朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
痛い。なんだこの自虐小説は!
就活というテーマは確かに自分が何者なのか、社会に受け入れられる、認められる人間なのか秤にかけられる一大イベントなのだろうが(経験してないから知らんけどw)
就活だけに留まらず、SNS社会とリアル社会においての自分の存在が何者なのかを考えさせられる作品だった
SNSの自分、裏垢の自分、リアルの自分、誰かの前の自分、外での自分、中での自分、どれもきっと嘘はついていないはず
人間とはイタイのだ
イタさに気付いていないのがイタイのだろうなぁ
そのイタさも自分
認めて受け入れる
ストーリーとは関係ないけど、細かな『音』に対する表現や情景描写がとても好きだと感じた -
Posted by ブクログ
ネタバレとっても良かった~~~これが朝井リョウ。これぞ朝井リョウ!
もう読み始めてすぐに、この丁寧で綺麗な状況描写、これこれこれーーー(T_T)となった。一つ前に読んでた小説が、こういう叙情的な表現が全然無いどころかむしろもうちょい状況を教えてくれみたいなんやったからもう余計に。連なる文字の表面の空気を吸い込むみたいな気持ちで味わい深く(?)読めた。いちいち味わい深い。良い。
そして、ミステリとまでは言わないまでも、隠されているものの存在が少しずつわかってきて、それが少しずつ明らかになっていく感じも、上手く徐々に物語に引き込んでくれる感じですごく心地よかった。
自分もだんだん良い歳になって「家族」と -
Posted by ブクログ
表現する側ではなくとも、いち視聴者として刺さる部分はたくさんあった。
サブスクで作品を観ると、「もっともっと」と欲が加速する感覚も覚えがあるし、だからといってその監督の作るスピードにも限界があるから、同じような雰囲気の作品がないかTikTokのおすすめばっかり漁っちゃうし。
そうやって人によって見たいものが細分化されること、それでも、そのコミュニティの枠を越境した不動の名作が出てくること、どちらも思わず唸るほど納得できる。
なんでこの人は、こんなにも人々の心の動きや社会の変動を、正確に読み取れるのだろう。
あと、朝井リョウ特有の「あ、これ読者の自分にも矢が降ってくるぞ…!」っていう自意識を突き -
Posted by ブクログ
シュールで、くすりと笑えて、ゾッとする。
5話とも感情が揺さぶられ、読んでいてとても忙しかったです。
……それにしても、どれも絶対に経験したくないですね(笑)。
他人の身に起こる“物語”だからこそ笑えるし冷静でいられますが、もし自分に降りかかったら間違いなくパニックです。
「シェアハウスさない」
一番経験したくないストーリー。ホラー要素が多めで背筋が凍りました。
「リア充裁判」
コミュ障の私には、こういうストーリーは妙にツボ。
「コミュ障でも勝てる!」がテーマかと思いきや、まさかの結末。
上げて上げて、最後に突き落とす……この展開の巧さに唸りました。
「立て!金次郎」
えげつな… -
Posted by ブクログ
Audibleにて。
こんな作品があったんだと、旅行の道中で見つけて移動時間で聴いてみました。
オムニバス形式の作品それぞれに主人公がいて、青春どストレートだったり、そこにまた淡い感じがあったりと毎回キュンx2させてくる系。出てくる高校生たちも当時私が高校生だった頃に近い年代だったから、感覚が当時に少しタイムスリップした。
私が今まで読んできた朝井リョウ作品は、毎回どこかしらに刺々しさや鋭い針のような文節や表現が沢山あって、でもって読者への問いかけが激しかったんだけど、これはサラサラいける。捻くれていない。中学生から高校生になるだけで、身体も心もとんでもなく大人になるんだなぁ(自分はどうだった -
Posted by ブクログ
最初はアイドルの話かと、半ば冷めた目で読んでいたけど、主人公愛子の「アイドルの自分」と「本当の自分」の葛藤が面白くて熱くなっていく。
歌って踊ることが好きと、幼なじみと過ごすことが好きは、アイドル前からあったことで決して矛盾しない。
でも、アイドルとして生きていくためには、選択をしなくてはいけない。それが、その時代の流れで時代のルールなのだ。十年後、二十年後は変わっているかもしれないけど。
「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」
「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ」
愛子の選択、杏佳の選択に幸あれ。そう祈っ -
Posted by ブクログ
ネタバレ3人の女性が主人公。
つかさ様ファンクラブを取り仕切る女性、くるくる天パのアキちゃん、つかさ様。
一章のアキちゃんとむっちゃんの叙述トリックがおもろかった、そこで種明かししちゃうんだ的な。普通の本なら最後に明かす種な仕掛けを中盤で明かしていた。
最終章のつかさ様から円への感情が人間らしくてよかった。ほどの良い悲劇があることで、演技の背景に深みが生まれる、私には何もない(悪い意味でこれで順調すぎた)
ファミリア内のいざこざやアキちゃんからみちよへの制裁なども、つかさ様からは何も見えていないけど、それぞれで悩みや葛藤をもちつつ、自分のコンプレックスや黒歴史と奮闘している様がおもろかった。