朝井リョウのレビュー一覧
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溢れている情報に浸っている自分に、ヒュッと寒気を感じるような、嫌でも冷静にさせられるような“物語“だ。
ひねくれてて、読んでていや〜な感じにさせられるのが朝井さんぽくて絶妙。出てくる3人の年齢や立場がバラバラなのもまた面白い。大きな教会、通う人は信者、なるほど宗教と推し活の構造の説明も面白かった。
人は寂しいから人との繋がりを求める。生きるために好きなことを見つけて自分の全てを注いで使い切る。そんなしょうもない、どうしようもないところがしんどくて、でも羨ましいとも思ってしまう。物語に没頭するのは楽しくて他のことを忘れられるから、だから、自分も小説を読むのだろうか?なんて考えてしまった。 -
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ネタバレ年末年始にかけて読んだ本
韓流スターにどっぷりはまったことがある私としては、登場人物3人全員に共感し刺さりまくってしまった。
何が正解かなんてわからない。
視野が狭いから何だ。
認めてくれる場所で自分らしく生きればいいのではないか。
仲間、友達が居ればいい。
そうなの。そうですよ。
しか〜し!
推しにどっぷりはまった結果、どうなった?
親を騙してお金を使い果たし、怪しげな思想団体に引き摺り込まれる。
判断力を失い、一線を超えてしまう。
居場所を見つけ、仲間を得て、自分の存在を認めて貰った喜びもあるけど、伴うリスクは計り知れない。仕掛けられたアイドル売り出し戦略は巧妙で、一般人なんてイチコロ -
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新年1冊目がこれ!
人と接する時の基準を刷新できた気がするなぁ。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
メジャーなものやみんなが好きなものは嫌いって、曲がりなりにも思っていた自分の感覚なんて、ちゃんちゃらおかしかったしどメジャーな人生でしかなかったし自分の想像が及ばない見地がたくさんあるってこと自体何も分かってなかったんだなぁと、しみじみ、痛いほど反省した。
過去に接してきたあの人やこの人の顔が浮かび、自責の念にかられまくり、悪夢を見た。
そやけど最後の、八重子と大也の対話にちょっと救われた。
好きな人のことを理解したい、どんなこと考えて毎日何してるのかできればくまなく教えてほしいっ -
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スラスラと読めた。
メインの登場人物が三人で、章節が分かれていることで話がごちゃごちゃになることもなく、分かりやすい話だった。
INFPである澄香にとても感情移入できた。どんどん沼にハマっていく様が、リアルでなにかのタイミングがあれば自分もそうなりかねない、側からみたらきっとおかしく映ることも、視野を狭めたり広げたりすることで、全く異なる世界になることをまざまざと感じた。
よく、視野を広げることがいいことみたいに言われるけど自分を守る方法でしかないっていうのは、納得。腑に落ちた。
お父さんの孤独感や将来への不安について、とても共感できた。
心の拠り所って誰もが求めるものなんだ。
今の推し活も、 -
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何者
2025.01.08
私は何者なんだろう。
私は大学生になって、高校では考えなかったような哲学的な概念や自分について考える時間が増えた。おそらく答えのある問を考える時期から答えのない問いを考える時期に移行したのだろう。
自分が何者かという問いも考えたことがあった。自分が死んで悲しむ人はいるのだろうか。自分がいない世界は何の変化もなく進むのだろうし、ではなぜ生きているのだろうか、といつも生きる意味が分からなくなってでも生きていて死にたくはない自分を認めるしかなくて…の無限ループである。
頑張っている人を見ても、自分と比較し自分がやらない理由を作る。何者でもないのに資格で鎧を固め、見栄 -
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「これからの時代はナンバーワンじゃなくてオンリーワンだから」大学の受験期に差し掛かる直前、中学のときに尊敬していた先輩にそう言われた。
ナンバーワンよりもオンリーワン、SMAPと全く同じ言葉に私はストンと納得し先輩に感謝の言葉を伝えた記憶がある。
(歌詞を書いたのは槇原敬之)
当時の私は受験期を前にして何もしていなかった。
何もしていなかった、くせに自分は周囲の人間とは違う、と信じて疑わないような能天気さと愚鈍さがあった。
それからしばらくして生まれついて運が良い私は運良く自分の行きたい大学を見つけ、運良く周りの人間に受験のサポートをしてもらい、運良く合格し、運良く親に消して安くはない(高い -
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ネタバレ読前、語り部は挑発的な意味での「性器」なのではないかと半ば冗談めかして想像していた。しかし実際に語っていたのは、より抽象度の高い――そして厄介な――生殖本能そのものだった。達家尚成という一人の男性に宿る生殖本能が、軽妙でどこか皮肉を帯びた語り口で世界を眺めていく。その声は、近年メディアで頻繁に目にする朝井リョウ本人の話し方やテンポと重なり、自然と脳内で再生される。
全体の印象として、本作は著者の『正欲』と地続きの問いを抱えているように感じられる。私自身には当事者として実感できない世界が描かれているにもかかわらず、多和田颯との会話の場面では、「同じ立場に置かれていても、感じ方や意味づけは人によ