朝井リョウのレビュー一覧
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ネタバレ<備忘録・ネタバレあり>
直木賞作家でメディアでもよく目にしていたので「なんかシュッとしたイケメンインテリ若手作家」という印象だったが、このエッセイを読んで結構変わった。
飾らないというかちょいダサ痛エピソードが満載で、その可笑しい描写に著者のサービス精神をムンムンに感じる。(ちょっと狙いすぎと感じるところもあったけど^^)
まず巻頭の年表から面白い。「小6で小説を新人賞へ初投稿。受賞するつもりで日々を暮らす」「クラス名簿を基に執筆したバトルロワイアルを夏休みの課題作品として提出。職員会議の議題デビュー」など、短文から著者のキャラクターがうかがえて身近に感じる。
視力が悪いことなど、今とな -
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前作「時をかけるゆとり」の続編。
電車など公共の場で読むなら、マスクを着けることをおすすめする。ニヤニヤがとまらず、なんだこいつ、と思われるに違いない。
どうしたらこんなに面白い展開になるのか。
著者人生の中で形作られた思考回路の特異性がそうさせているのだろうか。
そして、書き方も素晴らしい。
"大切な人へのおくりもの"で語られるワサビからのオクラの展開、リズム感は圧巻。ラップのようだ。
第2部では、ふざけないエッセイも書けるという、類まれなる才能が披露される。
第3部『肛門記』に至っては、隣に人がいる状況で読もうものなら、変態と思われることうけあいである。読者を -
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ネタバレ・「子どもにとっての言葉」
-「言葉は時に、他の何よりも、私たちのことを助けてくれる。特に、財も力もない「子ども」という時代を生き抜く上で、本から授かる言葉そのものや、本の中の多くの言葉に触れるという経験は、自分を守る盾になりうると私は思っている。・・・本は、言葉とともに、視点を与えてくれる。世界を見つめる視点を増やすことは、今あなたを苦しめている相手を倒す武器にはならないかもしれない。だけど、あなたの心がある一点からの圧力によって押し潰されそうになったとき、目には見えない盾を構築する要素にはなってくれるはずだ。」
大人も子どもも読書離れが進んでいる現代。思考の形成期である子ども時代に、読書 -
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彼の作品には、相反する価値観や立場の人物を配置して、それらを交錯させていくような構造が多いのだけれど、この作品もそのような感じだった。
先に読んだ「イン・ザ・メガチャーチ」も、今回の「スター」も、辿り着く地点は似ているのに、そこに至るまでの過程、どの高さの視座で描くかという点に、朝井リョウの真骨頂があるのだと思い知らされる。
このモヤモヤを、そのような角度で表現してくるのか…と、張り倒されそうになり、とても楽しかった。
結論だけ抽出したいのであれば、おそらくアドラー心理学の本を読めば良いのだけれど、やっぱり物語を通じると、腹落ちさせることができるなと思う。 -
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新人映画監督の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した尚吾と紘。大学卒業後、尚吾は映画監督・鐘ヶ江のもとに、紘はYouTuber として、対照的な道を歩み始める…
映画とYouTube、対照的なメディア。
今や映画もネットでしばらく経てば、見れる時代。
個人の価値観が多様化している時代。
どちらが優れているとは比較できない。
古き物には古き物のよさがある。
誰が何を求めるか…
時代の移り変わりは激しい。
その時代に、流れに、乗り遅れないようにしなければ、『スター』は『スター』でなくなる。
昔に比べると『スター』が小さくなってきたのかもしれない。
誰もが『スター』になれる可能性も広がってき -
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世にも奇妙な物語。
あのテーマ曲。タモリさんの淡々とした語り口調。
ホラーとも違って、でもゾクッとする。
それは、ほんのちょっとしたきっかけで日常を外れて、奇妙な世界に迷いこんでしまうからだ。
奇妙な世界と日常は紙一重。「そんなこと、起こるはずがない」と自分に言い聞かせるほどに、自分の身にも起こりそうと思わせる。
今どきの日常を描くのが上手な朝井リョウさんだからこそ、この作品は割り増しでおもしろい。ふだんどおりに生活をしていたはずなのに、ふとしたことで、いつの間にか奇妙な世界に迷いこむ各話の主役たち。主役だけじゃなく、脇役だって油断できない。誰にでもおこりうることなのだ。
どの話も朝井リョウ -
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朝井リョウさんて本当に人に見せたくない人間の嫌な部分だったり、自分でもわかっていない心理みたいものをとってもうまく描写されますよね。3人の登場人物の話をカードゲーム『大富豪』のカードの強さで表しているところもとても面白いと思いました。
その人の背景や、余白や、物語は、それ以上のものにはなり得ない。それ以上のものになり得るように見えるときもあるけれど、決して、なり得てはいない。そのときそのときに出会ったものを積み重ね、吐き出して生きている私たちにとって、そのときそのときに想像されたかもしれない物語なんてどうでもいいのだ。そこにあるのは、そのときのその人自身、それだけだ。
著者の最新作を読ん -
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解説で書かれていた、アイドルは自分の代弁者、成り代わりというのが真理かな、と。なりたいけどなれなかった自分、手に入れたいけど手に入れられなかった自分が抱く不足感を満たすために、理想そのものとしてアイドルを見る。だから自分の欲と異なる言動をとられてしまうと裏切られた気になってしまう。
自分が何を好きなのかがわからなくなった主人公の気持ちにはとても共感。YouTube等が普及して、お金をかけずに手に入れられる物が増えた分、選び取らずに捨てることにも躊躇がなくなった気がする。サブスク契約はしてるのに、見たいものが浮かんでこなくなる。お金を払って手にするものを選ぶって、値段以上の価値が生まれるのか -
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人間の弱い部分とか、焦りとか不安とか、今考えてもどうすることも出来ないような、じれったいようなことを語彙にするのが朝井リョウ先生のすごいところだなぁと思う。
私は学級委員タイプではなかったが、クラスにこういう子いたし、五十嵐みたいな子もいた。
昔はあまり人と合わせることができず、それでも特に気にならなかったが、思春期に差し掛かった時にいきなり少人数でいることにたいして不安になった。
輪の中心にいた子達は、緻密に少人数派にならないように派閥を管理していたんだと今更ながら気づいた。
歳をとると、別に少人数派でも気にならなくなってしまったが、向き不向きというよりかは芯がないといけないんだなと思っ