朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ不思議な感覚になる一冊。
生殖器というタイトルがどういう意味なのだろうと思って読み始めたら、まさかのそのままの意味。主人公の尚成の生殖器が語り手になり、尚成について語るという構成。
尚成は同性愛者であることをカミングアウトせずに生きてきて、様々なものを諦めてきた。仕事をする上でも、成長や貢献に関心はなく、ただただ賃金を稼ぐためだけに仕事をする。そんな中、周囲は成長や貢献など、「共同体感覚」をもって、組織や社会の発展のために働く。この、発展を当たり前とした世の中に対する疑問を抱き続けながら、ただ1日を消費し、賃金を稼ぐために別の星に来ているような感覚で働く尚成。
共同体感覚について語り、組織 -
Posted by ブクログ
私がずっともやもやしてた考えを言語化してくれた作品。私たちは競争という社会から徐々に離されていき、ありのままの自分で、やりたいことを追求して確立していくような世代である。しかし自分らしさなんて何もわからないし30を過ぎても何者にもなれてない。自己否定に苛まれ自滅してしまいそうな瞬間もあった。ただこの作品では、そのような現象は平成の産物であると表現している。我々は自己肯定をするために他者と比較し自分の方が優っていると確認作業をしながら生きている。自分を否定してくる他者を攻撃する。対立は目に見えないところで続いている。環境がどれだけ豊かでも満足して生きられない、欲張りな人間という生き物である私。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ直木賞受賞作の「何者」の登場人物の過去や未来について、6人のエピソードが書かれた物語。
事前情報が薄い中で読んでいたので気づかなかったが、読み進めていく途中で、これが前作の「何者」の登場人物に潜む謎を明かす物語だと判明する。
何者で、軽音サークルに所属し、就活のタイミングでは上手く思考を切り替えて内定をもらった光太郎の初恋の話や、留学やイベント運営など履歴書は優等生ながらプライドが高くどこか不器用で就活が上手くいかなかった理香と、同棲するちょっと厨二病風な彼氏の隆良との出会いなど、短編の物語が6作品綴られている。
特段、作品間で繋がりがあるわけでは無かったので、あくまで短編小説として読む -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウさんの大人気エッセイ「ゆとり3部作」第1作目。
ミステリーを続けて読んでいると、
たまに心が重たくなってしまい、「頭をからっぽにして笑える作品が読みたい」と読書好きの友人に話した際に勧めてもらった1冊です。
結果、おすすめは大正解でした!
笑いながら読めるのに、「若い頃こういう気持ちあったな」と共感できる場面も多く、
一方で「そんなことしちゃう!?」と驚かされる場面もあり、終始楽しく読めました。
特にお気に入りは「眼科医と衝突する」の章。
とても短い章ですが、「君は愚かだね」と言い放つ医師と、その言葉を浴びた朝井リョウさんの心情描写が秀逸で、その後の“第二回戦”の医師のほんわ -
Posted by ブクログ
スクールカーストの解像度が高い!!
大人になった今だから俯瞰して読めるけど学生時代には刺激が強いかもしれない!
あの世代の若者たちにとって学校は世界のすべてで、その狭い世界の中でどう立ち振る舞うかがこれからの人生とか家族との時間とかよりも大事で、どう考えても生きづらそうすぎるだろとは思うけど、でもそういう過程を経たからこそ大人になれているんだろうなとも思うし、かと言ってそういう過程を経ないと大人になれないのかと言われたらきっとそんなことはないし、学校って本当に特殊で複雑な小さな世界!そういう未成熟さが危うくて、だから未成年は庇護の対象なんだよなと納得したりしつつ、そういう不完全さに愛おしさを -
-
Posted by ブクログ
SNS時代における質と価値のあり方がテーマのお話。
特別な才能があるわけではない人でも、日々の発信の積み重ねによって誰かにとってのスターになり得る。かつては限られた人だけがスターと呼ばれていたが、今はそれぞれのコミュニティの中で輝く存在が生まれる時代になり、閉じた空間の中であっても、そこに確かな価値を見出してくれる人がいれば、その人は紛れもなくスターなのであるということが書かれていました。
本来比べられないものを同じ土俵に載せて、どっちが優れていて、こっちは劣っていると比べ続けていると許せないものが増えてきてしまう。
誰かにとっての質や価値は、その人自身にしか判断できないものである。
自