない友、理子の研究室に代々伝わる謎の決まりごと……。 平凡な毎日の、一見なんでもないようなちょっとした事件の数々。 そんな日常に潜む不思議な謎を哲学的な視点から解き明かす、哲学ライトミステリー。 スマートニュース×カクヨム「連載小説コンテスト」優秀賞受賞作品。
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3.5都内近郊で4件の殺人事件が発生した。被害者の繋がりから容疑者として浮上したのは、多国籍過激派『赤い牙』の重要メンバー深町春の息子、深町陽。やがて5人目のターゲットが判明すると警察庁に激震が走る。次の標的は来日間近の米国大統領だったのだ。狙撃場所の特定と実行阻止を任されたのは、警察庁直轄で国難事案を任務とする新橋署刑事課特別治安室〈NEO〉。彼らは春の元恋人かつ陽が尊敬を表す人物、元過激派で無期懲役囚の甲斐宗太郎に協力を求める。タイムリミットが刻一刻と迫る中、大統領一行を乗せたエアフォースワンは横田基地に降り立った――。
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4.0赤穂四十七士ただ一人の生き残り、薄幸の町娘のため剣を抜く! 吉良邸討ち入りに加わり、ただ一人生き延びた男、寺坂吉右衛門。江戸じゅうを沸かせた忠臣蔵から三十余年、齢七十を超えた彼は、麻布の曹渓寺でひっそりと寺男を務めていたが、突如周囲に奇妙な事件が続出する。近所のうどん屋店主・喜兵衛が渋谷川で溺死、その直前にうどん屋の隣の長屋の庭木に、ほんの一瞬、死体が逆さ吊りにされていたというのだ。喜兵衛はそれを目撃していたのだが……。残された喜兵衛の娘おさきは苦界に身を落とす覚悟をするが、吉右衛門は彼女を救うため老体に鞭打ち事件の真相を追う。かつての名剣士吉右衛門は、討ち入りで見せたあの剣の冴えを取り戻せるのか! 書き下ろし傑作、待望の電子化!
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5.0信長はどのように死んだのか?殺したのは誰なのか? 日本史上最大の“密室”の謎が、いま解き明かされる!? 「上さまをもっともお慕いしているのは、この光秀である――」天正10年(1582)6月1日。織田信長は茶会を催すため、わずか30人の警護を伴って京の本能寺に入ったが、 明智光秀はそれを心底憂えていた。そこに集まったのは信長を討たんとする「刺客」ばかり。そして、このまま信長が誰かに殺されるのをみすみす許すくらいならば、いっそわが手で、と挙兵を決意する。だが翌日、本能寺を取り囲んだ光秀は、信長がすでに殺害されたことを知る。居合わせたのは太政大臣の近衛前久や博多の島井宗室など、信長に恨みを抱く公家や豪商ばかり。いったい誰が? どのような方法で? 憤怒に包まれた光秀の、犯人捜しが始まった!
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4.0学生時代の同級生に助けを求められる夢を見た。大学を休学して、ぼくの前から去っていった夏日薫。いまでは、彼女が大女優として活躍する一方で、ぼくは妻を失い細々と探偵業を続けている。ところが夏日薫が手がけた舞台『ハムレット』の最終リハーサルを前に、彼女を含む主要キャスト五人が死亡するという事件が起きた。あの夢はお告げなのか? しかし何をしたらいいのかわからない。だから同業の笹野里子さんに電話をかけてみたのだが……。センセーショナルな事件に、夢想の探偵・山浦歩&危険な女探偵・笹野里子が挑む。独特の推理と、芦原文体が絡み合う魅惑の長編ミステリ。
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4.1あの真っ暗闇の奥から、何かが私を凝っと覗いている! ホラーミステリーの旗手による新シリーズ、ここに開幕。 戦後まもない混乱期。 主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。 波矢多は同じ炭鉱で働く美青年・合里光範(あいざと・みつる)と意気投するが、彼もまた朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。 やがて同室の合里が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。 現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され……。 敗戦に志を折られた波矢多は、相次ぐ変死体と“狐面の女”の謎を解けるのか。 細密な炭坑の描写の中から、じわじわと迫ってくる恐怖と連続する密室殺人の謎。 本格ミステリとホラーの魅力を併せ持った、著者の本領発揮の傑作長篇。 解説・辻真先
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-長野県安曇野の秘湯、中房温泉の宿から泊り客の行方不明が報告され、翌日転落死体で発見された。 死体で発見されたのは同じ長野県の南信州の標高1000メートル以上の山村に東京から移り住んだ男だった。 男は妻と次女を東京に残し、問題を抱えた長女を山村の「寮」に“留学”させていた。 転落事故死かと思われたが、偽造された遺書、不思議な記号が書かれた地図らしきものなど、不審な遺留品が見つかった。 安曇野署の刑事・道原伝吉は殺人の疑いを強くし、記号はラブホテル、巨大な歓楽街・新宿歌舞伎町ではないかと目星をつける。 新宿署の協力を得て捜査を開始するうちに、歌舞伎町を舞台にしたドロドロとした人間関係や、東京と信州を結ぶ因縁が見え隠れしてきた。
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3.3調布は深大寺の近く――武蔵野の自然が残るその地には、子どもにしか視えない宿屋がある。幽霊や妖怪など<人でないモノ>が泊まる宿屋、「うつせみ屋」。人間は、〈特別な用〉がなければ、入ることができない。怖がりな小学六年生の鈴は、ある夜、浮世絵師だった亡き祖父の霊に「浮世絵から出ていった絵を――〈あの子〉を探してほしい」と頼まれ、祖父のヒントを頼りに、うつせみ屋にたどり着く。鈴がそこで出会ったのは、どこか寂しげな面持ちの青年店主・晴彦と、気まぐれに自分を助けてくれる白い狐だった。晴彦から、祖父が浮世絵師を志すきっかけとなった浮世絵コレクションを見せられた鈴は、うつせみ屋に通うことを決意し、時に晴彦からヒントを与えられながら、絵の正体へと近づいていく。人でないモノの宿は、怖い。しかし、妖の宴に巻きこまれ、妖と言葉を交わすうちに、鈴は怖がりながらも、うつせみ屋に惹かれるようになる。やっとできた学校の友達の京子にせがまれてうつせみ屋を訪れた鈴だったが、そこで京子が行方不明となり…。果たして京子を救出できるのか。あの白い狐は何者だったのか。ハラハラドキドキでラストまで一気読みの本作。
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4.0ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。
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4.0私が概略を話すと、父は目を閉じて首を垂れる。ややあって顔を上げたときには、まず事件は解決したと思っていい。父のお蔭で迷宮入りを免れた事件もかなりの数になり、老いてなお旺んな好奇心と推理力には脱帽するしかない。推理作家の椿氏も、父の安楽椅子ならぬ炬燵探偵ぶり、窓がまち探偵ぶりに惚れ込んでいる。退職刑事が調べて現職刑事が寝台探偵を務めるという逆の構図で描かれる「拳銃と毒薬」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第6集。/【収録作】「つまらぬ事件」/「桜並木の一本の桜」/「死は木馬にのって」/「拳銃と毒薬」/「耳からの殺人」/「馬の背」/「針のない時計」/「昔の顔」/あとがき=都筑道夫/解説=西澤保彦
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3.5父が状況を聞いて事件を再構成する力に、私は幾度舌を巻いたか知れない。硬骨の刑事魂は、退職したところで一向錆びつきはしないのだ。私の現職刑事ぶりが気になって、足繁く団地へ話しに来るのもわかる。しかし「わたしが俳句に凝ったりしたら、お前が困るだろう、事件の解決が長びいて」などと言われると立つ瀬がなくなってしまう……。退職刑事若かりし頃の事件「凧たこあがれ」や、何とも皮肉な結末に問題発言が飛び出す「Xの喜劇」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第5集。/【収録作】「落葉の墓」/「凧たこあがれ」/「プールの底」/「五七五ばやり」/「闇汁会」/「遅れた犯行」/「あくまで白」/「Xの喜劇」/解説=津田裕城
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4.0推理作家の椿正雄さんには、元刑事の父が何かとお世話になっている。ダイイング・メッセージだの殺人予告だの、父の衰えを知らない好奇心を満たすような話の相手も、少なからず務めてくれているらしい。その椿さんがわざわざ一席もうけるという。非番の日を見繕って現職刑事である私まで招ぶからには、魂胆ありと見たが……。現職退職両刑事と推理作家が故人の梗概(ミステリ)を巡って文殊の智慧を絞る「あらなんともな」など、退職刑事の健在ぶりを示す8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第4集。/【収録作】「連想試験」/「夢うらない」/「殺人予告」/「あらなんともな」/「転居先不明」/「改造拳銃」/「著者サイン本」/「線香花火」/解説=田中博
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-熱海の錦ヶ浦に少女の絞殺死体が打ち上げられた。 発見したのは、元関東管区警察局監察官の飯森であった。 彼は、横浜の警察署の捜査係長だった宮之原の手腕を見込み、警察庁直属の捜査係に引っ張ったその人である。 そうしたいきさつもあり、錦ヶ浦の絞殺死体の捜査を、宮之原警部が担当することとなる。 公開捜査によって絞殺された少女の身元が判明するが、なぜ、彼女は産んだばかりの我が子を、関わりのまったくない有名女性デザイナーの自宅の前に捨てたのか。そして、捨ててすぐに殺されなければならなかったのか。 この事件の裏にひそむ哀しく切ない人間の業を、若々しい宮之原があらわにしていく。
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