朝井リョウのレビュー一覧

  • GOAT Summer 2025

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    この時代にこのような文芸誌を出版されることにとても幸福を感じ小学館の文芸に対する姿勢が見えてとてもいい。
    芦沢央
    武田砂鉄
    良かった。

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    2025年07月20日
  • ままならないから私とあなた

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    やっぱり朝井リョウさんの作品は癖になる。

    多くの人があえて触れないよう、臭いものには蓋をするようにしてきたことに対して、容赦なく言及するので、毎回はっとさせられます。

    雪子の「人間らしさを大切にしたり、無駄に思えることや曖昧なことにこそ価値がある」考えと、薫の「合理性や効率性を重視し、変化や進化を好む」考えは、自分と他人の”違い”としての視点で描かれていて、実際この2つの考えの違いで、人間関係が上手くいかないことが多いのが、現代社会だと思う。
    また、この対極の考えは自分の中にも併存していて、日頃から都合のいいようにそれぞれ使い分けていたなと再認識させられ、何とも言えない気持ちになった。

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    2025年07月19日
  • GOAT Summer 2025

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    特集では「悪」をテーマにした小説を収録している。極悪非道というより、読み終わった後に、「たしかにこれは悪だよね」と後で“悪”を堪能するような作品が多かった。前号の「愛」特集よりも「悪」の方が、バラエティに富んでいる感じがして、人間は悪の方が好きなのだろうかと勘繰ってしまう。他には、茶ヤギさんが黒ヤギさんに宛てた手紙をそのまま作品した「出せなかった手紙」がちょうどよい面白さ。童謡を思い出す人がいるだろうが、茶ヤギさんの苦悩を手紙に盛り込んで黒ヤギさんに伝えようとする。その苦悩ぶりがちょうどよいギリギリ感が出ていて面白い。

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    2025年07月16日
  • 星やどりの声

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    それぞれの兄弟の物語が、一つ家族の形となっていく。
    きれいな展開が良かった。
    死を前にした父の姿がちょっとずるいくらいに凄すぎて、共感できないところはあったけど、理想としたい。
    もう少し一人一人の深いところまで知りたいところもあったな。
    また読み返したい一冊。

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    2025年07月05日
  • もういちど生まれる

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    入り込んで読めた。今まで自分が見てきた風景が綺麗で切なく、美しく表現されていて良かった。
    その人にはその人なりの地獄があり、皆葛藤しながら生きているんだなと改めて感じた。

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    2025年07月04日
  • 何様(新潮文庫)

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    ネタバレ

    光太郎の話が1番好きでした。光太郎と夕子のなんともいえない、言葉で表すことが難しい関係性がすごくリアルでした。高校生に戻って人生やり直せたらもっと夢について深く考えていたのかなとか、あの時こうしておけばよかったとか、今思っても仕方がないけどすごく過去に戻ってやり直したくなるようなお話でした。とても純粋で青い作品。短編ではなく長編で読みたくなりました。

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    2025年07月02日
  • ままならないから私とあなた

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    いろいろと考えさせられる文学的作品。
    性的表現は多め。
    中学生には早いかもしれないけれど、大人には興味深く読めると思う。

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    2025年07月01日
  • 公式トリビュートブック 『チ。 -地球の運動について-』 第Q集

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    本編の『チ。』も大変面白かったが、この本ほど、芸術作品の感想を他人と共有する面白さを感じた本はない。

    私自身はこの物語を、基本的には「物理学史の中で大きな出来事のひとつの地動説」として捉えており、それに付加される形で、想いを託す生き方、学問の暴力的な性格、倫理と迷いといったサブテーマを学んでいた。

    しかしながらこの本を読んで、とても哲学的な思考、それも大変深い洞察を与えてくれる漫画なのだと再実感した。

    この本を読んだ後にもう一度読むと、見方が大きく変わりました。

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    2025年06月16日
  • 少女は卒業しない

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    ネタバレ

    綺麗で爽やかで甘酸っぱくて、でもどこか苦いところもある高校の青春をこんなにも色鮮やかに描写していて面白かったです。なんだか果物のレモンみたいな小説だなと思いながら読んでいました。

    どの話も「さよなら」するためのけじめをつける登場人物たちの話ですが、各章丁寧に登場人物たちの気持ちが描かれています。

    「四拍子をもう一度」までは純粋な青春を描いたものでしたが残りの2篇でズドンと大きな衝撃を与える話が続いたので読んだ後もずーっと余韻が残っています。

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    2025年06月12日
  • スペードの3

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    誰しもが持ってるけれども口に出さない、
    道徳的ではない欲望を、朝井リョウ氏は
    どうしてこんなに解像度高く表現できるのか。

    朝井氏の話としては、今後どのように生きるべきかが示されているので、明るい気持ちで読み終えることができた。自分の現在のポジションを変えたいなら積極的に動こう、そんなところだろうか。

    私は長年の宝塚ファンですが、
    ファンから見ても正確にファンクラブの裏側を描いていて素晴らしい。
    ただ、会員の属性が多様なファンクラブにおいては、会への貢献度(チケットの購入枚数)に応じて序列(いい席のチケットが与えられる)をつけることで、他の会員も競ってチケットを買うようになるので、運営として

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    2025年06月08日
  • 何様(新潮文庫)

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    4.0/5.0

    人間の実像と仮面、本音と建前…そういったものの間にある感情やあやふやな状態を描くのが本当に上手い。
    人の感情や欲望は簡単な言葉では表せないほど複雑で、この世の中に生きる全ての人がそれぞれにそれぞれの事情や葛藤を抱えながら毎日を過ごしているという当たり前の事実にハッとさせられる。
    朝井リョウさんの小説は、人間の面倒くささと面白さの両方を感じられる。

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    2025年06月07日
  • 武道館

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    この作品が世に出て、もう10年が経過しているのが恐ろしい。私も若者ではなくなったということか。この時代から変わったことは、配信サービスとAI、ポリコレ周辺、コロナ、右傾化、戦争あたりだと思うが、そんなに変わっていない気もする。

    さて、本作は中堅アイドルの奮闘を克明に描く一作。アイドルも一人の人間。だが、一人の人間としての幸せを、周りは許容してくれるわけではない。ファンもいる。運営もいる。ラストは怒涛の展開。

    AKBにハマっていた時期、ふと、アイドルを戦国武将に似ていると思ったことがある。一瞬のきらめきのために、全てを懸けているんだ。

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    2025年06月03日
  • スター

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    本と映画が好きだから、作り手の難しさはよく分かった。
    人々の価値観は変容するし、多様化するし、昔ながらの権威もそのままの地位ではいられない。
    自分も古典を美化しがちなところあるなと思った。
    けど、古典で今もなお読まれている本は、確率的に良い本である確率が高いよね。海外の本でも、わざわざ翻訳されているんだから、海外の著者の本は質がいいことが多いはず。質がいいとか、基準が存在しないけど、いいと思う人が多い確率が高い、とここでは定義しておく。

    人と比べることが無意味になる。なぜなら存在してるフィールドが違うから。現代ではフィールドは細分化し、増殖する。
    だけど、本当にいいものは違うフィールドの人に

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    2025年05月29日
  • 武道館

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    2025年 22
    【正しい選択】なんてこの世にない。
    「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付などさまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
    しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。
    「人って人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのかどっちなんだろう」「アイドルを応援してくれてる人って、多分どっちもあるんだろうね」
    恋愛禁止、炎上、

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    2025年05月30日
  • もういちど生まれる

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    いいもの食い、部屋へ行くのもいい 回文好き

    失恋の話はなんか胸が痛くなるから読みたくないのがわかった。読んでて面白くはあるんだけどね。気分落ち込んじゃう

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    2025年05月25日
  • チア男子!!

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    ネタバレ

    笑えるし泣けるしで面白かった。
    男子だけでチアをやるっていうのも良いし、メンバー1人1人に個性があって魅力的。
    面白い事をしたい、誰かのために何かがしたい、自分を変えたいなど動機はそれぞれだけどみんなで練習して目標に向かって努力している姿はカッコよかった。最初は楽しい雰囲気で和気藹々としていたけど、目標が高くなるにつれてメンバー同士の意見が合わなくなる感じもリアルで良かった。それでも最後までみんな辞めずに続けて、最高の演技が出来て良かった。感動した。
    特に最後の儀式はめちゃくちゃ泣いた。今まで聞けなかったメンバーの本音や努力の軌跡が見えて本当に泣ける。最後の演技の途中にノートの話が挟まれてて余

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    2025年05月25日
  • スター

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    なんとなく読書熱が蘇ってきたタイミングでスラスラ読める著者を。勢いにのりたい。
    大きな物語の消失からの現代を描く現代を生きる作家、という印象で、この作品もまんまのテーマ。「みんなが知ってる」という大きなスターが不在になってこれからどうなるやら、みたいなことを切り込んで書きたかったのだと思うし、目配せの効いたバランス感覚がいいなと思う。結論としてはきっとこれからクラスタ的なコミュニティがたくさんできるけど、いいものはそのクラスタを越境するよね。って。おおむね同意でありがとうって感じ。 
    ただ個人的には最近真とか美とか善とか、絶対的な基準があるのではないかと感じ始めているので、特に黄金比とか数学的

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    2025年05月24日
  • もういちど生まれる

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    自分の大学生活が懐かしく思えた。当時は特別なことは何もしてないし平和な学生生活やな〜と思ってたけど、そんな日々も今振り返ると青春やったんかなと思う。

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    2025年05月24日
  • 何様(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「何者」のサイドストーリー集。
    「何者」を拝読してからだいぶ時間が経っていたため内容を理解できるか不安だったけど、それぞれのお話が独立していて読みやすかった。
    就職や面接、進路、新社会人など、いろんな面で悩む人の葛藤が描かれていた。

    逆算のお話で沢渡さんが言っていた「きっかけとか覚悟とかって、多分、あとからついてくるんだよ」が忘れられない。
    1歩踏み出してチャレンジする人を見るとその勇ましい姿にまぶしさを覚えるけれど、本人からしたら万全の覚悟なんてそうそうできていなくて、あとから振り返った時に「あれがきっかけだったんだな」って
    思うのがざらなのかもしれない。

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    2025年05月23日
  • ままならないから私とあなた

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    例えば、生成AIで作られたものに対して自分はどう感じているのか、作品を読みながら、登場人物たちの台詞をなぞりながら考えた。ここに書かれた文章だって自分の癖を学習させれば、勝手にレビューを書いてくれるかもしれない。私が書いたものよりもより、人々に刺さる文章が作れるだろう。でも、その時の年齢、自分の状態などがノイズになって、良い意味でオリジナリティとなるのだろう。自分でああでもない、こうでもないと悩む時間が楽しかったりするのだ。

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    2025年05月22日