朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なかなか楽しめた。
この人は作品の作り方がうまい。長いセリフ回しの間にも地の文を入れて飽きさせないようにし、行き過ぎず浅すぎずを丁寧に理解した表現技法を使っているから、読んでいて不快になることがほとんどなかった。現代社会におけるコンテンツについての下調べも十分で、資料集としてもそれなりの価値を持っていると思えた。
何より面白かったのが、作中において暗に批判されている「ないものをあるように」、「世間の風潮に応じて作風を変える」という風潮そのままにこの作品の執筆が行われていることだった。これ以上の皮肉があるだろうか。
深みに嵌まらないように注意しながら掘り下げ、とってつけたように昔から言われていたような理論を振りかざす。こうすると中身がたっぷり詰まった作品に見える。それをこの著者は、なんと自分の作品で実演してみせたのだ。
これは新手のメタフィクションかな?と興味深く読ませてもらった。しっかり参考にさせてもらおうと思う。 -
Posted by ブクログ
現代の移り変わりの激しい時代に飲まれる感覚と、それに疑問視を抱く感覚を練るように考え言語化された話。
自分自身が社会人として働き始め、自分の歩み方に疑問視を抱く中、より崇高に誠実に悩み考え道を見つけていく様子が眩しく、真面目だなと感じた。
物語は映画サークルに属する対局的な二人の青年の対比から始まっていく。生真面目な技術力を持ち古き良きを崇拝して映画に向き合う子と、単純に美しいものを残し広めたいと感覚的に動く子。そんな中、メディアの形が変わり人々は細やかなクオリティーより、単純明快な娯楽物へ流れていく。
自分の追い求めていた「いいと思うもの」が周りからは求められていない、表面的な現代を生きる葛藤。段々と自分の求めていたものと世論の間に挟まり迷っていく様が細かく描かれている。
始めは物語要素が強くサクサク読めるが、段々と現代の、細分化された嗜好と表面的なものを好む傾向に陥っている風習について、疑問定義から解釈までを語る形になっていく。めんどくさい人たちだなと感じたが、目まぐるしく移り変わっていく現在において何が素晴らしいかを主張したり、現在を嘆いたりするのではなく、自身が求めていることはなんなのかを沢山立ち止まって考えていくことしかできない世の中なのだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウさんが10年以上前に描いていた、アイドルとその周りを取り巻く環境。
歌って踊ることにこだわる子、別の道を選ぶ子、そもそもアイドルを目指してなかった子、容姿批判に悩む子、感情を消すのに慣れてしまった子。一度にアイドルと言っても、それぞれが抱えるものがある、いや全員同じような悩みを抱えているがその比率が違うだけなのかもしれないと感じた。
私は特に、最年長の波奈の描写が印象的であった。「怒ることでわかるその人の器」、波奈は彼女自身がこの器の形を見失ってしまっていた。このとき、本を閉じて一度、自分が何に対して怒りやすいのかを考えた人は多いのではないだろうか?好きなものに対しては沸点が低くなるというのは見事な着眼点だと思う。
ラストシーンでは、彼女たちの未来が描かれているが、メンバー、ファン、部外者の誰にとっても、あの頃の出来事は「所詮、過去のこと」となっている。あの頃は、それが「人生の全て」であったのに。
アイドルというテーマに託す形で、人間の盲目さ、責任転嫁、狂信性を描ききっている。 -
購入済み
エッセイ以外で
本屋さん大賞マニアとしては
著者さんの小説を初めて拝読
刺さる部分もありましたが
う〜ん自分が小説に求めるのとは
少し違うかも?
喋りは大好きなので推しではありますが
そんなに課金はしないかもゴメン
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Posted by ブクログ
ネタバレ帯に書いてある通り、短編集だけど頭から順番に読んでほしい作品。章タイトルを入れる場所も本家のそれっぽくて、こだわりが感じられた。
印象に残ったのは1話と5話。
1話は終盤の「ここにいるみんな、そうなりたくてなったわけじゃないんだよ」がやるせなさすぎて、心にズシンときた。
5話は「なるほど!」という設定で、思わずそれまでの話を見返してしまった。脇役の「あるある」分析が細かすぎて、今後映画やドラマを見るときに意識してしまいそう笑 あと、実在の俳優さんをモデルにした登場人物たちで笑ってしまった。
オチがわかってると面白さ半減な気がするので、再読はないかもしれない。