朝井リョウのレビュー一覧
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ネタバレ朝井リョウはなぜ自分の痛いところを確実に突いてくるのだろうか、言語化の鬼だといつも思う。特に解説にあった「当事者性を求めて生きる」という言葉刺さった。
あなたのままでいい、という言葉って残酷だな〜実際に進学したり就職したりするためには「人より特別な経験」が必要とされてるのに!
自分はかなり他者評価重視にんげんであり、他者評価軸を捨てなければと思う時は何度も何度もあったけれど、そしたら自分のエネルギーはどこから発生するんですかね ひとりで自発的にエネルギーを生み出せる人がこの世にどれだけいるんだろう?でも世の中では、そういう人がよくかっこいいスマートだと言われて普通にムカつく
そういう世の中だと -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の星5。6つの短編がつまった作品。特に印象に残ったのは、⑤むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかったと⑥何様の2つ。
⑤は正しい自分でいようとしてきた人生に疑問を持ち葛藤する主人公が描かれていた。主人公の性格が、昔の知人と重なってなんとも言えない気持ちになった。また、日常のむしゃくしゃが吹き出し、今までできなかったことが普通にできてしまう、そんな人間の生々しさが表現されていて印象に残った。
そして⑥何様。この話を読んで星5にしようと思った。社会人1年目の主人公が、人事部に配属され、評価されてる立場から人を評価する立場となる。そこに葛藤や疑問がうまれる。(誠実ではないと感じる)物語終盤で先輩 -
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ネタバレ何をおいてもこのボリュームと装丁と内容で510円という事実が衝撃すぎる。
読む前に何度かパラパラとめくってみる、それだけでも楽しい。
十分に楽しんだらいざ読み始める。悪特集、心が躍るテーマではあるけれど、読み始めたらちゃんと落ち込むものですね。勧善懲悪的な話は、まあなかろうと思っていたけれど、そもそも悪を如何様に定義しますか?それは誰にとってどんな風に悪いんですか?と踏み込む程に個人の触れられたくない部分が見えるようになっていくわけで、まあ気が滅入る。
つまりいい話ばっかりだったということだ。
種々多様な悪に触れて一緒に落ち込もう!
坂崎かおるのサンクトペテルブルクの鍋がすごかった。
幻想の -
Posted by ブクログ
短編集の中で、「籤」という作品は私のバイブルみたいな作品です。
「選んだ籤をあたりにするかはずれにするかはあなた次第」というようなキレイなパッケージされた言葉じゃない、人間の嫌な部分とともに紡ぎ出された言葉は、キレイにパッケージされた言葉の何倍も「ハズレクジ」と向き合う勇気をくれます。
「受け入れる、受け入れないを選べたわけじゃないんだよ、これまでもずっと」
理不尽、不平等、報われなさ。
隣の芝生は青く見えるし、どうして私ばっかりと思ってしまうこともあるけれど、それでも。
「何を引き当てたって、どんな場所に置かれたって、そのたびどうにか根を張り直してここまできた」人たちの背中を全力で押し