あらすじ
モダン・ホラーを生み出したスティーヴン・キングのデビュー第2作。
恐怖の帝王のすべてはここから始まった。伝説の名作が装いを新たに復活!
「友達にも恋人にもならない。死と恐怖の王たる吸血鬼。その偉大なる碑」――小野不由美
セイラムズ・ロットの町に不吉な事件が頻発しはじめた。相次ぐ不審な死、そして甦る死者。ベンと仲間たちは丘の上の屋敷に潜む謎に迫るが、忌まわしいものの魔手が彼らに……。静かに降り積もってきた恐怖がついに怒濤となって爆発する! これぞ恐怖の帝王の本領発揮。読む者の呼吸を奪うクライマックスへ。
デビュー長編『キャリー』を刊行し、ベストセラー作家となったキングが、専業作家として初めて書き上げた作品が本書。吸血鬼譚を現代に甦らせ、現代ホラーに巨大な影響を及ぼした。「モダン・ホラー」を生み出した普及の名作。
解説・風間賢二
※この電子書籍は2011年11月に集英社文庫より刊行のものを、文春文庫より刊行した新装版の文庫を底本としています。
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舞台設定や人物相関の深堀りから一転、不吉な事件を経て町に現れる甦る死者達と立ち向かう主人公達の構図が徹頭徹尾恐怖を掻き立て、滅び行く町の姿と相まって面白さが加速していく、まさに『恐怖の帝王の本領発揮』の名に恥じない名作だった。
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小野不由美さんの『屍鬼』を読んでから、ずっと読みたかった『呪われた町』、とても面白かった。一つの町がじわじわと滅亡に向かって進んでいくのが怖く感じました。
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キングは何冊か読んでますが、長編ではこれが一番お気に入りになりました。
だいたいキングの長編は前半にためにためたエネルギーを後半に向けて開放するジェットコースターみたいな構造になってますが、今作ではそのジェットコースターが本当に底知れず、どこまでいっても止まりそうにない恐怖感が本当に素晴らしかったです。
モダンホラーの定義は諸説あると思いますが「隣に越して来た人が何者なのかわからない」というのも一つの要素だと思います。今回は吸血鬼伝説をどうモダンホラーにするか。ゴシックホラーからモダンホラーへの飛躍をどうするかということだと思いますが、このハードルも見事に飛越していたと思います。
そして、この作品の本当に怖いところは、町の人間がいつの間にか消えても、誰も関心を持たない「無関心」そのものが恐怖の元凶なんじゃないかなと感じました。
また、キング作品はどこかしらキングの分身が作中にいることが多いように思うのですが、今作は主人公のベンは小説家だし、マーク・ペトリ―はオカルト好きの少年、高校教師のマットもキングの前職と、3人もキングの分身が活躍していて、大変お得です(?)
いかんせん、邦題がちょっとダサいかな~という気が笑 一応「盗まれた街」のモジりにもなっているそうですが。。
Posted by ブクログ
上巻の前半くらいまでは町の人々の描写に多くを費やされるが、下巻は一気に物語が動く。いち早く不審死の原因に気づいた主人公たちはチームで敵に挑もうとするが…。登場人物が多いのに巧みな構成で上手く捌いている。終盤に向けて物語が尻上がりに盛り上がっていくのもうまい。
Posted by ブクログ
もしアメリカのスモールタウンに吸血鬼が現れたら…?というアイデアから生まれた作品。
田舎の人間関係が丁寧に描かれていて、
かつ丁寧に生活が壊されていく様子がリアル。
でも吸血鬼伝説に準えたファンタジー的な対処法が
実際に効いてるのが対照的で面白い。
登場人物も魅力的で良かった。
そして、書評が最高に面白かった。
サバイバル映画だと思って見たら
苦手なゾンビ出てきて、夜寝れなくなった
「アイ・アム・レジェンド」に実は原作があって、
本当は吸血鬼もので50年前以上に刊行されてて、
キングの呪われた町に影響を与えていたと、、、
知ってるものがリンクする感覚たまらん、、
Posted by ブクログ
下巻の展開が面白くて上巻の3倍のスピードで読めた。
上巻でワクワクさせて下巻で一気に読ませる。物語は下巻で一気に進む。
上巻の感想にも書いたが、ぜひ上巻で読むのを諦めないでほしい。
ホラー作家らしく展開に容赦はない。
上巻で登場した魅力的な人物も、結構バタバタと死んでいく。
一つの町が死んでいく様子を描いた作品。
ある邪悪な存在によって町が滅ぼされようとしている状況について、さまざまな価値観の人の、いろいろな考え方がある。
医者なら、「急に貧血で死ぬ人が増えた」ことや
警察官なら「行方不明者が急増している」「死体が消えてしまう」、
町の少年は「夜な夜な行方不明になった友達が家を訪ねてくる…」
そして、過去に不吉な事件が起こった屋敷では、新たな住人が生活し始めている。
町に何か異変が起こっている兆候はあり、状況証拠はこんなにも揃っているのに、
人々が口を揃えるのは「でも、そんなこと信じられない」ということ。
自分の理解を越えた状況について「常識的にありえない」と言って、その情報を断絶することの愚かさ。しかし、心のどこかで、もしかして…と怯えている人間の弱さを上手く描いている作品だと思う。
また、古典のドラキュラを思わせる小道具や背景、ドラキュラの性質なども
現代に吸血鬼が居たら、こんな感じなんだろうなとにやりとする。
プロットを作り込まず、奇異な状況に魅力的な登場人物をぶっ込んで勝手に動き回らせることで作品を作るというキングだけど、初期の作品だからか、この作品はきちんと最初からオチを想定して作っているような気がした。
まとめると、とても面白かった。
この作品を読んで小野不由美さんが「屍鬼」という作品を書いているので、そちらも機会があれば読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
面白かった。
マークが聡明すぎるし、出来すぎる。子供に頼りすぎでは?と思ったが戦力が乏しいので仕方ないし、マークが頼れるキャラだったしで、話が進んだ。
吸血鬼に支配されると、恍惚とした状態になる描写が面白かった。クレイジーだ。
異変に対して、どう説明するかで、信じてもらいたいのに取り合ってもらえないというもどかしさはあったけど、今までそういうの散々見てきたおかげで苛立ちはしなかったし、医者のジニーさ結構すんなり仲間になってくれたので良かった。
『屍鬼』で見たなこれ、とか、『アンダー・ザ・ドーム』でもあったなこれ、という既視感があり楽しめた。
話の進め方というか仲間の増え方は「ミスト」を思い出した。
キングはこれくらいのグループを書くのがうまいなと思う。
最後は火事で〆るのがすごく良かった。そういや火事あったなあって思い出した。
大本のバーローを倒してもが吸血鬼は消えないんだな。それは残念だった。
キャラハン神父はまさかやられるとは思わなかった。神父がやられるという絶望感すごい。
保安官も逃げちゃうし。
1975年か~。
現代なら軍隊呼べるかなあ?吸血鬼をテロリストだとして。まあ、そういう話じゃないよな。
『盗まれた街』はまだ読んだこと無いので読まねばという気持ちになった。
これを越える吸血鬼作品 教えて
本作を読んだのは2回目 最初は紙の文庫本だった 映像作を見てから読んだ 何年前だったか覚えていない そのあと吸血鬼物に興味が出て 何冊か読んだけど 結局最後まで読んだ物はなかった 呪われた町を越えないから 途中で飽きてしまう 電子書籍で再度読んでみた 難なく最後まで読んだ
Posted by ブクログ
前半の長い町と人の描写が終わってからは、人間vs.吸血鬼の戦い。後半はあっという間でした。
理由はなく、ただそこに在る邪悪と善の戦い。キングのテーマですね。
人間が屈するのか、作品により違うのでどうなるかと思いましたが物語の導入にそう繋がるのか!というラストでした
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少ない味方、荒唐無稽な内容は「こうだ!」と大声で言えば信じてくれる物でもない。悪くすれば自分たちが逮捕されるかもしれない。
それでも立ち向かうと決めた彼らは細く微かな道をたどる。もういいよ、諦めて手を引いても誰も知らないから。そこまでしなくてもいい…
ああ それでもそのことを自分だけは知っている。
自分だけは
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屍鬼で話の流れは知ってたからそこまで怖くはなかったけど、知っててもなお続きが気になる面白さだったし神父がやられる展開絶望感すごい…^^;
暗くなってから外出歩くもんじゃないね。
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初期のキングの名作なのでとりあえず読破。とはいえ、2000年以降のゆるい作品から入りハマっていった身としては、初期の純文学を目指すようなレトリックの多い文体は少々疲れてしまう。もちろんそれこそがキング印だし好みの問題だけど初期は濃密なのだ。それに加え、本作は脇の人物名が本当に多くいちいち立ち止まってしまった。私は集英社版で読んだけど、登場人物はあの倍は記載してほしかった。とはいえ、この冷徹な物語はまったく古びていない。それは凄い。
Posted by ブクログ
夏はホラーと意気込んで読み始めるものの、少し違うと下巻始まって直ぐに気になっていく。著書の世界観これも読書の醍醐味なのかと自分に言い聞かせながら読み進めるが、物語が進むにつれて「不完全燃焼」が溜まっていく。勿論自分の好み通りに進んでいくのが決して良いとは思わない!ある意味読書の醍醐味は自分の想いに対するある種の裏切り⁉︎「そうきたか!」とか「やっぱりこうなった!」という様なところに面白味が増してくる、それは必ずしも自分の想い通りにならないから楽しめる、(勿論これが全てでは無い)
しかし著書においては、意識的に不完全燃焼が溜まっていく構成?作風?なのかと最後は納得。物語での昔の大火災と終盤で起ころうとする大火災は、歴史は繰り返される、我々現代社会が迎えるかもしれな滅びの警鐘であるのか?と深読みしてしまうのも不完全燃焼のモヤモヤとした想いの蓄積?これはこれで有りなのだと自己完結する