朝井リョウのレビュー一覧
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ネタバレ鈍器で頭をなぐられたような感覚。マイノリティ、それもLGBTQとかそういう次元ではないマイノリティの存在に気付かされる。
• 僕らマジョリティは、何も考えずにマイノリティを気持ち悪いとバカにして、排除してきた。でも周りを見渡せば、そういうマイノリティの人が実はたくさんいるのかもしれない。
• でも「正欲」じゃなくて「性欲」って話すことがない。いわゆる普通の性欲はたくさん話すのにね。
• じゃあ何か、僕が今すぐできることなんて何もない。でも、そういう可能性を頭の片すみに置いておくことで、誰かを傷つけなくて済むかもしれない。それだけで、きっとよい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ敬虔な信徒が祈るように、ただ夢中で読み進めて分かった。
なるほど、朝井リョウとは天才であったか、と……!(気付くのが遅い)
まず原理的に、私たちは物語(ナラティブ)から抜け出すことはできない。
それは作中の国見も例外ではない。何かを語る時点で私たちは「物語の語り手(ストーリーテラー)」である。物語を使う人間ですら、「物語を使う物語」という入れ子構造から逃れられない。
何かに意味を付けること。何かに価値を見出すこと。これらは世界を物語(ナラティブ)の中で語ることと同意だ。世界は本来、意味も価値も無いのだから、どのような物語であれ何かが間違っていることになる。私たちは正しく世界を語ることはできな -
Posted by ブクログ
え〜〜めっちゃ面白かったけどな、意外と読みにくいという感想が多くてびっくり!
口語体だからか、するする入ってきて自分は好きだった!(逆にだからこそ読みにくかったって人もいるだろうけど)
主人公もそうだけどみんな誰しも(断定はしないけれども)(気がつかないうちにも)なんでか生まれ落ちちゃった世界で暇を持て余してて、その暇に気がつかないように、“次”とか“しっくり”とかを探してて成長しようとしちゃってることに大共感。(本当に悪いことではないけど、モチベーションって大切だし。これに気がついちゃったら生きている意味がないし。)それを今回生殖の分野を軸に考えてたわけだけど、凄く面白かった。みんな降りな -
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こんなにメモした小説は結構久しぶりだった気がする。朝井リョウの鎮魂歌だなこれは、チンコだけに。
以下メモ。
p43 尚成、就活というものを経て、たとえどんな企業に勤めたとしても、会社という共同体の拡大、発展、成長を担うだけのモチベーションは持てない、ということに”しっくり”を得ていました。だからせめて、会社という共同体の、均衡、維持を担う部署に配属されたかったのです。
p44 判断、決断、選択、先導。尚成ができるだけ関わらないようにしてきたし、今もそう勤めている概念たちです。共同体の拡大、発展、成長に直結する概念たちですね。総務部を志望していたのは、そういう概念たちから最も距離を置けるとに -
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ネタバレ人にとって普遍的に大切なものって何なんだろう。
視野を拡げることより狭めること?
共感できるコミュニティ?
正しい人はいないし、普遍的なものはないんだろう。
「今は正解の部屋自体がないから、たとえ一つも間違わないでいたとしても、ただ間違わなかった人になるだけ。だからもう何をするにも、自分はこうやって間違うって腹を決めて脳みそを溶かして動くしかない。」
間違いだとわかっていて、そこに一歩踏み出す勇気をもつことは本当に難しい。特に、久保田のように大人になればなるほど。ストーリーを信じ切って、それに脳を溶かさないと、腹を決めることはできない。
でも本当にその状態が幸せなのだろうか。
脳を無理 -
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ネタバレファンダム経済という概念を初めて知った。
推し活ムーブメントを仕掛ける側、推し活当事者、過去の当事者の時点で物語は描かれている。
正しさでは測れない人の心理、のめり込んでいく側の根底にあるのは「孤独」なのだろうと思う。その孤独にスポットライトをあて、マーケティングの商機を見出し、巧みに市場を創出してゆく仕掛け人たち。視野狭窄に陥らせ、時間と金を投資させてゆく過程は、冷静沈着なプロの仕事であり圧巻であった。
しかし、重要なことは、ファンの側は決して騙されているのではない。自らが主体的に何かに夢中になる体験に時間とコストを費やし、そのことに幸せを感じているのだ。
正義と悪で語ることのできない難 -
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特殊性癖をもち、多様性と言う言葉に嫌気がさしている人たちと、それを理解できないが多様性を謳う、いわゆるマジョリティの人達の交互の視点から話が展開されている。
多様性は、認められたマイノリティ、受け入れられたマイノリティしか多様性の括りに入っていないのがこの世の中。認められてない多様性は排除されてしまう。
この視点を知ったことで、自分に見えている世界や価値観をひけらかすことは時に人を傷つけうる狂気になりうること、自分が知ってる価値観や世界、正しいと思っているものが全てではないことを強く感じた。だから、自分が正しいものは本当に正しいだけのものなのか?と言うことを疑い始めたら、そもそも正しさってな -
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ネタバレ現代の推し活について描かれた一冊。適度な推し活は心を健康にしてくれる一方で、熱狂しすぎたファンの心や生活を蝕んでいくという社会問題となっている。この社会問題を忠実に書いた一冊だと思う。
推しが1つ発信するといくつもの物語が生まれる。その物語を拡大解釈をして自分の都合のいい物語を描いていく。このような流れでどんどん視野を1つのことに狭めていくことで没頭していくという、ある種幸せではあるのかもしれないけれど、周りの迷惑や推しがいなくなった際の喪失感というものは恐ろしい。
また、最近はオーディション番組で生まれるグループが増えている。人は誰かと繋がっていたいという習性があるため、グループ結成のストー -
Posted by ブクログ
令和になってからか、ここ数年か、一気に世の中が変わったなと思ってた。推し活もそのひとつで、平成にもAKBの総選挙とかあったけど、令和の推し活は人生を賭けてる感じが私には理解できなかった。
のめりこめない自分にホッとする一方でどこかで、時間とお金を費やせる対象がいることがうらやましくおもうこともあった。そうゆう感情を言語化、一般化させるのがとても上手な本だった。もっと思考(頭を使って考えを巡らせ、筋道を立てて結論や判断を導き出す精神活動)しようと思わせてくれた本。
SNSに時間を溶かしている(溶かされている?)ことに悩んでいたいま、2000円でこんなに視野を広くさせてくれるやっぱり本ってすごいっ -
Posted by ブクログ
それなりに分厚い一冊なので何回かに分けて読もうかと思ったが、うっかり没入して読み切ってしまった。
それほど引き込まれてしまう本だった。読み終えてみると、恐ろしい一冊を読んでしまった、という感覚に陥った。(良い意味で)
現代に蔓延るファンダム経済や、陰謀論などの根底にある人々の思想や行動様式が複数の視点で鮮明に描き出されている。個人的にはチャーチ・マーケティングという概念を知らなかったが、その功罪、そして救いがない(ファンにとって、のめり込んでいる間はあるのかもしれないが)状況に頭が痛くなった。
本書を読みながら、三宅香帆さんの「考察する若者たち」で、現代のこの構造を助長するインフラとしてのSN