朝井リョウのレビュー一覧
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映像を撮る上での考え方も、卒業後の進路も真逆な2人の主人公をはじめとして、様々な対比が出てくる作品だった。
私も趣味ではあるが作品を生み出している。作り手として何を大切にしていくのか、時代の流れや変化にどう対応していくのか、反対に何を切り捨てていくのか…を常に考えさせられた。
私の幼い頃は皆同じ番組を見ていて学校では前日の番組の内容でよく盛り上がったが、今はYouTubeなどの配信サービスも増え、地上波をそもそも見ない人も多い。好きな歌手や有名人を挙げても名前すら相手が知らないことも当たり前になった。どちらも20年前には考えられなかったが、そんな今だからこそ読みたい、深みのある1冊だった。 -
Posted by ブクログ
『GOAT』第2号(特集は「悪」)です。前回の特集「愛」との対比がいいです。前回から引き続きの作家さんや初掲載の作家さんなど今回も盛り沢山で、また1ヶ月かけてチマチマ読み、完読しました。
「悪」ならではのエンタメ・ミステリー色強め傾向で、様々な視点の「悪」へ真正面から向き合って本領発揮する作家さんの作品に、読み手も吸い込まれます。加えて、様々な視点の「悪」とは言え、最近の社会情勢を反映した「悪」が多い気がしました。
明確な悪意がないにも関わらず、知らぬうちに「悪」に加担してしまっているケースなど…。これは他人事ではなく、改めて歪な社会構造と我が身の振りを省みざるをえません。日常に潜む「悪」、それも無自覚なだけタチが悪く恐ろしいです。
いつ当事者になってもおかしくない、いや、もう当事者になっているかもしれない…と、自分や社会を見つめ直させてくれる作品群でした。第1号以上に文芸誌という範疇を超えて、内省と啓蒙の役割を果たしているように感じます。
装丁もまた新たな企てが見て取れました。巻頭の朝井リョウさんの紙、なんと「NTラシャ漆黒」という名だそう。この究極の黒い紙にシルバーの文字が載っている…。凄いとしか言いようがなく、朝井リョウさんのドヤ顔が目に浮かびます。
読んでよし、買ってよし、見てよしの三拍子揃いはそのままに、また新たな(著者・作品との)出会いや視野の拡大がありました。加えて、苦手な並行読書にも少しは慣れてきた気がします。「手元にいつも『GOAT』」を継続していきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
自分よりも幼い主人公たちが、向き合わなければいけない現実と闘いながら、新たな生き方を見つけていく姿に心打たれました。過去や現在に縛られてしまいがちな私にとって、新たな価値に気づかせてくれて、未来にささやかでも希望が持てるよう、そんな可能性を信じ続けられるようそっと寄り添ってくれるような作品でした。今、この本に出会えてよかったです。
あと、タイトルが好きです。
初めて読んだ時のときの感動はもう二度と味わえないかもしれないけど、この本に出会えたように、この本と同じくらい感動する本に、きっとまた出会えるよね。
と思わせてくれました。ぜひ大切にしていきたい。 -
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ネタバレ表題作、友達同士の価値観の違いを描いた話だったけれど、渡邊くんと雪子の距離感は心にくるものがあった。
身体が近付く描写が好きだった。性描写のシーンは虚しくて美しかった。渡邊くんと身体が交わっていく、お互いがお互いを愛おしく思っている、でも雪子は頭の中では音楽と向き合っている、そのコントラストが綺麗だった。決して渡邊くんを粗末に扱っているわけではないと感じる。なぜか、渡邊くんに集中していないとは受け取れないあたたかさがあった。
薫との価値観の違いは節々に描かれていたけれど、渡邊くんとの長い関わりがあるからこそ浮かび上がる違和感を自覚するシーンが苦しかったし、その寂しさが尊かった。 -
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ネタバレこれを読んで朝井リョウがなぜ私の心を掴むのかわかった気がした。
私はぞくぞくする展開が好きなのかもしれない。という気づきと、朝井リョウの扱う題材が人間の内にあるひそかな感情にスポットを当てたものであるということ。
『立て!金次郎!』は途中までいい話としてのめり込んだ。孝次郎の頑張る姿に共感し、園児にきちんと花を持たせる展開に歓喜した。もうこれでいいよ。この後展開がなくても十分だよ、と思わされつつも、最後に強烈なホラーを突きつけてきた。『13.5文字しか集中して読めな』と同様、わかりやすいホラーはありがたい。
『脇役バトルロワイヤル』は急に朝井リョウのギャクセンが炸裂した。事象に名前をつけるやつ、私も姉もよくやる。大変面白い。これまでの話に出てきた脇役を寄せ集めて、脇役あるあるを緊張感のある空気間でテンポよく編み出していく。ギャグ漫画を読んでいる気分になった。
朝井リョウの人間関係を題材にした話が好きだ。適材適所って言葉通り、人には役割があるとか、コミュニケーション能力って一概に言えないよねとか、仕事なんだからと割り切る人と自分らしく働きたい人がいるよねとか、価値観の違いでぶつかり合う人たちを見るのが好きだから、朝井リョウのヒューマンドラマがこんなに刺さるのだ。それにプラスで、朝井リョウのおちゃめさとコミカルさが私の痒い所をちろちろとかいてくれるように心を刺激する。 -
Posted by ブクログ
作者の爆笑エッセイを読み、ラジオを聞いて朝井リョウさん像があるにも関わらず、作品を読んでも作者は見当たらない。そこにはちゃんと登場人物がいる。
何よりも好きなのは、自分が主人公になったと錯覚するほどの心理描写文。その時々の気持ちによって、風景を見てどのように感じるのか全然違う「それ」を見事に書いて閉じ込めているようで好き。
短編小説だけど、登場人物同士に関係性があって、ある小説では「クール」な女性として描かれている子が、主人公になった小説では葛藤を抱いていたり…それぞれ世界をどのように見ているのかを経験できる作品で好き。
1番心に刺さったのは「もういちど生まれる」。
ストーリー性がいいのはもちほん、始まりの文章が好き。
2026.4.28