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明治時代の山間集落で起きた猟奇的殺人事件。鉱山で働く囚人たちの不穏な動き。若き医師が辿り着いた哀しい真実。生きるとは、幸せとは、医学とは――。時代が引き起こした謎と、人間の業を描く長編ミステリ!
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Posted by ブクログ
明治後期の鉱山集落に派遣された若い医師、衛藤真道。 鉄を含む地質のせいで赤く見える川に流された獣や囚人の死体。 腕はいいが真道に対してはそっけない先輩医師の殿村は何かを隠している。 集落付近の監獄に収監されている思想犯をめぐるきな臭い動き。 劣悪な環境下で働き、貧困が故に医療を受けられない労働者た...続きを読むち。 ミステリが軸ではあるけど、この時代における医療の限界に悩む真道の心情の描写が多い。産業の発展が著しかった時代であり、日清戦争もあったことから、怪我の治療をしても以前と同じように動けなくなってはその後の生活に困り生きていけなくなる患者がいる。医師としてただ治療だけすればいいのか、患者の思いを優先すべきか、新しい医療に挑戦すべきか…
明治33年、宮城県の山間集落を流れる猩紅川に双頭の犬、猫足の猿という異形な動物の死体が流れてきた。その数か月後にはバラバラにされた人の遺体も流れ着き、山で四つ目の動物や火の玉を見た者がいるという噂も相まって村に不穏な空気が流れ始める。 同じころ、東京で新人外科医として働く衛藤真道は、医大時代の恩師の...続きを読む勧めでこの村の鉱山病院へと赴任することになる。そこにいたのは優秀だが一癖ある医師・殿村。その殿村にも、墓場から遺体を掘り出して切り刻んでいるという怪しい噂があった・・・ 鉱山の村を流れる緋い川、貧困に喘ぐ鉱山労働者、囚人たちの不穏な動き、怪しい行動をとる外科医・・・横溝正史ミステリ大賞を受賞した作者が描く物語は、赤みがかった表紙のレトロな感じも相まって、オドロオドロしい要素は十分。 期待感に膨らみながら読み進めるも、一向に進まない話は中だるみの様相。主人公の真道も今一つ魅力に欠けるし、事件の真相も想定の範囲。 輸血も移植も行われていない時代、奇天烈な方法でそれらに果敢に挑もうとした医師と、手の施しようのない患者に医師はどう向き合うべきか?生きるとは?幸せとは?と悩む若き医師の葛藤が並行して描かれ、そこに一定の答えを見出していく過程はそこそこ爽やかで、ミステリとしてではなく懐古的人間ドラマとしてはよかったかな。
時代背景やシチュエーションがとても好み。鉱山の労働者や赤い川、何より移動の距離感で深い深い山のイメージが浮かんだ。 最後の「医師の最後に出来る事は絶望の共有」という言葉が真でもあり残酷。
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