あらすじ
東京ではない海の見える町で、亡くなった父の遺した喫茶店を営むある一家に降りそそぐ奇蹟。若き直木賞受賞作家が、学生時代最後の夏に書き綴った、ある家族が「家族」を卒業する物語。
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朝井リョウさんの過去作を読んでみたくなり、この作品を読みましたが、まさに大満足でした。
表題の「星やどり」という名前の喫茶店を舞台に、6人兄弟姉妹の視点で物語が進んでいきます。
家族であり、長い時間をともに過ごしているからこそ他者には、言えない気持ちを抱えている。
物語が進むにつれ様々なきっかけにより気持ちが爆発してしまう。そんな場面の表現が素晴らしいので、ぜひ読んで欲しいです。
映画での映像でも見てみたい作品でした
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今年1番泣きました。
最初から最後まで涙が止まらない小説なんて、
何年ぶりに出会っただろう。
長女、二女、三女、長男、次男、三男。
それぞれの立場で一人一人がリアルに書かれてて…。
兄弟間や友達との会話も違和感ない作品。
男の子ってほんとアホって笑えたり、
女の子って難しいって複雑な感情を抱いたり。
最後には、家族の温かさに気が付くことのできる良作品でした。
この本を読んだあと、いつもより少しだけ家族に優しくなれた気がしました。
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エッセイから入ったけど…小説もいいじゃないかー!朝井リョウ!!好きな作家の一人になりました。
皆の得意なことが店を守るのに繋がったり、「星やどり」に込められたお父さんの想いに鳥肌!
最後の方、いっぱい泣きました。
<2020.4.16再読>
東京ではない海の見える町。三男三女母ひとりの早坂家は、純喫茶「星やどり」を営んでいた。家族それぞれが悩みや葛藤を抱えながらも、穏やかな毎日を過ごしていたが…。
朝井さんの人物描写はほんとすごい!
リアルなんだよな~。
星則→律子→琴美→光彦→小春→るり→凌馬→真歩→星則……
お父さんから名前がしりとりになって、またお父さんに戻って、家族が輪になる。
お父さんからお母さんもしりとりになってるのすごいよね。
自分が居なくなることを知って、店の名前を「星やどり」にして輪を繋げた。
最初に読んだ時の衝撃はすごかったけど、再読してもやっぱりすごい。
<2025.7.10再再読>
冒頭の一文からいいよね。
“まっしろな牛乳は糸を引くように体の中を巡る。寝返りをうつたびにばらばらになってしまった体内のパーツを正しい位置に戻しながら、指先にまで冷たい白は染みわたっていく。”
他にも好きな表現がたくさん。
“見えない冷たいてのひらが自分の体を撫でては離れ、撫でては離れていく。夏の電車の冷房は、長時間乗るには温度が低すぎる。”
“花びらで作った色水のようにゆらめく夏の夕空を見て、真歩は背筋をぴんと伸ばした。”
“海が、波を揺らしながら夕陽を溶かしていく。この町のオレンジが溶けきった海は、夜になるまでの短い時間を堂々とゆらめく。”
“からっぽのグラスは朝陽を吸いこんで、この世に悲しいことなど何もないというような顔をしている。”
“星型の天窓。切り取られた小さな空。小春は、本当はあそこに色を塗りたかった。夜の一番深いところを絞った濃紺に、光が生まれる根元のような輝く金色をまぶす。”
琴姉が夢で見たことが翌日現実になり、皆の困りごとに気づく。
妊娠している時に不思議なことが起こる人はけっこういるらしい。
“「子どもがいるってわかったとき、お腹の子があの夢を見せてくれてたんだろうなって思った。この子が、私たち家族がバランスを保てるように助けてくれていたんだなって」”
家族の名前がしりとりになってて、それが輪になっているって素敵。
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父を亡くした6人兄弟のそれぞれの視点から語られる物語。
優しく、でもつよがりな母と愛情深い父。
兄弟それぞれの学校でのエピソードなどは高校生の自分にはすごく想像できるし、共感できることが多かった。
長女の琴美には1番感情移入できた。
琴美に対して父が囁いた、琴美が生まれてきた日のことは忘れない、琴美が私たちを家族にしてくれた。という言葉を見た時、私も長女だからそう思ってもらえたのかなって思った。文章でこんなにも泣きそうになるなんて思わなかった。いないはずの父の声が記されていて、その言葉ひとつひとつが温かくて、優しかった。
著者が書いた年と同い年だったこともあってリアルを感じた。
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朝井リョウさんの過去作。
こんな家族愛ストーリーを描いていたなんて…。王道でありながら仕掛けがあり、しっかり楽しませてくれる朝井リョウさんさすがです。
父を失った家族と父が家族に残していったもの。このバランスが最高。登場人物それぞれの一人称視点で描かれる作風がなんといっても朝井リョウさんらしい!この構成が大好きで、それぞれをもっと見たいと思う絶妙なタイミングで次の視点に変わるからまたのめり込んでしまう!
ただ、夢の超常現象みたいなくだりは個人的にいらなかった。家族物語で大満足!
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家族の物語。六人兄弟姉妹のそれぞれの視点から、見た一夏が亡き父が残していったモノやコトバを拾い集めながら喫茶店「星やどり」を中心に描かれてる。最初は誰が誰だかわからないまま進んでいったけど最後は登場人物の人なりがわかってきて、そこはこいつがそーゆよなーって場面が増えて面白かった。ただ、誰に感情移入すれば良いか分からない、それが正しいのかもしれないけど。ラスト、店を子供達だけで回す所、それを見て、もういいよねってなる母はすごい良かったな。家族って良い。
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とっても良かった~~~これが朝井リョウ。これぞ朝井リョウ!
もう読み始めてすぐに、この丁寧で綺麗な状況描写、これこれこれーーー(T_T)となった。一つ前に読んでた小説が、こういう叙情的な表現が全然無いどころかむしろもうちょい状況を教えてくれみたいなんやったからもう余計に。連なる文字の表面の空気を吸い込むみたいな気持ちで味わい深く(?)読めた。いちいち味わい深い。良い。
そして、ミステリとまでは言わないまでも、隠されているものの存在が少しずつわかってきて、それが少しずつ明らかになっていく感じも、上手く徐々に物語に引き込んでくれる感じですごく心地よかった。
自分もだんだん良い歳になって「家族」というものについて考えることがあったり、自分のこれからの人生のためにそこをもっと掘り下げて深く考えておかないといけないなと思ったり、そのタイミングで読んでおいても良いかもということを読み始めるときに思ってた。自分と同じ長女の琴美パートが最後に来てるのも、自分にとってどう出るかなと思ってた。琴美は私なんかより遥かにきっちりしてしっかりした長女やったけど(そら下に5人もいたらそうなるよな)、それでもやっぱり当然共感するところもあったし、やっぱり一番感情移入したのは琴美やったかなと思う。ただ最後、「あなたはもう、早坂家の長女じゃなくていいのよ」という言葉はちょっと、何というか、個人的には早坂家の長女じゃなくなるわけじゃない(早坂家の長女じゃなくなってほしくない)とは思ってしまった。ただ、これは「早坂家の長女」というのがそれほどの重たい役割やったということなんよなとも思う。あと、別に子どもを持つことが「家族」の必須条件ではないよなというのも同時に思った。いやそういう話なのはわかってるのだけども。
子どもたち全員が、それぞれに違う想いで、違う表現で、お父さんのことが大好きだった。その6者6様の描かれ方がとても良かった。なぜか、るりパートでの、お父さんが2人を見分けられなくなった日から小春が変わった話、「小春はやさしいの。」らへんのところで一番泣いた。
あとやっぱり凄いなと思ったのは末っ子の真歩に関する描写。まず、朝井リョウが書く、小6のときに見えてた世界の解像度の高さみたいなものに驚く。思い出させられたというか。あ、確かに小学生のころの世界の見え方ってこのぐらいやったかもって読み進めるにつれて。そんなん忘れてるよな普通。そして、こんな、文章だけで綴られてるのにこんなにも真歩がかわいいことがすごい。全体にちりばめられている要素がすべて合わさってかわいい。すごい。
★で始まるパートに関しては、何かあるんやろうけど何やろな~と思いながら読んでて、凌馬のところで明らかに第三者視点に切り替わってるなって気づいて、お父さんが見てるってことなんかなって考えてた。そうではなかったけど、まあ中らずと雖も遠からず?それと名前のしりとりは、きょうだい6人の分はどこかの段階で気づいてたけど、両親も含めてというのは気づいてなかった。なるほどでした。
Wiki情報によると、これは朝井リョウ氏の卒論らしい。実質的には発表されている中での氏の一番古い長編小説になるのか…?すごいな。色んな意味で。
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それぞれの兄弟の物語が、一つ家族の形となっていく。
きれいな展開が良かった。
死を前にした父の姿がちょっとずるいくらいに凄すぎて、共感できないところはあったけど、理想としたい。
もう少し一人一人の深いところまで知りたいところもあったな。
また読み返したい一冊。
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「正欲」、「生殖器」を読んだ後だったので、意外さに驚いた。
純粋に家族の温かみを感じる話。
父の言葉が子どもたちの生きる力・道標になるのか、或いは足枷・プレッシャーになるのか。
自分が将来父になったときに子供へかける言葉について考えさせられた。
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父を癌で亡くした6人兄弟の家族の物。
それぞれの視点で描かれる物語は最後に全ての像を結び、本当の家族の物語になった。
それぞれが優しさを持って家族に接しているところが胸がじんと熱くなった。
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亡くなった父との思い出とともに生きる6人の兄妹の物語。朝井リョウさんの著書は初めて読んだが、登場人物たちの会話にとてもリアリティがあり、本当に彼らが存在しているように思える。各章は6人の視点で語られるが、語り口や考え、話し方もしっかり分かれていた。
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家族はずっと一緒にはいられない。でもこの家族は、きっと自分で、各々の道を歩んでいけると思う。お父さんが作った天窓とお店の名前の意味に、胸がいっぱいになった。素敵な家族。
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人の名前を覚えるのが苦手なので登場人物が多いお話はよく混乱するのですが、朝井作品は今までいくつか読んできた中でそれが一度もありません。
朝井さんが生み出すキャラクターはみんな「生きている」というか。人間を本当によく見ていらっしゃる方なのだな〜と毎回思います。
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そう言うことかー!と最後に納得感。
ただできることなら...と思う最後。
小春の色で見える感覚が色字共感覚だった私にとって、それこそ共感できて好きだった。
星やどり行ってみたいな。
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著者の他の作品も読んだことがあるけど、星やどりの声はどの作品よりも胸があったかくなるようなお話だった。
家族っていいなぁ。読後なんだか無性に家族に会いたくなった。
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朝井さんの作品を「少女は卒業しない」に続いて読んだ。家族の物語、心に残りました。
近くにいるから、いちいち声にせず気にかけていることは家族ならあるなあと思いました。一方で兄弟姉妹は嫉妬もあり。
少し丁寧すぎるくらいに言葉や情景を表現してくれているので、とても読みやすかったです。
また、朝井さんの作品を読んでみようと思いました。
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純喫茶『星やどり』を営む家族のお話し。
父親が亡くなった後の、三男三女の兄弟と母親が物語の中心。兄弟それぞれの目線で一章ずつ描かれ、全部で六章。
父親や家族、『星やどり』へのそれぞれの思いが描かれていて、とても温かい作品でした。
双子の姉妹のお話しが特に好きです。
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3.8/5.0
いい話、ではあったけど、若干薄味に感じた。
それぞれの章の繋がりがもっとあったり、それぞれの苦悩や葛藤がもっと胸に迫るものがあると更に良かった。
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父を亡くした兄妹の物語。
桐島、もういちど生まれると比較すると、ぐちゃぐちゃとした内情の描写よりは、爽やかさが作品全体に顕著に表れていた印象。
⭐︎3.5
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正直、朝井リョウの作品ではないように感じた。もちろんいい意味で。調べたら2011年に発売された本だった。特に最近は生きることが苦しくて苦しくてたまらないみたいな本が多いけどこの本に関しては全く違った。こうゆう温かくなる本もまた書いてみて欲しいと思った。
内容の感想は家族の愛って素敵だなって思った。みんながみんな問題を抱えながら生きている。その中で長女の琴美が夢で見たことを頼りに兄弟を導いてきた。でもその琴美は誰を頼ればいいのか。1番鈍感そうな光彦が琴美に対してもう十分頑張ったよって言ったシーンは感動したな。家族1人1人が家族のことをちゃんと見てるんだって思った。ただ琴美の夢で未来が見えるみたいなのは流石にリアリティがなさすぎかなって思ってしまった。
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情景描写が夏らしい爽やかな感じで良かった。みんなそれぞれの青春を送っていて、きょうだい愛もあって、慕われていたお父さんを想うみんなが素敵だった。
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とても綺麗な文章だな、と思いながら読みました。
りょうまとその友達がかなり下品に感じましたが、リアルな中学生にはこんな感じの子もいるか…?と少し疑問に思いました。私には姉妹しかいなかったので新鮮でした。
Posted by ブクログ
喫茶店「星やどり」を営む早坂家の物語。
三男三女の姉弟。
父を亡くし、母と子たちで協力して暮らしています。
そんな姉弟たちそれぞれの目線で進む、連作短編です。
久しぶりに朝井リョウを読みたくて、
さらに癒されるような本が読みたくて手に取りました。
読み進めるなかで…なんか、読みにくい?
私のコンディションが悪い?と思っていましたが、
平成26年刊行…著者が若い時の一冊と知り、
ちょっと納得しました.苦笑
ちょこちょこ表現というか言葉遣いのようなものが気になるのは、そういうことか!と。
(読む前に気づくべきですよね苦笑)
それでも、家族が家族を想う気持ちや、
亡くなったお父さんに対する気持ちは、
読んでいてうるっときます。
あったかい気持ちになれた一冊です。
Posted by ブクログ
んー、ちっとも面白くなかった。父親が亡くなってる大家族の物語なんだけど、まあそれぞれにドラマがあるけどうんそうだよねそれでどうしたの、って感じだった。ダラダラ読んでたんだけどすごくいいなって箇所も特になく残念。古本市で30円で買ったからまあいいけど。そんなことよりこの本を特急かいじの中に忘れてきて駅の忘れ物係に届けて見つかったって方が思い出深いよw
Posted by ブクログ
登場人物たちのキャラ設定にやや年代を感じてさしまい、なかなか物語に入り込めなかった。
物語に出てくるような学生って、90〜2000年代によくいた気がする。
そして、何が言いたいのか、伝えたいことは何なのか…話のコアみいたなものが見えそうで見えないことに、ワクワクというよりもイライラしてしまった。そんな自分に残念である。
久しぶりの朝井リョウ。
好きな作家だと思っていたけど、実はちょっと苦手なのかも。苦手ゆえに逆に手を伸ばしたくなるのかも。そんなことを感じた一冊だった。
Posted by ブクログ
朝井リョウが堀江敏幸に卒論として提出した作品。大学生でこの長さの物語を破綻無しに書き上げたのは、やはり努力量と才能の両方が突出しているのだろうなと感じた。光彦のパートを読んでいてほろりと来ながらも、筆者が本当に就活に苦労していたんだなということがひしひしと伝わってきてちょっと笑ってしまったw
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メイクと自転車の理由がわかってブワッって涙が出た
ファミレスにいるだけで…ふんわり疑惑を持つくらいはいいけど確信的?
あと、長女さんにお願いしすぎ…と思ってしまった
Posted by ブクログ
いい話で、面白かった。
朝井さんの書く高校生や大学生の内情はほんとうにリアリティがあって感動する。小春が祐介と付き合った理由がとても胸に刺さる(彼氏の夢=アタシの夢、とつい依存してしまいそうだけど、真逆から始まって最後には自分を見つける小春は強い)。
ただ、朝井さんが極めてお若い頃の作品だけあって、「親」の描写には違和感が…
フィクションだからもちろんリアリティがなくてもいいんだけど、子ども達のリアリティが色濃過ぎて、そちらと比べるとどうしても。
最後の琴美の物語がほぼ「親」のストーリーになるので、ラストは涙ぐんだけど、読後感はあまり良くなかった。
いくら実家の家族が大事でも、妊娠初期にフルタイム(多分)の立ち仕事しながら実家の兄弟の世話できるかな。つわりが軽かったとしても、1分でも長く寝たいし、あと初めての妊娠ならお腹の赤ちゃんが心配で休まなきゃって思うのが一般的。兄弟が幼児なら這っててでも行くしかないけど、一番年下の弟で6年生。自分たちで何とかできる。
働き者だけど口数少なすぎるお母さん。倒れてしまった時はやむを得ないけど、結婚して家を出ている長女に任せすぎでは。琴美が好きでやっている事だとしても、むしろ止めるべきでは?
琴美の記憶のお父さん。「娘が眠っていると思ってかけた言葉」だとしても、全部長女に頼むなんてあり得ない。「みんなでお母さんを助けてやってくれないか」なら理解できるけど、「光彦にアドバイスしてくれ」って姉の仕事じゃない。
あと、生まれてくる我が子を嫁の実家の絆の一部にしてしまおうとする孝史さん。3人で新しい家庭を築くのではないの?孝史が不幸な生い立ち(両親早逝や毒親)で家族への憧れが強いのらな分からないでもないけど、そんな描写なかったし。
星やどりのお店を想像するととっても素敵です。