【感想・ネタバレ】スペードの3のレビュー

あらすじ

ミュージカル女優、つかさのファンクラブを束ねる美知代。小学校の同級生の出現によって美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。つかさにあこがれを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて人気を誇っていたが、最近ではオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出す。私の人生は私だけのもの。直木賞作家朝井リョウが、初めて社会人を主人公に描く野心作!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

今年、業務量のあまりの多さに、押し潰されそうな日々を送っています。頼んでくれた人のため、社会のため、と思って倒れそうになりながら奮闘していますが、、、本書の「ハートの2」を読んで、なんと自分は偽善的でカッコつけだったのだろうと、なんだか笑いたくなりました。むつ美が「誰かのため、という前提で行っていた物事は全て、自分のため」と気づき、生きるのが楽になったシーン。私もすごくスッキリしました。頑張ってる業務は人のため、ではなく褒められたいという自己承認欲求を満たすため、迷惑かけないため、というより怒られたくないため。まぁ、自分でも気づいてはいたのですが、それが言語化された本を読んで、それでいっか!となんだかホッとしました。自分のために、エゴに、仕事頑張ります。

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2025年11月16日

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ネタバレ

当方ヅカヲタです。
ヅカヲタはスペードの3とダイヤのエースだけでも読んで欲しい。宝塚独特の世界観、そしてそれをサポートする会の存在について、ほんとそれ状態。
スターには物語が要る。田舎生まれだったり、失敗談だったり……そつなくできるスターよりも物語のあるスターを求めてるんですよね……。
って朝井さん、誰の会員(ファミリア)だったんですか??

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

僕の好きな朝井リョウが詰まっていた。
とくに、情景を伝える時の例えが秀逸な点と人間の捻くれた部分の解像度の高さに魅力を感じた。
文章を読むだけで朝井リョウさんの本だと分かるくらい色が出ていた。

スペードの3の意味は理解出来たけど、ハートの2とダイヤのエースの意味もあるのか気になった。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

やっぱり朝井リョウは裏切らない。
嫉妬や独占欲、承認欲求などの感情の変化を言語化するのが上手すぎる。女性の感情や機微な人間関係を、なぜ朝井リョウはこんなにも的確にそして面白く書けるのだろう。
すべての注目をかっさらってその場の主人公になっちゃう目障りな人っているよね〜、誰かのためっていうフリをしながら実際は全部自分のために行動してるってこと結構あるよね〜、と共感しっぱなし。
そして登場人物たちに共感している自分の性格の悪さを突っつかれているようにも感じた。
朝井リョウの小説を読んでいると、毎度自分の腹黒さや性格の悪さなどを指摘されているようで、「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪と反省の言葉ばかり頭に浮かぶけれど、でもそんな読書体験がクセになってむしろ快くも感じられて、もう朝井リョウの世界から抜け出せないんだな、これが。

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

いくら待っていても、革命は起きない。持ち得るカードで自分から戦うしかないのだ。
人生をトランプの大富豪に見立て、変わり行く周囲と変われない自分、取り残されることで初めて気付く惨めさを描き出す。自分の人生が向かう先は自分でしか変えられない、代表作『何者』にも通じる朝井リョウの一貫した世界観を本作からも感じます。
愛季とむつ美、つかさの生い立ち、ミステリー要素のある美しい伏線回収も印象的でした。

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2025年12月01日

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ヅカのOG会の代表、そのOG会に入ってきた代表の小学校の同級生、そしてOGの短編連作集。
共感できる人はいないんだけど、こういう人たちいるよね、とこういう人たちが作り上げてるコミュニティというなんか妙な納得感。
実際はもっとさっぱりしてそうだが。

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2025年11月07日

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フィクションなのに本当に人の心を覗いて書いているのではないか、と思う程丁寧な心理描写は見事。
前に踏み出せない心理、自身の行動理由を後付けだと自覚し、自分がなりたい自分になろうとする心理、特別ではない自分自身を受け入れる勇気、どれも共感できる部分があった。

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2025年09月15日

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ネタバレ

やっぱこういうテーマで書くの上手いなーーって思って面白かったけどアキってお前かい!!ってなったのがピークすぎて3章目が相対的にのっぺりした感じに思えてしまった。1章目が衝撃すぎて、そこから引っ張ってる黄色いストールのことを考えすぎていたからかもしれない......。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3人の女性が主人公。
つかさ様ファンクラブを取り仕切る女性、くるくる天パのアキちゃん、つかさ様。
一章のアキちゃんとむっちゃんの叙述トリックがおもろかった、そこで種明かししちゃうんだ的な。普通の本なら最後に明かす種な仕掛けを中盤で明かしていた。
最終章のつかさ様から円への感情が人間らしくてよかった。ほどの良い悲劇があることで、演技の背景に深みが生まれる、私には何もない(悪い意味でこれで順調すぎた)

ファミリア内のいざこざやアキちゃんからみちよへの制裁なども、つかさ様からは何も見えていないけど、それぞれで悩みや葛藤をもちつつ、自分のコンプレックスや黒歴史と奮闘している様がおもろかった。

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2025年08月05日

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誰しもが持ってるけれども口に出さない、
道徳的ではない欲望を、朝井リョウ氏は
どうしてこんなに解像度高く表現できるのか。

朝井氏の話としては、今後どのように生きるべきかが示されているので、明るい気持ちで読み終えることができた。自分の現在のポジションを変えたいなら積極的に動こう、そんなところだろうか

私は長年の宝塚ファンですが、
ファンから見ても正確にファンクラブの裏側を描いていて素晴らしい。
ただ、会員の属性が多様なファンクラブにおいては、会への貢献度(チケットの購入枚数)に応じて序列(いい席のチケットが与えられる)をつけることで、他の会員も競ってチケットを買うようになるので、運営としては合理的なのかも。もちろんこの話で書かれているように、そんなことができる時間的・経済的余裕のない会員からの不満は高まりますが。

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2025年06月08日

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一つの物語に3つの視点。それぞれ背景や思いがあっておもしろい。第二章ではあだ名が同じだけど途中までどっちかわからなくて惑わされて意外性があっておもしろかった!!

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

この作者はひとの心理描写が本当にスゴいと思う。特に女性の。
ストーリーに起伏がものすごくあるわけではないが、心理描写だけで面白く感じさせる。

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2025年04月03日

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朝井リョウ独特の、人間の醜いけど誰しもが心当たりのある感情みたいなものを表現する、というのが全面に出ている感じがした。自分がありたい姿と、そうはなれないと諦めて他の何かに原因を押しつけてしまう心が、自分にも少なからず思い当たる節があって、共感しつつ、ここには共感したくなかった…と悔しくなる部分もあった。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

宝塚の追っかけってこういう感じなんだということを知らなかったので、興味深く読みました。
それぞれが不幸を抱えつつも、嘘を抱えつつ、そこに限界を感じつつも毎日を生きていこうとしていて、人間らしい話でよかったです。面白かった。

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2024年12月29日

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ネタバレ

香北つかさファンクラブ「ファミリア」をまとめる「家」のメンバー、美知代。優位に立ちたい学級委員の気持ちのまま大人になり、あの時、下に見ていたアキが現れる。自分の立ち位置がグラグラ、よりによって、あの子に足もとをすくわれる。愛季はどこまでもいい子で、そんなふうになりたいけどなれない自分にイヤ気がさす。
連作だけど最初のこれが一番好み。嫌な面をえぐり出すので、元気な時に読むほうがいいのかな。

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2024年12月06日

Posted by ブクログ

何でこの人はこんなにも人の心を言語化するんが上手いのだろうって作品読むたび思う。今回もグサグサ刺さりました。

カタカナの部署は漢字2文字で表記できる仕事をして漢字2文字の部署がカタカナの仕事をするっていうの面白かったな

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2024年10月15日

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読んでて心がざわざわした。
女性たちの集団の中での感情ってすでに小学生の頃から方向付けられてる気がして、その中での立ち居振る舞いは大人になった今でも基盤になっているような…。
どうしてもそう振る舞ってしまう、そんな主人公たちのままならない心情が描かれているからか、私の心がぎゅーっと苦しくなる場面、いくつもありました。
面白いけど時折つらい、またすぐ読み返したい!とは思わないけど魅力的な本です。

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2024年07月16日

購入済み

ドロドロ、というよりは人がみんなどっかで抱えている感情だと思いました。
なんだかんだ言っても、最終的に一歩踏み出す主人公たち。
読み終わた後はさわやかな気持ちになれます。
複雑な感情を抱える主人公たちはみんな女性ですが、ところどころに男のずるがしこいところや
何とも言えない不気味なノリが表現されていて、結果物語がよりリアルに感じました(笑)

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2022年04月19日

購入済み

革命

残酷なまでに緻密な心理描写。
目を背けたくなるのは,誰しもその嫉妬心や傲慢さに,心当たりがあるから。
もがき苦しみながらも前進していく過程に逞しさを感じた。

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2021年04月12日

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朝井リョウさんは、人生の中で感じる何気ないことを文章にするのがとても上手いと、読むたびに思う。なにか劇的な事件が起こるわけでもない、どんでん返しがあるわけでもない、それでもなぜか引き込まれてしまう力がある。自分の身近にある気持ち、感覚、違和感。それをすべて文章化してくれていてとても読みながら唸りそうになる。
美知代、むつ美、つかさ。それぞれ違う人生を歩んできた、全く違う3人のお話。声高らかに発言して共感を求めたくなるほどではない、でも生きていく上で感じるもやもやとしたもの。私は、3人ともに共感できたけどつかさのパートがとても心に入ってきた。つかさにも共感したけど、私が一番共感したのはつかさパートに出てくる円。
かわいそうな私を見て!
私はこんなに壮絶な過去があるの!
だから私はそこらの人間とは違うの!
自分自身、どこにでもいそうな人生だとは思ってない。家庭環境、いじめ、精神疾患、挫折。割と暗い過去を持っていると思っている。でも上のように言葉にすると大げさに聞こえるが、同じような経験、またはもっとつらい経験をした人間はたくさんいると思う。だけど、その過去にこだわる、というか他の人とは違うと自覚する節はあると思う。だからこそ、読書感想文でこのような身の上話をするわけで。しかも、円がつかさに最後に向けた言葉たち。円はそれを自覚しているんだろう。そういう部分も、自分と似ているなあと共感をしてしまった。私以外にも同じように思っている人間はたくさんいるのかもしれない。
ほとんど身の上話になってしまいましたが最後まで読んでくれてありがとうございました。朝井リョウさんは定期的に読みたくなりますね。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

打算ではどうしても勝てない存在がいたり、過去から逃れたくても逃れられなかったり、日陰者の辛さが嫉妬・自己顕示欲・自虐心などの感情を通して解像度高く描かれていた。一個目はスポットライトが自分から他人に向くパターン、二個目は望まない場面で照らされるパターン、三個目は常に隣が照らされているパターンと思えた。特に『ダイヤのエース』はお気に入り。評価されたり注目されるのに必要な物語を持つ者と持たざる者の戦い方が対照的で面白かった。

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2025年08月26日

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3.8/5.0

小説全体を覆うテーマ性が、少しバラバラな気がした。
結局なんだったんだろう、と感じる箇所がいくつかあった。

つかさが抱える、自分には分かりやすい悲劇や物語がなく、それなりに恵まれて育ってきたという「コンプレックス」は、比較的平和な現代のこの国で育ってきた人々が共通して抱える思いな気がする。
大事なのは背景や物語ではなく「今、何をやるか」だ、というこの小説の姿勢には勇気づけられた。

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2025年08月13日

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ネタバレ

・上手くいかなくても社会人は進まなければいけない
・小学生のときの女子独特の世界は大人になっても続く
・革命を起こすのは自分だ
・ハートの2、ダイヤのエースも読みたい!

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〜1周目〜
2025.08.02
他人を羨ましく思う小学校のころからの気持ちがいつまでも続いてる、他人と比べることが1番自分の価値を知れる人たちの話。
そんな人たちみたいになっちゃうこともあるだろうけど、自分をしっかり持って行動することができるようになりたい。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

それぞれの視点でのそれぞれの思い。
自分が1番になりたいという人間の貪欲さ。
その為に必要な自分の武器とは何か。
結局今の自分以上の自分にはなれない。
これまでの自分があって、今の自分があるということ。

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

朝井リョウさんって女の子の人生も生きたことあるのかな?ってくらい小学生時代にありがちなリアルなエピソードが描かれていた。

私は、私のために、よりよくなりたい。
誰かのために、なんて前提はなくてもいい。そんな前提の前に、自分のため。という大前提があることを恥じなくていいし、あるべき欲望だと思った。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ


一つ目のスペードの3が1番良かった。題名の回収などもあって、最後にはなるほどねとなる展開だったと思う残りの二つは取ってつけたような感じがしてしまった。結局ハート2、ダイヤのエースが何を表すのか自分は読み取ることができなかった。
三つの作品どれにも言えることとして、変わる瞬間というのは突然やってくるということだ。確かに変わるきっかけはちょっとずつはあったが、最後のひと押しは突然やってくる。結局そこで踏み出せるかどうかが変われるがどうかだと思った。その一歩を踏み出すためにこの本があるのだと感じた。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悪くはないけど「何者」と比べると落ちるかなという評価。「何者」が良すぎてハードル上がっていたというのはある。

どの話の主人公もどこか捻くれていて作者らしさがあり、表題作でのミスリードの誘い方も流石に上手い。
……んだけれども登場人物の言動に対する説得性や女性の描き方の2点が少し弱いと感じた。

体的にそれが顕著だったのが「ハートの2」
①登場人物の言動に対する説得性
むつ美は自身の過去を振り返るなかで、表題作ではむつ美に声をかけていた(はずの)美知代の名前すら出てこず、反対に小学校時代にむつ美に話かけている描写があまりなかった愛季の名前はしっかりと出てきている。
「何者」では二宮拓人が終盤でイタいツイートをしていた情報が開示されて、それまでの印象がひっくり返るという驚きや二面性が面白く、納得させられる部分であったが、本作ではそれがなく表題作でむつ美が美知代にかけた言葉に説得力がなく、逆恨みしているように見えてしまった。
例えば「ハートの2」のなかで「美知代はむつ美に親切にしているつもりだったが、実は他人に親切にしている自分に酔っていた」「美知代はよく打算的な言動をしていた」といった具体的なエピソードがあれば、登場人物の二面性や感情への共感、2つの物語の間で話に厚みが生まれたのではないかと感じた。

②女性の描き方
登場人物の男女比が同じくらいであれば多分気にならない程度の作者だと思うが、登場人物がほぼ全員女性だとちょっとひっかかる部分があった。
特に表題作の終盤、むつ美が美知代に「愛季と壮太が結婚して子どももいる」と言い攻撃しているシーン。
作者的にこれが美知代への精神攻撃に繋がると思って会話のなかに組み込んだのだろうが、現在の職場に気になる人がいるという美知代の描写をした上でのこれは余計というか、女性的にはダメージを受けないと思われる。(逆に男性はむつ美のこのような言葉でダメージを受けるんでしょうか?)
この展開であれば、現在の美知代の好きな人に対して美知代にマウントを取るためだけに、むつ美からアタックをかけたりデートをしたことがあると話したりといった方向に持っていった方が女性読者にとっても臨場感があるのではないかと感じた。なんとなくここのシーンの女性への解像度が低くて冷めてしまった。

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

自分を変えたいのに変えられないと思ってる人の背中を押してくれるようなストーリーでした。3つの連作で、どれもおもしろかったです。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

あっという間に読めたが、作者が伝えたかったことは何か?

自分は変わらないといけない?

変わらなくてもいい?人それぞれ悩みがある?色々考えさせられた。

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2024年07月30日

Posted by ブクログ

他人を嫉み妬み、それでも自分以外の何者にもなれない女性3人の物語
若いからこそなのか登場人物たちの自我が強すぎるが故の悩みかな

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

 小学生時代の過去に知らず知らずとらわれていた女性、過去を克服した女性、物語になるような過去がないと自覚している女性、三者三様の人生。ストーリーの展開など、少々わざとらしく感じる部分もあったが、面白かった。

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2025年12月07日

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