朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やっぱり朝井リョウは裏切らない。
嫉妬や独占欲、承認欲求などの感情の変化を言語化するのが上手すぎる。女性の感情や機微な人間関係を、なぜ朝井リョウはこんなにも的確にそして面白く書けるのだろう。
すべての注目をかっさらってその場の主人公になっちゃう目障りな人っているよね〜、誰かのためっていうフリをしながら実際は全部自分のために行動してるってこと結構あるよね〜、と共感しっぱなし。
そして登場人物たちに共感している自分の性格の悪さを突っつかれているようにも感じた。
朝井リョウの小説を読んでいると、毎度自分の腹黒さや性格の悪さなどを指摘されているようで、「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪と反省の言葉ば -
Posted by ブクログ
「世界地図の下書き」という素敵なタイトルに惹かれて読み始めたが、この小説に「世界地図」は出てこない。児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす子供たちの話である。
両親が交通事故で亡くなったあと、預けられた親戚の家で虐待を受けて「おひさまの家」に来た大輔。同じく両親がもういない淳也と麻莉の兄妹。母親の虐待を受けている美保子。両親がおらず、弟が入院していて、遠方の親戚から経済的援助を受けている高校生の佐緒里。この5人が同じ1班として、「おひさまの家」で一つの部屋を共有している。自分を守ってくれるはずの親を亡くしていたり、親に傷つけられたりと心に傷を負った子供たちだが、施設の中では互いに心配しあ -
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SNSで話題になっていたので読んでみた。
それぞれの人にとっての正欲とはなにか、考えさせられる。
多様性とは何か、についても。
もう時間空きすぎてほぼ忘れてるからまた読みたい。 -
Posted by ブクログ
ちょっと涙拭くから待って…
児童養護施設で暮らす、子どもたちの一生懸命な物語。交通遺児、児童虐待、イジメなど、読むのがしんどくなるような内容がたくさんありましたが、「実際にこういうことが世の中にあるし、もしかしたらもっともっとひどいこともあるんだろうな」と思いながらモヤモヤしながら読みました。
自分たちだけではどうしようもない現実に置かれながらも、一生懸命に向き合い、なんとか希望を描きながら前に進んでいく子どもたちの姿に心打たれました。みほちゃんとまりちゃんの強さには本当に涙。
逃げたっていい。きっと素晴らしい人との出会いが待っている。そう思わせてもらいました。
子どもたちにも読んでほしいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱり朝井リョウさんの作品が好きだなあと改めて感じました。
文章の緩急が滑らかで、さりげなく物語の山場へと導いていく手腕が本当に見事だと思います。
『水曜日の南階段はきれい』
当事者にとっては何でもない光景なのかもしれないけれど、第三者から見ると二人があまりにも輝いていて、最高でした。読んでいて心が潤いました。
『それでは二人組を作ってください』
理香の姿は、ただ「かわいそう」と片付けられない複雑さがありました。
人間らしさが滲み出ていて、嫌いではないけれど…何とも言えない後味が残る作品でした。
『逆算』
沢渡さんとぜひお近づきになりたい…。
『きみだけの絶対』
自分が大切に -
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多様性という言葉は、魔法のように全てを見通すことのできる美しい言葉ではない。けして交わることができない他者がすぐ隣にいるという絶望を突きつけるための、恐ろしい言葉だ。
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Posted by ブクログ
ちょうど今の自分に刺さる内容だった。
夢中になれることを探すのってすごく難しい。そういうのって探せば探すほどわからなくなるものだと思う。
周りが、何かに夢中になっていたり、意味のあることをやっていると、なんとなく焦ってしまう。
同級生と数字で比べない世界になっても、逆に突出した人が目立つことが多くなり、自分との差にがっかりしてしまうこともある。
そういうのって、いくつになってもある。むしろ、大人になってからの方が、自分の限界が見えてきている分現実的にのしかかってくるようにも思う。
結局、自分の軸で、自分が満足できるものを探すしかない。
けど、生きがいというほど大それてないくていい。自分が心地 -
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『何者』を読んでから、読んでみると
他人からどう見えていても、人それぞれ葛藤があるものだよなと納得させられる。
納得させるほど人の醜い部分や温かい部分を描き切る朝井リョウさんはやっぱりすごいなと。 -