あらすじ
転地療養のため美しく平穏な西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかにすぎていった。だが、まもなく彼女を相手に懐古談をしていた少佐が死体となって発見される。以前から少佐は何かを憂いていたようなのだが……。義憤にかられた老嬢ミス・マープルが、事件の謎に挑む。
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西インド諸島という場所がもたらすリゾート感、様々な個性ある登場人物というアガサ・クリスティらしい舞台設定にて、テンポよく物語が展開していく。年老いて更にズル賢く?なったミス・マープルもなかなかチャーミングで上手く物語が進行していく。
ミス・マープルを中心に会話主体で本当にテンポが良く一気に読み進める。そしてラストも…これが74才の作品とはびっくり。キャリアとしては晩年だと思うが、自身の過去の名作にも引けを取らない作品を生み出すとは流石です。
リゾート地で女性は美女揃いのようなので映像化にはぴったりですね。映画の方も観てみようかな。
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クリスティ作品の中で最も完成度が高く、読んでいて心地よい作品。今作と「復讐の女神」は連作になっている。復讐の女神とは今作中において、大金持ちのラフィールがマープルから夜中に叩き起こされるシーンでマープル自身の形容について冗談の様に言った事なのだが、復讐の女神(メネシス)に似ても似つかない様がずっとラフィールの印象に残ったのだろう。次作のタイトルが「復讐の女神」である事も鳥肌物で、今作の完成度がずば抜けて凄いと感じてしまう要因の一つだ。
更に巻末を見て驚いたが、今作は三部作構成の計画があったという事だ。クリスティが亡くなり実現しなかったという事らしいが英題まで決まっていた様で物凄く残念だ。願わくば今の時代に生きる有名なミステリ作家がタイトルを引き継ぎチャレンジしてほしいが、きっと誰も納得しないんだろうなぁ。
普段はセント・メアリー・ミードから出る事がないマープルだが、甥のレイモンドの愛情により旅行にでている。マープルが何処かに出かける作品は意外に多く実は彼女はとても行動的なのだが、カリブ海はメキシコ湾の辺りの様で数少ないマープルの旅行物だ。ホテルの人達や滞在客は皆んな優しく過ごしやすい環境だが、ある日パルグレイヴ少佐の死亡をきっかけにマープルが疑問をもつ。彼は病死とされていたが、マープルに話しかけていた際にとある事件の犯人の写真を見せびらかそうとした際に、不意に何かに気づき話題を変えていたが、その事を不自然に感じ、マープルができる限りの調査を開始する。
今作の好きな所の一つ目は冒頭に挙げた次作のタイトルを見事に表現している部分なのだが、二つ目は探偵小説にありがちな矛盾を逆手にとっている事だ。そもそも素人探偵に警察が協力する訳が無く、数あるミステリではとにかくこの部分を誤魔化す訳だが、今作ではマープルは孤独を理解し、仲間を巻き込む所から始まり、最初は医者を利用し(彼は利用されたで良いだろう(笑))、その後、大金持ちのラフィールを味方につけ、彼の部下も巻き込み真相を解決している。少なからずマープルは探偵役としては欠点が多い訳だが、今作ではそれが大いなる魅力に変換され、作品の山場を見事に演出している。そして、根本には犯人の意外性や幾つもの殺人、伏線となる語られた過去の事件等は当然のごとく表現されている。
実は落ち着いてみると、クリスティのベストに入る作品なのでは。と今更ながらに思う。読み終えてから次に手に取るのは、言わずもがな、「復讐の女神」だ。
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マープル
翻訳の永井淳氏って聞いたことあるなーと思ったらジェフリーアーチャーを担当していた方だった。懐かしい。
始まりは何となく退屈な感じ(マープルが退屈な話を聞かされてるから当たり前)だったけれど、最後は畳み掛けるような面白さだった。いつものように私が怪しいと思った人は全然関係なかった。ラフィール氏も登場した時とラストでは全く印象が変わった。それにしてもリゾート地での療養をプレゼントしてくれる甥がいるなんて羨ましいなあ。マープルシリーズの未読は3冊になり寂しい。
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転地療養のためにインド諸島を訪れたマープルが宿泊したホテルで知り合った少佐が変死体で発見される事件に巻き込まれ独自で捜査するミステリーで、アガサ・クリスティー作品の持ち味である犯人当ての醍醐味と男女の仲を中心とする複雑な人間模様、旅先の鮮明な情景描写などミステリーだけでなく物語としての面白さもあった。
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マープルもの9作目。
本書はクリスティー74歳の時の作品だそうですが、さすがの円熟ぶりといいますか、「あっぱれ!」な完成度でございました。祝日に一気読みです〜。
転地療養のため、セント・メアリ・ミードを離れてカリブ海のリゾート地にやってきたマープル。
歳を重ねて頑固になる人は多いですが、甥の親切なおせっかいをありがたく受け入れ、「ほんとうの意味の若さの精神を発揮して、それほどおもしろいものなら自分もなんとかそれを好きになろうと努力しよう」(p31)という姿勢にはとても感心しました。
また、さまざまな人との会話の中で、時にかまをかけたり、ぐっと反論をこらえたり……次々繰り出される会話術にも脱帽。私もこんな聞き上手になりたい。
そして見知ったサー・ヘンリーもクラドック警部もいない中、バディとなるのはたいへんなお金持ちであるラフィール老人。
”死を目前にした剣闘士”同士のやりとりは、退官後戦場に戻ってくる老兵士のようなかっこよさがありました!
後の作品である「復讐の女神」が出てきましたが、これは続編にあたるとか……?うーん楽しみ!
本書のキーワードである”噂話”は、やはり誰しも気になってしまうもの。
旅先という特定の環境で、人々の口の端にのぼる噂話がいかに広まり、どんな人物像を形成していくか……。それをもとに人間を緻密に描いていくクリスティーの腕前は、やはりさすがの一言。
リゾート地には縁がないので、こちらはいつかドラマ版でも観てみたい作品です〜。
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1964年の作品。
ミス・マープルシリーズ9作目。
ミス・マープルは療養のため、カリブ海の島サントノレに保養に来ていた。
話好きなパルグレイブ少佐は、ミス・マープル相手に妻殺しの殺人犯の話をして、殺人犯の写真をみたいかとミス・マープルに尋ねる。しかし、そこに入ってきた人々の顔を見るやパルグレイブ少佐は顔色を変え、写真をしまい話題を変えてしまう。
その翌日、パルグレイブ少佐は自室で死んでいた。持病の高血圧の薬が原因ではないかと医師は考えていたが、ミス・マープルはパルグレイブ少佐は高血圧ではなく、これは殺人ではないかと疑い始める。ミス・マープルは身体の不自由な大富豪で偏屈物のラフィール氏と協力して、事件を解決に導く。
このラフィール氏という偏屈な老人がとてもいいキャラなんですよね。こういう不自由で大富豪の老人というアイコンはクリスティもお気に入りの題材。
他の作品にもよく出てきます。ラフィール氏との関係は次作の「復讐の女神」に続いて描かれています。
今回は療養地での事件とあって、サーヘンリーやクラドック警部などお馴染みの人物は出てきませんが、ミス・マープルがラフィール氏と協力して2人で事件を解決していくところが見どころ。
写真に写っていた人物は誰なのか?
犯人は男なのか、女なのか?
パルグレイブ少佐は高血圧だったのか?
いろんな伏線が張られていて面白いです。事件に関係しているものも、実は全然無関係なものもあって本当に見事だなぁと。
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【マープル】
カリブ海のホテルで療養しているマープルは、「殺人犯の写真を持っている」という退役少佐の昔話につき合わされる。
その直後その少佐は変わり果てた姿に…。
クリスティー74歳の作品。
クリスティーが歳をとったからなのか、この作品はおばあさんであるマープルと、介助なしでは歩けないおじいさんが大活躍する。
クリスティーとマープルが同年代なので、もう私の中では完全に2人が同一人物だと思って読んでいる。
マープルはいつもは現場に行かずに安楽椅子形式で推理して、登場するのは最後だけ。
でもこの作品は違った。
マープルの泊まっているホテル内で事件が起きるので、マープルも終始現場にいる。
だからいつもとは違う、動きまわる大活躍の元気でカッコいいマープルが見れて嬉しかった。
だいたい作品順に読んでるので、クリスティーの年齢によって作品が変わっていく様子も面白い。
・離婚問題で失踪して大変だった心境が何となく伝わってきた『ビッグ4』。
・2度目の結婚で幸せいっぱいでノリに乗ってる感じの『そして誰もいなくなった』『オリエント急行殺人事件』
・旦那さんが考古学者でクリスティーも発掘作業を手伝って現地に行っていた『ナイルに死す』『メソポタミアの殺人』
・戦争中で自分の身もどうなるかわからない時期に書いた『カーテン』
・クリスティーが歳をとって、おばあさんマープルが活躍するこの作品。
クリスティーが辿ってきた人生も作品から感じることができる。
クリスティーが晩年までたくさんの作品を残してくれてとても嬉しい。
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甥夫婦の厚意で陽光降り注ぐカリブ海のゴールデン・パーム・ホテルに滞在することになったミス・マープル。そこには個性豊かな宿泊客が集まっていた。二組の夫婦、頑固者の大富豪とその世話係、そして退役軍人の老紳士・パルグレイブ少佐。マープルは、話半分にパルグレイブ少佐の長話を聞き流していたが、翌朝冷たくなった少佐が発見される。高齢者が突然死ぬことはよくあることと、事件性も疑われず処理されてしまうが、マープルは少佐が語っていた写真のことが気に掛かっていた。しかしその写真は少佐の持ち物から忽然と消えてしまっていたのである。
少佐の死には何かあると踏んだマープルは、宿泊者たちを相手に捜査を進めていく。
その最中、何かしらの秘密を握っていたと思われる人物が殺害されると、自殺未遂や新たな殺人など事件は連続殺人の様相を呈し始める。
警察が完全に空気の中、マープルはかなり能動的に捜査を進めていく。歯に衣着せぬ物言いの大富豪ラフィールとのタッグがこの作品の見所。年齢は全く違うけれど、ラフィールがジェフリー・ディーヴァー作品のリンカーン・ライムに少し似ていてそこも面白かった。
クリスティ作品は基本的にどの順番で読んでも問題ないが、この『カリブ海の秘密』と『復讐の女神』は明確な繋がりがあるのでこちらを先に読むべき。
「隠し事のある人にとっては、会話はいつだって危険」ポアロも言っていたこの言葉。かなり的を射た考え方だと思う。
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「葬儀を終えて」や「ハロウィーン・パーティー」のように、"秘密を知る人が殺された"系ストーリー。マープルが立ち上がった時のワクワク感がすごい。ラフィール氏との相棒関係もまた良し。続き物らしいので次回作が楽しみ。
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しばしば警察関係者があてがわれてきた「聞き手役」に賢き偏屈おじいちゃんが配され、物語の舞台も相まってとても新鮮。
酸いも甘いも噛み分けた「お年寄り」同士のやり取りが心地よい。
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この年になってクリスティかと笑われそうだが、旅行中に何か読む本をと思って本棚の中から一冊選んで持っていったところ大層面白かった。本棚にあったので初読ではないはずだが、読んだのは何十年か前で内容は完全に忘れていた。
ここ最近の複雑なトリックとサスペンスが洗練されたエンターテイメントと比較して、クリスティなんて非現実的なプロットと時代がかった謎解き話かと軽く見ていたが、穂井田直実の解説にある通り、年を取って判る面白さというものは確かにある。ミス・マープルの年齢に近くなって、そろそろ老人の生活を復習しておくにはよい年かもしれない。シリーズをもうちょっと読んでみよう。
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十代のころ読んだ気がするがほとんど覚えていなかった。40歳を超えた今読む方が楽しく読めたように思う。
ラフィール氏、なんて爺さんだっ!と思ったけど中々魅力的なご老人で、ミスマープルとのコンビは最高。
この本は難しいトリックはないけどマープル女史の魅力たっぷり。永井淳氏の翻訳も面白い。この人の翻訳でクリスティ作品もっと沢山読みたくなりました。
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クリスティのミスマープルシリーズ。自分の住んでいる小さな村での出来事や人物を当て嵌めて、知らない街での殺人事件を解決に導く、いつもながら胸がスカッとする。
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早い段階で犯罪パターンが提示され、それに沿った行動をとっている人が犯人というシンプルな話ながら楽しめた。ミス・マープル物にしては出ずっぱり+情報収集のために作り話をしたり匍匐後退までして元気でアクティブ。ラフィール氏のコンビも良かったし、特に最後、空港で見送りの際の会話が、老いや死を笑い飛ばすようなからっとした格好良さで印象的。爽快な読後感。
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イギリスを離れ、西インド諸島で療養生活を送るミス・マープル。ある晩、とりとめのないおしゃべりを繰り返す老少佐が「殺人犯のスナップ写真」を彼女に示そうとするか、寸でのところで取りやめてしまう。そしてその晩少佐は亡くなってしまう。
序盤で死体が登場するわりに、事件そのものの進展は遅い。だが、一見「良い人」に見える宿泊客の仮面を一つ一つ剥がしていくことで、物語に深みを与えているように思う。いつもの頼りになる仲間が不在の中、ミス・マープルと相棒を組むのが、嫌味な大富豪というのも面白い。警察や医者と事件に関する話ができない一方、大富豪との会話は老人パワーフル回転で楽しくもあり、若者とは違う視点で物事を見ているのがわかる。(クリスティー自身が年を取り、老人に肩入れしているのかもしれない)
事件そのものは、最初から示されていたのに、目くらましをまんまと食らってしまった。悔しい。
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この話の後日譚を先に読んでしまったので、これはもう読まないと……そう考えて手に取った。本来は三部作の第一作で、第二作が私が先に読んでしまった『復讐の女神』第三作は作者であるアガサ・クリスティが亡くなったことで、世に出ることはなかったという……とても残念。
導入部を読んで既視感があり、『ああ、多分十代の頃に一度読んでるなあ』などと思った。案の定大部分が忘却の彼方なので、犯人は当てられなかったし真相もお察しという。新鮮な気持ちで読めたという利点はあれど、そうとう私の記憶力はポンコツだなあなどと感じて切なくなった。とはいえ、まだ『あ、読んだことある』と気づいただけマシだと考えてもいる。
導入部を読んだ十代の私は、ミス・マープルが人の話を随分と適当に聴いていた様子を見て、なんていい加減な人なんだろうと、ちょっとばかり嫌な気持ちになっていた。しかし、半世紀を生きて読み返すとむしろそれが礼儀で優しいように感じる。人の話を鵜呑みにしたり、真剣に100%の態度で聞き入るのは危険だし、ちっとも誠実ではない。相手のことを尊重するというのは、そういう行為ではない。
アガサ・クリスティはこの話を73歳くらいで書いたそうで、しみじみとすごい人だなあ感動してしまう。彼女の著作はまだまだ未読のものが多い、ゆっくりと楽しみたいと思う。
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マープルシリーズ
タイトルに惹かれて購入したもの
犯人像がころころ変わった
もはや誰もが怪しく思え
意外なところで着地
ミステリだけど マープルは
ハラハラ ドキドキしたりはしない
私は。
どこか のんびりと行く末を
眺めている感じだ
つくづく人間の精神は
掴みどころがないと感じた
それぞれの思惑が混在していた
固定観念を捨てると
見えてくるものがある
イメージに縛られない
柔軟性が必要だ
人を信じるのは美しいことだけど
真実を知るのは 苦しいことだ…
この後 続編にあたる
復讐の女神を読むつもり
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犯人候補が多すぎる。
性別さえも決め切れなくて絞り込むのが大変。
誰も彼も怪しい。
クリスティ作品で犯人当てに挑戦するのは無謀だったか。
療養で訪れた西インド諸島で事件に巻き込まれたミス・マープル。
積極的に探偵役を引き受ける彼女と偏屈屋ラフィールとのやり取りが面白い。
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いや~今回も犯人は難しすぎ。療養のため奇麗で温かい西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかに過ごしていた。彼女を相手に懐古談をしていたパルグレイブ少佐が亡くなって発見される。少佐に自分の妻殺しの内容を知られたと思った犯人の仕業とマープルは考える。ホテルの従業員の夫妻(ティムとモーリー)の使用人・ヴィクトリアも刺殺される。登場人物の夫婦達や金持ちのラフィール、その秘書、医師等怪しい者が多すぎて、犯人予想ができずに混乱。でも一応予想した、が、やっぱりハズレ。76歳のクリスティーの作品、完敗。③
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久し振りに読み返しました。続く[復讐の女神]、書かれることのなかった[Woman's Realm]三部作構想の第一部に当たります。おしゃべりのなかに情報を見いだすミス•マープルは健在です。ラフィール氏との関係が次の作品に繋がっていくところが、ちょっと粋な感じです。ミステリーとしては標準かもしれませんが クリスティの好きな作品のひとつです。
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リゾート地で療養していたミス・マープル。そこで殺人事件が起きて。アガサ・クリスティーはミステリのトリックや設定もさることながら、魅力的な人物を創造するのがとても上手だ。
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療養のためセント・メアリ・ミード村を離れて遥か彼方の西インド諸島を訪れたミス・マープル。
そこは最早リゾートだからセント・メアリ・ミードのような人間関係は生じないかと思いきや、裕福な人間たちが限られた空間に集うわけだから根本的な人間模様は変わらない
つまり噂も憶測も飛び交うお喋りの坩堝と化すわけだ
ゴールデン・パーム・ホテルにてお喋りの代名詞となっている人物がパルグレイヴ少佐だね
ミステリにおいて、口が軽い人間が殺される率は高いものだけど、彼もその例に漏れず
ただ、この場合に厄介だったのは彼があまりにお喋りだったせいで皆が彼のお喋りを話半分にしか聞いていなかった事か
誰も彼もまともに聞いてないのに、パルグレイヴ少佐はお喋りのせいで殺されてしまった
マープルは人との会話からその人柄を読み取るのが得意なタイプだけど、肝心な人物の話が曖昧なものだから推理も上手く進まないという点が今回の事件の特徴かな
また、もう一つの特徴を上げるなら、マープルの助手役となった人物が風変わりと云うか驚きの人物であった点だろうか
マープルは療養に来るくらいには体の自由が効かない状態。おまけにポアロのように名探偵を名乗っているわけでもないから警察を自由に動かせもしない
だから彼女の代わりに動いたり、考えを補佐する人物が必要となるわけだけど、まさかあの人物がマープルの助けになるとは思わなんだ
マープルの推理力に感激し協力的になる人物は数あれど、あのような姿勢から協力的になった人物はかなり珍しいんじゃなかろうか?
あと、特徴と言える程のものではないけど、あとがきで言及されているように、本作はマープルの柔軟な姿勢が目立って居るね
ゴールデン・パーム・ホテルでは知り合いがいるわけでもなく、むしろ彼女と年の離れた人物ばかり。夕食時にはスチール・バンドが鳴り響くなど彼女向けの環境とは言い難い
それでもマープルはその環境を楽しもうと自分の言い分を他所において、全く異なる生き方をする人物の話に耳を傾けるし、スチール・バンドも好きになろうと努力する
そういった控えめな積極性が噂をかき集めなければ真実に到達できない事件の解決へ近づく助けとなっていると読み終わると判るね
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いいねぇ、この不穏な空気のリゾート地!
定番のクリスティーって感じです。
私はポアロ派なのですが
読んだらやっぱりマープルもおもしろい。
捜査権がない老婦人だから
より「聞き込み」重視になるわけね。
被害者の視線の先に殺人者が…って
それなりに推理して読んだけど
見事に手のひらで踊らされました。
どのカップルもそれぞれ怪しいんだもん。
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ミス・マープルもの。
転地療養の為、西インド諸島のホテルに滞在中のミス・マープル。ある日、同じホテルの滞在客の少佐が死体となって発見されます。
高血圧による死亡として処理されますが、マープルさんはその死を不審に思い、独自に調査を始めます。
ホテルの経営者夫婦や、滞在客たちとの会話から、複雑な人間模様も浮かび上がってきて、もう何が何だか・・・という感じですが、それでも先が気になるのでページを繰る手を止められない私です。
いつものイギリスにいる時とはマープルさんも勝手が違っていたようですが、大金持ちで偏屈なラフィール爺さんがマープルさんの良い聞き手となった事もあり、見事に真相にたどり着くのは毎回ながら感心してしまいます。
因みに、今回舞台となった“西インド諸島”は、お馴染みの南アジアのインドではなく、南北アメリカ大陸に挟まれたカリブ海域にある群島です。カリブ海の島でリゾート療養なんて羨ましいですね。
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言わずと知れたアガサ・クリスティのマープルシリーズ。
カリブ海が舞台の作品です。
転地療養のためにカリブ海の宿に滞在中のミス・マープル。
仲良くなった少佐の突然の死に疑念を抱き、事件に関わっていきます。
ミス・マープルの捜査には派手なところはなく、ひたすら関係者とのやり取りが描かれるため、どうやって真相にたどり着くのか、最後のほうまでよくわかりません。
しかし、最後になってミス・マープルが見聞きしたことがつながってくるのがさすが!という感じ。
個人的には、いつものセント・メアリ・ミード村やイギリスのどこかが舞台の作品のほうが生活感があって好きですが、夏休みシーズンということで、ちょっとそれらしい雰囲気のこちらの作品を読んでみました。
シリーズ物は順番に読んでいくのが基本ではありますが、気分や季節で、「今だ!」というときに読むと、物語により入り込んで読める気がします。
◇おすすめポイント
・いつものマープルシリーズとは違う雰囲気を楽しめる
・ミス・マープルと一緒に推理を楽しめる
・大人の女性の落ち着いた態度を学べる
◇こんな方におすすめ!
・ミス・マープルが好き
・カリブ海でのんびり療養したい
・夏休みである
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西インド諸島で療養中のミス・マープル。殺人犯を知っているという昔話に興じていた少佐が翌日に死体となって発見される。ホテルのオーナー夫妻、使用人、様々な旅行客。旅先で出会った人の本当の顔は知る由もない、数々の噂話も嘘か本当かわからない、そんな状況でマープルは何を信じて真相を解明するのか。
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ミス・マープルシリーズ。
登場人物の夫婦が何組もいて、誰が誰なのかわからないまま読み進んだ。集中して読んでなかったのかもしれない。最後まで犯人がわからなかった。
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マープルさんってこんなに行動的だったっけ?って思った一冊でした。最初のうちはレイモンドのことを思い周りの人の話を聞いて、リゾート地は有り難いけど退屈と思ったりするいつものマープルさんだったんですが、殺人がおきてから誰かを見張ったり、事件について話す相手の横に立ってこそっと告げ口したり、生き生きして見えました。慣れてない土地、知らない人々が原因でしょうか。
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マープルが甥のレイモンドの計らいで、セント・メアリー・ミードを離れて、カリブ海のリゾート地で静養している際に遭遇した三人の死亡事件。マープルは、最初に死亡したパルグレイヴ少佐の死に不審を抱き、マープルの「たったひとつの武器」である会話によって、真相を究明しようとする。
三組の微妙な関係の夫婦や、頑固老人と従順な秘書といい加減な世話係の組み合わせなど、多彩な人物を登場させ、物語を進行させていく手腕は作者の真骨頂であり、見所である。今回は特に、パルグレイヴ少佐がマープルに見せようとした写真に写っていたのが誰であったのか、パルグレイヴ少佐がその人物がいることに気づいて写真を引っ込めた相手は誰なのか、ということに焦点が当てられている。「犯行をうまくやってのけると同じ犯行が繰り返される」ということと、「人間は人の話をいとも簡単に信じてしまう」ということが、うまく真相に活かされている。
マープルはある人物との会話からヒントを得て、ある事柄に気づき、犯人が誰であるかを知るのだが、正直、犯人を特定する決め手としては弱い。これといったトリックが使われているわけでもないし、アリバイも問題になっておらず、ミステリ―としてはやや物足りなさを感じる。
Posted by ブクログ
ミス・マープルシリーズの長編9作目。
マープルは甥・レイモンドの計らいで、西インド諸島にあるリゾートホテルに療養に来ていた。そこで出会った少佐から、ある殺人事件の容疑者が写った写真を見せられようとするが、直前で少佐は思い留まり話題を変えた。翌日、その少佐が遺体となって発見される。死因は持病の薬の飲過ぎと診断されるが、腑に落ちないマープルは情報収集を開始する。
如何にも怪しい夫婦や富豪が登場するリゾート地。どちらかと言えばポワロが得意とする舞台に思えるが、マープルも老体に鞭打って活躍する。犯人の意外性はあるが、周辺人物や状況が都合の良い立ち回りをしていると感じたため★3。