あらすじ
霧深い夕暮れ、煖炉の前に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド校での六十余年の楽しい思い出が去来する――。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な毎日、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊迫した明け暮れ……。厳格な反面、ユーモアに満ちた英国人気質の愛すべき老教師と、イギリスの代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶賛された不朽の名作。
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Posted by ブクログ
津村のやりなおし世界文学の1冊である。あまりにも有名な本であるが、名前ばかりであまり読まれていないのかもしれない。新しいことばかりが求められる学校教育であるが、そうでないことも必要である、という教育の本質を教える教員養成大学生に必須の本であろう。
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淡々としていて読みやすい本。こんな先生いたら素敵だなぁと思ったのと同時に、少なからずどの先生にもチップス先生っぽさを思い出せて、今読んでよかったなと思える本でした。自分の人生も、彼のようにユーモアに包まれた幸せな人生にしたいと思います。
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駄洒落が好きで人気の主人公のチップス先生。その穏やかな性格の裏には考え方を曲げない骨太な面がある。敵国の戦死者を悼んだり、やり手の若き校長と喧喧諤諤やりあったり。臨時で校長を何年か勤めたが、やっぱり教師が好きな生き方。幸せな生き方の見本のようだ。2019.4.2
Posted by ブクログ
あなたはこの学校、先生というもの。
涙が浮かんだ。学校を体現する教師、あるひとつの理想の教師像。愛にあふれている。効率だけでは見えない、教育者の姿。時代が変わっても、変わらないものの価値。本当に学校で教えるもの、教師が目指す姿のひとつが、この物語に描かれていると思った。
チップス先生は、見送る人である。学校の先生は、毎年新しい生徒を受け入れ、また送り出す。それ以上に、チップス先生は、妻を、生まれた子供を、同僚を、校長を、たくさんの男の子たちを見送った。去る者は日々に疎しというけれど、チップス先生はいつまでも彼らを愛している。その、一番輝かしい姿で覚えている。
イメージする、憧れる、英国の姿を描いた作品でもある。パブリック・スクールの老教師。時代が移り変わっても、変わらない、泰然とした、時には停滞したとも揶揄されそうな、“古き良き英国”の姿。きっとチップス先生は、そんな英国も覚えている人。それは、きっと望まれる英国人の姿。
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子供(中2)が学校で読むのに良い本が無いかと家内に相談され、ふと目に付いたのがこの本。やはり子供は興味ないみたいだけど、自分で読むことにした。
老人を主人公にした物語として、今流行の”白い犬とワルツを”と2重写しになるとことも多い。あまり大きな盛り上がりも無く、同じように淡々と話が進み、最後は主人公が亡くなってしまう。
では、どちらが・・・といえば、私としてはチップス先生ですね。どこが違うというわけではないのですが、どこかに残る暖かさが、本書のほうが多い感じがする。
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授業を改善する、という話題でかならず出てくる名著の新訳です。
自分が通った学校は、なんとなくいつまでも変わらずにあるものと思ってしまいます。でも、学校ってとても脆弱な組織でもあり、ひとときの空気に流され、世の中や親が求めるから、と目先の変化に飛びつかなければ生き残れないような状況に陥りがちです。
取り立てて優秀でも、飛び抜けた取り柄もない一人の教師が、ひとつの学校の伝統を体現する様子が、とても印象的です。
Posted by ブクログ
ボリュームも多すぎず、訳もシンプルで読みやすい本です。
生徒から愛され、同僚からも愛され、
子宝には恵まれなくても何千人もの子供がいたと思いながら
終えられる人生は幸せだろうなと羨ましい気持ちにもなりました。