あらすじ
今日、わたしは「さよなら」をする。図書館の優しい先生と、退学してしまった幼馴染と、生徒会の先輩と、部内公認の彼氏と、自分だけが知っていた歌声と、たった一人の友達と、そして、胸に詰まったままの、この想いと――。別の高校との合併で、翌日には校舎が取り壊される地方の高校、最後の卒業式の一日を、7人の少女の視点から描く。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
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Posted by ブクログ
1つ目の短編が最高だった。恋をしている人の目線から見えるものの表現がリアルすぎ。先生への憧れを抱く瞬間あるあるって感じ。小説で自分を投影することってあんまりないけど、この短編はマジで共感できる。先生が先生という枠にはまりきっていない部分が見たくなる感覚が1番よくわかる。溢れる直前の真水みたいな目で見てくれるかもしれないっていうのが凄い想像できる。朝井さんの文章は痒いところに手が届く。
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それぞれのさよならがあったからこそ、また、前を向いて歩いていける。そんな優しいオムニバス小説でした。特に、大好きなのは「ふたりの背景」。飾らない日常の中に小さなふたりの世界がある。切ないけど温かい、生きるってこのこと。頑張っているあなたに必ず会いに来る。ビートルズの曲に載せて想いよ届け。
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朝井先生の作品を読むと自分の偏見や価値観を省みざるをえず、内面を抉られることが多いのですが、本作はそういうことはなくさっぱりとした読後感でした。
ただ、決して物足りなかったというわけではなく、甘いだけじゃない、苦いだけじゃない、酸っぱいだけじゃない、切ないだけじゃない、「青春」というワードが持つ独特の感覚を存分に味わうことができる満足度の高い作品でした。
あの頃の感受性を取り戻すことはできないし、あの生きづらい時代に戻りたいわけではないけれど、ふとあの頃の感覚を思い出したくなったときに読み返してみたいと思います。
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青春模様と心情を書くのが非常に巧み。印象的な表現が多数。それぞれの物語の間で繋がりが見えてくるのも素晴らしいが、わずか数十ページでこれだけ人物を描いて物語を作り出す筆力に感嘆。
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どの話も素敵で何度でも読み返したい。この作品で描かれる少女たちの爽やかさと侘しさ、瑞々しさに何度でも触れたい。その中でも、自分は「屋上は青」が特に好みです!
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ちょうど世代の曲が出てきたり、私が高校生のときに見ていた風景が蘇るような感覚があってとてもおもしろかった。懐かしい感覚とキラキラして眩しくてうるうるしちゃうような、綺麗な話がつまっててよかった。
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二人は一直線上にいるのではない。二度と交わることのない平行線上にいる。進学、就職、浪人、卒業とともに否が応でも各々の道に進まなければならない高校生たちの全七篇。いつか終わりが来るからこそ、青春時代の思い出は儚く尊いものなのかも知れません。
僕自身、前期試験に不合格、卒業式の晴れやかな気持ちのまま4月を迎えることは出来ませんでした。ですが、残された数人の仲間と過ごした後期試験までの僅かな日々、静まり返った校舎で黙々とペンを走らせて感じた悔しさと緊張、歓喜は十年近く経った今では良い思い出です。
本作品の登場人物たちほど物語性のある学生生活を送れた訳ではありませんが、過ぎ行く時間の中で様々な感情に揺れ動いた当時の記憶を甦らせてくれる一冊でした。
Posted by ブクログ
11/29Audibleで。題名が良い!って思ったら短編集か…。音声で聞くには向いてるかもしれない。1編目朝井さん、JKの描写うまいな〜って思った。
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Audibleにて。
こんな作品があったんだと、旅行の道中で見つけて移動時間で聴いてみました。
オムニバス形式の作品それぞれに主人公がいて、青春どストレートだったり、そこにまた淡い感じがあったりと毎回キュンx2させてくる系。出てくる高校生たちも当時私が高校生だった頃に近い年代だったから、感覚が当時に少しタイムスリップした。
私が今まで読んできた朝井リョウ作品は、毎回どこかしらに刺々しさや鋭い針のような文節や表現が沢山あって、でもって読者への問いかけが激しかったんだけど、これはサラサラいける。捻くれていない。中学生から高校生になるだけで、身体も心もとんでもなく大人になるんだなぁ(自分はどうだったっけ?)ってところを上手く表現してくれている良作でした。やっぱり凄いな、朝井リョウ。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの繊細で瑞々しい感性に
ひたすら感動してしまった。
美しい比喩を書き残してしまいたくなるほど。
廃校になる高校の卒業式。
「3月と4月は色が違う」
特に18歳の3月と4月の残酷なほど
違う色合いを思い出した。
今は別れも出会いも全部まぜこぜになって
ほろ苦さしか残っていないけど。
朝井リョウさんの文章に魅せられた一冊。
Posted by ブクログ
綺麗で爽やかで甘酸っぱくて、でもどこか苦いところもある高校の青春をこんなにも色鮮やかに描写していて面白かったです。なんだか果物のレモンみたいな小説だなと思いながら読んでいました。
どの話も「さよなら」するためのけじめをつける登場人物たちの話ですが、各章丁寧に登場人物たちの気持ちが描かれています。
「四拍子をもう一度」までは純粋な青春を描いたものでしたが残りの2篇でズドンと大きな衝撃を与える話が続いたので読んだ後もずーっと余韻が残っています。
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甘酸っぱい、というよりは儚くて切ない気持ちで満たされる。ひとつひとつの思い出が繋がって、学校という世界は存在した。
エンドロールが始まる、は個人的に好みすぎました。
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浅井リョウさんの表現力に感動した。卒業式当日のたった1日に7人の心情が詰め込まれており、時間を忘れて読み耽ることができた。物語の視点が変わっても、再度客観視されることによって、登場人物を思い出させる効果や、主観と客観の相違点を発見する効果があり読んでいて楽しむことができた。最後の章は、三角関係が生々しく描写されており、読んでて非常に楽しかった。
Posted by ブクログ
暗喩が綺麗。高校生の青春は尊く儚いとも感じた。ずっと続くと思っていても、ずっとは続かなくて、終わりがあり二度と戻れないものだからこそ、キラキラしているのかも。
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統合により校舎が取り壊される、とある高校の卒業式をめぐる短編集。
作者の朝井さんはほぼ同年代だから、学生描写がどストライク。こんな青春だった。
どの短篇も別れを描いているが、それは同時に人生始まりでもある。一瞬で通り過ぎる青春の輝きが素晴らしい。
タイトルの意味は最後まで明示されないけど、いろいろ考えさせられる。校舎取り壊しにより物理的に母校がなくなるという状況。それでも、心の中にはいつでも青春時代が残っているという意味だと、勝手に解釈した。
卒業ライブにBUMPの「車輪の唄」が出てくるのは、個人的にツボだった。めちゃいいよ。
Posted by ブクログ
朝井リョウはあるひとつの瞬間を捉え、そこにパッと光を当てて読む者を一気に惹きつける能力に長けた小説家だと思う。当作にもそのような場面があった。
20代の頃の著者の作品はどれも、ご自身の年齢に伴ってか登場人物が年若い。当作も高校の卒業式が舞台であるため当然ながら高校生が多く登場する。彼ら彼女らの会話文は大概、自分の年齢とのギャップもあるもののそもそも本質的にこそばゆい。だがそれでも、ある瞬間に光が当たった時に感じる仄かな高揚は朝井リョウだからこそ与えてくれるものだと思う。著者の作品はこれからも読み続けていきたい。
Posted by ブクログ
高校時代を思い出して、懐かしんだり、恥ずかしくなったり。
触れるとくすぐったいけど、触れていたい甘酸っぱい短編集。
あの頃の僕らにとっての社会は、学校という単位の中にきっちりと収まっていた気がする。何もかもが学校の敷地の内側に収まっていた。自分の存在や地位、キャラクターは、学校という社会に完全に依存していたし、一方で学校も僕ら生徒に依存して存在していたと思う。
僕や友人は、僕のギターの腕をそこそこ認めていたし、あの子の美貌は学年皆が絶対的なものだと思っていた。でも、大学生になって、僕のギターの腕はかなりへなちょこで、あの子より可愛い女の子は山ほどいることを皆知る。
そんな世間知らずで、内の世界を絶対的に信じていたあの頃を思い出す。
Posted by ブクログ
3年生の卒業と同時に校舎が取り壊されることが決まっている高校を舞台に、卒業式前後で心が揺れ動いている少女たちの話をそれぞれ各章でフォーカスしている。それぞれのお話は微妙にリンクしていて繋がりを感じる。
朝井リョウさんの作品は読んでいると、言葉の表現の美しさに感動を覚える。この本を読まなかったら一生出会わなかったような表現に出会い嬉しくなれる。
映画化もされてるようなので、映像としても楽しんでみたいと思えました。
Posted by ブクログ
朝井さんの作品は2冊目。
先に読んだ「何者」とはだいぶ雰囲気が違って、高校生の爽やかさと儚さのようなものを感じました。
エンドロールが始まる、夜明けの中心が個人的には好きでした。
自分は学校があまり好きではなかった。3年間しかない高校生活、もったいなかったな。
匿名
青春
こんな世界とは無縁の学園生活を送っていたけど楽しめた。嫉妬で斜めからの気持ちが沸いてきてもおかしくない世界。でもそんなのは無かったな。
Posted by ブクログ
一般的な日取りよりも遅い3月25日の卒業式。そしてその卒業式を最後に廃校になる進学校。そんな卒業式を含めた、その前後からの短い時間の流れの中での高校生たちそれぞれの生(LIFE)を連作短編で描いた群像劇です。
7つの短篇に共通する人物がいたりもするのですが、人それぞれ価値観や性格が違うように、7つの物語の主人公独自の世界が繰り広げられています。
大きな世界観に登場人物たちをくるんであげるようにして群像劇を編む方法もあると思うのです。それは「閉じた詩的な方法」としてのもので、ファンタジックな方法です。この作品でいえば、東西南北の棟によって成り立っている高校の造りというものがひとつの世界観的なものとして登場人物をくるんではいるのですが、あくまでそれは無機的な舞台装置にすぎません。登場人物たちの考え方や感じ方はそれぞれに別個のものとして存在しています。いわば「開かれた散文的な方法」なんです。そして、散文的なできあがりかたをしていたほうが、現代の現実のあり方として読み手はリアルな肌感覚で受け止めやすいのだと思います。それでもって、散文的な作りの中の登場人物個人のなかに詩的なものが宿っている。
作者が「露骨なセンチメンタリズムっていうものは無しで」っていう前提から書き始めてみたならば、それでも話の流れでセンチメンタルな描写や内容に行き着くというのがあったとしても、それは必然としてでてきたものなのだから嘘くささを感じにくいというのはあるのではないでしょうか。そのように考えたとき、初っ端の『エンドロールが始まる』はちょっとくすぶっている出来あがりのようにも感じられます。
というか、小説を読むときにありがちなのですが、たとえばこのような短篇集を読みはじめても最初はなかなか波長が合わなくて苦労するというのが僕にはあります。今回は第二章の『屋上は青』の途中からようやく読めてきた感覚でした。ですから、第一章の『エンドロールが始まる』がもっとドライだったなら、統一感みたいな、「うまくハマった作り」というような感想を持ったかもしれません。ただ断っておきますが、それは僕の好みであって、もしも僕の好みに適う作りだったならもっと単純で割り切れすぎる作品になっていたかもしれないです。
さらにいえば、作品の出だしではいろいろと読者に情報を与えなくてはいけなかったりします。説明書きにならないように、うまく状況や舞台になる場所などを伝えなくてはならず、さらに連作短編ならば、その作品一つとしての情報のみならず、これから読み手が味わう作品全体への予備知識をも持たせなくていけないので、そういった都合上どうしても出来あがりとして他の作品とは違ってくるというのはあると思うんです。プロローグ的な仕事を背負わされますから。ですので、「露骨なセンチメンタリズムっていうものは無しで」っていう前提で嘘くささを排す効果があるやりかたは、やっぱり第一章は大目に見るべきで、本番は第二章からと考えるほうがいいのかもしれません。
第二章からはもうずっとおもしろくて、すごいんです。かなりおもしろい。ユーモアに満ちていますし、登場する高校生たちの体温や吐息までもが伝わってくるかのような生きいきとした言葉遣いと心の動きがあります。十代をぽやーんと生きていたらこういうのはまず書けない。作者はしっかり目を見開いて学生生活を十分に生きたのではないかなぁと思いました。
これがいいんだよなあと思うのは、作者と登場人物との間に上下関係がなさそうなところです。作者がセリフを言わせている、考え方を作っている、という感じがしなかった。たとえば第三章『在校生代表』にて卒業式の送辞をする亜弓という人物がどんどんきわどいことをステージ上から語っていくのですが、作者が操作している感じがまずしませんでした。そういう、作者が操っているんだぞ、っていう感覚を受けないところが作者の美点だと思いました。まあでも、俯瞰してみているんだな、っていう感じはあるんですけども。
笑えて、切なさがあって、十代のキュンとした記憶がくすぐられて、輝きがあって、闇があって、まっすぐな気持ちよさと自己陶酔的な愚かさとがあって、邪魔されない個性があって、邪魔される個性があって、単純で、でもわりきれなくて……。高校生たちのそういった生(LIFE)の物語でした。
タイトルが『少女は卒業しない』で、これは最初、否定的な意味なのかなと思いました。が、読み終わると「うんうん、卒業しなくていいんじゃないの? 卒業しないほうがその後と地続きでいられるじゃん」なんて思えてきました。まあ、個人的にそう思ったということですが。
またそのうち、朝井リョウさんの他の作品に触れてみようと思います。読んでよかった。
Posted by ブクログ
名取佐和子さんの「銀河の図書室」(実業之日本社文庫)の中のビブリオバトルのシーンで登場していた一冊。それがきっかけで手に取りました。
朝井リョウさんって、少女か?ってくらい少女ですよね。
私は、在校生代表送辞の章が好き。笑いの中に、切なさが隠れている。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの書く青春群像劇が好き。だけどこの作品は人間から出たえぐみの煮凝りみたいなものが少なくて物足りなく感じてしまった。フレッシュで、儚くて、どこか諦観を持っている。そんな彼女らのこれからができるだけいいものになればいいと思った。
Posted by ブクログ
二度と戻れない、取り戻せない時間だからこそ感じるのか、高校生の頃のどこか切ない、あの憧憬。
遠くに置き忘れた感情、皆人それぞれ多かれ少なかれあるんだろうけど、女子高生視点でそれがうまく描かれている。あの古い校舎に、吸い込まれそうな広い空の待つ屋上…。
朝井さん、こんな本も描くのかぁ。少し新鮮味。
Posted by ブクログ
まさかの映画の方を先に見てしまった。
映画のほうは、全体的によく意味がわからなかったけど、こういう話だったのかって改めて理解できた。
最近、読んでる本がことごとく異性目線で話を書こうとしてるのか不思議。男性なら男、女性なら女でいいのに、なぜか異性が描く話ばかり最近読む。面白くない。
せめて、異性目線がほしいなら『冷静と情熱の間』みたいな感じで書いてほしいと思う。
映画のほうもラストの意味がわからなかったけど、小説でもラストの意味がわからなかった。
唐突すぎない???
前フリとかなくいきなり、なんの話してるのか混乱する。
Posted by ブクログ
卒業、期限、リミットの設定。
それさえなければ思いを秘めたまま、冷めていったり、忘れていったり、後悔することになったり。
期限があるから行動しなくちゃってこと、期限のせいで行動されてしまうこと、伝えられてしまうこと、そのせいでまた後悔すること。
どうしても苦い経験が付きまとうのが卒業なのかなと。
そしてタイトルの「卒業しない」っていうのは、、、まだこの本への理解が及んでない感覚が残る