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私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー……。'80年代アメリカ文学の代表的作品!(解説・伊井直行/三浦雅士)
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Posted by ブクログ
探偵ブルーはホワイトから、ブラックを見張ってほしいという依頼を受ける。 ブルーはブラックの真向かいの部屋に住み観察を始めるが、彼の行動はといえば、何か書きものをしているか、散歩しているかのどちらか。 事件らしい事件も起こらず、ただブラックを見張り続けるほか何もすることのない日々に、ブルーはじりじりと...続きを読む焦燥感を募らせる。 無機質なニューヨークの街の中で、物語は色彩を失っていく――。 『書くというのは孤独な作業だ。それは生活をおおいつくしてしまう。ある意味で、作家には自分の人生がないとも言える。そこにいるときでも、本当はそこにいないんだ。』 『また幽霊ですね。』 『その通り。』 『何だか神秘的だ。』(引用) 書くということとアイデンティティをテーマに据えた、煙に巻かれるようなお話。 柴田元幸氏の訳が大変素晴らしく、何度も読み返したい。
鍵はウォールデンである。 ある男を監視する主人公は、男の買ったソローの森の生活を読もうとして挫折する。 ゆっくりと読む、それが主人公の陥った袋小路を打開する唯一の手段。 しかし、その機会を失った事で、停滞していた監視は、主人公を傍観者の立ち位置から巻き込む形で、監視される男へと、一種、予定調和の様に...続きを読む集約していく。 ゆっくり読むべきは、我々読者だったのか? この転換は、小説の丁度ど真ん中でピッタリと折り返す様に起き、計算された構成を味わえます。
奇妙な依頼を受ける私立探偵 ただ、見張り続けるだけ 何かおこるわけでもなく 次第におかしな思考になり おかしな行動をとる いったいなんなの! と、読む側もおかしくなる が、なんだか気になって気になって 一気に読まずにはいられない 読みおわっても 気になって仕方がない
何か起こりそうでなかなか起こらないし、読んでいるうちに主人公と自分がひとつになって一体この主人公は今何をしてて本来は何を成し遂げなければならないのか、主人公が誰かを見ているのか、逆に誰かが主人公を見ているのか、そもそも主人公は誰なのか分からなくなってくる。 最終的にはハッピーエンドとはいかずともトゥ...続きを読むルーエンドくらいにはなったんじゃないかと個人的には思う。失ったものは大きいけど。物語からの脱出成功。 オースター自身の書くことへの不安感が表現されていると思う。三部作の二作目から読んでしまったので残りの作品も近々読んでみたい。
そろそろ事件が動く頃だろうと期待するたび肩透かしを食らいながら読み進めていって、最後数ページでようやく自分がこれまで読んできた物語の正体がわかった。アハ体験かよ。
衝撃。 あらすじとしては単調なのに面白く読み進められる。奇妙な世界観。 自己、考えること、書くこと、見ること、幽霊たち、たくさん考えさせられる。
作者の意図は、小説を書くことを見ること。その人間離れした奇妙さを言語化すること。しかし、見ることは、書くことと独立はしていない。クールに見ることは出来ないのだ。見るものは読んでしまう、そこに自分自身を。関与しすぎるものに、自己を見失わせる。 これはメタ小説だ。
軽易な物語ではない。 張り込みをする探偵が相手を知る度に自分とその居場所に迷い込む。 語りの主観と客観が行き来する進行に読者も迷い込む。 私とは誰なのか。彼は私なのか。 個の存在に社会が付き纏う... その旨を暗に示唆する解釈を孕んでいるのか。
最後の最後で爆発する「ブルー」の怒りが凄まじい。 きっちり落とし前をつけて新しい世界へ去っていく。なかなか爽快です。 それにしても、行動範囲が限れた主要人物たった3人による駆け引き、よくこんな設定を考えたものだと感心した。
シンプルに読みやすい。 相手を見張るだけ、という単調な設定だからこそ、自己との対話を通して疑心暗鬼に陥っていく展開がとても良い ミステリーの展開がワクワクするので読み終わりのスッキリ感がありつつも、他者を通して自己の存在を確認するというテーマが最後に残されて、行為と行為による影響が人間を人間たらし...続きを読むめていると改めて考えさせられた あと海外小説、映画あるあるで名前覚えにくくて発生するノイズがなかったのが地味に助かった
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