朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
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1.自殺者のSNSを特定することがやめられない女性
2.夢を諦め過去を捨てて結婚し会社員になった男性
3.派遣切りにあった女性の鬱憤と焦燥と唯一の癒し
4.家族や日々の生活で手一杯になる女性の自己嫌悪
5. 妻と自分の収入が逆転し、妻への愛が揺らぐ男性
6.出生前診断で、子供に障害があると判明した女性
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短編嫌いの私だけど、やっぱりそこは朝井リョウ。
面白かった!手を差し出すけど冷たいとこも好き。
今を切り取り、 -
Posted by ブクログ
朝井リョウの小説は、現実、そして現代そのものだなと痛感しながら読み進めた。
主人公がどん底に突き落とされた状態で、もがき苦しむ最中に物語は終わる。
改心したり、明るい未来が来ることがなく、もしかしたらそんな未来が訪れるのかもしれないが、現実はそう甘くない。
明るい未来が見えることはなく、今よりは良くなるかもしれない未来を生きていくしかない主人公たちに、自分の人生を重ねたりしながら、たまに思いを馳せたいと思った。
自分の思い描いた人生に起こるはずのない事が起こっても、訪れるべき幸せが訪れなくても、道が外れてしまっても、受け入れて生きていくしかない。
そうすることで、受け入れられずに誰かを犠牲 -
Posted by ブクログ
日高愛子というアイドル目線から描かれ、アイドルとは、アイドルファンとは何か、そして人生をどう取捨選択するかを考えさせられた。
純度100%で幼い頃からアイドルを夢見ていた愛子が、その夢を叶えアイドルとなり、武道館を目指す中で芽生える揺らぎや葛藤、そしてその残酷さが非常に高い解像度で描かれていた。
思春期の女の子をこんな丁寧に描ける朝井リョウまじですごい。
歌って踊るのが好きな自分と幼馴染の男子が好きな自分はどちらも紛れもなく自分自身なのにそれが成り立たない葛藤と苦悩の中で、愛子が自分にとってほんとうのことを探し、人生を選択し、その選択を自分で引き受ける姿にエールをもらったような気持ちである -
ネタバレ 購入済み
色々な意味で刺さった
INFP気質があり、学生で、現在進行形でオタク仲間とオタ活に励んでいる自分には深く深く刺さりました。途中の描写は少し、いやかなりダメージを負いながら読みました。でも、その痛みも含めておもしろかった。
印象に残っているのは、久保田さんと道哉がカフェで会話しているシーン。道哉の台詞がつらつらと続く中で、「つまり何が言いたいの?」と思いながら読んでいたら、まさに同じようなことを久保田さんが漏らしていてびっくり。この時の道哉のような台詞って意図的に書けるものなんだ、と唸りました。朝井リョウさんの文章力に脱帽です。 -
Posted by ブクログ
平成の描き方が鮮明すぎて、とても懐かしくちょっとこそばゆい感覚も感じる本だった。
競争や順位づけってとても簡単に自分のポジションを表現してくれるものなのだと思う。中学生になって、テストで初めて順位が知らされた。特段張り出したりしなかったので、「自分だけが学内の順位を知っている」という状態だったが、頑張り方を理解することができてスッキリした感情を持った。
雄介の考え方は全然他人事ではなく、自分も少なからず、ポジションに安心したい気持ちを持っている。何かに挑戦して何者かになりたい自分と、安定した場所に身を置きたい自分が常に自分の中にいる。平成という時代によって、この感情が作られたかはわからないけ -
Posted by ブクログ
再読。朝井リョウの本の中で1番好きかもしれない。表題作は、薫子の気持ちも、薫の気持ちも双方理解できることが多く、最後の言い合いのシーンはどちらの言葉にも共感した。渡辺くんとの出来事を回想し、「10分間の休憩も、ホットミルクも、あのときの私にはいらなかった。だけど、だからといって、いらないと切り捨てることをしないだけの想像力が、相手が大切にしているものを自分の中の正しさで排除しないだけの想像力が、今の私には身についている。」というフレーズがとても良かったし、こういった想像力は自分にも欠けている部分があるなと感じた。ずっと大切にしたい言葉。
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Posted by ブクログ
深い。言語化がうますぎる。感情の機微を繊細かつ正確な比喩で表現されていて、文章がするっと自分の感情に重なってくる感覚があった。鮮やかな生の話ではなく、タイトルどおり、ぎりぎりのラインでかろうじて保たれている生の話が綴られている。短編集だけど、一つ一つの内容が重くてこころにずっしりとおもりがのしかかるかんじ。不完全燃焼の話もあるけど、それがいっそう現実感を掻き立てる。なかでも一話目の話が1番印象に残った。きっと心のどこかで私も似た感情を抱いて生きてきたからだと思う。
「いつだって少しだけ死にたいように」
「いつだって少しだけ生きていたい自分がいる」
「こういうことがあった辛くてたまらないもう死 -
Posted by ブクログ
とにかくはちゃめちゃに良コスパな文芸雑誌第二弾。今号はテーマを「悪」と定め、悪にまつわる様々な物語が読める。
収録作品の中の上村裕香著「全身政治家」がめちゃくちゃ人を喰った話で面白かった。
とにかく顔がいい若きシゴでき市長から直々に生い立ちについてのインタビュー記事の依頼を受けた主人公。しかし話を掘り下げていくと奇妙な齟齬に気づく。勇気を出して本人に伝えると…。とにかくこの市長のキャラがいい。ビジュ良すぎる顔でシリアスに暗い生い立ちを語ってからのこのオチはもはやコント。しかしこれによって主人公が自分自身の過去と対峙する展開はちょっと感動してしまう。
こういう話大好き。