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霧深い夕暮れ、煖炉の前に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド校での六十余年の楽しい思い出が去来する――。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な毎日、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊迫した明け暮れ……。厳格な反面、ユーモアに満ちた英国人気質の愛すべき老教師と、イギリスの代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶賛された不朽の名作。
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Posted by ブクログ
イギリスの裕福な家庭の子供たちが通う歴史の古いパブリックスクールで、先生を務め終え退職後も母校の隣に住んでいたチップス先生の回想録。 最近文庫でもページ数の多いものに疲れてきたので、この100ページちょっとの本ならすぐに読めるかなと思って。 先生は、次々に卒業していく子供たちには、真面目で平凡な...続きを読む紳士と思われていたが、授業は後々まで語られるくらい冗談交じりの愉快なものだった。 独身者の寮に、退職まで長く住んでいたが、若い頃に一度結婚したことがあった。山で知り合った、キャサリン・ブリジスという女性で、この明るく聡明で、美しい人はすぐにみんなの人気者になった。 彼女の影響でチップス先生も注目され、彼の生活は輝いていた。 しかし三年後、子供を出産するというときに、親子ともに亡くなってしまった。 先生は一度に無くした家族のために打ちのめされた。 時がたち、チップス先生は想う。 細々と、まあなんと沢山の出来事が、過去に深く埋めてしまわれたことだろう。 先生は色々な出来事を思い出しながら、学校から聞こえる子供の声や、鐘の合図を聞き、運動会やスポーツの対抗戦の見物をして、たまに子供たちが訪ねてくるとお茶をご馳走する。 そして、今でもその子供たちの父親のそのまた父親の子供の頃の話をしてみんなを笑わせ、穏やか日々を過ごしている。 ガズオ・イシグロの「日の名残り」を思い出す。長く執事を務めたあと、思い出の女性を訪ねてみようと思いつく、そんな男性の心情が胸に残る小説だが、この本も同じく、静かなユーモアの中にイギリスの歴史が篭っているような、余韻のあるいい本だった。 訳が読みづらかった。言葉遣いも変わってきてはいるだろう。もう少しこなれた訳だったら、面白さももっと感じられたかもしれない。 映画化されてアカデミー賞主演男優賞を受賞したのは、チップス先生を演じたピーター・オトゥールだったそうだ、悲しいような、時にはキラキラ輝くような眼をするオトゥール、なんだかチップス先生は彼のような人物かもしれない、と思った。
時代の好ましくない変化に流されることなく、穏やかさとユーモアで、ひとりひとりの生徒へ愛情を込めて接したチップス先生。心が温まる作品。
中学生の頃、薄いからすぐ読めると手に取りました。何とも言えず心に染みるお話でした。グッドバイ、ミスターチップス。
津村のやりなおし世界文学の1冊である。あまりにも有名な本であるが、名前ばかりであまり読まれていないのかもしれない。新しいことばかりが求められる学校教育であるが、そうでないことも必要である、という教育の本質を教える教員養成大学生に必須の本であろう。
淡々としていて読みやすい本。こんな先生いたら素敵だなぁと思ったのと同時に、少なからずどの先生にもチップス先生っぽさを思い出せて、今読んでよかったなと思える本でした。自分の人生も、彼のようにユーモアに包まれた幸せな人生にしたいと思います。
駄洒落が好きで人気の主人公のチップス先生。その穏やかな性格の裏には考え方を曲げない骨太な面がある。敵国の戦死者を悼んだり、やり手の若き校長と喧喧諤諤やりあったり。臨時で校長を何年か勤めたが、やっぱり教師が好きな生き方。幸せな生き方の見本のようだ。2019.4.2
子供(中2)が学校で読むのに良い本が無いかと家内に相談され、ふと目に付いたのがこの本。やはり子供は興味ないみたいだけど、自分で読むことにした。 老人を主人公にした物語として、今流行の”白い犬とワルツを”と2重写しになるとことも多い。あまり大きな盛り上がりも無く、同じように淡々と話が進み、最後は主人...続きを読む公が亡くなってしまう。 では、どちらが・・・といえば、私としてはチップス先生ですね。どこが違うというわけではないのですが、どこかに残る暖かさが、本書のほうが多い感じがする。
授業を改善する、という話題でかならず出てくる名著の新訳です。 自分が通った学校は、なんとなくいつまでも変わらずにあるものと思ってしまいます。でも、学校ってとても脆弱な組織でもあり、ひとときの空気に流され、世の中や親が求めるから、と目先の変化に飛びつかなければ生き残れないような状況に陥りがちです。 ...続きを読む取り立てて優秀でも、飛び抜けた取り柄もない一人の教師が、ひとつの学校の伝統を体現する様子が、とても印象的です。
旧秩序が守り続けるものについて。大戦や恐慌とともに失われていく中で。 古き良き時代のまま取り残される人への憧憬、という世界普遍のテーマ。
長年一つの学校に勤め続け、もはや存在が学校の伝統そのものになってしまった、チップス先生。 教師としては平凡な存在であるように書かれているけれど、長く一つのことを続けることと、どんな状況においてもユーモアのセンスを忘れないことは、得難い長所であると思う。 特に、戦時下で敵の攻撃を受けながら授業を続ける...続きを読む中で、生徒を一笑いさせる場面に「この人本物だ、、」と思わせる強靭さを感じた。 悲観的な状況でこそ、外からくるものに飲み込まれず、ユーモアを手放さない力強さを自分も養っていきたい。 中編くらいのコンパクトな文量に、あまり好き嫌いの分かれなそうなテーマと親しみやすい文体、最低限チップス先生だけ把握できれば読み切れる内容であり、こどもから大人まで幅広い年齢層で楽しめると思う。 「古典海外文学読んでみたいけど、読み易い本はあるかな?」と聞いてくれる方がいたら是非お勧めしたい一冊。
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