朝井リョウのレビュー一覧
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家電メーカーの総務部で働く尚成に宿った男性器が、尚成と人生を共にしながら人間の共同体の構造を紐解いていくお話。小説というより、独特のテンションで進行するドキュメンタリーのような感覚で読めます。
『正欲』に引き続き、「多様性」をテーマにした一冊。『正欲』が「多様性」という価値観によって苦しむ人たちを描いていたのに対し、本書はその「多様性」の根源を解き明かそうとしています。
オーディブルで聴いていたのですが、男性器の一人称部分で、寄生主を「尚成は──」と呼ぶのが印象的でした。「小生は──」と聞こえる響きは偶然ではないはずです。尚成をあえてへりくだった調子で呼び、「オス個体」「メス個体」「一個体 -
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ネタバレ初めて朝井リョウさんの本を読みました!
就活を終えた身なので、手持ちの手札を強く見せるダウトのようなゲーム、と合ったときあ~確かに、、と思っていました。
共感できるできる部分が、たくさんあるのでどんどん読み進めたくなってしまう。
でも、話が進むにつれて、自分に置き換えてしまうので読みたくなくなってくるというジレンマがあります。
タクトとリカが、ピックアップして描かれていたし、実際みんなああいう面は持っていると思う。
だけど、ミズキやコウタローが清廉潔白なわけではなくて、きっと2人も心の中で人を分析したり笑ったりはしていると思う。
それでも上手く行ったのは、就活や人付き合いが上手かったとし -
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★★★★ 何度も読みたい
オムニバスで、同じ空間を共有している者たちの短編集。本当に必要なことを大切な人に伝えることができない女子大生、楽しく日々を送りながらも熱中するものが見つからない男子大生、母の再婚に気持ちの折り合いがつかない美大生、美人な姉と比較され続け、彼女を追い抜きたい浪人生、ダンスの専門学校に通いながらも才能の限界を感じている専門学生がそれぞれ主人公になる。
特に最後の「破りたかったもののすべて」は院進と就職で悩んでいる私に深く刺さった。高校時代に言われてきた「すごい」には賞味期限がある、とか、普通になることを選べなかった、とか。その道を選ぶ覚悟は本当にあるのかと問うてくる作 -
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全部持っていかれた。著者の現代の生きづらさを言語化する明瞭さがハンパない。自分の人生に投写してしまうぐらい共感した。正論と個人主義と死にがいと人間の性みたいな抽象的な概念が、温度感を持ちそのまま人になり群像劇になっている。生きがいを求めないと自分の存在確認ができない、他者との好善なつながりを担保できないのは、育ってきた生育環境を省いても、そういう葛藤はあるのだろうと思った。人間の性として著者は、弱さに重きを置いてる気がする。ダメだけどやってしまう、不安でたまらない、求めてしまう、人間の土台は弱いからこそ、その上時代の変化になんなく影響されてしまったり。そういうところを取り出して保存してるのが好
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Posted by ブクログ
大学生の時、私も死にがいを求める症候群になっていたことを思い出した。今思えば、周りの人とは違うと自分を肯定してあげたかったことが理由だと思う。
そんな私を変えてくれたのは夫で、社会問題は考え出したらキリがないし、誰かがかならず全力で解決してくれるのだから、自分の好きなように生きたらいいという、ある意味生殖記的な考えを持っていた。
今は彼の言葉で楽に生きられているし、生活や趣味を大切にしている自分(むしろ、仕事のように、よく見えない誰かのためにすることの重要度を下げている自分)に満足している。
…と書いていてふと思ったのだが、令和の時代は、他者との分断、自己責任論を超えて、それを放棄する