下巻の展開が面白くて上巻の3倍のスピードで読めた。
上巻でワクワクさせて下巻で一気に読ませる。物語は下巻で一気に進む。
上巻の感想にも書いたが、ぜひ上巻で読むのを諦めないでほしい。
ホラー作家らしく展開に容赦はない。
上巻で登場した魅力的な人物も、結構バタバタと死んでいく。
一つの町が死んでいく
...続きを読む様子を描いた作品。
ある邪悪な存在によって町が滅ぼされようとしている状況について、さまざまな価値観の人の、いろいろな考え方がある。
医者なら、「急に貧血で死ぬ人が増えた」ことや
警察官なら「行方不明者が急増している」「死体が消えてしまう」、
町の少年は「夜な夜な行方不明になった友達が家を訪ねてくる…」
そして、過去に不吉な事件が起こった屋敷では、新たな住人が生活し始めている。
町に何か異変が起こっている兆候はあり、状況証拠はこんなにも揃っているのに、
人々が口を揃えるのは「でも、そんなこと信じられない」ということ。
自分の理解を越えた状況について「常識的にありえない」と言って、その情報を断絶することの愚かさ。しかし、心のどこかで、もしかして…と怯えている人間の弱さを上手く描いている作品だと思う。
また、古典のドラキュラを思わせる小道具や背景、ドラキュラの性質なども
現代に吸血鬼が居たら、こんな感じなんだろうなとにやりとする。
プロットを作り込まず、奇異な状況に魅力的な登場人物をぶっ込んで勝手に動き回らせることで作品を作るというキングだけど、初期の作品だからか、この作品はきちんと最初からオチを想定して作っているような気がした。
まとめると、とても面白かった。
この作品を読んで小野不由美さんが「屍鬼」という作品を書いているので、そちらも機会があれば読んでみようと思う。