朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「あれ?コレ万城目学さんの本だったっけ?」
と、思わず著者を再確認しそうになった。
そして、
「いやまて。舞台は京都でなく東京だ。なんなら妙に懐かしい…」と徐々に冷静になった。
朝井リョウさんの名前は知っている。しかし、読んだことある作品は『桐島、部活やめるってよ』、『正欲』のみ。これから(今話題の)『イン・ザ・メガチャーチ』を読むつもりになっていた。朝井リョウさんは「切れ味鋭い社会派」作家さんイメージだったのだ。
そして、随分と前にオーディブルのライブラリーに「ゆとり三部作」を確保していたことに気づいた。「『イン・ザ・メガチャーチ』の前に読んどくか」とまず聴き始めたのがコレ。
言葉が -
Posted by ブクログ
就活生たちの群像劇。
30代後半の今読むと「青いな」と思う一方で、当時の自分から見れば彼らは大人びていて、いまの自分にも刺さる言葉がいくつもあった。
拓人の
「“就活をしない”と同じ重さの“就活をする”決断を想像できないのはなぜだろう?」
という問いは、選択の重みを真正面から見ようとしない自分への鋭いカウンターのように響く。
瑞月の
「生きていくことって、自分の線路を一緒に見てくれる人数が変わっていくことだと思う」
「だけど、私たちはもう、たったひとり、自分だけで、自分の人生を見つめなきゃいけない」
という言葉も、年齢を重ねた今だからこそ刺さり方が違う。
青臭さの中で、誰かと関わりながら -
Posted by ブクログ
ネタバレ不登校の息子を持つ検事・寺井啓喜、寝具店店員・桐生夏月、大学生・諸橋大也、食品メーカー社員・佐々木佳道、女子大生・神戸八重子。彼らの多様な視点を通じて、『多様性』という物に迫っていく。柴田錬三郎賞受賞作。
多様性の受容の正解とは何か、一冊を通して問われ続ける。
多様性の時代の実現を目指して皆で舵を切ろうともがいている令和。多様性という曖昧模糊とした物を捉えきれず、世界全体が暗中模索している段階だと思う。というか、果たして曖昧模糊なものでなくなる日が来るとも正直思えないのだ。あちらを立てればこちらが立たずとでも言おうか、完全に皆が平等で快適で少しの居心地の悪さもない世界なんてないと思うからだ。 -
Posted by ブクログ
【桐島、部活やめるってよ】
ってタイトルだったが桐島くんのターンはない。
桐島くんが部活を辞めたことによっての周りの影響とか、今までのモヤモヤに気づく。
桐島くんは部活の部を率いる立場で、クラスでも上のカーストにいて、彼女もいて何もかも順風満帆に思える彼がなぜ部活を辞めたのか、、
宏樹の話はよかった。自分は上位のカーストにいるのに下のカーストである映画部が眩しく感じる。
やりたいことがある人ってなんであんなにもキラキラしているんだろう?
高校って大人に近づいていっているのだからもっと大人な世界なのかと思ったけど、まだまだ子供。
それこそやりたい目標がない人は無駄に日々を過ごすことになる。 -
Posted by ブクログ
アイドルが人気を博しているのは数十年もの間変わらない事実であるが、その周りを取り巻く環境は大きく変わっているんだなと改めて実感させられました。
愛子がイメトレと称して夜な夜な他のアイドルのライブ映像を見るときに、当たり前のように夜中まで観てしまえるくらい、何が好きなのか分からなくなってしまうくらい溢れている無料のエンタメ、音楽を聴くのにもわざわざお金を出してCDを買わずとも、スマホさえあればお金を払わずに簡単に聴きたい音楽にアクセスできてしまう。
スキャンダルだって、昔は週刊誌記者が追える範囲でのみだったのが、仲間だと思っていた人や、見ず知らずの他人から向けられるカメラや発せられる情報でい -
Posted by ブクログ
父を亡くした6人兄弟のそれぞれの視点から語られる物語。
優しく、でもつよがりな母と愛情深い父。
兄弟それぞれの学校でのエピソードなどは高校生の自分にはすごく想像できるし、共感できることが多かった。
長女の琴美には1番感情移入できた。
琴美に対して父が囁いた、琴美が生まれてきた日のことは忘れない、琴美が私たちを家族にしてくれた。という言葉を見た時、私も長女だからそう思ってもらえたのかなって思った。文章でこんなにも泣きそうになるなんて思わなかった。いないはずの父の声が記されていて、その言葉ひとつひとつが温かくて、優しかった。
著者が書いた年と同い年だったこともあってリアルを感じた。