朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
各登場人物の視点での物語進行のなかで、時々現れる海族山族という物語が不穏さを感じさせる。それもそのはず、この作品は「螺旋プロジェクト」という海族山族の対立の物語を8人の作家が描いた競作であり、この朝井リョウさんは対立という構図が表面上は消失した平成という時代を表現している。
学校では成績を提示したり、運動会での順位付けが行なわれなくなったゆとり教育が主流となり、テレビではSMAPが「ナンバーワンよりオンリーワン」と唄っていた時代、そのような競争や対立が失われていく状況を憂う一人の主人公として堀北雄介が登場する。彼はスポーツ万能で成績も良くクラスの人気者であったが、やりがい・生きがいを求めるこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ巻末のつんくの感想は、やはりプロデューサー視点だなという感じで、実際に作ってきた人の書評だった。
読み始めは、幼馴染と最後武道館で剣道かアイドルのコンサートどちらが行われるか、みたいな話しの流れになるかと思いきや、異なる終わり方だった。
印刷の発注の下請け会社の人の話しとか、ちょっとなんでこれ話しに入れたのか、振り返ってもあんまりわかってない。
アイドル同士がグループ内でたこ焼きパーティするような仲って、実際にあり得るのかなという疑問は読み進めながらあった。
背負わされすぎる足枷の多さに対して、夢を売る仕事だから。というのは、やはり酷なことに感じられる。一挙手一投足見られて、そこまでス -
Posted by ブクログ
生きていれば自分ではどうにもできないことに陥ることがある。それは、はずれくじのように起こることも少なくないからやるせないし、辛くて救いようがない。自分では間違っているとわかっていても、簡単には抗えない大きな存在に従い、飲まざるを得ないことまである。
この短編の物語のような状況のみならず、もっと様々な八方塞がりなケースが存在していて、それには誰もが陥る可能性があるが、人によって本当にあらゆる受け止め方があるのだろう。ただ、人が苦しさをあまり感じずに生きていくには、呼吸をするように素直に本音を吐き出すことができるような存在がそばにいてくれることが必要なのではないだろうか。それを見つけられない私