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もう充分に生きた。あとは静かに死にたい――。83歳の小説家は、老いて身体の自由がきかなくなり、男の機能も衰え、あらゆる欲望が失せ、余生に絶望した。そして、ゆるやかに自死する「断食安楽死」を決意。すぐに開始するや着々と行動意欲が減退、異常な頭痛や口中の渇きにも襲われ、Xデーの到来を予感する。一方で、テレビのグルメ番組を見て食欲に悩まされ、東日本大震災のニュースにおののきつつも興味は高まり、胃痛に耐えられず病院に行く。終いには、強烈な死への恐怖が! 死に執着した小説家が、52日間の断食を実行するも自死に失敗した、異常な記録。
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Posted by ブクログ
83 歳という高齢で断食安楽死を実行しようとした作家の奮闘記(?)ですが、軽い気持ちで読むのはお控えください。
昨今では、生活保護も受けずに孤独&餓死でミイラ姿で発見されたというニュースも聞きますが、作者の場合は生活苦で追い詰められているわけでもなく、自分の意志でという点が大きく違います。息子さんもいて自身も作家としての稼ぎもあり、離婚してからはお手伝いさんにも通ってもらって身の回りの世話も問題なく、あるのは持病の胃潰瘍や心不全ですが、あくまでもこだわるのは己の意志による断食安楽死という死にざまです。その経緯は、自身の宗教観や死生観、戦争体験、社会経験、離婚経験、政治不信、欲望減退などが複合的に混じったもののようですが、2007年(筆者80歳)に発表した小説のあとがきで、83歳の誕生日に断食に入って死のうと宣言した文章に責任を持つというある種の強迫観念(実行できない場合の恥ずかしさ)が彼を突き動かしていたのは間違いないようです。
結論から言えば、83歳時に断食を実行はするのですが、3回とも失敗(2回目は38日間続行)・・4回目には死ぬのが怖くなってしまいます。その原因を分析すれば、どこか無意識のうちに生へのこだわりがぬぐい切れなかった、悟りの境地に入れなかったのではと筆者は考えます。
そこで、人間は理性的に死ぬことはできないのではないかという結論に至るわけですが、筆者の理想とする即身成仏という形は、悟りを開いた修験僧ですら、五穀断ち、十穀断ち、全穀物断ちまで長い人では30年かけて、しかも周りには理解者と応援者がいる状況だったことを考えればあくまでも現代社会では実現不能な理想形だったわけです。
ちなみに、本書が発表された(断食が実行された年)のは2011年9月ですが、翌年2012年12月9日病院で心不全で亡くなっています。
私にとっては、ドニー・アイカー「死に山」以来の衝撃的かつ刺激的な読書体験でした。
Posted by ブクログ
平穏死関連の本を何冊か読み、私自身も死ぬなら平穏死で…と思い始めました。でも実際にはできるのか?
83歳の作家が断食による餓死に3度挑んだ記録です。
結果的には途中で胃に痛みが出て「どうやら胃潰瘍らしい」と気づきます。胃潰瘍は放置すれば胃穿孔に進み腹膜炎でのたうちまわることになる、そうなればとても安楽死にはならない。(この本では「厳密には医師がかかわっていないので安楽死ではないが」としながらこの言葉を使っています)
結局、死ぬことが怖いのだ、と気づき、そのストレスで胃がやられてのでは、と気づく。
死と向かい合ったことを赤裸々につづった本です。すごく参考になりました。
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