小説作品一覧
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3.2イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出ていった父親が、妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ25年ぶりに戻ってきた。イタリア人の彼女は一人で帰国してしまったという。が、娘たちは大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」と叫び、長女の真希は「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」と苛立つ。妻・歌子の恋人は夜ごと彼女からの電話を待つ。そして歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを…。家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
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4.5犯罪都市・東京。この街で探偵社を営む小百合は、行き倒れていた元格闘家のローサを拾う。行くあてのない彼女から頼みこまれ、行方不明の姉を捜す代わりに、仕事を手伝ってもらうことに。 馴染みの議員・松田から依頼されていた花嫁の素行調査に、ローサとともにあたる小百合だったが……。花嫁の実像に近づくほど、浮かび上がるいくつもの疑念。見えるものだけが、真実なのか――? やがて小百合達は、15年前、国家権力に葬られたある事件へと導かれていく。
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-煌めく少女時代の危うさと切なさを、繊細な筆致で描いた純愛小説。 【新人作家衝撃のデビュー作!】 【装画はイラストレーターめばち氏描き下し】 「好きだっ……よ。骨だけになっても」 七年前の、ある夏の日。 少女たちが胸に秘めた純粋な想いは、 残酷なほどに美しく、時間を止めた――。 紗世子とゆたかは、小学生の頃から、毎日互いの家を行き来する幼馴染だった。 男のような名前のゆたかを、紗世子だけは「ゆかちゃん」と呼ぶ。 初めて出会った瞬間に抱いた想いを、それぞれの胸に秘めたまま、10年の時が流れた。 高校生になったある日、紗世子は好きな「女の人」がいることをゆたかに告白し、付き合い始める。 苦しみに耐えながら友達を続けるゆたかだが、それこそがまさに、紗世子が本当に望んだものだった――。 膨らみ続けた純粋な想いは、むせ返る百合の香りのように強く、二人の少女を縛り付け、美しすぎる悲劇となる。
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2.0【概略】: 肩の凝らない、ゆる~いおはなし。 ショートショート54話 + 読書感想文4編。 1話10秒から4分ほどで読めます。 総文字数:約5万2千。 【目次】: 【ファンタジー・童話】まあくんのぼうけん/かわいい孫~見習い天使1/耳をすませば/電柱でゴンタロ/いとしい娘~見習い天使2/雪だるま/入学式/天使の卒業試験~見習い天使3/〇んこ星人の故郷/岩太郎/タヌキのポン吉/孔雀 【小休止の読書感想文1】『厭な小説(祥伝社文庫)』京極夏彦 【いろんな人】だるころネエちゃん/動機/怖いタクシー/笑って笑って!/夫婦の会話/ドライブ/帰ってきた強打者/洗濯屋のツェンツァオ婆さん/寝床にて/床屋風景/殿ぉ~/リズムあるいは周期/ジャンケンぽん 【小休止の読書感想文2】『千日の瑠璃(上)(下)(文春文庫)』丸山健二 【小さな生き物】ヤドカリのおもいで/振り子蜘蛛/セミとアリ/身投げ/アリ/プライド/みにくいメダカの子/子雀よ/蚊 【小休止の読書感想文3】『人間の條件(文春文庫)』五味川純平 【からだ】パパの手品/奇病/大先生、ほえる/田舎の味/雑巾/便秘/孤島にて/頑固なやつ/変装/ヤセ薬 【小休止の読書感想文4】『霊長類 南へ(講談社・角川文庫)』筒井康隆 【家族】ばあちゃん、まいご/誘惑/きずな/一家/ボクのお兄ちゃん/家族団らん/地下室/スター、故郷に錦を/宇宙の子供作文集より/お弁当
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4.5RITA賞三度ノミネート! ダフネ・ドゥ・モーリア賞受賞! 連続性犯罪事件を追う刑事のアンジー。 男性との情事の最中、呼ばれて現場に駆けつけると、新任担当刑事はその情事の相手だったが…… 性犯罪課の刑事アンジーは、凄惨な現場を目にすることから大きなストレスを抱え、心のバランスを取るため、夜な夜な見ず知らずの男性と一夜を過ごす日々を送っていた。危険は百も承知だが、それが彼女なりの生き抜き方だ。そんなある夜も、いつものクラブで一人の男から目が離せなくなり、部屋へ誘って彼の体を堪能しているところに携帯が鳴り出した。意識不明の少女が発見されたという。だが特別捜査本部が立ち上がり、その担当者を見ると目を疑った。あの夜、情事の最中に置き去りにした男だわ! 原題:The Drowned Girls
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-2018年RITA賞受賞作家が描くミステリアスな男性とのホットな恋! 弟を殺されたマティアスと、その事件の容疑者ケイラ。出会ったとたん恋に落ちたふたりは…… 表沙汰にできないトラブルの解決を職業とする“調停者(フイクサー)”のマサイアスは、実弟の殺害事件の容疑者が立件を逃れ、ケイラという偽名でウエイトレスをしていると知る。店を訪ねると互いにひと目で惹かれ、キスを交わしてケイラのアパートメントに向かうが、部屋は何者かによって荒らされていた。怯えるケイラを守ると即座に約束するマサイアス。だが彼の正体を知ったケイラは、不信感でいっぱいになり……禁断の恋に揺れる男女を描くシリーズ第2弾! 原題:The Enforcer
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-深夜、私の部屋の電話が鳴った。「あたし、由香利です。死のうと思ってるの」……電話の主は、青江由香利・18歳。女流作家の私を慕ってくる、六本木のフーテンのひとりであった。その翌朝、由香利は、私の8年来の情人である国井と、心中しているのを発見された。私は愕然とした。なぜ、あのふたりが? 苦悩と懐疑が私を駆り立てた。由香利には、国井を《死》に誘うほどの魅力があったのだろうか。そして、私はついに、由香利の肉体の秘密を知った……。傷ついた心と肉体をもち、荒涼たる現代の夜をさすらう少女を描く「揺れる女」など、全7編。
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4.5不安な夜も、孤独な朝も。 愛を信じられるようになりたい――。 【〝あの日〟の自分を思い出して涙が止まらない(28歳女性)】 【最後の言葉に救われました(19歳女性)】 SNSフォロワー22万人超! 恋愛ツイート等で若い女性たちの共感を集める 夏生さえりさん、2年ぶり待望のエッセイ集! WEBマガジン「幻冬舎plus」大人気連載書籍化。 * * * * * * * * * * あの靴が 似合わなくなったのは、 いつからだろう――。 20代後半。 着られなくなった服。 好きになれなくなったもの。 恋ってなんですか。 愛ってなんですか。 変わりゆく心と 向かいあった日々の先で、 彼女はひとつの答えに たどり着く……。 みずみずしい感性と文体で 新時代の書き手が赤裸々に綴った、 悩める女性たちに贈るメモワール・エッセイ。
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4.5六〇年代ロンドンで異端児と呼ばれた精神科医。彼の伝記を書く作家宛てに、ある女性の日記が届く。そこには、姉の自殺と精神科医の治療の関連を疑い、真相を明らかにすべく偽名で治療を受けた女が次第に我を失っていく様がつづられていた──。解説/大森時生
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-十六歳の麻生瞳は、ある日、ロンドンのペットショップで一匹のシュナウツァー犬、ユンカースに出会った。言葉のしゃべれる、不思議な力を持ったユンカースと瞳は楽しい日々を送っていたが、数々の奇跡を起こしたあとユンカースは姿を消してしまった。 瞳と両親はありとあらゆる手を尽くしてユンカースをさがしたが、その行方はわからないままだった。二年の月日が過ぎて高校を卒業した瞳は、わずかな望みをかけて、ユンカースと初めて出会ったロンドンへ向かう決意をする。 TM NETWORK木根尚登が贈るファンタジーロマン『ユンカース・カム・ヒア』、『ユンカース・カム・ヒア2』が完全版となって奇跡の復刊!
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをお得に、120%楽しみ尽くす! ムダな待ち時間や出費をできるだけ抑えて、効率よく確実に楽しむためのテクニックをまとめました。 【目次】 「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン絶対得する最新スゴ技完全ナビゲーション 2021-22」 Chapter.1 人気エリアとアトラクションをチェック! Chapter.2 アトラクションをとことん楽しむ! Chapter.3 ショピングと散策をお得にエンジョイ! Chapter.4 チケットとUSJの㊙テクニック Chapter.5 お得にアクセス&宿泊しよう! Chapter.6 USJをもっと楽しむ裏ワザ 「知らないと損! USJの賢い&楽しい歩き方 決定版」 Chapter.1 アトラクションをとことん楽しむ! Chapter.2 グルメもショッピングも満喫! Chapter.3 知らないと損するUSJ巡りのコツ Chapter.4 もっとお得に! チケット&入園テク Chapter.5 アクセスや宿泊先も要チェック! Chapter.6 おすすめのモデルコースはコレ! USJを訪れたからには、「あのアトラクションに乗れなかった」「あそこで写真を撮りたかった」 といった一切の後悔をすることなく、骨の髄まで遊び尽くしたいもの。 本書には、園内を縦横無尽に動き回り、コスパも効率もよく楽しむためのテクニックを満載しました。 大注目の「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の情報ほか、 園内MAP、各種アトラクションの紹介、チケットの種類、おすすめのモデルコースなど ビギナーにもリピーターにも役立つ情報がてんこ盛りです。 事前に把握しておきたい、コロナ禍で大きく変わったルールやマナーも紹介。 全ページカラーで、イラストや写真も多数なので見やすさも抜群の1冊です。 ※本書は 「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン絶対得する最新スゴ技完全ナビゲーション 2021-22」(2021年6月)と 「知らないと損! USJの賢い&楽しい歩き方 決定版」(2019年12月)を 合本化した作品です。
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3.7「ユーカラを書き記すことは、私が生まれてきた使命なのだ」 絶滅の危機に瀕した口承文芸を詩情あふれる日本語に訳し、今も読み継がれる名著『アイヌ神謡集』。著者は19歳の女性だった。 民族の誇り。差別との戦い。ユーカラに賭ける情熱。短くも鮮烈な知里幸恵の生を描く、著者の新たな代表作! 「いつまでも寝込んでいるわけにもいきません。私には時間がないんです」 分厚く腫れた喉から流れ出した自分の言葉に、幸恵ははっとした。 私には時間がない。 そうなのか? 思わず胸に掌を当てた。満身創痍の身体の中心で、心臓は未来へ駆け出す足音のように勢いよくリズムを刻んでいた。 (本文より)
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-藤市悠希は、学内でかなり知られた人気者の大学三年生。高校の同級生だった、“かけがえのない存在”である五十嵐麻由美という恋人とも順調で、全てにおいて満足できる日々を過ごしていた。そんな彼が、“理想通りの美しさを誇る”新城麗伽と、“長い黒髪がよく似合う”櫻しおりの新入生二人と出会い、物語が動き出す。一方、歪んだ考えを持つ謎の女性が、悠希を陥れようと静かに忍び寄っていた──。学園を舞台に繰り広げられる、4人が織りなす恋愛模様。そして、その背後で暗躍するミステリアスな謎の女性。一体、この謎の女性は誰なのか? 出会いと別れ、友情と恋愛。いつかは消える、だからこそ美しく輝く青春と、迫り来るミステリーを鮮烈なタッチで描き出す、著者渾身の長編青春小説が、今始まる。
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-東京都木立(こだち)市に住む滋賀(しが)みつるは、姉のさやかと密かにプラトニックな関係を持っている。互いにピュアな恋情を姉弟同士で持つことへの背徳感から、さやかは成長するにつれ、みつるを突き放すようになる。 木立市の東町にある高校に進学したみつるは、知り合いが誰もいない状況に不思議な安心感を抱きながら、一人の背の高い美少女と出会う。 彼女は名前を栗田実莉(くりた みのり)といった。 偶然にも、みつるは栗田と同じクラスになった。 そして二人は、担任教師からの強引な勧めで、クラス委員にも選ばれる。 綺麗で人望もある栗田に対して気後れしていたみつるは、同じ時間を過ごすにつれ、彼女の生い立ちや苦労した過去について知っていき、自分と何ら違わない生身の人間だと実感していく。そのうちに、姉と密かな蜜月を過ごしたことを栗田にだけ告白した。栗田は驚くも、拒絶せずありのままに事実を受け止めてくれる。次第にみつるは栗田の大らかさや優しさに惹かれていく。 いじめもスクールカーストも存在しない理想郷的な学園青春グラフィティ。 ※本作は泉花凜の個人誌作品の電子書籍版となります。
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4.8ユードラ・ハニーセットはひとり暮らし。楽しみといえばラジオとクロスワードパズル、そしてプールで泳ぐことくらいで、人づきあいもせず、単調な日々を送っている。周囲に向ける視線も態度も辛辣で、厭世家という言葉がぴったりの老人だ。 ある日、ユードラは安楽死を求めてスイスのクリニックに電話をかける。日々思うように動かなくなる自分の体。このままだといずれ病院のベッドに寝かされ、死を待つしかなくなる。それなら自分の意志で人生を終わらせたい、尊厳を持って死を迎えたいと考えてのことだった。 そんなユードラの隣に、ある一家が越してくる……。
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3.0『虹色ほたる』の川口雅幸が贈る夏の感動ファンタジー! グラデーションブルーの海の近く、白波小学校六年二組に転入したばかりの遼哉。問題児ばかりという六年二組に内心ビビってはいたけど、隣の席の美少女・晴香の助けもあって、少しずつクラスに溶けこみはじめていた。ところがある日を境に、遼哉のまわりで不思議なことが起こりはじめる。頻繁に目撃されるUFOらしき光、浜辺で拾った奇妙なガレキ、突如赴任してきた謎のさわやかポロシャツ先生カイドー、海岸沿いの廃れたドライブインに住む怪しげな爺さん“ジョーカー”、そして晴香の抱えた秘密……不思議で切ない、遼哉の運命のひと夏が、いま静かに動きはじめる――
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-男の秋が通過する小春日の小説 新聞社に勤める真田竜太郎は誤報が遠因で編集職を外れ、部下のいない支社総務部長として地方都市に赴任していた。離婚して、気ままに一人で飲食を楽しむ生活を送る中で、自宅近くに住むエステティシャンのユキ、中国人クラブ嬢のマナカと相次ぎ親しくなる。真剣に人生に向き合う若い二人の時間を、将来のない自分が費やしているとは思いながらも、心を通わせ関係を成り行きに任せる。男の秋が通過する小春日の小説。 【著者】 象太郎 1970年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。言論関係の本職を持つ一方、小説を書く。主に東京在住。著書『バランスビーム』『よ。』
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-ふたりの世界がゆっくり進む、男性の同性愛小説を書いています。 学校で事務員をしている主人公・レイくんとデイトレーダーの同居人・瀬崎のお話。 既刊『溺れる羽』『日日の止り木』を前日譚にした本編要素ですが、振り返りなくそのまま読めます。 ※本作は丹路 槇の個人誌作品の電子書籍版となります。【64ページ】
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4.5『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!3年連続、本屋大賞ノミネート!! 自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。 死を見つめることで、〝自分らしさ″と〝生″への葛藤と希望を力強く描き出した、著者渾身の感動作。
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-弟の洋一は本当に死んでしまったのか、それともどこかで生きているのか? 二日前、洋一は切迫した様子で、代田やすかに連絡してきたばかりだ。そして追いかけるようにかかってきた謎の男からの脅迫電話。日光戦場ケ原で発見された焼死体が洋一らしい、との報せで遺体確認に出向き、憔悴して戻ってきたやすかは、留守中何者かに荒らされた自室で一人不安におののくのだった……。長篇サスペンス。 ●斎藤澪(さいとう・みお) 1944年、東京生まれ。国学院大学文学部国文科卒業。雑誌編集部、広告代理店勤務を経て作家活動に入る。1981年『この子の七つのお祝いに』で第1回横溝正史賞を受賞して小説家デビュー。『赤いランドセル』『冬かもめ心中』『花のもとにて』など著書多数。
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4.0謎の女は死の罠なのか 洞窟しかけられた最後の秘密が明らかに…… アクション&ロマンスの傑作がついに完結 THE HELLBOUND BROTHERHOOD(ヘルバウンド・ブラザーフッド)#05 トラスク兄弟の三男メースは、〈ゴッドエーカー〉の洞窟に不審な女性がはいっていくのを見つけてあとを追う。女性はウイルス学者のケイト・ラモット。14年まえに突然姿を消した父の身に何が起きたのかを探っているところだった。同じウイルス学者だった父は、新たなウイルスのワクチンをつくっていたという。ケイトの話はほんとうなのか、あるいはキンボールの罠なのか。確信を持てないメースはしばらく様子を探ることにしたが…。すべての〈呪い〉が解け、驚愕の真実が明らかになる最終巻! 原題:Havoc (Hellbound Brotherhood Book 5)
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-日本の歴史と日本人の精神の「夜明け前」を描く日本の名作小説 幕末に旧家青山家の17代当主として生まれた青山半蔵は向学心が強く、本居宣長、平田篤胤らの国学や 漢学を学んでいた。 特に、王政復古に陶酔する半蔵は、木曾の生命線である山林を古代のように人々が自由に使うことがで きれば生活はもっと楽になるに違いないと考え森林の使用を制限する尾張藩を批判していた。 半蔵は、年老いた父の後を継いで中仙道木曾馬籠宿の本陣・問屋・庄屋を兼ねていたため、実際の運動 に参加することはできなかったが、下層の人々への同情や憐みの念は強く、それだけに新しい時代の到 来を強く待ち望んでいた――。 ロマン主義詩人として『若菜集』などを発表し、さらに小説『破戒』『春』などの代表的な自然主義作 家として知られている。本書は、日本自然主義文学の到達点の一つとも言われる、島崎藤村の実父をモ デルとした歴史小説の大作『夜明け前』の第一部 上である。
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-「夜明け前」は何度読んでもぼくを感動させる。陶酔はますます深まり、ぼくの月並みな思念は千々にみだれ、目前の言葉と言葉の合間に、意味しえぬ意味がひろやかに、しかも幾重にも層をなして透けてくるように思える。陶酔から醒めたときに、ぼくははるかなる彼方をかえりみるように、あるいは遠い昔のことを思いだすようにして、この小説がぼくに経験させてくれたものの意味を考えようとする。ぼくが想いみたものは、あるときは、ありとあらゆるものを食い尽してゆく時間についての作者の毅然たる形而上学であり、あるときは主人公青山半蔵の悲槍な劇的生涯であり、またあるときは、ぼくたちの祖国が、黒船の到来とともにヨーロッパから押し寄せてきた近代の巨大な波濤に、身をさらしながら切り拓いてきたぼくたち自身の近代の困難さであった。……篠田一士。
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-日本の歴史と日本人の精神の「夜明け前」を描く日本の名作小説 幕末に旧家青山家の17代当主として生まれた青山半蔵は向学心が強く、本居宣長、平田篤胤らの国学や漢学を学んでいた。 特に、王政復古に陶酔する半蔵は、木曾の生命線である山林を古代のように人々が自由に使うことができれば生活はもっと楽になるに違いないと考え森林の使用を制限する尾張藩を批判していた。 半蔵は、年老いた父の後を継いで中仙道木曾馬籠宿の本陣・問屋・庄屋を兼ねていたため、実際の運動に参加することはできなかったが、下層の人々への同情や憐みの念は強く、それだけに新しい時代の到来を強く待ち望んでいた――。 ロマン主義詩人として『若菜集』などを発表し、さらに小説『破戒』『春』などの代表的な自然主義作家として知られている島崎藤村。本書は、日本自然主義文学の到達点の一つとも言われる、島崎藤村の実父をモデルとした歴史小説の大作である。
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4.02016年、エベレスト。最も暗い夜明けまえ。性暴力の記憶の影を振り払い人生を取り戻すため、女たちはこの山を歩いた。 過去から、未来から、女たちの声が響き合う。連帯と共助の登山記。 「シルヴィアは戦士だ。その力強く温かい声は、彼女がいかに人生における最悪の瞬間から立ち上がり、誰かの標になろうとしてきたかを物語る。この本は弱さ、共感、無私の心がもつ力の証明だ。ここに描かれた、彼女が手にした強さと勇気に敬意を覚える」 ——セレーナ・ゴメス(俳優、本書原作映画主演) 幼少期の性的虐待や父による支配が少女に落とした影。 それはやがて、さらなる苦悩と喪失を連れてきた。 人生を取り戻すために登山家となった彼女が挑んだのは、同じ性暴力サバイバーの女性たちとエベレストを歩く旅。互いの心の傷を差し出しあい、守りあうことで得た力を手に、彼女はそのままひとり、この母なる山の頂上へと向かう。凍てつく吹雪、世界の果てまではびこる男性至上主義、そして幾たびも訪れる死線。その先に見た光景とは——。 オープンリー・レズビアン初の七大陸最高峰登頂者が実体験と半生を綴った、心震わせる極限のシスターフッドの記。 Silvia Vasquez-Lavado “In the Shadow of the Mountain”の完訳。 装丁:名久井直子 装画:朝野ペコ [本書について] 著者シルヴィア・ヴァスケス=ラヴァドはペルー生まれの登山家。2018年にオープンリー・レズビアン(レズビアンであることを公にしている人)として初の世界七大陸最高峰登頂を成し遂げています。 彼女は幼いころ近親者に継続的な性的虐待を受け、また権力志向の強く厳格な父親の支配する家父長制的な家庭環境に苦しんだトラウマから逃れるためアメリカにわたり、自分の心の傷を誰にも話せないまま過度の飲酒、ワーカホリック、野放図なセックス、無謀な行動などによってしか充実感を得られない20代を過ごしました。 やがて、アルコール依存症の自覚をきっかけに己のトラウマと向き合ううち登山と出会い、救いを求めるように世界の名だたる高山を登り始めます。その途上で他者と向き合うことを少しずつ覚え、自分と同じように性暴力を受けた経験のある若い女性たちが山や自然へと向かい、人生を取り戻すきっかけを作るための「カレイジャス・ガールズ(勇敢な女の子たち)」というNPOを立ち上げました。 そして2016年、エベレスト登山史に残る大規模雪崩の翌年に彼女が挑んだのは、同じ性暴力サバイバーの女性たちとエベレストを歩き、そのまま自身は初めての登頂に向かうという挑戦でした。悪質な人身売買の横行するネパールや自身の暮らすアメリカで性暴力を受けた経験のある、そして登山は完全に素人である5人の女性とともに、己の限界——そして「お前たちはしょせん無力な、奪われるだけの存在なのだ」と事あるごとに語りかけてくる過去の影を乗り越えること。 果たして自分は皆に光を示し、そして自分自身に巣くった心の影を振り払えるか。「世界の母神」と呼ばれるエベレストにそれを問いかけながら歩いた二か月間の思いを綴りつつ、著者自身の人生を振り返ったのが本書「In the Shadow of the Mountain(原題)」です。エベレストに挑む現在と、その人生に影を落とす過去が一章ごとに交互に描かれる構成となっています。 同じくラテン系の世界的なセレブリティ俳優であるセレーナ・ゴメスが彼女の人生に激しく共感し、自身のプロデュースと主演で映画化が決定。当初予定よりは遅れつつも、2023年には制作が開始される予定です。 「山」と「女」という、古くから男性の世界が「征服」の対象とみなしてきたふたつの存在。その魂と交信しながら自分の姿を探した一人の女性の独白が、読むものを力ではなく、共助の意思でエンパワーする回想録です。
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4.1高校生のレッドは、キャンピングカーで友人3人、お目付け役の大学生2人と春休みの旅行に出かけていた。だが人里離れた場所で車がパンク。携帯の電波は届かない。そして何者かに狙撃され、残りのタイヤと燃料タンクを撃ち抜かれてしまう。午前零時、サイドミラーにかけられたトランシーバーで、狙撃者から連絡が。その人物は6人のうちのひとりが秘密をかかえている、命が惜しければそれを明かせと要求してきた。制限時間は夜明けまで。閉ざされた空間で展開される極限の探り合いと謎解き。『自由研究には向かない殺人』の著者の新たな傑作!/解説=大矢博子
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3.7世の中には、夜になっても鍵をかけない家があるのを知ってる?──シカゴの高校に通う黒人の少女ボーは、卒業を機にこの街を出ると決めていた。絵の才能を活かし、盗みも撃ち合いもないどこか遠くへ行くのだ。そんな十六歳の冬、姉のカティアが不法侵入の疑いで警官に射殺された。外の安全な世界に憧れ、ボーに語り聞かせてきた姉が、犯罪に手を染めるはずがない。ボーは姉の無実を証明するため、現場から消えた姉の恋人を自ら探しはじめる。少女のひたむきな調査行と姉妹の絆が胸を打つ、アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作!/解説=吉野仁
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3.2社会人3年目の進藤久登(しんどう・ひさと)には、お酒を熱愛する年上の幼なじみがいる。 東京で働く会社員の天沢理香(あまさわ・りか)は、お酒を飲めば飲むほど推理が冴える特技を活かして、幼なじみ兼助手の久登とともに、SNSで謎解きを募集している。 ただし依頼の条件が2つ。 ひとつは「お酒がかかわる事件であること」、 もうひとつは「その謎に関係するお酒が飲める店で会うこと」。 つきあいたての恋人同士は、ハイボールですれ違う。 自宅飲み会で不可解な行動をする同僚の本音とは……。 ビールが巻き起こす国際交流の危機!? ふたりのもとには 今夜もお酒が関係する悩み事とドラマが舞い込んでくる――。 エブリスタ×ことのは文庫【ライト文芸賞】大賞受賞作、書籍化! お酒の知識と楽しさをちりばめた、一杯飲みたくなる推理劇。
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-アパートのゴミ捨て場で見たスニーカーをその後、何度も別の場所で見る。 なぜか爪先はいつもこちらを向いていて…(「爪先を揃えて」収録) 引っ越した部屋の天袋にいた或るモノ。 その日から奇妙な夢が…「灰色のファミリー」、母を亡くした同級生が学校に連れてくる犬のぬいぐるみ。 その表情がなぜか不気味で…「みどりちゃんといっしょ」、交通事故で奇跡的に助かった祖母。 だが、何か違和感が…「バグる家族」、アパレルショップの倉庫で見つけた段ボール。 〈存在しない鈴木〉と書かれたその中身は…「『存在しない鈴木』」。隣の空室から聞こえてくる女の歌声。 謎を解き明かそうとした男は…「隣の歌」ほか。 怪談最恐戦の投稿部門として始まった実話怪談大会〈怪談マンスリーコンテスト〉から世に出た期待の新星、待望のデビュー作! 著者について 東京都出身。怪談蒐集の他、お酒、ライブ、ゲームが好きで、普段は自家焙煎珈琲豆店「南方郵便機」で働いている。 2018年より毎月開催中の〈怪談マンスリーコンテスト【怪談最恐戦投稿部門】〉で度々入賞、参加既著にそれら入賞作を収録した『稲川淳二の怪談冬フェス~幽宴二〇一八』(竹書房文庫)がある。
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-何か、とても苦しい夢を見ていた 記憶をなくし、霊と対話できる叶井晴翔は、怪談実話作家の宵坂白にふりまわされるようにさまざまな怪異と対峙していく―― 怪談実話作家の宵坂白(よいさかつくも)が八王子の山中で拾った叶井晴翔。記憶を失った彼は幽霊たちの姿が見え、声が聞こえるようになった。恐怖に慄く叶井だが、白にはネタ集めに有用な存在だった。やがて宵坂家に住むことになった叶井だが、宵坂家は家神のイナリ、幽霊の留吉、白の叔母・紫乃とにぎやかな中で、次第に落ち着きを取り戻し、失った記憶を調べはじめるが―― 装画・鈴木次郎
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4.3YouTubeにて人気のお笑い芸人・エレガント人生のコンビ共著による初書き下ろし小説!! 「わたしたちの愛はみっともなくて、痛い。 頭にネガティブな言葉がつまっている夜。 焦りや不安で息苦しくなるけれど、 あなたはあなたのルールで自分の物語を生きたらいいと受け入れてくれる。 この小説は温かい逃げ場。」 一木けい(作家) 『なにごとも一旦取り繕うことを覚えると、 素の自分に戻るのが怖くなってしまう。 それまで当たり前に“素面”で生きていたとしても』 『全てはしあわせになるために。 しあわせに見せるために』 『俺は何のために頑張ってるんだろう。 誰のために頑張ってるんだろう。 自分のためにってどうすればいいの?』(以上、本文より) Z世代の6人の男女が集まり、飲み会で繰り広げられる人間模様。一見、お気楽に見える彼らが見せるオモテの顔とウラの顔。酔っている自分と素面な自分、本当の自分とはなんなのか? チャンネル登録者数50万人超え! ホストとホス狂カップルからおばあちゃんと孫娘、はては地下アイドルとそれを推すファンなど、多彩で幅広いキャラクターを確かな演技力と深い洞察力で切りとった動画で、若い世代からの支持を集めている男女コンビ「エレガント人生」。 動画配信を主戦場にするシン・芸人とも言える彼らがコンビ共著という形で、動画の世界観とは一線を画した珠玉の初小説を上梓。パパ活、インフルエンサー、メンズメイク、ヌイ活、学歴マウント、モブなど今の時代のキーワードがちりばめられ、Z世代のリアルを感じさせる傑作がここに誕生。
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