あらすじ
【電子版限定特典つき】突然の交通事故で両親をなくし、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。悲しみでしばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげですこしずつ打ち解けていく。とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在。施設を卒業する佐緒里のため、4人の子供たちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめる――。直木賞受賞後第一作! 電子版限定! スタジオジブリのアニメーター・近藤勝也氏が本書のために描き下ろしたカラーイラスト3点&「青春と読書」’13年7月号に掲載された、著者インタビューも収録。
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Posted by ブクログ
人に勧められて、初めて朝井リョウさんの作品を読みました。
もともとエッセイは読んでいたのですが。
エッセイに、「そのときの感情をいかに言葉にできるか、ということをやっている」
というようなことが書いてあって、
ああ、なるほど、、と、この本を読んで納得しました。
言葉の使い方が繊細で、優しくて、痛くて、
「そっか、あの時のあの気持ちはこう言葉にするんだな」と、私も気付かされることばかりでした。
児童養護施設で育った彼らと比べると、私は家族もいて一般的に幸せといえる子供時代だったと思いますが、それでも、子供の頃に感じた色んなことが、ぶわーっと溢れてきたり、チクチクとつついてきたりしました。
大切な人がいなくなる、それを知り、何をどうすればいいか分からない、太輔。
壊してしまいたい,でも大切にしたい、矛盾だらけの感情、それは学校生活の運動会という行事の中で浮き彫りになる、
あぁ、なんか、、分かる。私もそんなことあったな、と感じました。
急に環境が変わってしまったことへのとまどい、信じられない思い、太輔の気持ちが、文字からボロボロ溢れて来るように私のところに伝わってきました。
小さい彼らが、いろんなことと戦って、小さな足で一生懸命立って、それでも無理なら逃げる、逃げることだって、悪いことじゃないんだ、
そういうことを教えてくれました。
クライマックスは、自然と涙が溢れてきました。
逃げても、またその先に希望がある、というのを信じたくて、自分に言い聞かせている彼ら。
失敗したっていい、いつかその先で自分だけの誰かに出会える、
今ここで出会えてる仲間と同じくらい大切に思える人が、きっといる、
その言葉に、大人になってしまった私は素直に頷けないけど。
だって、実際はそんな甘くないし
逃げた先に、また同じようなしっかりした道がある方が少ないかもしれない、
逃げた先は今より細い道のことの方が多い
大切な人と離れた先に、また同じように大切に思える人がいることだってあるかもしれないけど,ないことの方が多いんじゃない?
大人になった私は、「現実は厳しいよ」と思ってしまうけど、
だからこそ、逃げることに前向きに思おうとしていて、未来に希望を持つ姿が、眩しくて、羨ましくて、いいな、と思えました。
それにしても、あんな面白いエッセイを書かれている朝井さんなのに、、
衝撃的でした。すごいです。
幸せな話ではないし、苦しい気持ちもたくさんあったけど、また読みたいなと思える話でした。
Posted by ブクログ
朝井リョウ、直木賞受賞後の第一作。
児童養護施設の小学生を中心に、家庭問題や学校でのいじめに向き合いながら、自立していこうとする様を描く。『いじめから逃げてもいいんだ』という著者の強いメッセージに心を打たれた。
Posted by ブクログ
自分が読書好きになったきっかけの本
ハッピーエンドっていう訳じゃないけど、ラストは登場人物たちの後押しをするような、読んでよかったって思う作品
Posted by ブクログ
児童養護施設の子どもたちを描いた作品。あまり小説を読む方じゃないので,こういうタイプの内容は初めてだ。
小学校から高校生まで,さまざまな子が出てくるが,その子たちは,当然,いろんな〈もの〉を抱えているからこそ,ここに,いる。その〈もの〉は一人一人違うから,施設の中の子どもたち同士でさえ,うやらましがったり,見せびらかしたり,秘密にしたり…と,お互いに心を開くことはなかなかできない。
しかし,そんな子どもたちが,今年高校を卒業して施設を離れてしまう佐緒里(佐緒里は進学を諦めて親戚の家に働きに行くことになってしまった)を勇気づけようと,協力して〈あること〉をしかけようと計画するが…。
以下,ネタバレ注意!
ラストのシーンは,とってもよかった。浅井さんだから,また何かどんでん返しでもあるのかと心配してたけど,そうでもなかった。
佐緒里に思いを寄せる(たぶん初恋だな)6年生の太輔の気持ちが,これまた,とてもいい。
最後の5ページくらいで,浅井さんからのメッセージが伝わってきて,「ここがいやならにげていい」「別にガマンしなくていい」「この先にも,また分かってくれる人が絶体いる」と励まされる。
「私たちは,絶体にまた,わたしたちみたいな人に出会える」
「逃げた先にも,同じだけの希望はあるはずだもん」
こんな佐緒里の言葉に胸を熱くするわたしであった。
Posted by ブクログ
子供たちだけでなく、取り巻く大人たちの心の痛みが伝わってくる感じがした。
太輔くんのご両親に対する思い。誰も代りにはならないという気持ちもすごく共感できる。
太輔くんと佐緒里ちゃんの今後も知りたかったな。
子供たちが作って空を舞ったランタンを見てみたいと思った。
物語だけど、同じような施設やそこでいろんな思いを経験している子供たちは現実にいるのだよなぁと思うと、何とも切ない。
Posted by ブクログ
子供たちが登場人物、日々の出来事をつらつらと綴る物語。何か大きなハプニングが起こるわけでもないので、無関心ながら読み進めてしまう、という感覚。最後のフィナーレの締めくくりが良い、朝井リョウらしい
Posted by ブクログ
扉絵はスタジオジブリ
の近藤勝也さん。
扉絵そのままのラスト
シーンにホロっと涙が
・・・
様々な事情で保護者を
失いゆくりなく施設に
暮らす子どもたち。
学校でいじめられたり
経済的な観点から夢を
あきらめたり。
世間に揉まれ成長して
いく彼らの姿になにを
感じたか。
それをうまく言葉には
できないけれど、
ただ私の身のまわりに
いる子どもたちへと、
思いやりを込めた一言
にして昇華したい。
「なにがあっても
希望は減らないよ」
と。
Posted by ブクログ
★4.0
ありきたりなストーリー、予想が容易なラスト、それでも読み終わった後に泣きそうになってしまったのはなぜなのだろう。
考えてみて、きっと気付かないうちに、私も「青葉おひさまの家」の一員になっていたのだろうと思った。
他のメンバーと一緒に学校へ行って、夜に隠れてお菓子を食べて、気軽に相談できない出来事が起きて、一緒にランタンを作って、、。
彼らはただ同じような境遇から同じ施設に住む他人ではなくて、間違いなく家族だった。そんな家族の一員に私もなったような気がしてしまった。
最後は全員離れ離れになってしまう。悲しいけれど、彼らならきっと大丈夫だろう。一緒に過ごした宝物のような日々を、また過ごせる日が来る。施設に入った日から一回りも二回りも大きく強くなった彼らなら。そう願わざるを得ない。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの作品はすべて、深く刻まれる。人間の少し痛い部分を絶妙に描くので、読書にスパイスをと言う時に手に取る。全作読みたくなる。
ホワイトペッパーというよりブラックペッパーなスパイスという感じ。
子どもには子どもの、大人には大人の事情と言い分がある。
いじめる人はいじめ続ける。
教師はあくまで教員採用試験を受かった人間であり
、人格者という保証はない。
今でも覚えている。小4の担任がいたずらを超えた暴力の加害者と被害者の子が喧嘩になっていたのを「じゃあ仲直りの握手をしましょう」と笑顔で説得している姿を見て、先生って子どもをなめてるんだなと絶望と、他人なんだと子どもながらに感じたことを。
でも、わかってくれる人も絶対いる。
逃げるは負け、となにか刷り込みの価値観がある気がするが、1人一つの人生でありその人の人生においてなにが幸せかはその人次第。
大人になって社会的目線からは少し太輔は根性なしかと、淳也のいざというときの行動力に対して思ってしまったが、皆が自分の世界に生きとげる。
最後涙を堪えました。
Posted by ブクログ
いじめる人間は、どうやったって変わらないけど、自分のことをわかってくれる人間は、何処にでも、絶対にいる。
ということ。
大人には大人の事情があって、それを子どもにわかってもらうのは、難しい。悪い大人たちが出てこなくて良かった…。
Posted by ブクログ
『逃げた先にもちゃんと、これまでと同じ広さの道がある。』スタンドバイミーのような子ども達の挑戦と大人に近づいていく成長が、ジーンと来るストーリー。朝井リョウさん、イメージは高校生以上20代のストーリーと思ってましたが、これは小学生から高校生のストーリーでした。ひとつ屋根の下、でもそれぞれが悩みそれぞれの人生を選んでいく、また同じように自分を大切にしてくれるひとが出てくる、っと思うだけで救われます。
Posted by ブクログ
最後、めっちゃよかった。
逃げた先にも、同じだけの希望があるはず。そう思いたいけど、自分のために町じゅうにチラシを貼ってくれるような人は、すごくすごく大切だよね。この人だけって思いたいよなあって思った。
あと、小学生だけで火使うのはけっこう危ない(笑)
Posted by ブクログ
親に愛されないということ、早くに親を失うということががどれだけ子供にとって影響力をもつかを改めて考えた。
大人になる前の自分にとって、自分にとって両親は自分を守ってくれるものであり絶対的な信頼をできる大人だったことを思い出した。もしそうでなかったなら、どれだけ心細い思いをしたのだろう。
いじめという問題について、どれだけ努力してもいじめる側は変わらないという現実について描写されていたことが印象的だった。
純粋な大輔の佐緒里への思いはとても美しい。どんなに苦しい境遇の中でも、自分を支えてくれた人を失いたくない気持ち、自分がどんなことをしても夢を叶えてあげたいという強い思いは印象的だった。
Posted by ブクログ
大輔、淳也、麻莉、美保子、佐緒里、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす一斑の5人の子供達が、悲しみを乗り越え、お母さんのように優しい高校生のお姉さん佐緒里のために、ある作戦をたてる。
僕らだけで、どんなに大きなことをしても、それでも変わらずに、いじめる奴はいる。いじめられたら逃げればいい。逃げた先にも、同じ数だけ希望がある。
たくましく生きようとする子供達に胸を打たれると同時に、どうしてもなくならないいじめという現実をなんとか変えていかなければと思います。
Posted by ブクログ
児童養護施設にいる小学生たちが、力を合わせてある祭りを復活させようと奮闘する。その祭りにかけるそれぞれの思惑とは―。
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今まででいちばん感想が書きづらかった。というのも、お話の内容自体は決して明るくなく(ただし文体は明るいため読みやすい)、「いじめ」「親友たちとの別れ」「小学校というムラ社会」などがテーマであるため、万人には勧め難いと感じたからである。しかし、小学生らしい青春劇であり、中高生や親世代ならば絶対一度は読んだほうがいいとも感じた。
Posted by ブクログ
直木賞受賞後第一作。
児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす太輔ら少年少女4人が、施設を卒業する佐緒里のために、ランタンを飛ばす蛍祭りを復活させようと奮闘する。
いじめ、孤立、親の暴力、再婚。そして夢。
個人の複雑な事情も変化しながら、各々が自らの生きる意味を見出していく。
どんなに困難な状況に陥っても、将来の道は細くなることはないというメッセージがとても心に響きました。
「何者」よりも共感できました。
Posted by ブクログ
児童養護施設で暮らす子どもたち。
自分が遭遇したことのない不幸を経験し、自分の居場所を求めている。世界のどこかには、必ず自分の居場所がある、という前向きなメッセージが込められている気がする。
Posted by ブクログ
★★★ 読めて良かった
両親を事故で失い、伯母夫婦に引き取られたものの虐待を受けるようになってしまった太輔は、児童養護施設で母のような佐緒里、同級生の淳也、その妹麻利、おしゃまな1つ下の美保子と出会い、数年の月日を過ごした。高校卒業を間近に控え、受験に向け準備を進めていた佐緒里だったが、彼女の進学の夢は親戚からの就職の指示により絶たれてしまう。そんな彼女の願いを少しだけでも叶えるべく、太輔たちは作戦を始める。
児童養護施設を舞台にしているだけあり、いじめや虐待など、それぞれの抱える問題は重い。その重さを、安易なハッピーエンドには落とし込まず、かといって希望のない終結ではないのが良かった。
大切だった誰かと離れてしまっても、それで終わりではなく、その先で同じように大切にできたり、約束をできたりする人々に出会える。希望はあるが少し切ない結論に達してしまうところも含めて、読めてよかった。
Posted by ブクログ
色々な事情で児童施設に集まった子供達。やはり事情がそれぞれ重く、施設での行動制限状況や、そこを卒業してからの事情もあり、重く苦しく中々読み進めが進まなかった。学校でのイジメも酷い。
小学6年生男子の高校3年女子に対する淡い恋心が学校を巻き込んだイベントに変わったのだが、あまりに強い恋心に引いてしまった。嘘を付き、泥棒までしての強引な行動。最後は良い話しで終わったのだが、何か割り切れない気持ちが残る。
Posted by ブクログ
児童養護施設で暮らす子どもたちの話。
1番の年長者であるシオリの卒業に向け、それぞれが様々な思いを抱きながら蛍祭りの復活に奔走する。
これまで関わってきた人に、施設出身者はいなかったと思うけど、心に傷を負っていたり、色々と我慢を強いられたりしてきたのかなと想像してみたり。。
Posted by ブクログ
養護施設に預けられている子供たち。皆様々な家庭の事情を抱えた高3女子、小6男子2人、小5女子、小4女子の5人の第一班メンバーの1年間の物語。
小学生達が、来春には施設を出る高3のお姉さんの夢を叶えるべくある作戦を立て、実現に向けて悪戦苦闘しながらも力を併せて実現させて行く様が、親の事情や学校で受けるいじめ等の辛い面をからませながらも、いかにもな小学生的な乗りだったり、秘密基地的だったり、特に小6男子が高3女子に対して淡い恋心を抱いている様などが軽いタッチで描かれていてなんとも微笑ましく好感抱いた。
Posted by ブクログ
朝井リョウといえば、いやミスのイメージが強いが、本作は、養護施設の子供たちの健気な姿に心が痛む。
弟の医療費の問題もあって大学進学を諦めざるを得なくなった佐緒里のために、ランタン作りの材料を子供たちが学校から盗んだことが先生にバレて、担任が養護施設を訪問した時に、養護施設のみこちゃんが先生に返した言葉、
P280
「誰かから何かを奪ってはいけないなんて、そんなこと、この子たちはわかっています。きっと、私たちよりも」
親はなくとも子は育つ、とは言うが、多分そうなのだろうが、普通の親子関係を奪われた子どもの不安というのは大きいよなと思う。
Posted by ブクログ
いじめる奴はずっといじめる。
決して変わらない。
それなら逃げればいい。
そういうことに結論づけれる人は
自分の人生を生きれる人になるのだろうなぁ。
Posted by ブクログ
両親を亡くした太輔。施設で出会った1班のみんなと生きていく話。最後、大学進学を諦めて働くことを決意した佐緒理のためにみんなでランタンイベントを行ったのに、みんながそれぞれ生きていく決意をすることになるなんて。
これはハッピーエンドではない?!
Posted by ブクログ
家庭に問題を抱える子供達にスポットを当てた物語。最初にテーマに気付いたときは、どんな重い話として進んでいくのかと思ったけど、主人公や登場人物が皆小学生くらいなので基本的には軽くて子供らしい雰囲気で物語が動いていく。だけど、ふとした瞬間の描写や伏線にドキッとするようなものがあり、深く考えさせられる作品。本全体のメッセージとしては、辛いときに逃げてもいいというもので、元気がない時やセンチメンタルな気分のときに読むのをオススメ。読みやすくて世界観に入りやすい素敵な作品でした!
Posted by ブクログ
2018/08/02
児童福祉施設が舞台。子供達が主人公の話。主人公が小学生だから感情移入しにくかったけど、子供なりに一生懸命に頑張る姿は引き込まれるものがあった。
どんな道でも同じ広さの道というような佐緒里の言葉が心に残った。
Posted by ブクログ
養護施設に預けられた五人の子どもたち。
それぞれが辛い環境の中でも希望を見つけようとし、それをつかもうとするけれど
結局誰ひとり希望をつかむことができなかった。
東京にいけず、母親の暴力は治らず、友だちを得ることはできず、自分を受け入れようとしていた人が求めていたのは自分ではなくただ「そばにいてくれる人」だった。
それでも、次の希望に向けて、次の「私たち」に出会うために、それぞれが違う一歩を進もうとする。何かを諦めて。
どうして世の中はこんなにも残酷なのか
どうして小学4年生の小さい子に、頑張っても変わらないことを分からせないといけないのか
逃げることは悪いことではない。
5人に、それぞれの新しい「私たち」が見つかりますよう。
それを祈るばかりです。