朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人生では、他人の成功に嫉妬したり、自分の得意分野で、自分より質が低いと感じるものが高く評価されていたりすることがある。しかし、今の世の中は一つの価値観で成り立っているように見えて、実際には価値の判断基準は、それを感じる人の数だけ存在している。それは、本作のタイトルにもなっている「スター」という言葉を聞いたときに思い浮かべる人物が、人によって異なることと同じだ。
このような世の中だからこそ、人を騙す人もいれば、騙されることを望む人もいる。だからこそ、自分自身が心から信じられ、誰に見られても胸を張れるものを生み出していくことが大切なのだと思った。
また、そのようなものを作り上げていく過程では、 -
Posted by ブクログ
正しい価値観同士を対峙させて、ぐちゃぐちゃになって、巡るめく歴史の一部なんだよという物語だった。本当に人間関係の歪なすれ違いをそのまま標本にしてるみたい。合理と人間臭さは確かに程度問題にするとどちらかに軍配は上がるけれど、どちらが正しい答えなのかではなく、人間同士のぶつかり合い自体に人の営みの価値を感じさせてくれる。解決ではなく、対話を重んじていて、どちらの言い分もわかるからこそ、人間は本当にままならないし、わかり合おうとすることしか今の所手立てはなくそれ自体が人間らしいのかなと感じた。やっぱりこの人の作品はそういう綺麗事で終わらせないぐちゃぐちゃさせて、そのぐちゃぐちゃが世界の至る所にあると
-
Posted by ブクログ
ネタバレ少年たちの成長の話?
私とタイプの違う人たちすぎて読み進めるのがしんどかった。主人公たちが青すぎるのもあるかな。
もっと若くて、全部に一生懸命だった頃に読めば違う印象だったのかも。
メインの主人公の尚吾は、結局自分で何も考えてなくて、尊敬する人や自分が認めた人たちの考えに影響されてるだけでは?と感じる。
結局彼が自分で考え抜いて発した言葉ってあるんだろうか。
尊敬していない人や自分の認められない人たちには頑固で、そうでない人に対して素直と思われるところにモヤモヤを感じ得ない。
ダブル主人公の紘の方が、不器用でイマドキな部分にヤキモキするところもあるか、芯があり自分で考えて行動していて好感が -
Posted by ブクログ
相変わらず時代を先取るのが上手いなぁと感じた。数年前に発売してるものの、無料動画プラットフォームにおける表現の行く先が今と重なる。
あと小説内で確かになと思ったのは、YouTuberとテレビタレントの違いについて。
彼らの違いは企画内容などではなく、関係性や文脈にあるということ。インフルエンサーと呼ばれる人々が一堂に介しても大して盛り上がらない一方、テレビタレントは先輩や後輩、大御所などの文脈があるから、内容そのものではなく文脈に反応しているということ。
昔のように共通の文脈で盛り上がれないと言われる現在、今インフルエンサーと呼ばれてる人も10、20年後には、何かしら文脈ができて、また新 -
Posted by ブクログ
本のタイトルが、全ての話に共通していることであり、ズシンと心に来る一文だなと思った。
どの話も終わり方はたいしてスッキリしないしハッピーエンドでもない。でもだからこそとてもリアルだと感じた。特に好転もしない、明らかな光が見えるわけでもない。不安も絶望も後ろめたさや後悔も、地続きでこれからも続いていく。でも、それでも。どうしても生きてる。
それぞれの主人公や登場人物に対して、どうしようもないな、共感できないな、クズだなとか思う場面も多かったが、でもなんとなく分かるような。そんなもの悲しさ。
最後の話の最後の二言が好き。私の立つ舞台。私の人生。
朝井リョウはとにかくリアルな話を書くし、衝撃的な事 -
Posted by ブクログ
オタクになってから読み返すと、初めて読んだ時とは全く違う作品だった。
印象に残ったのは、「正しい選択」とは何かという問い。正しい選択とは、自分で選んだ道を信じ続けて、正しかったと思えるように生きること
絶対的センター碧や愛子の恋愛には共感する部分もあったが、オタクの立場からすると「それも全部承知の上でアイドルになったんじゃないの?」という気持ち
だからこそラストには違和感が残った。脱退して別の人生を選び、その選択を信じて歩んできたなら、それも一つの正しい選択のはず。それなのに、13年後に初期メンバーとして武道館のステージに立つ結末は、作品のテーマと少し矛盾しているように感じた。
もし自分が -
Posted by ブクログ
海が見える街に住む一家が、「家族」を卒業するまでの物語です。一年前に父を亡くした六人兄弟それぞれの目線で、大好きだった父の死を乗り越えていきます。朝井リョウのわりと初期の作品。爽やか青春小説で、朝井氏作品の特徴であるドロドロした心の闇描写はないものの若者の事象表現の鮮やかさはこの頃から発揮されていたようです。
ライフステージが変わり実家を出る兄弟たち。家族を繋ぐ家族経営のカフェがなくなり、「家族を卒業」しても、家族の「輪」は繋がっているということを、父によるちょっとした「仕掛け」で実感します。
それがわかるタイミングにちょっとシラけてしまったけど朝井リョウ作品はこれからも追っていきたいです。