朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝井作品は、だいぶ前に『桐島、部活やめるってよ』を読んだきり。
私にとっての二作目は、朝井さんにとっても、第二作だったとのこと。
本作は2010年に刊行されている。
もう十五年以上前だ。
物語が転がり始めると、語り口も軽やかで、登場人物たちがべらべらしゃべりはじめ、スピード感のある展開になる。
が、この小説、はっとする描写が多い。
一馬のやさしくなった声を聴いた晴希が「心の近くをひっかかれたような気がした」と感じる描写。
水や光の描写が美しい。
夜の屋上でペットボトルの水を投げて渡すシーンの「水が夜の光を受けて自由に波打つ」。
こうしたものがなければ、ただのウォーターボーイズの二番煎じになりかねない。
描写力のたしかさといえば、チアの演技の部分もすばらしい。
どういう動きなのかがよく分かる。
そして、その技をする上で演技者がどんなことを考えているのか、どんな身体感覚を伴うものなのかも伝わってくる。
文庫は最初の「チア辞典」で、それぞれのわざの図解があるのも、チアにまったく知識がない自分のような読者にはありがたい。
チアが「人を応援することで、周囲から応援される」スポーツであり、競う相手でさえ「敵」ではない、というあたりは、より今好まれる考え方なのかもと思う。
欠落を抱えた主人公が、仲間を募ってチームを作り、成長していくというストーリー自体は、青春物の黄金パターン。
映画でも、漫画でも至る所に見られる。
最後は、全国大会で演技をしながら、それぞれの人物がこれまでを振り返っていくという語り方になっていくが、なんとなくそれは漫画や映画っぽい手法だな、と思った。
楽しく一気読みできる作品。
とはいえ、登場人物の多さは、やや負荷が大きかった。チームが16人だというのはこの種目に規定される要素だと思うが、16人の人物を頭に入れて読むのは大変かもしれない。
オリジナルメンバーの溝口、トン、イチロー、弦、翔あたりまでは自分もヨユーであった。
サク、タケル、陳、金、尚史はどんな人物かだいたいイメージできる範囲にいるが、銀、銅となると、かなり怪しい。
それぞれ個性的に描き分けているんだけどね。 -
Posted by ブクログ
どの話も、自分が今抱えていることの何かしらのヒントになるような感じがした。
〇健やかな論理
自分に見えないものがずっと積もってるんだよ。最後の1滴が何なのかは、誰にも分からない
・・・ストレスに感じることが積もり積もって、最後爆発することってよくある
あるとき何の前触れもなく世界から消えてしまいたくなる時があるように、なんの前触れもなく、この世界にいる誰かを想う自分の存在を強烈に感じることがある
・・・人の気持ちって色んな感情が混ざりあっているし、死にたいと生きたいも混ざりあってて良いんだなって思えた。どんな感情も混ざりあってていいんだなって
〇籤
昔の自分を見ているようだった。相手のことを見てこれまで人生でなんもなく過ごせて幸せだねって思っちゃってた自分。でも、みんなそれぞれ事情があるんだなって今は思えるようになったなって自分の成長を感じられた。
私もこれまで色んなハズレ籤を引いた気がするけれど、だからこそ色んな学びを得られたり、自分が今選んだ仕事につけたり、工夫を身につけられたなって感じた。これまでの人生で自分でしか経験できなかったことがあったからこそ今の自分に繋がってるんだろうなとも思えた。印象に残ったフレーズ・・・全部繋げて、リボンにするのだ。そうすれば、つらいときには包帯としても使える。人生を美しく包むのも、たくましく補強するのも、いつしかこの手でつかみ取っていた。だからきっと大丈夫。これまでみたいに、不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『これが正しい!なんてことはない。』という正しさをガツンとぶつけられてる感じがした。
正欲を読んだ時と同じような気持ち。
波奈がステージで観客に背を向けてメンバーに伝えた言葉、胸を打たれたよ…
きちんと自分で考えて選択し続けることの大切さを感じた。
これは自分で選んだことで誰も責められない。と思えるような選択を。
周りから失敗と思われようと、きちんと自分で選んだと思えていれば正解に変えていけるはず。
有名人の中にはこんな気持ちの中で恋愛したり、週刊誌に撮られたりしてるのかなぁとリアルに想像した。
自分が自分じゃなくなりそうでこわい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ優しくて、強くて、切ない物語。これまで読んできた朝井リョウ作品とは少し作風が違っているように感じた。
言語化できない自分のブラックな面を上手に表現してくれる朝井作品を求めて手にしたので少し思っていたのと違ってはいたが、子ども達の繊細な心情を見事に表していて、物語に没頭できた。
実際の児童養護施設での様子は全くわからないが、せめてどうかこの子達のようにかけがえのない仲間達と共に安心できる暮らしを送れていますように。いじめや虐待はきっといつの時代も無くなることは無いのだろうとは思うけど、それによって辛い思いをする子どもが一人でも減りますように。色々我慢して強く生きてきた子達が、大人になってから人一倍幸せになれますように。 -
Posted by ブクログ
また最近新しい号が出ていてちゃんと続いていることにホッとする。
でも調べてみたらめっちゃ売れているらしい。今まであまり本を読んでなかった20~30代がよく手に取っているらしい。
仕組み面白い、紙質へのこだわりも凄いし、何と言ってもめちゃ安い。これ、採算取れてるのだろうか。今時文庫本も普通に1000円する時代だけど?雑誌のキャラもめっちゃ可愛いので女子や可愛いもの好き男子にも絶対ささってそう。
今回のテーマ悪は前回の愛より断然面白かった。自分は愛よりの人間だと思っていたのに悪寄りだった事に気付いて少し愕然とした。前回も書かれていた小川さん、ショートだとまた全然違う雰囲気醸し出してて割と好き。
中に袋とじ(って閉じてないけども)みたいな付録的に野崎まどさんのGOAT忍法帖の巻物風が抱腹したww
今号で初めて気づいた(遅)んだけど、大きなテーマ(今回は悪)については表表紙で、第二のテーマは裏表紙で紹介されてる、テーマが二つあったんだ(笑)
前号でも感じたんだけど、とにかく510円の中が濃厚で50くらい対談とか忍法帖とか含めて
あるわけで、好きも嫌いもゴンゴンに詰まってる。中弛みしたり、うえっ、こ、これは、、というのに出会ったり忙しい本である。また書かれてる作家さんたちは総じて皆さんお若く、同世代の購買が太いのも頷ける。
これずっと続いてほしいなー。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「何者」のスピンオフの本著、前作の登場人物の過去やその後を描いていて、どれも心にチクっと刺さる話ばかり。あくまで本人視点で進んでくのは光太郎と里香だけで、他は更に遠い関係者の視点。沢渡はまだしも、登場が少ない烏丸の親族や最後の面接シーンの彼、話題のみの登場の瑞月の父の不倫相手など、かなり前作との関係は希薄に見えるものの、スポットで印象に残る人々の話。各々の葛藤が生々しく伝わってくる。光太郎と里香、沢渡は納得なエピソードで、かなり人間像がくっきりした。個人的に最後2作品。私だけでなく誰もが心当たりがあるような心情を主人公が持つものだから堪らなかった。「むしゃくしゃしたやった、と言ってみたかっ「何者」のスピンオフの本著、前作の登場人物の過去やその後を描いていて、どれも心にチクっと刺さる話ばかり。あくまで本人視点で進んでくのは光太郎と里香だけで、他は更に遠い関係者の視点。沢渡はまだしも、登場が少ない烏丸の親族や最後の面接シーンの彼、話題のみの登場の瑞月の父の不倫相手など、かなり前作との関係は希薄に見えるものの、スポットで印象に残る人々の話。各々の葛藤が生々しく伝わってくる。光太郎と里香、沢渡はさもありなんな発言や行動で、かなり人間像がくっきりしていた。個人的に何様」た」の主人公は、あの後救われたのだろうか。納得したのだろうか。「何様」の主人公は、誠実の意味を再解釈して妻に向き合ったのだろうか。気になる。あとがきの若林の解説のように、年齢を重ねると読み方が変わりそう。良作。