朝井リョウのレビュー一覧
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ネタバレ推し活がテーマの話。
推し活を作る側の孤独な中年男性と、推し活にハマっていく女子大生、推し活にハマっていたが陰謀論にハマっていった女性の3つの視点で進んでいく。
視野を拡げる、狭めるって何だろうと段々分からなくなってくる。
視野が狭い状態の彼らはとても楽しそうだけれど、現実から逃げているだけで。
みんな結局は辛い現実から逃げて安心するコミュニティに居たいだけなんだよね。それが家庭や近くの友人達にない人ほどハマりやすいのかもしれない。
推し活はほどほどに。ほどほどにすればきっと楽しいんだろうな。
ゾクゾクしながらも一気に読めて面白かった。 -
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朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』をAudibleで聴き終えた。読み終えたあと、なんとも言えない「居心地の悪さ」と「救い」が同居する、まさに彼らしい作品だった。
■「やってこなかったこと」のしっぺ返し
物語の冒頭、47歳の久保田慶彦が直面する現実に、思わず背筋が伸びた。
「人生は、やってきたことと、やってこなかったことが返ってくる」という一文。
30代までは「これを頑張れば将来返ってくる」と信じて、がむしゃらに積み上げてきた。しかし久保田が直面したのは、スキルの習得といった「やってきたこと」の結果ではなく、家族との時間や利害関係のない友人関係を「やってこなかったこと」への報 -
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視野が広いと物事を抽象的に捉えてしまい、具体的な行動に移せない。視野が狭くなると目標が見えて行動が具体的になる。視野の広さは良くある具体と抽象の話に落とし込める。
人はエネルギーを持て余している。エネルギーを喜んで使える道を知ったとき、それは生き甲斐になる。生き甲斐を人々は求めている。エネルギーを使うためには行動が具体的なほうが良い。具体的な指針を求めて人々はそれぞれの宗教にハマる。宗教の類は何でも良い。経典でなくとも良い。そして、信じるものは救われる。
個人的には推し活は過度にならなければ前向きに捉えたい。人生を楽しむサポートになるのであれば良いことだと思う。人間誰しも何かしらの宗教に入り -
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変化が激しく先行きが見えづらい現代だからこそ、見たくない現実には目を背け、自分にとって都合の良い物語に没頭することで、安心感を覚える。ファンダム経済を生み出す者と飲み込まれる者の対比は正に食う者、食われる者という弱肉強食な現代社会そのものであり、『何者』から続く朝井リョウの残酷なまでの精緻な人物描写と相まって、非常に読み応えのある1冊でした。
特に思い悩むばかりで行動に移せず、留学を諦めて花道というコンフォートゾーンに自ら留まることを決意した澄香と、流行を追いながらも着実に努力を積み上げ、最難関大学への交換留学をもぎ取った菜々の対比が印象に残りました。
いつの時代もチャンスを掴むのは自分に言い -
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この本を読んで良かったと思う。多様性というものは世の中に受け止めやすいものや多くの共感を得やすいものを受容することが主であり、人が嫌悪するような性質を持つ少数派は排除される。比較的受け止めやすい性質をもつ少数派や大多数の人がもつ性質に属する人たちは排除している感覚もなく、正義感で受け止めにくいものを排除している。それらを排除していることに気づかずにいると、もしもこれから先、あるきっかけで自分が排除していたものの立場になってしまったら、自分は過去の自分に傷つけられることになる。つまり、自分の知らないものや嫌悪するものを排除することは、自分をも苦しめることになるということなのだ。全てを受け入れるこ
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ネタバレ2026年本屋大賞の大賞受賞作。おめでとうございます!
視野を広げすぎても、狭めすぎても、どちらも弊害があるし、何事もバランスが大事。
何が正解かは視点によって変わってくるから、正解は一つではない。
私も推しはいるけれど、CDを何枚も買ったり再生数に貢献したりするほどのめり込んではおらず、そういう熱量の高いファンを今まで別世界の人たちだと思っていたけれど、
朝井さんのこの作品を読んだ今は、誰でも熱量の高い信徒になる可能性を感じた。
SNSで情報が溢れていて、でもそれと反比例するかのように、誰かと心から繋がりたいと孤独を感じる人が多いこの現代に、
お金や時間をすべて捧げる対象があり、その気 -
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自他の境界に関する苦悩を描いた作品。
登場人物の結末を見るとやるせない一方で、「人間ってこんなもんだよな」という共感も覚える。
SNS等で他者の視点に触れることが増えた昨今、あえて視点を狭めて感情に身を委ねる意義が高まっているが、相対する人の気持ちや社会通念までも顧みなくなると破滅が待っている。
「他者に押し付けない」というラインを引いた上で、自分の感情を大切にするバランスが必要だろう。
とは言いつつ、自分の感情をうまく制御し、適切な距離感で他者と関わり続けるのは容易ではない。
人間のままならなさに寄り添ってくれる、味わい深い本だった。 -
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「多様性」がテーマの物語という前情報を持って読み始めた。
いわゆる「多様性」を称賛するような風潮は嫌い。
男は男、女は女 それが大多数であることは長い歴史の中で変わらない。
LGBTQは大いに結構だが、それを他人に押し付けないでほしい。活動家の印象が悪すぎる。
ルッキズムの排除なんて絶対に不可能。
という思想を正直持っているが…
読み始めてすぐに、どうやら単純なLGBTQ称賛がテーマではなそうということは分かった。安心した。
「おじさんだって恋がしたい」
本筋とは外れるが…少し考えるところがある。
恋というと大袈裟だけど、おじさんだって、既婚者だって、子持ちだって、「あの人いいな」があ -
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思いがけずすごい好きな作品に出会ってしまった。
6人兄弟がそれぞれいいキャラで、それもこれもお父さんを失ってしまって、それぞれが乗り切るために色んなことを諦めたり悩んだりして今に至っていると伝わる描写が多かった。
真歩の話が好きだった。
お父さんとの思い出がたくさんある上の兄弟達も、それぞれ葛藤や寂しさがあると思うが、その中でもあまりに思い出が少ない真歩は真歩なりに、みんなの寂しさも感じ取ってしまうんだなと思った。
いつもの朝井リョウ先生の作品と少しテイストが違かったが、安直に「それから」が書かれてないところが、心の中でみんなの幸せを祈れるから好きだなと思った。