海外小説作品一覧

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  • 黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集I ゴシック編―
    3.5
    詩人であり、批評家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシック等々と広いジャンルに不滅の作品の数々を残したポー。だがその人生といえば、愛妻を病で失い、酒と麻薬に浸り、文学的評価も受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた――。孤高の作家の昏い魂を写したかのようなゴシック色の強い作品を中心に、代表作中の代表作6編を新訳で収録。生誕200年記念。
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    3.9
    私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー……。'80年代アメリカ文学の代表的作品!(解説・伊井直行/三浦雅士)
  • 猿の惑星:聖戦記〈グレート・ウォー〉
    値引きあり
    -
    あなたは、 最後を見届ける 最初の人類になる。 猿の本能と人間の心を併せ持つシーザーが 愛する仲間のために下した最後の決断とは? この秋、最大の話題作を完全小説化! 『猿の惑星:聖戦記〈グレート・ウォー〉』2017年10月13日(金)より全国ロードショー! 進化は彼らを選んだ。これは人類への警鐘 なぜ人類の文明はもろくも崩壊し、 人間は猿に支配されたのか?──猿の惑星 創世記〈ジェネシス〉 心も、進化した。共存か、それとも決戦か。 壮大なる〈起源〉から、想像を絶する〈新世紀〉へ 猿と人類の存亡を懸けた大いなる決断────猿の惑星 新世記〈ライジング〉 そして、今──〈聖戦=グレート・ウォー〉の幕が上がる。 ★ついに地球の新たな支配者が決するクライマックスへ! ★ 〈あらすじ〉ウイルスによる突然変異によって高度な知能を得た猿たちの反乱、人類が築き上げた文明社会の崩壊、猿と人類の戦争の勃発──猿と人類が全面戦争になだれ込んでから2年が経った。猿の群れを率いて森の奥深くに秘密の砦を築き上げたシーザーが、冷酷非情な大佐の奇襲によって家族を殺され、悲しみのどん底に突き落とされる。大勢の仲間を新たな隠れ場所へ向かわせ、復讐の旅に出たシーザーは、その道中に口のきけない人間の少女ノバと出会う。やがて大佐のアジトである巨大要塞にたどり着くシーザーだったが、復讐の念に取り憑かれて我を見失った彼は、猿の存亡さえも脅かされる絶体絶命の危機を招いてしまう……。
  • 眠れる森の美女―シャルル・ペロー童話集―
    4.4
    仙女の呪いで百年の眠りについた美しい王女――。王子様のお迎えで目覚めたのちの恐怖を描いた表題作のほか、赤頭巾ちゃん、長靴をはいた猫、親指小僧からシンデレラまで。あの懐かしい童話が新鮮な翻訳と美しく読みやすい活字、繊細な挿絵とともに甦りました。不思議でロマンチックで楽しい。そしてちょっとだけグロテスクで残酷……。そんなペローの童話の世界へ、ようこそ!
  • 老人と海
    3.6
    キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく……。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
  • 孤独な散歩者の夢想
    4.0
    十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。――自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。
  • 人間ぎらい
    3.8
    主人公のアルセストは世間知らずの純真な青年貴族であり、虚偽に満ちた社交界に激しい憤りさえいだいているが、皮肉にも彼は社交界の悪風に染まったコケットな未亡人、セリメーヌを恋してしまう――。誠実であろうとするがゆえに俗世間との調和を失い、恋にも破れて人間ぎらいになってゆくアルセストの悲劇を、涙と笑いの中に描いた、作者の性格喜劇の随一とされる傑作。
  • お気に召すまま
    3.8
    弟に領地を奪われた侯爵は、アーデンの森に移り住んでいる。侯爵の娘ロザリンドは、叔父の娘シーリアと大の仲良しのため邸内にとどまっていたが、ついに追放される。男装したロザリンドは、シーリアとともに森に向ったが、一方、侯爵の功臣の遺子オーランドーも、兄の迫害を逃れて森にやって来る……。幾組もの恋人たちが織りなすさまざまな恋を、明るい牧歌的雰囲気の中に描く。
  • アントニーとクレオパトラ
    3.6
    シーザー亡き後、ローマ帝国独裁の野望を秘めるアントニーはエジプトの女王クレオパトラと恋におちる。妖女の意のままになったアントニーはオクテイヴィアスとの大海戦に敗れ、クレオパトラ自殺の虚報を信じて自殺する……。多様な事件と頻繁な場面転換を用い、アントニーとクレオパトラの情熱と欲情を描いて四大悲劇と並び称される名作である。
  • ホーリー・カウ
    値引きあり
    -
    『Xファイル』主演俳優、衝撃の小説処女作。  主人公はなんと、お年頃の雌牛!農場で平和に暮らしていた彼女が、やがて訪れる自分の運命を知り、意気投合した豚・七面鳥とともにそれぞれの楽園を目指して国外脱出へ。果たして彼らは理想郷へとたどり着けるのか!?  一見お気楽&荒唐無稽、実は社会への風刺と皮肉がたっぷり。2016年にはアメリカで新シリーズの放映が開始した超人気SFドラマ『Xファイル』のモルダー捜査官の、意外すぎる小説家デビュー作!
  • 罪
    値引きあり

    4.5
    謎の女に追いつめられる男が行き着いた恐怖。 経理係の横領で2000万円もの負債を抱えたペーターは、ある日奇妙な事件に巻き込まれる。見知らぬ女から強引にある会社社長に届け物を頼まれるのだが、中身は足の親指。借金返済を約束されて探偵役を引き受けたペーターだが、いつしか女が仕掛けた巧妙な罠にはまっていた……。  緊迫の追跡劇を描きながら、心の痛みを抱える主人公の内奥を克明に書き込む厚みのある物語。『喪失』で話題を呼んだ北欧ミステリー界の女王、鮮烈のデビュー作!
  • ザ・プレデター
    値引きあり
    -
    一番強いヤツは、どこだ。 少年が呼び寄せてしまったのは、宇宙最強のハンターだった――。 最強の戦闘種族=プレデターが、銀河の彼方からやって来る。 話題の映画を完全小説化! ★2018年9月14日(金)全国ロードショー! 何世紀にもわたって、地球には“ハンター”が訪れていた。 彼らの目的は、人間の最高の戦士と戦うこと。 その目的は不明だが、この“ハンター”は獲物を殺すと、痕跡を残さず跡形もなく消えていった。 少年は知らなかった。 彼が起動した装置が、宇宙でも最も危険なハンターを呼び寄せていたことを――。 それは人類の終焉なのか? 阻止できるのは、元軍人と科学の女性教師だけだった…… 地球外、最強。完全進化した“伝説”が降ってくる。 〈あらすじ〉一人の少年が起動させてしまった謎の装置。そこから発信されたのは宇宙で最も危険なハンターを呼び寄せる、人類にとって最悪のシグナルだった。かつて、人類を恐怖のどん底に突き落とした一人の異星人。比類なき格闘センスと圧倒的キル・スキル、そして侍を彷彿とさせる武士道を持ち合わせた超好戦的ハンター、その名は“プレデター”。ヤツが、より強く、賢く、他の種のDNAを利用して遺伝子レベルでアップグレードして再び我々の前に姿を現す! 絶滅必至の人類に果たして生き残る道はあるのか…? そして突如現れた[究極(ルビ:アルティメット)のプレデター]の正体とは? 映画『ザ・プレデター』 監督・脚本:シェーン・ブラック 脚本:フレッド・デッカー 出演:ボイド・ホルブルック、トレヴァンテ・ローズ、オリヴィア・マン、トーマス・ジェーン、キーガン=マイケル・キー、ジェイコブ・トレンブレイ 配給:20世紀フォックス映画 公開日:2018年9月14日(金)
  • 林檎の樹
    3.9
    銀婚式の日、妻と共に若い日の思い出の地を訪れた初老のアシャーストの胸に去来するものは、かつて月光を浴びて花咲く林檎の樹の下で愛を誓った、神秘的なまでに美しい、野性の乙女ミーガンのおもかげ、かえらぬ青春の日の悔いだった……。美しく花ひらいた林檎の樹(望んでも到達することはできない理想郷)の眩ゆさを、哀愁をこめて甘美に奏でたロマンの香り高い作品。
  • 未完の告白
    3.4
    「どこを通るかはほとんど問題ではない。ただどこへ向って行くかが問題である」という信念をもって、人生に大胆にのりだしていく少女ジュヌヴィエーブの手記という形をとり、単に自由を希うだけではなく、積極的にそれを奪いとろうとする少女の姿を通して、虚偽的なもの、圧倒的なもの、因襲的なものに対する反抗を描いた作品。思想的激動期に書かれたため未完のままで発表された。
  • キングコング 髑髏島の巨神
    値引きあり
    4.0
    『GODZILLA ゴジラ』の製作チームが贈る、 最凶・最強・最恐──最大の王 究極のモンスター降臨! 南太平洋のどこか──神秘の島〈髑髏島〉 しかし、そこは──人類立入禁止 怪物だらけのこの島では 人類は虫けらにしか過ぎない 命を賭けて脱出せよ! 『キングコング 髑髏島の巨神』 2017年3月25日より、丸の内ピカデリー・新宿ピカデリーほか全国ロードショー 〈あらすじ〉コングが王者(キング)になる──誰も知らない物語。 それは簡単な任務のはずだった…。侵略地拡大のため、調査遠征隊が謎の島に潜入する。しかし、そこは人が決して足を踏み入れてはならない島──髑髏(ドクロ)島だった。爆弾を落とし、気軽に調査を開始した隊員たちの前に突如として姿を現す、島の巨大なる守護神“コング”。巨神の圧倒的なパワーの前に唖然とする隊員たち。骸骨が散らばる島の岩壁には血塗られた巨大な手の痕跡までもが…。だが、悪夢はそれだけではなかった。彼らの前には、謎の巨獣たちが次々と現れる。逃げても、隠れても、容赦なく襲いかかる巨獣たちを目の前に人間は虫ケラに過ぎず為す術もない……。絶体絶命、待ったなしの猛襲が続く中、やがて明らかになる髑髏島の秘密──。果たして、コングは人類にとって悪魔なのか、神なる存在なのか──。人類は生きて、この島から脱出できるのか──。
  • ウィーンの辻音楽師
    -
    ウィーンの祭で私はヴァイオリンを演奏するみすぼらしい老人に出会い、生い立ちを聞き出すことに…流しの芸人や作曲家のシューベルトなどに触発されて書かれたとみられるこの作品は、それら外面的な装いを借りて、内面的な自画像を描き、自己告白的な作品となった。同時に、本作は滅び行くウィーンへの挽歌でもあった。あわせて不倫の恋の行く末を描いた「ゼンドミールの僧院」を収めたが、こちらではグリルパルツァーの劇作家としての本領がうかがいしれる。
  • エンパイア・スター
    -
    独創的な展開とリズムにこだわるニュー・ウェーブSFの旗手であり、アメリカ黒人思索小説の先覚者の、初期の代表作。『エンパイア・スター』は少年が銀河文明の中心に向けた旅において、無知なるシンプレックスからマルチプレックスへと成長していく過程を言葉の魔術を駆使してつづっている。この作品に登場する「マルチプレックス」という考えは、多面的な世界を包むとともに、作品そのものを多面的に読むことを示唆する。「本格派、気楽な読者、文学的ファン、ニューウェーブ派…彼はすべての読者にとってすべてのものだ」これはジュディス・メリルの言葉だ。
  • 点子ちゃんとアントン
    -
    点子ちゃんはベルリンに暮らす小学生、幼いときすごく小さかったので点子ちゃんというあだ名がついた。家は裕福だが、両親は点子ちゃんをほったらかにして、世話は養育係にまかせている。アントンは男の子の友達だが、病気がちの母親との二人暮らし、そのためアントンは家事までこなして、街角でひそかに靴ひもを売っている。この二人を中心に、学校で、家庭で、街角で起こるさまざまな出来事に、点子ちゃんの家の家政婦、飼い犬、学校の先生らが試行錯誤の大奮闘。さまざまな困難を乗り越えていく。
  • 動物会議
    -
    主人公は動物たち。いつまでたっても戦争をやめない人間たちを嘆き、「子どもたちのために」大会議を開く。刊行されたのは、第二次世界大戦後の1949年。動物たちは世界中にすむ仲間に向かって参加を呼びかけ、ありとあらゆる動物たちが「動物ビル」に集まり、人間に対する要求をまとめあげる。これは人間に拒否されるが、動物たちは地上からすべての子供たちを隠してしまうという行動にでる。人間はついに折れて、国家の代表たちは恒久平和を実現するための条約に署名する。本書には、この作品のあとに、2編の教訓詩を収録した。
  • 五月三十五日
    -
    タイトルの日付は存在しないので、「何が起きてもおかしくない日」という意味だ。学校で行ったこともない「南洋」についての作文を書かされることになったコンラート少年は、35日の木曜日に、学校に迎えに来てくれた叔父さんに相談した。すると叔父さんは名案を考えついた。二人はローラースケートをはいた言葉のわかる黒馬に乗って、「南洋」をめざす。「なまけものの国」「過去の国」「さかさの国」「電気の国」などの珍しい国をめぐったあと、コンラートはぶじ宿題を書き上げることができたのだろうか。
  • 飛ぶ教室
    -
    「飛ぶ教室」とはそもそもなにか。これは作品中で、生徒たちがクリスマスに演じる予定の劇の題名だ。ドイツの寄宿学校(ギムナジウム)で、五人の少年たちが織りなすクリスマス前の数日間の物語。実業高校生たちとの決闘、上級生との確執、友情で結ばれながらもそれぞれが抱える悩みの数々。信頼できる大人「正義さん」「禁煙さん」がよりそい、涙と笑いが交錯する。物語の象徴としてクリスマス劇「飛ぶ教室」が登場するが、はたして劇の結果は? 「五年生」と呼ばれるジョニーやマルティンたちは、日本でいう中学三年生にあたる。ワルター・トリアーの表紙絵と挿絵入り。
  • 一杯の珈琲から
    -
    夏をオーストリアのザルツブルクで過ごそうと、ゲオルクは国境をはさんで目と鼻の先にあるドイツの町に宿をとった。為替管理のからくりで、毎日オーストリアに無一文で行っては友人にたかり、夜になるとドイツ側に帰ってきて豪遊するという喜劇的な生活を送ることができた。ところがある日、待ち合わせたカフェに友人がやってこない。コーヒー代が払えなくてどうしようかと思っていると、カフェにいた美女が立て替えてくれて、しかもその美女(実は伯爵令嬢)と恋におちた!「消え失せた密画」「雪の中の三人男」につづくケストナーのユーモア三部作。
  • 林檎の樹(新潮文庫)
    4.0
    徒歩旅行の途中、果樹園のある農場に宿を求めたロンドンの学生アシャースト。彼はそこに暮らす可憐な少女、ミーガンに心を奪われる。月の夜、白い花を咲かせる林檎の樹の下でお互いの愛を確かめ合った二人は、結婚の約束をする。だが旅立ちの準備で町へ出たアシャーストを待っていた運命は――。自然の美と神秘、恋の陶酔と歓び、そして青春の残酷さが流麗な文章で綴られる永遠のラブストーリー。
  • ピーター・パンの冒険(新潮文庫)
    3.0
    半分が鳥、半分が人間の赤ん坊で、生まれてから1週間で成長することをやめたピーターは、家の窓から飛び出して不思議な冒険に出かける。ロンドンのケンジントン公園を舞台に、凧のしっぽにぶら下がってゆらゆら、ツグミの巣のボートで池を横断し、妖精たちの舞踏会に現れて人気者になる。子供だけが見ることができる妖精と少年少女が繰り広げるロマンティックで幻想的な物語、新訳で復活!
  • グレートウォール
    値引きあり
    -
    製作費150億円をかけた歴史ファンタジー超大作! 人類史上最大の建造物 「万里の長城」が 造られた目的がついに明かされる。 建造年数1700年、 総延長21196.18キロメートル 万里の長城は多くの危機を防いできたが、 その歴史には伝説と史実が混在している。 これはその“伝説”のひとつである──。 映画『グレートウォール』(配給:東宝東和) 2017年4月14日(金)より、全国ロードショー! 主演:マット・デイモン 監督:チャン・イーモウ 万里の長城には、我々が知らない秘密がある。 〈あらすじ〉金と名声のため中国に赴いた傭兵ウィリアムとトバールは、砂漠地帯で馬賊の襲撃を受けて多くの仲間を失い、ようやく辿り着いた万里の長城で禁軍に投降する。長城ではすでに完全武装した大軍団が、敵を迎え撃つべく臨戦態勢に入っていた。やがて、長城各所から敵の襲来を知らせる狼煙が一斉に上がると、巨大な響きとともに、遙か山々の向こうから、何千、何万もの未知の大群が長城めがけて怒濤のごとく押し寄せてきた。それは60年に一度現れるといわれる伝説の怪物“饕餮(とうてつ)”の群れだった。ウィリアムとトバールは信じられない光景に目を疑いながらも、人類VS饕餮の壮絶な戦争に否応なしに巻き込まれていく……。
  • チップス先生、さようなら
    4.0
    霧深い夕暮れ、煖炉の前に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド校での六十余年の楽しい思い出が去来する――。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な毎日、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊迫した明け暮れ……。厳格な反面、ユーモアに満ちた英国人気質の愛すべき老教師と、イギリスの代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶賛された不朽の名作。
  • 光あるうち光の中を歩め
    3.7
    欲望や野心、功名心などの渦巻く俗世間にどっぷりつかっている豪商ユリウスと、古代キリスト教の世界に生きるパンフィリウス。ユリウスは何度かキリスト教の世界に走ろうと志しながらも、そのたびに俗世間に舞いもどるが、しかし、長い魂の彷徨の末についに神の道に入る。──福音書に伝えられているキリストの教えに従って生きよと説いた晩年のトルストイの思想を端的に示す。
  • チェーホフの手帖
    -
    「手帖」は、チェーホフの円熟期に当る一八九二年から一九〇四年まで、また「日記」は、一八九六年から一九〇三年まで、そして「題材・断想・覚書・断片」も、ほとんど同時期のもの。いずれも幾多の名作を、その背景に持っており、生の小さな出来事や、生のありのままの姿を具体的に捉え、具体的に表現することを信条とする巨匠の、楽屋裏ともいうべき、整然と丹念な私録である。
  • 女学者・気で病む男
    -
    「女学者」は十七世紀フランス古典劇の代表的作家モリエール後期の傑作。上流サロンで教養を鼻にかける、とりすました女たちの姿を槍玉にあげ、縦横に諷刺したこの作品が上演されると、社交界の男女は色を失ったという。「気で病む男」は巨匠最後の作品。憂鬱症にとらわれた男の独り合点が引起す喜劇のうちに、医学と医者を諷刺しており、巨匠一流の壮健な笑いの総決算ともいえる。
  • 愛について
    5.0
    デンマークの宗教思想家キルケゴールの言う“愛”とは、神の愛への人間の壮烈な登攀であり、換言すれば、キリストによって具現された犠牲愛の極致を目ざす遠征である。彼の要求する“愛”は、人間の不可能の限界に接している。本書は、近代の運命とも言うべき、不幸の中にあって清らかであるために苦しまねばならぬ多くの人々に捧げられた、永遠なる“愛の生命と摂理”の書。
  • ピエールとジャン
    -
    医者のピエールと弁護士のジャンは、性格はまるで違うが、いたって仲のよい兄弟である。ある日、ジャンにだけ思いがけない方面から遺産が送られてき、兄ピエールは、弟は果して誰の子なのか、愛する母には何か秘密があったのではないかと、深い疑惑をいだきはじめる……。典型的な心理研究の文学で、漱石もこの作品を讃嘆している。1888年作。ほかに「小説について」を併録する。
  • 息子と恋人(上)
    -
    中産階級の出身で教養のあるガアトルウドは、性的に魅力のある炭鉱夫モレルと結婚した。いつしか夫への愛もさめたモレル夫人にとって、美しい息子たちが彼女の恋人的存在となっていた。長男ウィリアムの突然の死に打ちのめされた母親を慰めるのは、絵の上手な16歳の次男ポオルだった。
  • 風流滑稽譚(一)
    -
    「人間喜劇」の作者バルザックとしての名声があまりにも偉大なため、彼の戯作は余技のように見られがちだが、これはバルザックの百以上にものぼる作品のうち、いわゆる好色文学のレッテルを付されながら、天衣無縫の芸術作品と真に称しうるものの一つである。1832~1837年刊。「美姫インペリア」「仮初の咎」「王の愛妾」「悪魔の後嗣」「路易十一世瓢逸記」「大元帥夫人」「箱入娘」「金鉄の友」「衣手の風流」「当意即妙」の10篇収録。
  • 十二夜
    -
    オリヴィアに片想い中のイリリア公爵オーシーノーは、サゼーリオーという小姓を雇ったが、実は彼はヴィオラという女性が男装した姿。ヴィオラは、公爵の想いを伝えるためにオリヴィアのもとへ遣わされたが、オリヴィアはヴィオラに一目ぼれしたからさあ大変。おまけにヴィオラは密かに公爵に想いを寄せ……シェイクスピアお得意の、ヒネリの利いた、恋にまつわる喜劇。
  • ヘンリー四世 第一部
    -
    十五世紀初頭のヘンリー四世統治下、パーシー一族らによる反乱に対し、放埓な生活を送っていた王子ハルは、シュルーズベリーの戦いで王の危機を救い、反乱軍の主ホットスパーを倒す。この主筋に対して脇役でありながら、この作品の人気を支えてきたのが騎士ジョン・フォールスタフである。臆病、卑劣、狡猾、見え坊、破廉恥、好色、貪欲といったありとあらゆる悪徳を身に付けた不思議な人間像は、作品の枠を超えて観客を魅了してきた。
  • マクベス
    3.5
    かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と激しく意志的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクベスは、その王位を失うことへの不安から次々と血に染まった手で罪を重ねていく……。シェイクスピア四大悲劇中でも最も密度の高い凝集力をもつ作品である。
  • ヴェニスの商人
    3.8
    ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は 嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだが――。機知に富んだ胸のすく大逆転劇が時代を越えてさわやかな感動をよぶ名作喜劇。
  • ニイルス・リイネ
    -
    1巻440円 (税込)
    イプセンやアンデルセンとともに知られるデンマークの作家ヤコブセンの代表作。愛とあこがれ、夢と希望に燃えて精一杯生きぬいたニイルス・リイネの心の遍歴を繊細華麗に描いて、リルケの絶賛を博した北欧文学の金字塔的作品。「北方の空に無比の美しい深い光をはなっている明星」と評する訳者山室静氏による推敲をかさねた名訳でおくる。

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  • 四つの署名
    3.8
    月刊誌連載の前に書かれた長編第2作。事件のない退屈をコカイン注射で紛らすホームズという、ショッキングな幕開けから、ホームズの語る“推理の科学”、そしてメアリ・モースタン嬢の持ち込む不思議な事件へと、物語は興味深い展開をみせる。ベイカー街不正規隊(イレギュラーズ)の活躍、依頼人に惚れてしまうワトスン、アグラの財宝にまつわる話など、面白み満載。
  • 漂泊の人(クヌルプ)
    -
    生まれながらの漂泊者クヌルプを主人公にした3つの物語(「早春」「クヌルプへの私の思い出」「終焉」)からなる散文詩的な作品。美と歓喜とをもとめて放浪するクヌルプは、世間的には変人であり、敗残者かもしれない。しかし、だれの心にもそうした念願は埋もれていて、ときにクヌルプはよき道づれにもなる存在でもある。

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  • 若きウェルテルの悩み
    4.0
    ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。

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  • 若き詩人への手紙・若き女性への手紙
    4.5
    「若き詩人への手紙」は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。「若き女性への手紙」は、教養に富む若き女性が長い苛酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。
  • クヌルプ
    4.0
    年上の娘への初恋が裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅職人となった彼は、まともな親方にはならなかったが、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の息苦しい生活に一脈の明るさとくつろぎをもたらす。最後に雪の中で倒れた彼に神さまはクヌルプは彼らしく生きたと語りかける……。永遠に流浪する芸術家の魂を描いた作品である。
  • 青春は美わし
    4.0
    何年ぶりかで家族の住む故郷に帰ってきた青年は、昔恋したことのある美しい少女に再会する。しかしその愛は実らず、その上、妹の友達への恋にも破れる。彼は孤独な、しかし清らかな思い出を胸に故郷を去って行く……。ふるさとを懐かしみながら放浪に心ひかれ、地道に生きようと願いながら浪漫的な憧れに駆られる青春の心を抒情性豊かに謳いあげた表題作。他に、「ラテン語学校生」。
  • 人形の家(新潮文庫)
    3.9
    小鳥のように愛され、平和な生活を送っている弁護士の妻ノラには秘密があった。夫が病気の時、父親の署名を偽造して借金をしたのだ。秘密を知った夫は社会的に葬られることを恐れ、ノラをののしる。事件は解決し、夫は再びノラの意を迎えようとするが、人形のように生きるより人間としていきたいと願うノラは三人の子供も捨てて家を出る。近代劇確立の礎石といわれる社会劇の傑作。
  • X-ファイル 2016 VOL.1
    値引きあり
    5.0
    伝説の超常現象サスペンス復活! 真実は「まだ」そこにある――。 異星人やUFOは本当に存在するのか――それとも政府の隠謀なのか? 13年の時を経て、モルダー&スカリーの真実の探求が再び始まる! モルダーとスカリーにもたらされた異星人誘拐事件の情報―― ふたりは懐疑的ながらもアブダクトされた女性を訪ね、これまで思いもしなかったある真実に気づかされる。 それは、世界を巻き込む壮大な事件の幕開けであり、二人と里子に出した息子に関わるものだった……。 ◎オリジナル・シリーズの独創的なストーリーをさらに発展させた新たなX-ファイル事件が始動! ◎UFO、エイリアン、拉致、未確認生物、都市伝説、神話など今なお愛されている人気のテーマ! ◎海外TVドラマ、科学捜査もの、男女バディものそしてUFO・宇宙人・超常現象・都市伝説ブームの原点となった人気シリーズの最新作。 ◎2015.7.2 Blu-ray & DVD発売/レンタル配信開始 〈収録エピソード〉 ■序章/第一章「闘争 前編」/第二章「変異」 〈あらすじ〉 THE TRUTH IS STILL OUT THERE モルダーとスカリーがFBIを去って10年以上が経った。しかし、かつての上司スキナー副長官が二人を呼び寄せる。異星人によるアブダクトと政府陰謀の関係を証明する新たな証人が現われたと告げられる。動画ニュースサイトを運営し自らキャスターを務める保守派の陰謀論者、タッド・オマリーがモルダーとスカリーに協力を求めたいというのだ。ふたりは彼の案内で、異星人に誘拐された経験を持つという女性、スヴェタを訪ねる。彼女の話を聴いたモルダーは、これまで思いもしなかったある“真実”に気づかされることになる。モルダーたちは再び真実を追い始める……。
  • 風車小屋便り
    -
    ドーデのすぐれた知的構成は、自然主義文学にあまり好意を示さなかった鴎外、漱石をして讃嘆せしめた。わけても彼の出世作たる「風車小屋便り」は、舞台を故郷南フランスの丘にとり、明るい太陽と地方色豊かな風物の中にくりひろげられる、純情素朴な人々の哀愁が、詩的風格と軽妙な筆で、慈しみの目をもちながらも鋭く記録された、珠玉のコント(掌篇)集である。1869年刊。
  • 昼顔
    4.7
    ケッセルはスラブ種の血をうけ南米に生れた現フランス文壇の第一人者。「昼顔」は作者三十一歳の作で、両次大戦の中間期、最も幸福な時代といわれた頃のパリを背景とし、仮借ない筆致で、貞淑な女性の娼婦性がもたらすことになった霊肉の惨劇を描破した力作であるが、淫猥、春本に類するとの批評に、作者は「健康体を究めるためには、病体を理解しなければならぬ」と答えている。
  • タイタス・アンドロニカス
    -
    ローマの帝位継承権を争う前皇帝の息子兄弟。そこにゴート人との戦いに勝利したタイタス・アンドロニカスが凱旋帰国し、市民の圧倒的支持により皇帝に推薦されるが…。男たちの野望に、愛情・復讐心・親子愛が入り乱れたとき、残虐のかぎりが尽くされる…。シェイクスピアの作品では異色の惨劇。
  • リチャード二世
    -
    わずか10歳で王位を継承したリチャード二世は、物心つくとほぼ同時に一大王族の長となり、我儘放題に甘やかされて育った。栄華を誇ったリチャード二世が従弟(のちのヘンリー四世)との政争に敗れて国王の座を追われ、暗殺者の手にかかって倒れるまでの転変の運命。シェイクスピアの性格描写の手腕が冴えわたる名作。
  • ロミオとジュリエット
    3.7
    モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャプレット家の舞踏会に仮面をつけて忍びこんだが、この家の一人娘ジュリエットと一目で激しい恋に落ちてしまった。仇敵同士の両家に生れた二人が宿命的な出会いをし、月光の下で永遠の愛を誓い合ったのもつかのま、かなしい破局をむかえる話はあまりにも有名であり、現代でもなお広く翻訳翻案が行われている。文庫化されなかった福田恆存訳による、世界恋愛悲劇の代表的傑作の登場。
  • シャークネード サメ台風
    値引きあり
    5.0
    太陽が照りつけるカリフォルニアのビーチは、いつもの賑わいを見せていた。一方、史上稀にみるハリケーン“デイヴィッド”がメキシコ沖から急速北上。急激な海流の変化で、突如としてサメの大群がビーチに現れる。元プロ・サーファーのフィンは、サメの出現にいち早く気付き人々を避難させるが、荒波と共に迫ってくるサメの猛威は凄まじく、ビーチは地獄絵図と化す。だが、その恐怖はまだ始まりに過ぎなかった。 大量のサメを巻き込んだ3本の巨大竜巻が発生。ロスの都市部にもサメの脅威が襲い掛かる。ビーチから何とか逃げ出したフィンは、ロスに住む妻子の元へと向かうが……。 飛ぶ!喰らう!舞い上がる! 人食い鮫〈シャーク〉×巨大竜巻〈トルネード〉!! ハリウッドの映画業界人や俳優たちも熱狂させ、シリーズ化されたモンスターパニック映画の決定版がまさかの〈小説化〉!
  • カンガにコーラン、そしてバイブル
    -
    ケニアを舞台に、道理も不道理も無い人間社会の最底辺に取り残された母娘の哀しい性と、彼女らの逞しい生き様を描く異色作。 「……作品は現代から過去へと遡りながら、四人の女達のまるでメビウスの輪の様な哀しみを描く。しかし、女達は逞しく、しなやかで、黒い男、白い男に組みし抱かれながらも、それをさも当たり前に受け入れて、最期の一息まで生き抜く。そこにはコーランやバイブルは何の価値もなく、女が女である事実のみが存在する。」
  • ポー詩集
    3.5
    詩人として、小説家として、19世紀アメリカ文学の中で特異な光を放つエドガー・アラン・ポー。彼の詩は悲哀と憂愁と幻想に彩られ、ボードレールのフランス語訳によってフランス象徴主義の詩人たちに深い影響を与えたことはよく知られている。本書には、ポー自身が『詩の原理』の中で創作過程を明かしたことで著名な「大鴉」のほか「ヘレンに」「アナベル・リイ」などの代表作を収める。
  • 車輪の下
    3.9
    ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説。
  • リトルプリンス 星の王子さまと私
    値引きあり
    5.0
    それは、あの「星の王子さま」のお話と、誰も知らないその後の物語。 「秘密をひとつ教えてあげる。大切なことは、目に見えないんだ」 引っ越し先の隣のおじいさんは昔、飛行士だったそうです おじいさんはある日、砂漠で出逢った星の王子さまの話を聞かせてくれました……あの王子さまに会いたい。 飛行士の夢を乗せて、9歳の女の子は旅立つ―― ◎サン=テグジュペリ エステートが始めて認めた『星の王子さま』のその後の物語! ◎この冬一番の感動ファンタジー超大作! 映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』オフィシャル小説! ◎王子さまに出会ったあの飛行士がもし生きていたら? 残された人生で、王子さまの物語を誰かと分かちあいたい、そしてもう一度、王子さまに会いたいと願っているとしたら? 飛行士の前に現れたのは、9歳の女の子。もうひとつの「かけがいのない物語」が、いま始まろうとしている。 ◎『星の王子さま』は1943年の初出版以来、270以上の言語・方言で翻訳され、世界総発行部数1億4500万部以上の世界的ベストセラー! ◎〈あらすじ〉よい学校に入るため、友だちもつくらず勉強漬けの毎日を送る9歳の女の子。名門校の学区内に引っ越してきたが、隣には風変わりなおじいさんが住んでいた。ある日、隣から飛んできた紙飛行機が気になって中をあけると、そこ書かれていたのは、小さな王子の物語。話の続きが知りたくてたまらず、女の子は隣家を訪ねた。王子の話を聞き、一緒に時を過ごすうちに、二人はかけがえのない友だちになっていく。しかし、ある日、おじいさんが病に倒れてしまう。女の子は、もう一度王子に会いたいと言っていた彼のために、プロペラ機に乗って、王子を探す旅に出た――! ◎映画『リトルプリンス星の王子さまと私』2015年11月21日(土)2D/3D 全国ロードショー http://wwws.warnerbros.co.jp/littleprince/
  • 白夜
    3.6
    ドストエフスキーには過酷な眼で人間性の本性を凝視する一方、感傷的夢想家の一面がある。ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれたひとりの少女が姿を現わし夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう。一八四八年に発表の愛すべき短編である。
  • 八十日間世界一周
    -
    飛行機がまだ無かった時代。世界を一周することは大事業だった、ましてや80日間では不可能と思われていた。1872年ロンドン。紳士で資産家のフィリヤス・フォッグは革新クラブとのメンバーたちと80日間で世界一周ができるかどうかの賭けをする。立証するために下男のパスパルトゥーとともに出発するのであった。何度もピンチに陥りながらも奇想天外なアイデアで乗り切っていく。迫るタイムリミット……果たして間に合うのか。ラストは痛快などんでん返し。ワクワクどきどきの冒険物語。映画化されアカデミー賞作品賞受賞。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 戦う操縦士
    3.3
    僕は多くのことを考える。万一生きていたら、今夜を待って、とくと考えてみよう。ただ、生きているかどうか……。第二次大戦中、敗走するフランス軍に、一飛行士として従軍した作家サン=テグジュペリ。明日、ドイツ軍が侵入するであろう、祖国の一寒村にたたずんで、死を目前にした極限状況にあって綴られた、生の根源と人間の勇気に果敢に迫り、深く追究する思考。
  • 幼年時代
    4.0
    10歳になったわたしは、父の領地で何不自由のない生活をしていたが、勉強のために、兄と一緒にモスクワで暮すことになった。最後の狩、母との別れ、都会での貴族的な生活、そして母の死――。みずみずしさ、屈託のなさ、愛への渇望、純粋な信仰心に満ちた、人生における最も美しい時代を描きながら、のちのトルストイ文学の特質をあますところなく備えもつ、自伝的処女中編である。
  • 片恋・ファウスト
    -
    純真で、火のような熱情と、男を凌ぐ激しい気性をもちながら、妾腹の子という意識ゆえに歪んだ道をたどらねばならなかった女アーシャの生涯を、陰影ある精緻な筆で描いた『片恋』。完備した形式と安定した人生観照の目で、激しい愛欲とすぐれた知性との矛盾相剋に傷つきたおれたヴェーラの悲劇を追求した『ファウスト』。いずれもツルゲーネフの中期の円熟を示す佳作中篇である。
  • 背徳者
    3.6
    ジッドがアフリカに旅して病気になり、回復後に生命の喜びを見出した当時の魂のありさまを、告白的に小説として描いたもの。一考古学者がアフリカに新婚旅行に出かける途中大病にたおれて、一時は死に瀕するが、ようやく回復期に至ったとき、生きる喜びを知り、彼の心に一大革命が起る。既成のモラルや組織に安住できぬ魂の苦悩を綴った、ジッド最初の物語作品。一九〇二年作。
  • 大尉の娘
    -
    暴徒のため父母を惨殺されたマリーは、相思の将校グリニョーフに危難を救われるが、のちに嫌疑をかけられシベリア流刑に処せられた愛人の赦免を求め、ペテルブルクに行き女王に決死の嘆願をする。エカテリーナ二世の治世に起ったプガチョーフの反乱を背景とし、歴史小説と家庭小説が巧みに融合した、19世紀ロシア・リアリズム文学の先駆的作品であり、プーシキン芸術の最高峰と言われる。
  • アメリカン・スナイパー クリス・カイルの伝説と真実
    値引きあり
    -
    ◎「どの射殺に関しても、後悔したことは一度もない。俺が後悔するのは、同僚がやられる前に殺せなかった連中のことだ」――クリス・カイル◎米軍史上最多、160人を狙撃――戦友には「伝説」と敬われ、敵からは「悪魔」と怖れられた、スナイパー。国家と家族、そして戦場を愛した、ひとりの男の真実の素顔に迫るドキュメント!◎米軍史上最高の狙撃手と言われたクリス・カイルの素顔に迫ったノンフィクション! 故人に近しい人々への取材を敢行し、映画化された原作では触れられていない、彼の死や葬儀の模様についても触れ、「伝説」と「真実」についてより深く迫る!◎アカデミー賞6部門ノミネート! 日米で大ヒットのクリント・イーストウッド監督、ブラッドリー・クーパー主演で映画化された『アメリカン・スナイパー』でも話題。◎2013年2月11日、巨大なアリーナ“カウボーイズ・スタジアム”にて一人の男の葬儀が行われ、多くの弔問客が集った。クリス・カイル、本名クリストファー・スコット・カイル。幼い頃から軍人を目指したカイルは、1999年米海軍に入隊。退役した09年まで特殊部隊〈ネイビー・シールズ〉に属した伝説のスナイパーだ。2003年に始まったイラク戦争には4回にわたって派遣、常人離れした狙撃の腕で、公式記録としては米軍史上最多の160人を射殺した。味方からは「伝説(レジェンド)」、敵からは「悪魔」と呼ばれたその素顔とは――。本書は、生前の故人を始め、妻や友人らへの取材を通し、クリス・カイルというひとりの男の「伝説」と「真実」に迫ったものである。◎クリス・カイル CHRIS KYLE 本名クリストファー・スコット・カイル(Christopher Scott Kyle)。1974年4月8日、テキサス州生まれ。子供の頃のなりたい職業はカウボーイか軍人だった。ロデオで大けがをするもカウボーイへの道を歩みはじめる。しかし大学を中退して軍への入隊を決意。当初は海兵隊への入隊を希望したが、幸か不幸か新兵募集の担当官が不在で、代わりに応対した海軍の担当官から特殊部隊SEAL入隊を勧められる。BUD/S(基礎水中爆破訓練)等の過酷で名高い訓練を不屈の負けじ魂で耐え抜き、晴れてSEALへの入隊を果たす。2003年、イラク戦争が勃発。ナーシリーヤ、ファルージャ、ラマディ、サドルシティと、イラク戦争の中でも激戦地を数多く転戦、イラク軍およびアルカーイダ系武装勢力の戦闘員を“公式上”160人殺害して米軍史上最高のスナイパーとして名を馳せる。2009年に除隊するまで4回に渡りイラクへ派遣され、その間に多数の叙勲を受けた。味方からは「伝説(レジェンド)」と敬われ、敵方からは「悪魔」と恐れられ、多額の懸賞金が懸けられた。名誉除隊後は、軍や法執行機関の隊員に軍事訓練を行う民間軍事訓練会社を設立。戦闘体験を綴った回顧録も上梓した。著作の印税などを元に、PTSD に悩む帰還兵や退役軍人の社会復帰を支援するNPO団体を設立するなど、余暇の大半を慈善事業にあてていた。2013年2月2日、PTSD を患う元海兵隊員エディ・レイ・ルースに射撃訓練中に撃たれて死亡。享年38歳。
  • みずうみ
    4.3
    故郷を離れている間に友人と結婚した恋人に、美しい湖のほとりで再会したラインハルトは、過ぎ去った青春が戻らないことを知って去ってゆく。――若き日の恋人に寄せるはかない老人の思いを綴る『みずうみ』。併録の『ヴェローニカ』は、死の予感のはしる美しい人妻の痛ましい恋を、『大学時代』は、貧しい美貌の少女の可憐な反逆を描く。いずれも詩情あふれる美しい恋物語である。
  • 聖なる夜に抱きしめて【分冊版】~アウトバックの夫~
    -
    大作家三人による夢の競作『聖なる夜に抱きしめて』に収録された、~アウトバックの夫~【分冊版】! オーストラリアの牧場王国を舞台とした真夏の物語、愛と感動のクリスマス・アンソロジー!
  • 聖なる夜に抱きしめて【分冊版】~キャスのカウボーイ~
    -
    大作家三人による夢の競作『聖なる夜に抱きしめて』に収録された、~キャスのカウボーイ~【分冊版】! 猛吹雪のなか閉じ込められた二人を描く、愛と感動のクリスマス・アンソロジー!
  • イマージュ
    3.0
    発表と同時にスキャンダラスな話題を呼びおこした、『O嬢の物語』とならぶ秘密文学の傑作! 男性は愚直で、よしんば自分自身が何者でもないとしても、そうした自分を崇めるように望む。いっぽう女性は男性と似かよってはいるが、ひたすら、男性にみつめられ、愛撫され冒涜され、絶えず生贄に捧げられ、同時に限りなく蘇生する聖体であり、その一切の享楽は鏡の精緻な作用によって自身の姿(イマージュ)を熟視することにある。 ――ポーリーヌ・レアージュ
  • ザ・ゴールド
    -
    容疑者の名はジャック・リーチャー。 人気スリラー作家リー・チャイルドとミステリー界の新女王カリン・スローターの豪華タッグ誕生! 3500億ドル分もの金塊が眠る、フォート・ノックス陸軍基地の連邦金塊貯蔵所。 厳重な警備が敷かれたこの場所で、今まさに10年に一度の金塊の点検が行われていた。 特別捜査官ウィルは、警官殺しの容疑者がそこで雇われているとの情報を得て、潜入捜査のため“金塊磨き”に加わる。 男の名はジャック・リーチャー、元陸軍憲兵隊捜査官の流れ者。 ところがウィルの尾行中、リーチャーもまた何者かを追跡し――。 最強のアウトローとウィル・トレントが対決!
  • ドイル傑作集 冒険編
    -
    コナン・ドイルはホームズシリーズの数倍にもおよぶ作品をのこしている。ここには、冒険をテーマにした短編を収録した。エジプト山岳地帯での実に滑稽な冒険談「ヒラリ・ジョイス中尉の初陣」、山奥の孤独な放浪者を驚惑させたひとつの不条理な人生図「ガスタ山の医師」、ジプシー部落での武勇伝「借りものの情景」、荒海の冒険「アーケーンジェルから来た男」、世紀の発明をめぐる皮肉な結末「ブラウン・ペリコード発動機」、著者の若いころの感傷的な作品「開かずの部屋」の6編。
  • フロイト自伝
    -
    一八五六年、現在はチェコの東部、当時オーストリア領だったモラヴィアの田舎町フライベルクに生れたジークムント・フロイトは、長くウィーン大学で教鞭をとり、一九三八年にロンドンへ亡命した翌年、八十三年の生涯を閉じた。亡命を除けば、彼の生涯に外的な波瀾はないが、ユダヤ人の血のために苦悩した、その経験は、あの独創的な学説、人生観に、少なからぬ影響を及ぼしている。
  • レ・ミゼラブル 第一部 ファンティーヌ
    -
    フランスの長編大河小説。1本のパンを盗んだために19年間も監獄生活を送ったジャン・ヴァルジャン。今はマドレーヌと名を変え事業で成功し人格者として市長にまでなっていた。しかし警察官ジャヴェルとの対立、美しいファンティーヌとの出会いと別れ。人違いで逮捕された者のために全てを投げうつ覚悟をする。
  • フランケンシュタイン
    4.0
    三大モンスターのひとつフランケンシュタイン。実は生み出した科学者の名前だった。その醜悪な姿から誰からも嫌われてしまう。遂には科学者へ復讐の憎悪を燃やすようになる。心まで怪物になっていく過程の心情が切ない。その本質はなんだったのか?誰かに愛して欲しい。友だちが欲しい。愛を求める姿に人間のエゴと科学のありかたを問う。世界中で何度も映像化、映画化された作品。読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 探偵小説アルセーヌルパン 水晶の栓
    -
    奇想天外!さすがルパン。錦の壁布を狙うルパン対大佐。勝つのはどちらか。「探偵小説アルセーヌ・ルパン」。「水晶の栓」に秘められた秘密とは。ルパン最強の敵ドーブレイク登場。悪徳代議士の別荘に盗みに入ったルパン一味だが、部下の失敗により二人の部下は逮捕されてしまう。謎の美女クラリスは敵か味方か。深まる謎の中、迫るタイムリミット。ルパンは果して仲間を救えるのか。読みやすくするため現代の言葉に近づけてますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 死刑囚最後の日
    -
    死刑判決を受けた男の、最後の日を中心に描く。刻々と迫るその怖ろしい時。おぞましい処刑方法と、それを見せ物のように期待して集まる群衆。男は幸せだった日々や残される家族のことを思い涙する。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • はつ恋
    -
    隣に越してきた美しい年上の公爵令嬢ジナイーダは奔放な性格の娘で、取り巻きの男連中を手玉にとっていた。初めての恋の感動ととろけるような悦びに日増しに夢中になっていくウラジミール。しかし彼女は誰に恋をしているのか、やがて知った真相に驚愕する。ジナイーダの恋する相手はウラジミールの父親だった。16歳の頃のウラジミールの回想録。ツルゲーネフ自身の体験をもとにした半自伝的小説。
  • 女の決闘
    -
    ある日、ロシア医科大学の女学生のもとに決闘の手紙が届いた。関係している男の妻コンスタンチェからの拳銃での決闘の申し込みであった。しかし女学生は射撃の覚えがあるが人妻は手にしたこともない。コンスタンチェは町で拳銃を買って、撃ち方を教えてもらう。果たしてどちらが勝ったのか……簡素な文章で淡々と綴られていく森鴎外訳のオイレンベルク「女の決闘」。
  • ガリバー旅行記
    -
    イギリスのガリバー船長による冒険物語。四話からなるお話。小人の国リリバットや巨人の国ブロブディンナグを旅します。三話は空中都市ラピュタのお話。ガリバーはなんと日本へも来ます。四話は馬の国。ガリバーは住み続けたいと願うのですが……。
  • 母をたずねて三千里
    -
    イタリアの少年マルコが母をたずねて、はるばる大西洋を渡りアルゼンチンへ旅する物語。しかしお母さんとは行き違いになり、なかなか会えません。マルコはどうするのでしょう。それでも負けずに周りの人たちにも助けられ旅を続けます。アニメ化や映画化された作品。
  • 82年生まれ、キム・ジヨン ストーリーブック
    無料あり
    3.6
    1巻0円 (税込)
    韓国100万部突破! チョン・ユミ、コン・ユ共演で映画化決定! 異例の大ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ 著/斎藤真理子 訳)。立ち読み感覚で、本書からの抜粋を西村ツチカ氏が本冊子のために描き下ろした絵とともに試し読みできます。韓国で社会現象となった経緯や、著者から日本の読者へのメッセージ、反響の声などが収録されています。まだ読んでいない人も、すでに読んだ人も楽しめる一冊!(非売品)
  • 風と共に去りぬ 第1巻 無料試し読みブックレット
    無料あり
    4.5
    アメリカ南部の大農園〈タラ〉の愛娘スカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開ける――。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る! 文庫版刊行を記念して、試し読み増量版を先行配信!※当コンテンツは新潮文庫Star Classics名作新訳コレクョン『風と共に去りぬ 第1巻』の第2章まで(文庫版88頁まで)お読みいただけます。
  • 約束
    6/19入荷
    -
    アパルトヘイト以前、以後──社会変革の渦中にある南アフリカ。プレトリアで農場を営む白人の家族とその黒人メイドとの間に交わされた土地の所有をめぐる約束が、四十年にわたり一家の運命を翻弄する。アフリカ文学の最先端にして英国最高峰ブッカー賞受賞作

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