朝井リョウのレビュー一覧
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ネタバレ
劇団のかつてのスター、つかさ。そのファンクラブを仕切る美千代。ファンクラブに後から入った、かつて美千代と同級生で目立たない存在だったアキことむつみ。物語はこの3人の視点で描かれる。
ファンクラブという限られた世界でリーダーを気取り、決められた規律やルールの中でトップに立ちたがる美千代。井の中の蛙のような美千代に、アキが「小学生の頃から変わらないね」と呟く。
つかさは、昔から優等生でエリート。挫折経験もない。同期で劇団に入団した円は、不幸な過去を持ち、問題児。だが講師勢が気にかけるのは円の方。挫折を乗り越えた経験や家族の離婚など、なんの物語も持たないつかさは、演技者としての深みのなさに苦しむ。
所々共感ができる部分はあるが、3視点の繋がりがやや薄く、中途半端なところで終わっている印象。読み終えてもやや消化不良のような気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ優しい家族愛の物語。6人の子供たちがみんな良い子すぎて愛に溢れてて、歪んだ私はちょっと冷めてしまったところある。家族の喪失は頑張っても綺麗ごとにできないんじゃないかとか、まだ幼い子供たちまでお父さんを想い続けているのはすごいなあとか思ってしまった。
とはいえ、ラストの家族の話し合いシーンなど泣ける。
夏が似合う海辺の街、景色の描写が多くて一緒に青春味わせてもらった。中でも凌馬とあおいちゃんが海辺にいるシーンが好きかなあ。
「きらきらひかる青い海を背後に携えて、裸足で砂を蹴りながら走るあおいの姿は、どこかの国の童話の主人公みたいだった。太陽が落ちてゆくと、一瞬、駆けるあおいが光を隠す瞬間があった。そのときあおいは小さな小さなシルエットになって、海に焼きつく。さん、さん、さん、と足の指で砂を飛ばしながら、あおいは走っていた。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ままならないから私とあなた」
題名に惹かれて買ったけどそのまま積んでた本。まさかこんな内容だったとは…!帯に"価値観を揺さぶられる衝撃作"って書いてあったけどまさにそんな感じで衝撃を受けた。読んでる途中も読後もあまり気分が良くない。気持ちよくなれる小説だけが小説だけじゃないから当たり前だけど、ずっと薫と雪子が違う価値観を抱いているし、都度違和感も増えていっていつ仲違いしてしまうんだろうと不安になったしそもそも何故二人は友達で居続けられるのか不思議だった。自分自身友達や家族、恋人など価値観が全く一緒なことなんてないし、寧ろ自分との違いを面白がりながらも人間関係を築いているけど、ここまで違うと仲良くするのって難しくない?と思ってしまった。どちらかというと人間らしさや曖昧な部分こそ良いなと思っている方なので雪子の方寄りになってしまう自分がいる。薫が雪子のことを大事な友達と思っているのは痛いくらい伝わってくるけど、想っているからこそ夢を叶えてあげようとするその方法が歪んでいるなと思って気持ち悪かった。「そんなに言うなら電車とか使わずに歩いていきなよ!」みたいな激昂してるところの台詞も流石にそれは極端すぎるだろと呆れてしまった。だけどどちらが悪い、どちらが正しいということではなくて薫も、雪子も、そして誰しもが実際はどうしようまなくままならないところがある。薫はそれを埋めたりコントロールしようとするけどその姿自体がままならなさとして自分の目には映った。そして私はその人のままならさを愛おしいと思う。最新技術にはありがたくあやかりながらも、何ともならない自分や他人の情けなさやだらしなさまでも許しながら生きていたいと思った。