朝井リョウのレビュー一覧
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朝井リョウは好き。書いてるものも、話すことも、もっと言うと見た目も。エッセイなら頭の中身に少しでも触れられるかもと思って手に取った。その後、安住紳一郎の日曜天国のゲスト回や、加藤千絵さんとのラジオなど、さまざまなものに触れて(いいんだけど、すごく面白いんだけど)、著作をもっと読もうと思った。そんなきっかけになった一冊。
p207
*今でも私は、締め切りが近づけばどうになかなる、という言説を信じていない。当然のようにどうにもならなかったこと、そしてどうにもならなかった後も日常が滑らかに進行していったあの感覚が、薄気味悪く思い出されるからである。
p241
*「この人、生きていく力がある」
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あらゆる事象に動じず、あらかじめ準備して心づもりしてきた人たちを鼻で笑うかの如くちょちょいと物事をやりのけてしまい、できなくても動じない。そんな人を見て著者が思ったことば。 -
Posted by ブクログ
私が思ったことをそのまま記録として残します。レビューというより読書感想文に近いと思うので、レビューとしての参考にはならないと思います。
最後の方で、今まで自分が感じていた絶望から救われる気がしました。私は何かに繋がってないといてもたってもいられなくなります。ただ引きこもりなだけの私が外に出ると、みんなが当たり前に持ってる繋がりのようなものが目に見えてわかるんです。そこに自分が存在してる事実は、水の中に一滴の油が垂れているような、沈むこともできずただ浮いている油のような邪魔者感が拭いきれませんでした。私は家族と過ごす時も、水の中に落ちた油のような感覚がありました。学校でも職場でもそうです。家族からしたら私は何も話さないよく分からない子だと思うんです。扱いにくい子、自分の子供なはずなのに好きな物すら分からないで何を考えてるかわからない同居してる別の子という感覚があるように感じます。もちろんお腹を痛めて産んだ子ですが、母親だからとなんでも分かるわけでもなければ、幼い頃から病気を疑われるほどに言葉をほとんど話さなかった私の事を詳しく知っている方がおかしいですよね。それでも病院に連れていかなかったのは、母も私を自分の子供として本気で扱うことを無意識にサボっていたのではないかと感じます。そんなこんなで家の中でも私は人との繋がりを感じられませんでした。学校でもそれが癖になっているからなのかめんどくさいからなのか、繋がりは持てず、担任の先生が言う「クラスのみんな」の言葉の中に私が入っているという感覚はありませんでした。現在夜職をしているのですが、その中でもやはり客からは夜職らしくないという言葉をかけられたり、スタッフと仲良くできることもなく、働いている女の子と比べても私だけ何かが違うような感覚があります。おそらく家でも学校でも職場でも扱いにくい子というポジションにいるんだろうなと思います。外へ出る度、周りの人の繋がりが見える度、何も繋がってない私の存在が気持ち悪くて居心地が悪くて仕方なくなります。本当に繋がりが消えたとかんじた時に、周りを傷つけたくなったことも自分をこの世から消したいと思ったことも沢山あります。その時の感情を私は上手く言葉にできませんでした。ですが、この本の特別付録の部分では、その時の私の苦しみをサッとすくって文字にしたようでした。何が辛かったのか一言一句外れることなく、わたしの心の中に蔓延っていたモヤモヤをサッと取り出してくれました。私の中で、人との繋がりはおそらく読書のみでした。だからこそ、自分に繋がりを感じなかった時、必死に小説に食らいつきます。他の誰かも読んでいる小説を読むことで繋がりを感じていました。もし小説を幼い頃に買ってもらわなければ、面白いと思う小説家に出会わなければ、私はどうなっていたのか想像もしたくないです。自分の中の苦しみも理解できた上に、かんたんに苦しみから開放されたような気がしました。自分に都合のいい正解を見つけてくれた感じです。思考停止をせず考え続けることが大事だとは思ってますが、ほんとに辛い時に縋りたい本です。自分のことを傷つけないためにも、他人を無差別に攻撃しない為にも、この本は私が辛い時そのストッパーになってくれると思います。長々と文章を書いている通り、私は頭がよくありません。考えることが嫌いです。なので私は小説においては結局はただの物語でしょと思うようにして、小説を通じて投げ掛けられた問いや考えについては無視をすることが多いです。そんな中この本は、小説を通じて伝えてもらったものが本を閉じたあともしっかり心に残ったままです。物語を楽しむためではなく、伝えるための小説のように感じました。私が無視をしていただけでおそらくどの小説もそうなんでしょうね。たくさんの小説を楽しむ上で、今後はまた違う目線で楽しめるようになる気がします。今回の物語とは関係ないですが新たな発見があり嬉しいです。
最後に、このプロジェクトがなければこの本に出会えませんでした。プロジェクトに関わっている全ての関係者へ。本当にありがとうございます。そしてこんな素晴らしい物語を描き上げてくださった朝井リョウ様。本当にありがとうございました。
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初めての朝井リョウさん。楽しかった。
ポッドキャスト「信頼できない語り手」でお声をずっと聴いているものだから、朝井さんの声で脳内オーディブル。書き手さんの声で再生されるなんて、そりゃ楽しいし贅沢でしょう。
いや、ほんと、文中の語り口調、めっちゃ朝井さんですよね?
主人公はマイノリティな部分を誰にも打ち明けられず、ひたすらに忍び続けている30代男性。
私、主人公と逆のタイプ。新鮮だった。
マイノリティに属する部分って、誰にでも何かしらあるかと思う。私もあるある。某後輩はマイノリティを起点に人と出会っているし、動いているし、マイノリティだから孤独に陥るかはイコールではない、結局は人による、だ。
全体的に、社会の構え方(やたら上からに感じちゃう)に対する不満がドーンって内容。
最後には主人公が明るくなっていたけど、それも自分にとって都合が良い情報があったおかげ。
それぞれが都合の良い情報をお守りにして生きている、てなんかわかる気がする。
また朝井リョウさん読みたい。
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Posted by ブクログ
朝井リョウさんの本を初めて読みました。
心の中のモヤモヤや人間の生きづらさ、日常に潜む細かな描写や揺れ動く感情、的を得た比喩表現などの言語化能力に終始圧倒されました。
さすがの作者だな〜と。
雄介と智也を対比させてるようで、最終的に根本的なところは似通っていて、平成で唱えられた綺麗事の中でもがく若者が上手く表現されてた。
今まで読んできた本の中でいちばん壮大なテーマであり、自分の視野の狭さを改めて思い知らされた。
人間という生き物は、常に自分の価値を見出さないと生きていけないことを改めて感じたし、他者がいる以上この生きづらさは一生付きまとう人生のテーマだとも思った。
とてもとても深くて考えさせられるお話でした。
朝井リョウさんの本、まだまだ読みたいと思います。 -
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの作品4作目
人の感情を言語化するのが相変わらず天才的だと感じた。
堀北雄介は勉強、運動ができ、目立ちたがり屋だという印象であったが物語の後半からかなり印象が変わった。
雄介は趣味ややりたいことが特になく、学生時代は周りと比べて目立つ存在であったが大人になるにつれて、学校というルール規範やイベントが減るようになるにつれて、目立つ機会が減ってしまっていた。
やはり、学生の時のプライドなどもあり、他の人と比べて上に立っていたいという気持ちは捨てきれられないのだろう、他の人が多方面で何かに打ち込むこと中、何もやれてない自分に酷くコンプレックスを抱いてしまう。
ここで雄介は擬似的に生きがいを探すことをする。
特に興味がないジンパの復活や学生自治の復活という大義名分のもと活動している自分を作ることで生きている意味を見出している。
目的と手段が逆転している現象が生まれる。
初めは雄介に共感できなかったがこの生きがいをさがないと自分は何のために生きているのか?みたいな気持ちはとても共感ができた。
昔と比べてSNSで他人と比較しやすくなったことや自由な生き方ができるようになったことでどのように生きればいいのかわからず、こんな生き方でいいのかと考えてしまう機会も増えていってるのは若者が抱える現代病なんだと感じた。
生きがいにおける3パターンのカテゴライズが面白くとても納得できた。
自分もパターン3に近しくて終盤の雄介の行動には共感を持たざるを得なかった。
平成が生み出したありのままに生きていい価値観、生きがい、生産性、社会へのつながりが生み出した生きづらさが言語化されてた。
解説や朝井さんのあとがきの内容まで含めて平成の影の部分が文字として表現されてて自分自身はどう生きるのがいいのか再び考えさせられ、負のループが生まれんじゃないかと思った。