朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編集だった。
朝井リョウの作品を初めて読んだが、文章が飛ぶ事がたまにあり、読み始めた時はそこに読みにくさを感じた。読み進めるにつれて、慣れていき、自然と内容が入ってくるように感じた。
題材として、世間の言語化しにくいが、不満に思っていることが、全体的に扱われていた。思考が単純な自分にとっては、そういう考え方あるのかと、考えさせられることがあった。
最後の何様では、ただの人間が、急に面接する側になったり、業界人っぽい言葉を使い始めたりすることに困惑する。しかし、それは誠実にすることの1歩であると。自分を認めてあげよ、みたいなことが描かれていた。
若林の解説も面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ螺旋プロジェクトそのものを知らずに、作家で選んで読んだ。
タイトルから暗い話かと思ったら、そうでもなくて。ここで終わるんだという感じもあった。
雄介みたいなタイプ、いるよね…。私も苦手だな…。対立を生んで優位に立ちたい、リーダーになりたい人。私は対立、順位付けが全くモチベにならないし、逆にモチベが削がれるけど、父は自ら対立は生まないにしても対立、順位付けのある環境の方が好転するタイプだろうなあと思ったりした。
生殖記を読んだあとに読んだから「生産性」をさらに感じた。自分の「生きがい」「死にがい」ってなんだろう。何も思いつかない。本当にそれってなきゃダメなものなの?と思っている。
最初の雄 -
Posted by ブクログ
同じ場所からスタートした2人が別々の道を歩み、そこで違う世界を見て、感じて、考えて、出した答えがまた2人を繋げる。
「細かいところまでしっかりこだわる」尚吾と「自分の目で見て良いと思ったものを撮りたい」鉱。
どっちが良くて、どっちがすごくて、どっちが本物かなんて比べることができないのに、勝手に上か下かを決めて優越感に浸ったり、相手を嫌いになったり、自分を信じれなくなったりするのは本当に勿体無いと思った。
千紗が言ってた通り
「そのときのために、私は、誰かがしてることの悪いところよりも、自分がしてることの良いところを言えるようにしておこうかなって、思う」
この言葉の通り誰かと比べて勝手に優劣 -
Posted by ブクログ
ほんとのことを言うときは、口元を隠したくなる。
この表現がずっと頭に残っている。
そういった、無意識下の言動を不意に意識する瞬間は、日常の中で時たま顔を出してくる。例えば、誰かに何かを伝える最中に、繰り返し同じ言い回しをしてしまう。そのことを意識してしまって空回りする。小さな自己嫌悪に陥りすぐ復活する。私にはたまにそんなことが訪れる。
時代感やトレンドと言われるものによって、その時に正しいとされる価値観や倫理観が左右される。かつて正しかったものは、今はどれだけ疑わずに済むのだろう。かつて面白かったものは、今はどれだけ笑えるのだろう。そしてそれは今と未来に置き換えても同じことが言える。
時代 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
「そのときの自分にとっての百点が求められてるわけじゃない。毎日投稿してること自体をすごいって言ってくれる人がいる。動画長くして広告いっぱいつければ実入りは増える。ないものをあるように見せられるし、そういう奴でも勝ち続けられる」
「尚否は初めて金銭が発生する映像仕事だって喜んでましたけど、俺はその金銭がなんか怖かったんですよね。俺にきた依頼じゃなくて、賞の名前とかその賞が持ってる歴史とか、そういう、俺自身とは関係ないところにある文脈に金が払われてる気がして」
紘は、声に出さずに繰り返してみる。
「どんな世界にいたって、悪い遺伝子に巻き込まれないことが大切なんです。一番怖いのは、知らないうち