木谷恭介の作品一覧
「木谷恭介」の「赤い霧の殺人行」「阿寒湖わらべ唄殺人事件」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「木谷恭介」の「赤い霧の殺人行」「阿寒湖わらべ唄殺人事件」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
旧制甲陽中学校(現・甲陽学院高等学校)卒。1977年デビュー作の『俺が拾った吉野太夫』は第1回小説クラブ新人賞受賞。『宮之原警部シリーズ』など、数多くの作品を手がける。
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Posted by ブクログ
83 歳という高齢で断食安楽死を実行しようとした作家の奮闘記(?)ですが、軽い気持ちで読むのはお控えください。
昨今では、生活保護も受けずに孤独&餓死でミイラ姿で発見されたというニュースも聞きますが、作者の場合は生活苦で追い詰められているわけでもなく、自分の意志でという点が大きく違います。息子さんもいて自身も作家としての稼ぎもあり、離婚してからはお手伝いさんにも通ってもらって身の回りの世話も問題なく、あるのは持病の胃潰瘍や心不全ですが、あくまでもこだわるのは己の意志による断食安楽死という死にざまです。その経緯は、自身の宗教観や死生観、戦争体験、社会経験、離婚経験、政治不信、欲望減退などが複合的に混じったもののようですが、2007年(筆者80歳)に発表した小説のあとがきで、83歳の誕生日に断食に入って死のうと宣言した文章に責任を持つというある種の強迫観念(実行できない場合の恥ずかしさ)が彼を突き動かしていたのは間違いないようです。
結論から言えば、83歳時に断食を実行はするのですが、3回とも失敗(2回目は38日間続行)・・4回目には死ぬのが怖くなってしまいます。その原因を分析すれば、どこか無意識のうちに生へのこだわりがぬぐい切れなかった、悟りの境地に入れなかったのではと筆者は考えます。
そこで、人間は理性的に死ぬことはできないのではないかという結論に至るわけですが、筆者の理想とする即身成仏という形は、悟りを開いた修験僧ですら、五穀断ち、十穀断ち、全穀物断ちまで長い人では30年かけて、しかも周りには理解者と応援者がいる状況だったことを考えればあくまでも現代社会では実現不能な理想形だったわけです。
ちなみに、本書が発表された(断食が実行された年)のは2011年9月ですが、翌年2012年12月9日病院で心不全で亡くなっています。
私にとっては、ドニー・アイカー「死に山」以来の衝撃的かつ刺激的な読書体験でした。