あらすじ
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アイドルのファンビジネスは、売っているのはモノというより、「所属」や「意味」なのだと思う。
そこに強く引き寄せられるのは、自分の輪郭がはっきりしない人、居場所が定まっていない人たちだ。
「ここにいていい」と言ってもらえる感覚を求めて、気づけばその弱さごと消費されていく。
その構造にどうしても引っかかりを覚えた。
ただ、これを単純に悪だと言い切るのも、どこか違う気がしている。
実際、救われている時間は確かに存在する。
何もない日常より、誰かに必要とされていると感じられる時間のほうが人を生かすこともある。
それをすべて否定してしまっていいのかは、正直よく分からない。
この感覚は「いただき女子りりちゃん」のマニュアルを読んだときにも重なった。
ギバーおじ、テイカーおじ、マッチャーおじという分類の中で、テイカーおじの特徴として「趣味や生きがいがない」と書かれていたのが印象的だった。
ここでも搾取の対象になっているのは、満たされない空白を抱えた人たちだった。
さらに皮肉なのは、りりちゃん自身もまた居場所を持てず、ホストにのめり込み、気づけばお金をつぎ込んでしまった当事者だったという点だ。
搾取する側と搾取される側の人が実は同じ「居場所のなさ」を抱えていたのだ。
何かに依存する人は、趣味がない人が多い、という話をよく聞く。
でもそれは、その人が空っぽだからというより、自分が属していると実感できる場所が極端に少ないだけなのではないかと思う。
居場所が一つしかなければ、そこは簡単に逃げ場のない場所になってしまう。
一つの場所にすべてを預けないこと。
それだけで、人は少し搾取されにくくなるのかもしれない。
かくいう私も、趣味らしい趣味はなく、このままでは自分自身も慶彦や道哉の父のような存在になってしまう気がして、とても怖くなった。
何か一つにすがり、それを失うことを極端に恐れ、結果として誰かに利用されやすくなる。
この物語は、決して他人事ではなかった。
これまで、女性同士のコミュニケーションは男性と比較して浅いと下に見ていたところがあった。
でも今振り返ると、それは浅さではなく、一つに依存しすぎないための距離感だったのかもしれない。
むしろ自分のほうが、関係を深くすることに価値を置きすぎて、自分で自分の居場所を狭めていたんだと思う。
女性の雑談では何かを教え合っていることが多いらしい。帰省したときに母におすすめの化粧水を聞いたら、母は嬉しそうに教えてくれた。
ああ、こういうやり取りが居場所を増やしていくのかもしれないとそのとき思った。
「インザメガチャーチ」は資本主義の中で生まれる救いと搾取がとても近い場所に並んで存在していることを静かに示している。
誰かを断罪するための物語ではなく、自分はどこに居場所を求め、それをどれくらい一つの場所に預けてしまっているのかを、そっと問い返してくる一冊だった。
Posted by ブクログ
推し活が身近な生活の中で、この本を読むと言語化できなかったモヤモヤが文字にされてすっきりした。何かに頼りたい気持ちは誰しも持っていて、それが何か、宗教なのかアイドルなのかの違いであるとか、属性に分類されたいとか、男性は友達がいないなど、ぼんやり考えたことがクリアになった感じ。
Posted by ブクログ
色んな立場の人の色んな物語。全員の物語の前後が細かく描かれてるから全員の気持ちがちゃんと理解できる。人生に正解はないから、その時の自分が一番心地よいことをすればいいや、って思った。あと、自分は今ちょうど「新しい女友達との会話の仕方がわからない」って悩んでたところだったから、「女性の雑談は知識の交換、助け合い」って言語化されてて、「なるほどな」って納得してた。色んなタイプの人種が描かれてて本当に楽しかった。朝井リョウさんすごすぎたぜ〜!!
Posted by ブクログ
はぁ…とにかく刺さりすぎた。
朝井リョウの本は、気になっても後回しにしているうちに、時代が進んで、自分も歳をとり、何で早く読まなかったんだと後悔することが多い。
本当にすごくて怖い。
どんな感性と目を持っているんだ。
前までは余白が大事とされていたように感じるし、自分もそうだと思っていたけれど。もう時代も変わり、その余白に苦しめられているのか(?)
正しさ事実本質。それだけ見ていても、見つけられないものが多い。
*視野を拡げて考えてみる、という前置きをすれば、どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。
どこかで、この視野で、ある程度の確率で、間違う、と覚悟を決めるしかない。
*何にどれほど全力で向き合っていても、社会通念的にどれだけ有意義だとされても、自分の人生はこれでいいんだろうかという迷いは誰にでも生じる。
*これまでは、間違いさえしなければ、なんとなく正解の部屋に入れた。でも、今は正解の部屋自体がない。自分はこうやって間違うって腹決めて脳みそ溶かして動くしかない。
Posted by ブクログ
ずっとアイドルを応援している身からすると、刺さるフレーズがたくさんあった。“推し活“の文化が流行るのはいいけど、それとは一緒にしないで!って思ってることとか、多分ヲタクじゃない人からしたら心底どうでもいいプライド(笑)
大海原にいるとき、旗がないと漠然と不安になる気持ち凄い分かる。年齢を重ねる度にそうなりやすいんだろうな〜。
Posted by ブクログ
推し活にハマる人達の心理、それを悪魔的に操る企業側の戦略がうまく書かれていて身に覚えがあって怖かった 人は何かの中毒者になっている方が現実を見なくて楽だから、むしろ何かに嵌りたいって言葉分かる 当方ドルオタな為、推しが死んだらどうしようって読んでて不安になり泣けてきたので、私もすっかりインザメガチャーチの自覚あり
Posted by ブクログ
推し活、あるいはアイドルを題材にした物語は世に溢れているが、この本がすごいのはアイドル本人ではなく仕掛け人、没頭する若者、その先に行ってしまったものの3人を主人公にしたことだと思う。アイドル自身の苦悩を書いた瞬間に誰かの共感を引っ張る陳腐な物語になっていたはずだ。
特におじさんが本当に良かった。孤独な人間は本当に脆い。毎回思うが朝井リョウは本当に何人頭の中に飼っているんだ?
また、どう見てもあの事務所だな、みたいなアイドル系の推し活にある程度知識があればすぐわかる元ネタや、講釈系数字系リアコ系などのファンのタイプ、チャートハック、熱狂的なファンを引き寄せるアイドルの傾向など本当に解像度が高い。推し活を楽しむ人こそ読んで欲しい。感覚で把握していた"沼"が完膚なきまでに言語化される爽快感を味わって欲しい。
Posted by ブクログ
最初は話に入り込む事が出来ず、読み進める事が出来ませんでした。恐らく私の視野が広く、客観的でしか登場人物を見る事が出来なかったからか。
それでも読み進めていくと、共感できること、興味深い内容に惹かれ、気がつけば視野は狭まり、この本の世界に入り込んでしまいました。
まさに、イン•ザ•メガチャーチ
とても、現代的な作品で面白かったです。
Posted by ブクログ
どうも、壮年期の男性です。壮年期の男性に関する解像度が高すぎて傷つきました、正直。わたしの実生活ですが、友達いません、雑談できません、職場でも誰にもリスペクトされてません、気軽に話せる人がいません、ちょっとでも職場で優しくされると本当に嬉しくなります。本当に、家族に嫌われない様にしたいと思います。
中年になって、何かしら遠くに旗が立ってないと、広大な海原にポツンと漂うさみしさ・絶望、っていうのも良くわかります。今になって大学院に行きたいな、と思っちゃったりします。
自分は、あまり物語に熱中できないタイプの人間なので、熱中できる人たちを、半分馬鹿にしつつ、半分羨ましく思う気持ちも、解像度高く描かれていて、怖くなりました。ぶるぶる。
Posted by ブクログ
「推し活」を軸に、物語を作り自分を使い切らせる側と、物語を拡大解釈、自分ごと化し、自分を使い切る側。
「視野を広げることはときに人を孤独にし、逆に視野を狭めることで共同体や信仰を得て幸福に近づける」
「視野を拡げれば拡げるほど、人は孤独になっていく。視野を狭めれば狭めるほど、他人から“異様”だと思われる。どちらに進むにしても、完璧な正解はない」
「どの角度から見ても本質的に正しい答えなんてない。可能な限り本質的でありたいと視野をどんどん広げていくと、いつの間にか誰の姿も見えないほど自分だけが遠ざかってしまう。そうなると何の行動にも出られなくなる…」
視野を広げると、正しさの軸が増えすぎて、行動の根拠が揺らぎ、動けず、無力感や孤独に襲われることがある。
そこで人は、視野を狭めて「信じられる物語」や「所属」を手に入れ、行動できる状態に戻ろうとする。
ただその行動は必ずしも合理的・本質的ではなく、ときに危うさや暴走も伴う。
視野を広げて“間違いにくいが冷めた人生”と、視野を狭めて“間違えながらも熱のある人生”のどちらが正しいのか
そういう面では、後半に出てくる陰謀論者は一面的で視野狭窄的なのかも?
Posted by ブクログ
最後のほうに、それまではきちんと分けて書かれていた複数の立場の人の発信を、全部1つのページにごた混ぜに、みんながてんでバラバラなことを言ってるように書かれてるシーンがある。
そこを読んでる瞬間、もうわけがわからなくなって、つまり自分がどの立場からこの話を追ってるのか把握しきれなくなってしまって、大混乱するという体験をした。
もう立っていられない、みたいな。
立っているには視点を定めなきゃいけなくて、視野を狭めることは必要なことなんだとわかる。
本物の気持ちって、「間違っていようが自分はこうしたい」ということかなと思うんだけど、間違いたくなさが圧倒的に上回る。
絶対に間違えちゃいけない時に「本物」の気持ちに従ったらダメなこともわかる。
『耳をすませば』で雫のお父さんも、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞって言ってた。
Posted by ブクログ
「推し活」に対して推す側・仕掛ける側・はまっていく側の3者の視点から物語は進んでいく。朝井リョウの他の作品を読んでいても感じるが、登場人物の解像度があまりにも高すぎて驚いた。自分も以前澄香ほどではないが軽く推し活にハマっていたので
推し活にハマる人の特徴についての描写はぐぬぬ…と読んでいて胸が抉られる感覚になった。
推し活が物語の軸となっていたが、中年男性の孤独や陰謀論なども混ぜ込まれていて非常に興味深かった。人間弱ってる時に手を差し伸べられたら縋りつきたくなっちゃいますよねそりゃ… 自分に声をかけてくれる人が本当に自分を救ってくれるのかどうか見極めなきゃな〜とこの本を読んで思った。
とにかく推し活はほどほどで楽しみましょうね。
Posted by ブクログ
新年一発目!めでたい気分が一瞬にして霧散しました
この世の中にあるどんな小さい歪みもひとつ残らず拾い上げて文章化してやるという、意地とか執念みたいなものを感じた。単発の現象を描写するんじゃなくて、色んな思想の源をインストールした上で世界観を構築するの、どうやったらできるんだ......それでも解を与えず淡々と構造を呈示するだけして去っていく感じ、本当に距離感の作り方が上手いなぁーと思う。15周年に相応しいイカレ作品だった。
ストーリーは大体予測がつく感じで進んだけど面白かった。いつもの、お前それがやりたかっただけやろ!みたいな章もあって大変良かった。ところでHANAのホルツが控えてるんですけど情緒どうすればいいですかね
これからも追います!
Posted by ブクログ
私の好きな作家さんの一人です。面白くて、さすがです。何事も、ほどよい距離感大切。分かっていても、のめり込むのも分かる。推し活の光と影を感じた。
推し文化の切り取り
推しにまつわる様々な人たちの話がつながっていく物語。正直怖い。のめり込みは気づくとそこにあるもの。そういう怖さを感じながらのめり込んで読んでしまった。
Posted by ブクログ
どわーーー面白かった。一気読み。
推しがある人が昔から羨ましかった。
視野を広げたり狭めたり…
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一気に読んでから、もう一度気になるフレーズを掘るために2回目をすぐに読んだ。
でも感想はすぐ書いたほうがいい、絶対!
よく出てきたワードが「推し」「視野・視点」「自他境界」「物語」…特に、視野を拡げる/狭めることに何度もスポットライトが当たる。
視野を広げて考えないと、本質を見失っちゃう。
いろんな方向から物事を捉えないと…
視野を拡げすぎたら、視点が遠くなり過ぎて身動きがとれなくなる。
身動きがとれないというか…手出しができなくなる。
正解が分かった(つもりになった)としても、実践し続けることが難しい。
でもそうやって世界を引いてみたら、思考停止で誰かについていくことだってできる。
視野を狭めたら、行動できる。
誰かが作った…もしくは自分が信じたい物語を信じ込んで、没入して、我に返らないようにする。
自分の中に余白を作らないようにする。
だって、余白があったら視野が広がって、また迷いが出てきてしまうから。
人を動かすのは、正誤なんて跳ね除けるほどの思い込みなんだね。
ここで、帯文でもある『中毒症状があるほうが苦しくないんですよ、人生は。』という言葉が効いてくる。
視野を狭めていく澄香と、視野を拡げていく絢子の物語がすごく面白くて
ある意味で視野を狭めて共感しそうになるんだけど
仕掛け人として参画する(はずの)慶彦たちの視点は私の視野を拡げて、客観的にさせてくる。
そのバランスが良過ぎて、読み進めるスピードがどんどん早くなっていった。
他に気になったフレーズ
『今後還ってくるのは、やってきたことよりやってこなかったことのほうかもしれない』
→今後の人生の戒めにします…。
『情報は感情になり、感情は物語となって共有される』
→昔話とか伝記だってもとは、ここ危ないよ〜とか、こんな危ない目にあったから気をつけて〜みたいな情報からだよねきっと。噂話が広がるのも、情報じゃなくて感情が乗った物語だからだよなあ。
『雑談ってケアなんですよ』
→女性脳なら共感できる人も多いシーンだと思う。
ホモソーシャルの生きづらさというか、弱点が現れてる気もする。
人間はみんな弱くて当たり前で、情報共有してコミュニケーションしていく方が楽だよ。
今後はこういう道哉みたいな男性は増えていくんだろうな。
『目眩しのために新しい恥がどんどん作られていってたんだな』「新しいコンプレックスや新しい倫理観は、いざというときの自分にブレーキをかける新しい不自由さでしかない」
→ここは一部、産後の自分に当てはまってるので共感した。自分の外見を気にするための思考力、判断力は、その時の自分には重荷だったから…。
そんなことより子供のことを考えないと、って必死だったんだけど、それが周りにどう見えてるかは考えないようにしてた。視野を拡げて、我に返って苦しくならないようにしてたなと。
YouTubeの朝井リョウさんの対談?を聞いて
時代を標本にしたい、といっていたのも印象的だった。
Posted by ブクログ
評価が高い作品だったので、興味本位で手に取る。
著者の作品は「スター」を読んだくらいだろうか。
読みやすく面白かった記憶がある。
推し活、ファンダム経済だけでなく、親子の話としても、今の人間の生きづらさや孤独、宗教、特に新興宗教やカルトへの入り口として、などなど多角的に読める。
ラストまでスムーズに、とても読みやすい。
現代を切り取りながら、普遍的なテーマを描いている。
そもそも日本に神は、本当にいないのだろうか?
そんな事を考えている時点で、著者のメガチャーチの中の罠に引っかかっているのかもしれない。
ちなみに私は、とあるフットボールチームのサポーターの一人ではある。
個々の選手が好きというわけではないので箱推し、全推し、の類に当たるのだろうか。
読んでいてアイドルの推し活とスポーツビジネスも根本的には似ているな、と思うと同時に、スポーツの方が勝敗、結果が残酷に現れるだけ実に悲劇的だな、とも思う。
それでも、スポーツというメガチャーチの中に居続けるわけで、それはそれでもはや「業」なのかもしれない(笑)
Posted by ブクログ
私自身も推し活を楽しんでる立場ですが、最近の社会全体的な推し活商法に疑問があって読んでみました。
「お金と時間と労力を使って脳みそ溶かされてる」という表現にハッとさせられました。
推しに没頭しすぎるあまり視野が狭くならないように気をつけようと思いました。
おそらく私は信徒気質です…
Posted by ブクログ
登場人物に共感できるとこが多く、心に来るものを感じます
個人的に推しを失った中年孤独女性が陰謀論活動にのめり込む姿が読んでて辛いですね…
心のどこかではわかっているけど否定をするとまた1人になってしまう…間違いには気づいているから周囲に助けを求めたいけどできない…
駅前で陰謀論演説している団体にこういう人がいるって考えると悲しいです
Posted by ブクログ
「推し活」を題材にして現代社会の問題を言語化した一冊。
YouTuberやインフルエンサーの"好きな事を仕事にする"みたいな風土によって「自分を甘やかすおまじないばかり手に入れ続けている。」、自分をたったの16タイプに分類されるMBTI、戦略的にハッシュタグを操ってトレンド入りさせる、芸能人の精神を病んでからの自殺
どれも当たり前のように日常に溶け込んでるトピックばかりで自分もこの本の中の登場人物になったかのように色々考えを巡らせてしまった。
人々に蔓延しているブームの根底は、「孤独」に由来したマーケティングの罠だと気付かされる。
「我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」
かくいう私はエンタメが大好きでアイドルのオタクもしているし、なんなら本だって孤独から目を逸らすための武器で、全て頭の良い人の商法に翻弄されてるのかも知れないけど、そこに救われた事も何度もある。
「自分を使い切ることが今の時代に手に入れられる唯一の正解であり、〝幸せ〟なので」
その通りで、私も何か生きる意味や自分の没入できるものを常に探してるので度々思い当たる節があり胸が痛くなった。
特に、海外留学を志しつつも周りと比較して自分を見失っている真面目で不器用な澄香は自分と少し被る部分があった。
私も0か100すぎて"物事の捉え方がいちいち重い"と男女どちらからも言われたことはあるし、大人数に馴染めないくせに自他の境界が甘くて周りに依存しがちだし、人と比べて生きてしまいがち。
そういう人こそ他者を応援したり、何かに没頭する事で自分を好きになれたりする。
それが一歩間違えるとかえって自分を見失うことになるのが怖い。
それにしても、アイドルマーケティングを仕掛ける側の父の稼いだお金で、アイドルの推し活に金銭を搾取される娘という皮肉な構図
その父も結局は孤独の中で娘に頼られるのが嬉しくて盲信的にお金を払い続けるというリアリティさは本当にあった怖い話だったなぁ。
Posted by ブクログ
推し活を取り巻く人々の物語
それぞれの視点への解像度の高さと言語化力の高さで、著者は本当にそれぞれの人生を経験してきたのでは!?と思うほど
私が読書を趣味にしているのも、視野を狭め、物語に没入することで、人生を使い果たそうとしているからなのだろうか、と考えさせられた。
没入できるケのある人間には、これが楽しくて仕方ないのだな、とも同時に実感した。
Posted by ブクログ
ファンダム
推し活
視野の狭さ、広さ
物語
メガチャーチ
自分を使い切る
現実に起きたいろんな事件や出来事をつなぎ合わせたようなお話に感じた
三浦春馬
タイムレス
、、、
久しぶりに実家で読んだ小説
Posted by ブクログ
明けましておめでとうございます。
未来屋小説大賞第一位!の帯とポストカード付きに勢いで購入してしまい、読むなら今かなと思い2025〜2026にかけての読書となりました。
ハードカバーの440ページ超は疲れる。なんといっても重い、肩が凝る!
事前情報が少しあったので、『推し』のオハナシですよね、を頭に入れつつも、メガチャーチって何?表紙だと教会かしら?くらいで読み始めるものの、正直前半は厳しかった。深いテーマの外堀を作るのが長い。
アイドル推すなら、普通に推せ!って!
推し活の激しさに正直ひく。
でも結果そこまでするのは一部の人よねぇ、
って言い聞かす。
昔、ビックリマンチョコのシールが欲しくて
チョコを捨てて問題になった世代が
仕掛けて、チョコがCDに変わって30円が
1000円になっちゃった感じ?
ブルーミーのミチヤと久保田が絡んでいくあたりからは、久保田の変化が面白かった!
バカ殿!のツッコミはナイス!想像して笑っちゃいました!確かに父親がビデオ通信でいきなり、
照明バッチリで、コンシーラーで顔を白くしてたら笑っちゃう!悪気なくても。
ワタシはですが
『何者』を読んだ後の読後感に近いと、読んだすぐの今思います。何が正しいのか、どうするべきなのかなど、あーーーってなります。
狭窄視点で没頭するのか?
俯瞰視点で冷静にみるのか?
いや〜、バランスじゃないっすか!
何事も!100 or 0じゃないよ!
好きな推しと突然の別れをしている
すみちゃんが心配だったけど
全部使い切れてよかったね。
これで次に踏み出せるよね…。きっと。
Posted by ブクログ
朝井リョウって本当に凄い
時勢に合わせてキャッチーな作品を生み出す力と、その正反対に位置する一定数の人間の深層心理を言語化する力に長けている。
我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎている。
正解や指標というものが存在しない現代において、生きている実感をもつために人は何かに没頭しようとする。何かに夢中になっている方が楽だから。我に返らないためには没頭するための物語が必要で、その物語の強度が高いほど視野は狭まっていく。
そして、誰かの物語を知ることで自分の物語の解像度も上がっていく。
現代の幸福とは、自分を使い切ったと思える瞬間なのかもしれない。
ラストの先を想像すると切なくなるが、もしかしたら……とも思える余白のある読後感
Posted by ブクログ
「宗教」をモチーフにした今作を読むと
「桐島、部活やめるってよ」のほとんど登場しないクラスの人気者、「桐島」はやはりキリストなのかもしれない。
登場しないのは神は存在しないからで、「象徴」だからか。
宇佐見りん「推し燃ゆ」では学校も家族関係もうまくいっていない主人公が芸能界を辞めてしまった推しに会いに行き、燃え尽きる話だった。
Posted by ブクログ
読み心地悪いです。卵の殻噛んじゃうパウンドケーキ、砂混じりのご飯、アルミホイル噛んじゃったホットドッグ、砂を噛んだアサリの味噌汁というような、美味しいのに、チリチリ、最後まで嫌な気持ちになります。また、オンライン文化に頼った表現も多く、MBTI 診断が何かとか、それがどのくらい若者には一般的なのかとか、スパチャがどういうときにいくらくらい投げるものなのかとか、わかってないとこの本から受ける内容も変わってしまうと思いました。多分、私はMBTI的にこの本と相性悪いんだろうな~。登場人物に全く共感できないし、そういう文化にはまって行く方が楽っていう気持ちにも寄り添えない。そんなことでウジウジ悩むくらいなら田舎で自給自足生活やってみろよ、田舎行けないなら、極力お金や電気使わない生活して、自分と向き合え!(寺に入ればいいのか。あ、それも宗教)
多分若い人の方がこの内容を面白く読めるんじゃないかな。でも、少し理解力ないと無理なので、高校くらいが向いているけど、読めれば中学校から。個人的に判断して読ませるなら小学生でも。
Posted by ブクログ
私が生きている時代を「文学」にすると、かくなるのか!
リアルタイムで読むから感じられる生々しさを堪能しましたが、
10年後読んだら歴史にもなりそう
文学というにはドキュメンタリーすぎる一作
Posted by ブクログ
国見は一見ブレない性格だけど、実は消費者の脳を溶かすという物語に没頭しているのではないのかな?
登場人物に共感できる部分が多くて、苦しい...でも面白い作品でした。
Posted by ブクログ
浅井リョウの小説を読むと、登場人物の感情のゆらぎや人間関係の距離感が、とても独特な手触りで描かれていると感じる。この作品でも、感情の出し方や関係の結び目が、説明よりも体感として伝わってくるところが面白かった。
物語は父、娘、純子という三人を中心に進み、それぞれの視点から現代特有の空気が映し出される構成になっている。私は特に父の話に強く惹かれた。同世代のように感じられる近さや、似た立ち位置に置かれているように見える点が興味深かったからだ。なかでも道哉と純子のパートは、関係性の動きが生々しく、心理の変化が読みどころになっていたと思う。
一方で、残りの2人のパートは厚みが薄く感じられた。三人の視点を並べる狙い自体はよく分かるのに、掘り下げが足りないために全体の手応えが弱くなってしまい、惜しさが残った。結末も印象としては弱く、強いカタルシスよりも途中の心理描写に重心が置かれているように思えた。
それでも、この三人を選んだことには意味があると感じた。父と娘という家族の軸に、純子という別の角度の視点を加えることで、現代の多くの人が自分の立場として引き寄せて読める範囲が広がる。読者がどこかの視点に立って物語を眺められるよう、意図的に三方向に開いた構成なのだと思った。
作品から伝わってきたのは、現代社会の息苦しさである。人がラベルや集団によって分類され、どこかに所属している感覚を得る一方で、その所属が見た目や外側の評価に強く引っ張られていく。安心感のように見えるものが、同時に人を縛ってしまうという怖さが描かれていると受け取った。
タイトルのメガチャーチという語からは、アメリカの教会に見られるマーケティング的な仕組みが連想される。実際に読んでいると、SNSや広告が作る華やかな見せ方が、時間やお金だけでなく注意力まで消費させる装置のように感じられた。作品内の出来事も、どこに転がっていてもおかしくない一般性があり、だからこそ現実と地続きに思えて興味深かった。
ただ、作品として他人に強く薦められるかというと迷いがある。構成の独自性は魅力でもあるが、描写の薄さや終わり方の弱さが引っかかり、読後の満足感が安定しないからだ。それでも、ある人生の考え方を覗き込むような参考資料としては価値があると思う。
読み終えて改めて感じたのは、私たちが日々、マーケティングや広告の影響を受けているという事実だった。だからこそ、自分の資源である時間、お金、注意を何に渡しているのかを意識したい。一方で、反発して極端に振り切れるのではなく、距離の取り方を調整しながら、現実の中でバランスを保つことも大切だと感じた。