【感想・ネタバレ】イン・ザ・メガチャーチのレビュー

あらすじ

☆2026年本屋大賞受賞☆

【第9回未来屋小説大賞】
【第2回あの本、読みました?大賞】

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

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購入済み

恐ろしいまでの言語化能力

読み始めてすぐに、恐ろしいと感じた。
ストーリーがではなく、文字.文章そのものが。
生きている上でなんとなく享受しているソレ、うっすら嫌悪感のあるソレ、社会に蔓延るソレらが次々と言語化され 定義され 文字となり頭に入ってくる。なんて恐ろしい。
読む者に確実に影響を与え、見える世界すらも変える力のある一冊。最高です。

#深い #タメになる #怖い

2
2026年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人生で初めて小説を読んだ。その一冊がこれでよかったと思う。

一番刺さったのは「視野は広い方がいいのか、狭い方がいいのか」という問いだった。自分は就活中、視野を広げすぎて動けなくなった。カバーすべき範囲が多すぎて間に合う気がせず、面接が怖かった。すみかのように視野を狭めた方が人は動ける、というのは実感としてよく分かる。自分が長期インターンに没頭したのも、暇だと考えてしまうからだった。

ただ、狭めることが正解だとも言い切れない。視野を広げないと見えない世界もある。読みながら考えたのは、広い/狭いのどちらかを選ぶことではなく、視野の広さを自分で操作できるかどうかが本当の変数なんじゃないか、ということだ。就活のときは、広がったまま固定されて動けなくなった。今は狭めて動けている。だとすれば問題は「狭めた状態から、必要なときに自力で広げ直せるか」であって、そこさえできるなら、狭めること自体は怖くない。

もう一つ、強く残ったのは「自分を余らせたくない」という言葉だった。何もしない一日が嫌で、予定を詰め込みたくなる自分そのものだった。国見のやっていることは、見方によればファンから金を吸い上げているだけだ。でも別の角度からは、使い切りたい人の欲求を満たしているとも言える。仕事の意義なんて後付けかもしれない。それでも本人が本当に信じられるなら、それでいいのだと思う。

そしてこの「意味は後付けでいい」という考え方は、読みながらずっと自分ごととして引っかかっていた。「神がいないこの国で人を操るには物語を使うのが一番いい」——これがタイトルの意味なら、長沼さんの「光回線は絶対に世界をよくする」も、構造としては同じ装置だ。

自分はShortsチームで20人の組織をつくり、報酬制度まで設計している。それは、のめり込む側ではなく、仕掛ける側の立ち位置だ。メンバーが「この仕事には意義がある」と信じて動いてくれることが、そのまま数字になる場所にいる。「見方を変えれば、使い切りたい人たちの欲求を満たして幸せにしてあげている」——この論理は、国見を擁護する理屈としては成立するけれど、同時に自分自身を擁護する理屈としても使えてしまう。それが一番怖いところだと思った。どこまでが「意義づけ」で、どこからが「搾取」なのか。線は引けるのか。引けないとしたら、自分は何を頼りにやっていけばいいのか。この問いにはまだ答えが出ていない。

クボタの孤独も他人事ではなかった。この年齢になると、やってきたことより「やってこなかったこと」と向き合わされる。40代で雑談できる友人がいない自分は絶対に嫌だ、と強く思った。

三者三様の心情が丁寧に描かれ、しかも別々の物語が最後に絡み合っていく。だからこれだけ多くの人に刺さったのだろう。ラストの解釈だけはまだ自分の中で決着していない。他の人の読み方を聞いてみたい。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

登場人物に全く共感できないのに、ぐいぐい読めてしまった。すごい。
怖いもの見たさというか。
依存したいのに孤独であることが視野を狭めさせるのか
または、他に楽しみがないからなのか。


0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

勝手に物語を作り上げ、熱くなり、団結し、援助、課金を続ける信者と、それによって拡大し続ける元来生きるうえでは無価値かもしれない業界…つまり推し活だとか新興宗教だとかホス狂だとか。これを絶対的悪だ・搾取している と言い切る事ができるだろうか?自分で選んだフリができて且つ何でもいいから価値を信じて踊らされたい人が一定数いるからこそ機能してしまうなら、これはもう人間の本質が生み出した自然発生的なものなんじゃないだろうか。

ひとつのテーマへのアイロニー、社会構造の的確な言語化、登場人物それぞれの悩みの根本を捉えた心理描写。朝井さんの本はどれもこの3つが揃っていて、つい読む手が止まらなくなる。物語が他人事じゃない気がしてしまう。

0
2026年09月12日

Posted by ブクログ

飽き性で無頓着でそれでいて頑固な僕は敢えて好きな物を作って応援をしていた。そういう人に擬態するようにお金を積んで、それを個性としていた節もある。でもきっとこの冷めた感覚はファンダムに属する人からすると羨ましくもあるのかもしれない。敢えて視野を狭めてその世界に熱狂する様は皆自分を精一杯守っていて、自分には聞こえるはずのない音量で助けてと言っているのかもしれないと。

後半まじで止まらなかったし、読ませ方が本当にすごい作品
面白かったぁぁ

0
2026年09月12日

Posted by ブクログ

普段何気無く良いものと思い込んでたり、こういうものだと決めつけて蓋をしてきたもの達を、緻密に言語化して浮き彫りにしてから、容赦ない角度で抉ってくる感じ。
面白すぎて引き込まれた小説だった。

0
2026年09月11日

Posted by ブクログ

面白かった!自分もアイドルオタクでサバ番も見たことあるから知ってる世界って感じで、陰謀論者もオタクも物語にのめり込んでしまうっていう点では似てるんだなー。自分は節度を持ってオタクしてるつもりだしやっぱりお金は使いすぎないようにしよう

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

流石本屋大賞。「令和」をこれほど解像度高く描いた作品は初めて出会った。
誰かと繋がっていたいという感情。
視野を狭くして何かに飲めりこみ、自分を余らせないようにすること。
ハッとさせられた。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

現代の消費社会を的確にとらえていて、わかる分かる!と一気見してしまった。
MBTI診断とか、押し活とか、皆が欲しいのはこれでしょ?このレッテル貼るのが好きだよね?って社会が提供されたものに没頭して行く。
消費するものと供給するもの、二つの視点からみる話が好きなので面白かった。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

ファンダム経済、推し活の世界を描く物語。

面白い。かなり面白い。
推し活と聞くと、自分には関係ないと思っていたけど。
いや、違う。たぶん誰にでもこの心理はあるんじゃないかなと感じる。
人間なら誰でも持っている心理。
読みながら、突き刺さるし、面白いし。

「神がいないこの国で人を操るには“物語”を使うのが1番いいんですよ」
この言葉は、ドキッとした。
チャーチマーケティングを仕掛ける側のサイコパスとも言える冷静さに怖さを感じた。でも、この国見の考えは分かる。仕事を進める時、やらなけばならない事があるとき、感情が邪魔になる。

人の集団心理の光と闇を、推し活という身近な存在から炙り出して物語としている。
非常に読みやすく、人の恐ろしさを書いている。

視野を狭くする⇆視野を広くする
この対比も面白い。
どちらの経験もある。
人は、どちらにも傾く。
視野を広くしないといけない時、狭くしないといけない時、または、そう、自然となってしまうとき。
あるよあるよと思いながら読んだ。
今回の話の中では、「特に視野が狭い気質の人」のことを書いている。狙われやすいし騙されやすい。
視野の狭さから、いろんな経験が少なくて、さらに視野を狭めている。側からみていると心配になる。
でも、特に視野が狭い人だけじゃなく、誰にでも視野が狭くなる時はある。

人は、何かの中毒に必ずなっている。
中毒を、よく言えば夢中なんだろうかと考えた。
夢中な時、すなわち中毒になっている状態が必要なときはあるから、その力はいい時に使いたい。

お父さんのクマにぬるコンシーラー。
顔色を白くするライト。
想像すると面白過ぎて、笑っちゃう。
ルッキズムが話題になってるけど、元気そうな顔色ってやっぱり大事なんだな。読んでて、美しくなくていいけど、元気で健康そうで笑顔でいることは、人と関わる上で大切だなと思った。

陰謀論にハマっていく人が周りに少なからずいるので、こうやって陰謀論沼にハマっていくんだど、怖さを感じた。
沼にハマっていく今の現代を、細かく書いてあり、私の知らない世界ではこれが実際に起きているのかもと思うと怖さを感じた。
もし、これが大きな集団になったらどうなるんだろう。その中でも、私はそれは間違ってると言えるのかな。第二次世界大戦のころの日本国民は、いろんな陰謀論とプロパガンダによりコントロールされていた。
でも今の日本も同じじゃないのかなと感じた。
みんな何かを信じて、それに身を委ねる。そうする事で生きる道を作る。

読んでいて胸に刺さるけど、知らない世界を少し知ることができて、この本に出会えてよかった。
私は軽く本のチャーチマーケティングにハマってる気がするけど、課金もほどほどにということだな。

朝井リョウさんの、1冊目エッセイ本で面白過ぎて笑いで肩を揺らした内容から、この人間の本質を描いたこの内容が書けるなんて、どんな考えを巡らせたんだろうと興味津々です。

面白かった。おすすめの一冊です。

0
2026年09月06日

Posted by ブクログ

苦しい、面白かったけど読むのがしんどかった。
共感できたから。現代に対して思っていることを全て言語化してくれた。

視野を広げる、狭める、両方が必要かと思った。
意図的に狭めて何かに熱中すること、ただ狭めすぎると本質を見失うこと、視野を拡げると行動できなくなること、難しい。


↓共感できた言葉
_____
・人生とは、これまでやってきたことが還ってくるものだと思っていた。今後還ってくるのはこれまでやってきたことよりもやってこなかったことのほうかもしれない。

・我を忘れて何かに夢中になってるほうが、楽。ずっと我にかえったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎている

・わざと信じ込む、わざと強く思い込む。没入する。視野を狭める。我に返らないように。そうしないと本題を終えた人生をやり過ごすだけになる

・何が今最も本質的な行為なのかという問いは、視野を拡げて考えてみるとという呪文を唱えさえすれば、その答えを永遠に反転させられる。

・自分を使い切ることが今の時代に手に入れられる唯一の正解であり幸せなので

0
2026年09月13日

匿名

ネタバレ 購入済み

刺さる側と分かっていながらも

かなり最悪な読後感だった。
でも、かなりおもしろかった。

昔ドルオタもしていたし、今もライブに行きやすくなるために上京して、私物グッズ入りガチャに6万使って、推しの音楽や言葉を勝手に人生の救済にしている時点で、自分の中に“信徒性”があること自体は前から自覚していた。

ライブ後に「神」と何度言ったかわからないし、作品や言葉を拡大解釈して、勝手に巨大な感情を抱いてしまう感覚も覚えがある。

ただ一方で、“推し”という言葉を安易に使いたくない気持ちもずっとあった。(現時点でドルオタではないから)
周りから見れば十分推し活をしている側なのに、「ただの消費や疑似恋愛とは違う」という意識でどこか斜に構えていたし、その“自分は少し違う側だと思いたがる感じ”も含めてかなり厄介だなと思った。

序盤では骨格診断やMBTIみたいな、令和の若者にとって身近な話題もかなり多く出てきて、「現代」を詰め込んだ空気感がすごかった。
身近に見る言葉や価値観だからこそ読みやすくておもしろい反面、「こういう要素を入れると若者は読み進めやすい」という作者の意図を少し感じて、若干冷めた部分もあった。

ただ、読み進めるほど単なる“令和あるある小説”ではなくなっていく。
人が何かを信仰し、共同体に救われ、依存し、選民意識を持ち、それでも孤独なまま生きていく話としてどんどん複雑化していって、自然と考えさせられた。

あと個人的にかなり考えさせられたのが、“楽しかった”だけでライブを終われなくなった感覚。

彼の音楽を聴くと確実に心を掴まれるし、好きか嫌いかで言えば比較するに値したいくらいに純粋に好き。
でもその一方で、自分の時間やお金や生活を削ってライブへ行っている感覚もずっとあって、手放しに「楽しかった!」だけでは終われない瞬間がここ数年かなり増えた。

ステージ側は「いつでもここにいるから」と言ってくれる。
でも、実際に消費されているのはこちら側でもある、という感覚もどこかにあった。

その曖昧な違和感をかなり言語化されていて苦しかったし、同時に「自分はまだマシな方なのかもしれない」と安心したくなる感覚まで含めて、かなりこの作品の“信徒”そのものだった気もする。

「疑似恋愛」「プロデューサー」「アナリスト」「学級委員長」「信徒」みたいに、同じオタクでも依存や執着の向きが細かく分けて描かれていて、解像度が異様に高い。

オタクにとってのホラー小説だった笑

#怖い #ダーク

0
2026年05月26日

購入済み

推し活も宗教もアクティビズも。

推しができた人、推しを失った人、推しを運営する側の人の三人が絡み合いそうで絡まない話。人はどういうときに推しにハマり、失うとどうなるのか?同じ推しの話でも『推し、燃ゆ』が個と推しとの関係の話なのに対し、こっちは社会全体の話だ。

「メガチャーチ」とは、週末の礼拝への出席者が2,000人を超える超巨大プロテスタント教会のこと。礼拝と言っても『牧師様のありがたい説教を厳かに聞く』というような多くの人にとって退屈と感じるイベントではなく、もっとエンターテイメント性あふれたイベントを行っている。
例えば、プロの奏者によるオーケストラ演奏であったり、ロックバンドのライブだったり。巨大なコンサートホールで、優れた映像・音響設備を駆使し、ド派手な演出を行う。そのため、高い動員力と集金力を持ち得ている。

そうなるとできることが増える。教会によってはこれまで行ってきた食料配布をドライブスルー形式にして効率化したり、オンラインで礼拝を配信して参加のハードルを下げたりと、活動の幅を広げ、多角的に人を集めていけるようになっているのだ。
そうして、裾野を広くすることで、熱狂的な信者が生まれる土壌を作る、というわけだ。

推し活もメガチャーチと同じ構造だというのがタイトル。

推し活も、宗教も、アクティビズムも参加人数が違うだけの話で、「生きる意味を考える」ということや「精神的な充足感を得る」という目的でみると本質は同じだな、と思った。

#深い #じれったい

0
2026年05月17日

ネタバレ 購入済み

「推し活」の光と闇を抉る物語

俳優への心酔やファンダムの熱狂を、個人の孤独を埋めるための「巨大な教会(メガチャーチ)」に見立て、その救いと危うさを鮮烈に暴き出します。
「視野を広げすぎると不安になるが、狭めすぎると狂う」というジレンマに、現代を生きる誰もが戦慄するはず。信じることでしか自分を保てない人間の脆さを残酷なほど美しく描いた、2026年を象徴する衝撃作です。

#深い #アガる #共感する

0
2026年04月24日

ネタバレ 購入済み

色々な意味で刺さった

INFP気質があり、学生で、現在進行形でオタク仲間とオタ活に励んでいる自分には深く深く刺さりました。途中の描写は少し、いやかなりダメージを負いながら読みました。でも、その痛みも含めておもしろかった。
印象に残っているのは、久保田さんと道哉がカフェで会話しているシーン。道哉の台詞がつらつらと続く中で、「つまり何が言いたいの?」と思いながら読んでいたら、まさに同じようなことを久保田さんが漏らしていてびっくり。この時の道哉のような台詞って意図的に書けるものなんだ、と唸りました。朝井リョウさんの文章力に脱帽です。

#深い #タメになる #共感する

0
2026年03月05日

ネタバレ 購入済み

推し文化の切り取り

推しにまつわる様々な人たちの話がつながっていく物語。正直怖い。のめり込みは気づくとそこにあるもの。そういう怖さを感じながらのめり込んで読んでしまった。

#ドキドキハラハラ #怖い #ドロドロ

0
2026年01月01日

購入済み

面白くて一気読みでした。
なんでこんなにリアルで解像度の高い文章が書けるんでしょうか、、
まだまだ登場人物達の生活が見たいと思いながら読み終えました。

0
2025年10月13日

Posted by ブクログ

これまでの朝井リョウ作品は、自分と重なる部分が多く、答えを探すような気持ちで先を読んでいることが多かったが、本作品は自分の重なる部分が少なく、客観的視点で読み終わった。

0
2026年09月14日

Posted by ブクログ

人は何かに夢中で没頭になっている方が幸せなんだと、思っている。この本を読み終わった今でもそう思う。何か夢中になれるものがある時は、周りの考えたくないことから目を逸らし解放されるから。
でもそれが度を超えると、周りからおかしい人の扱いを受ける。

視野を広げて考えよう、という人と
視野を狭めて考えよう、という人がいる。
難しいけど世の中結局は、バランス感覚ってとても重要だなと納得する。

オタクとか推し活とか自分にとっては、無縁な世界だけどそれを戦略的に仕組んでいる側とそれにちゃんとハマってそれを楽しんでいる人がいる。

世の中の物事は、一定まではロジックや論理的根拠などが重要だけど、途中からは、そんなものは必要なくなってマインドや気持ちになるんだなと思った。

この本の、「40代になって還ってくるのは、当時エネルギーを注いでこなかったこと」というのは考えさせられた。リソースに限りがあるから全てにエネルギーを注ぐことは不可能だけど、これは事実だろうなと思う。何にエネルギーを注ぐかが重要であり、40代になった時、将来ありたい姿のために必要なことに、エネルギーを注ぐべきなんだなと思う。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

なんかすごい本だったなぁ〜。
「視野を広げる!」って疑いようもなく良い事のように言われるけど、視野が狭いほうが幸せなこともあるのかもしれないな。
けれど騙されやすくなるのも事実。
日本人がメディアに信じさせられているものは真実なのだろうか...とも思う。
朝井リョウさん、消されないか心配。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

もうちょっとアイネ・クライネ・ナハトムジーク的な、人間関係の繋がりを期待してたけど、普通に地獄の奥に突き進んでいくだけでした笑
最後どこまで進むんだろと思ったけど、あの終わり方で良かったのかな、出来れば進みきってくれた方が、すっきりしたかなぁという感じがする。
自分が推し活とかにハマってないならあれだけど、ハマってる人とか読んだら、ちょっと発狂してしまうのでは......。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

絢子が残った3つの味噌玉を溶かすシーンが秀逸すぎる。

青木みたいに、損得勘定で相手によって態度変える人って、職場に絶対いるよなあ。
でもそういう人のほうが仕事の世界では要領よく立ち回って、生き残っていくんだよなあ。

"共感能力が最も高く、自他境界も最も曖昧、拡大解釈の最大値を記録するのも大抵この層です。"
この台詞にぶっ刺された人多そう、、

"どの角度から見ても間違いなく本質的に正しい答えなんて、どこにもない。"

視野を拡げすぎると身動きが取れなくなるってほんとにそう。樹木希林も、「結婚なんてのは、若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから。」と言っているし。

絢子の、「やめて。お願い。叩かないで。お願い。お願いだから。今すぐ叩いて。」震えた。

0
2026年09月13日

Posted by ブクログ

「推し活」界隈の人達のお話
推し活を宗教のように見立てている

主な視点自分物は3人

意識だけは高く、海外志向だけれども、自分の能力や実力、気質とのギャップに悩む女子大生 武藤澄香

舞台俳優の推し活だけが生きがいで、共通の推しで意気投合している事だけが救いの三十代派遣社員 隅川絢子

音楽会社に勤めているが第一線からは離れてしまっていて、妻とは離婚し、娘である武藤澄香とオンラインで顔を合わせる事と留学費用を出して上げる事がが繋がりと感じ、一人寂しい生活を送っている 久保田慶彦

3人は殊更善人でも悪人でもなく
それぞれの不幸せを抱えた人達
そんな3人+αの推し活との関わり

推される側は、自分の立場を守るためにストイックに自分を磨いていく
ファンダムからお金を巻き上げるべく推し活を仕掛ける側
推し活を通じて素の自分を肯定できるようになり、どんどん推し活にのめり込んでいく側
推しの喪失から、また違う何かに嵌っていく側

それぞれの立場から描かれる推し活


私は「推し」というものがいないので、登場人物の誰にも共感できない
好きな作品と言えば「本好きの下剋上」だけど
ここまでコアなファンが知り合いにいない
SNSでフォローしている同じファンの人も数人はいるけど、そこまで他人に意見に影響されないしなぁ

年齢的にも立場的にも久保田が私に一番近い登場人物なのだろうけど
そこまで昔の家族に執着がないし
上の娘は娘でそれなりの付き合いがあるし、下の娘もそれに伴って会う機会がたまにあるようになった
一人暮らしではあるけど、掃除洗濯や炊事は別に普通に出来てるし、特に誰からのケアが必要な状況でもない
ケアというか、情報交換なんて特定の相手ではなく、ネットで調べたり口コミの方が網羅的に情報を得られると思うのだけど
まぁ、この作品ではそういった情報のケアだけでなく、一緒にお茶をして何気ない雑談がメンタルのケアに重要だと訴えているのだろうけどね

私は普通にお茶はしないけど
でも、そんな目的で誘おうと思えば誘える人はいる
私にそれが必要とは思えないし、実際にそれをしないだけ


ところで、読書会の面々は「友達」に入るのだろうか?
読書会だけの繋がりの人もいるし、そこから派生して家に呼んでボードゲーム会を開いたりしてるわけだけれども
私にとってはこれがケアになってるのかもしれない


小説のテーマの一つとして、現代を生きるうえで、視野は広いほうがいいのか?狭いほうがいいのか?
という問い

グローバルな視点を持とうとしていたけど、推し活という狭い視野に嵌った人
本人は自分らしさを得られたと思っているけれども、それは本当にあなたが望んだものなのか?

りんファミという狭い視野しかなかったけど、推しの死をきっかけに陰謀論に嵌ってしまい、視野が広くなったと勘違いして宗教という狭い視野に陥った人
「視野が広くなってる」と言ってる人の方が、むしろ視野が狭くなっている残酷な描写がされている
陰謀論はねぇ~
嵌るとどうしようもなくなるよね
それこそ宗教絡みなら尚更

推し活を扇動する立場にいながら、自分がプロデュースするメンバーに嵌ってしまった人
商売の種とはある程度の距離感を保つ必要がある
医療系や教育系、その他にも人と関わる仕事の人は大体そうだと思う


私の場合、色々と本を読んで、小説で既存の価値観をぶっ壊されという経験をしてきたからか
視野を広く、様々な人の事情や背景を想像するようになった結果
他人がどうでもよくなった
結局は、他人は他人でしかない
あれこれと想像しても、実際にそうなのかは確かめようがないし
だったら皆それぞれ自分が最善だと思うようにすればいいんじゃない?という考えに至った


そう言えば、MBTIもやった事がない
私は何タイプなんだろうね?

あと、YouTubeのサジェストは自分を映す鏡のような表現があったけど
私のYouTubeのホームは、よく聞く音楽と落語でしょうか
果たして、どんな人間性が見えるというのでしょうね?


人によってはこの本を二度と読み返したくないとか
本棚に入れたくないとか言う人がいるようだけど
私はそうは思わなかった
まぁ、読み返すことはないと思うけど
そこまでの衝撃を受けない程度には、私は一般的ではないのでしょうね

それはそうとして
時代の一部をリアルに描写して表現するという手法に関しては、朝井リョウの作品に絶大な信頼感がある
流行の言葉が散りばめられていて、本当に時代性を感じる
やだ、この小説を10年後くらいに初めて読む人はどう感じるのでしょうね?

その時の風潮がどうなっているかはわからないけど
この小説は賞味期限が短いような気がするし
人を操るにはナラティブが重要というのは昔からの共通だし
意外と後世にも残るかも知れない

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☆2026年本屋大賞受賞☆

【第9回未来屋小説大賞】
【第2回あの本、読みました?大賞】

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
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2026年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。登場人物どうしの交流をしっかり理解したいので2回目を読むつもり。
読んでいて「あーこれやばいか…?」「どんどん意見が…」となるのが楽しかった

0
2026年09月11日

Posted by ブクログ

「推し活が苦しい毎日の中の唯一の息継ぎになっている」
分かる。
私は、澄香だ。
推し活する人をどこか冷めた気持ちで見ていた自分。
話の合わない人達といて劣等感を感じてどこか疲れている自分。
ある日推しに出会って瞬く間に堕ちてそこに救いを求める自分。
会う目的や特典のために写真集何冊も買ったりはしないけれど、確かに運営に踊らされている感はある。それでもいい、楽しいから。

とても興味深く共感できるところも多かった。
推しのいない過去の自分が読んでいたら全く違う印象だったと思う。

0
2026年09月10日

Posted by ブクログ

なんかうまく言えないけど、読み終わって本を閉じたときに、圧巻、と口に出してしまった。終わり方もぞくっとした。
推し活する側、推し活を作り上げる側。
あえて視野を狭めることで、自分を余らせない程に夢中になる。
つながりを求めて寂しさを癒す、居場所を作る、という側面も推し活にはあるんだと気付かされた。
細部まで現代社会を鮮明に描写していて、現実の話に思えてしまう。

0
2026年09月10日

Posted by ブクログ

この本のかなりの厚さに少し不安はありつつ、腰痛で出かけられない数日間で読むことができた。
推し活…私にはまだ経験がないが、他人のそれを見て羨ましくは思う、この話に出てくる父親側の人間なのかもしれない。何かに夢中になる、情熱を傾けることができるパワーとお金、アイドルを企画し花道に貢がせる側の策略、双方にとってウィンウィンなんだろうけれど、推し活を持たない昭和世代の自分だからか、読み終えて少し切なさを感じた。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

まず大前提、私自身全く”推し”というものに傾倒していません。
SNSも辞めたぐらいなので、それらからは距離を取っていると自負しておりました。
が、何故か共感と理解ができる。

どなたが書いていたけど、朝井リョウは神の視点だと。
そこまで大袈裟でないにせよ、よくもまぁここまで、あらゆる登場人物に対して、肯定と否定を巧みに使い分けるなぁといった印象。
ダサい言い方をすれば、言語化が非常に巧い。

ある程度の年齢になると、
今までやってきたことじゃなくて、今までやってこなかった事が返ってくる
という言い回しに唸った。

もう小説というより、ドキュメンタリーとかそっち系だと思います。

唯一小説足らしめているのは
親子が邂逅しないというところかな。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

凄すぎる。
この本自体でチャーチマーケティングをしているような気もした。
多方面に刺さる。神の視点。

0
2026年09月09日

Posted by ブクログ

オーディブルで通勤中や、家での片付け、掃除などの時に聞いた。

令和と推し活と宗教と。
違和感の分解と、視野狭窄の心地よさ。

0
2026年09月13日

ネタバレ 購入済み

苦しくなった

自分の仕事に活かせるのではないかと読み進めましたが、どちらかというと「オタク」側に寄り添ってしまって苦しくなってしまいました。

孤独を自覚することの辛さ、それを何かで埋めて自分を使い切る、そうさせるための物語…
世の中はそれらで満たされているってことなんですかね。

#切ない #共感する

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2026年06月14日

ネタバレ 購入済み

一気に読める!!

朝井リョウさん、5冊目かな。相変わらず、サクサク読める展開。会話しながら、脳内思考が繰り広げられるところが、臨場感があって好き。私はユリちゃん側の熱量の低い人だから、推し活で楽しんでいる人が羨ましかったけど、やっぱりバランス良く推さないと人生詰むわな、、、。視野が狭くも広くもバランス大事。個人的には、アイドルプロデューサーが冷静すぎて、リアルに感じた。てか、最後の終わり方!!続き書いてーー!!バレるのかな。家族関係の再構築できるのかな。あー気になって寝られなくなっちゃった。これが、視野の狭くなる感覚かな。朝井リョウさんの自叙伝が個人的に一番面白いよ。

#深い #怖い #ドロドロ

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2026年04月12日

購入済み

推し活にハマる人、推し活を仕掛ける人、推しが死んだ人の3人の視点で次々と描かれる物語です。
内向的で理想主義でまさにINFPのわたしは読んでいて揶揄されているような批判されているような気持ちになりましたが、最後には推し活の良い側面にも目を向けられます。変わってしまった娘の姿を目にした父はどうなってしまったのか。

#ドキドキハラハラ #ドロドロ

0
2026年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全体として、出てくる登場人物に一切共感できないからこそ、彼らが堕ちていく様を興味深く読みました。

家族や友人、コミュニティという「拠り所」をリスクヘッジとして分散することは大事だと思います。
しかし、自身の時間や可処分所得を超えて特定の誰か(推し)に執着する感覚は全く理解できません。

主人公たちは、SNSや対面の「類友」によるフィルターバブルに包まれることで、同質化された世界で客観性を失っていきます。社会学で学ぶアルゴリズムの罠にハマる姿は滑稽にさえ思えました。

しかし、実際に推し活をしている読者が「リアリティがあって共感できる」と評価しているのを見ました。冷めた目で読んだフィクションが、当事者にとっては「リアル」なのが驚きです。

また、作中に登場する「過去にエネルギーを注がなかったツケが返ってきた」と嘆く中年男性にも強い嫌悪感を抱きました。そもそも仕事や育児、家事に「見返り」を求める考え方自体が自分を追い詰
めていることに、なぜ気づけないんでしょうか。

「自分がその時々を必死に生き、今やりたいことに向き合う」というマインドセットを持てば良いと思います。周囲の男性にこうした他責的な人物がいないからこそ、「本当にこんなどうしようもない大人が存在するのか」と余計に冷めた目で見てしまいました。

最も面白かったのは、「推し活」がそのまま「極右・陰謀論」へとスライドしていく展開です。SNS時代のフィルターバブルと極右化(ネトウヨ化)の親和性を描き出したこの視点は新鮮で、自分とは無縁の世界だからこそ面白く読みました。

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

すごい。
この一言しか出てこないくらい引き込まれたし、ファンダムをテーマにここまで今の日本のいろんな側面を描けるのか…と驚いた。
私の価値観では"破滅"と思える方へ進んでいく登場人物たちが不気味で、読後感は決してすっきりとは言えなくて気持ち悪かったなぁ
それがいいところなので、好みの問題ではあるけど評価は3に。

自分語りになってしまうけども、
エンタメ企業に身を置き、韓国アイドルを今はゆるく、学生時代はやや熱意高めに推していた身として、
国見さんの話はすごく勉強になると同時に、過去の自分たちを分析されているみたいでグサグサ突き刺さった………
そして周りにいわゆる陰謀論にハマりそうな身内がいる身には、彼女たちの姿を見届けるのがしんどかった。

この作品でいいなと思ったのは、「視野狭窄」になることをいいとも悪いとも結論を出していないところ。
「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎている」
「結局誰だって信じる物語を決めて生きているだけ」
孤独を恐れて、物語に没頭していたい欲求を持つのは(少なくとも私の周りは)みんな共通だと思う。
それに全知全能の神ではないから、視野を精一杯広げたところで、溢れる情報から真実・虚実を見分けることも不可能。

何を信じるかはもちろんその人の自由だけど、
自分が信じる物語が真実、それ以外は虚実 と思い込むのは危険で、自分が信じるものを強要するのも危険だと感じた。
「視野を狭くすることで生きるのが楽になる」はまさにその通りだと思いつつも、
視野を狭くして生きていることは自覚しておかないと、次(そうとは気付けないまま)暴走してその結果孤独になっていくのは自分かも、と思った。気をつけよう…………

でも結論、推し活はゆるく楽しめれば、人生を豊かにする良いものだと思っています!!!!!!(大声)

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

3人が進む未来が早い段階から読めてきて、その未来が決して明るいものではないこともわかったので、何とも言えない気持ちで読み終えました。
朝井リョウの文章でなければ、最後まで読みきれなかったかもしれません。

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

お父さんがオメカシし始めるシーンでウキウキしちゃいました笑笑

推し活は宗教だ…私はアイドルが好きなので、かなり心を刺されるシーンもありました。

が、終わり方があまりスッキリしなかったような。
それだけが惜しい、!

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2026年09月12日

購入済み

エッセイ以外で

本屋さん大賞マニアとしては
著者さんの小説を初めて拝読

刺さる部分もありましたが
う〜ん自分が小説に求めるのとは
少し違うかも?

喋りは大好きなので推しではありますが
そんなに課金はしないかもゴメン

#シュール

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2026年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人生において誰かを推したことも推したいと思ったこともないから、ピンときませんでした。感想としてはふつう。これが本屋大賞かと思うとがっかり。推しへの解説等は流し読みだったけれど、筆力はさすがとは思いました。慶彦:一番意外性のあるラストだったけど、これは推しの範疇なの?ストーカーじゃなくて?孤独が過ぎると距離感がバグるんだろうか。澄香:離婚した父親の金で推し活するのやめてもろていい?MBTIって自分で自分のこと答えるからそんな当てにならないよ。絢子:気づかないように、気づかないように。うーん、惜しい。

推し→陰謀論の流れはとても興味深かったけれど、やっぱり陰謀論ときたら『ようこそ!FACT』を超えないんだよなぁ。推しに始終してほしかったし、そもそも、なんであえて女の推し活を選んだんでしょうか。おたくって男性のほうが多くない?金使ってるのも、金銭的に有利な男じゃない?朝井リョウなら、男の推し活を描いてほしかった。と書きつつ、実は他の作品で書いてるのかもとも思った。書いていてほしい。積読本の中にありますように。

統計的に女のほうが金使ってるって。ごめんて。

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2026年09月10日

Posted by ブクログ

分厚かったけど2日くらいでサクッと読めた。登場人物に一切感情移入はできなかったけど、今起こっていること、私もなんとなくこれやばいなーと思っていることが物語になっていて好き!となった。おじさんって雑談出来ないですよね……………

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2026年09月10日

Posted by ブクログ

深淵を覗くような、底知れない怖さが漂う小説だった。

 気軽な気持ちで足を踏み入れたら最後、全てを失うまで止まれない性質が、人には潜んでいるのかもしれない。そして、その狂気を発動させるトリガーは明確にある。孤独の自覚、あるいは恐れだ。
 自分自身を砕いて、その欠片を配る宛先がどこにもないことは相当な苦痛なのだろう。ただもっと厄介なのは、その苦痛から逃れたいがために、とにかくどこかに自分を接続しようとして、自己を供養物として捧げてしまうことなのかもしれない。物語前半の澄香が大学のサークル仲間に迎合していく姿や、後半の絢子が陰謀論にのめり込んでいく様子を見ると、そう感じる。

 人間は、「物語」なしに生きていくことは難しい。事実だけでは耐えられない現実に意味を与え、孤独から人を救ったり、明日を生きる理由を与えるものとして、「物語」は確かに存在する。(だからこそマーケティングにそれを用いる考えが神の視点のように感じた)

 いつか熱が冷めて、「なんであんなに好きだったんだろう」「どうしてあんなに全てを捧げていたんだろう」と振り返る時がくるかもしれない。馬鹿らしかったなんて過去の自分を全否定したくなるかもしれない。それでも、その時に感じていた幸福まで偽物になるわけじゃないのだと思う。
 その時の自分にとって、それは確かに居場所であり、慰めだったはずで。あとからどれだけ愚かに思えても、その救われた事実までなかったことにはならない。
 だからきっと、没頭すること、なにかの信徒たることそのものが悪いわけではないはずだ。

 我を忘れるほどの熱中は、生きている充足感と「自分を無駄遣いしていない」という安心を、手っ取り早く得られる。それは人をどん底から立ち上がらせる活力にもなる。
 けれど同時に、根本的な解決から目を逸らしたまま、背けていることを実感させることなく身体を浸していく麻酔の役割も担っている。

 孤独から救ってくれたものが、やがてその孤独から逃げ続けるためのものに変化する。慰めだったものがいつの間にか自分自身を差し出さなければ維持できない錆びた鎖になっている。物語に全力で乗っかること。その功罪が緩やかに、自分でも気づかないうちに反転する瞬間が丁寧に描かれているから妙に現実的で目を背けたくなった。

 好きなものがある。時間と我を忘れるほど夢中になれる。それを同じ熱量で誰かと共有する。それ自体は、間違いなく人生を彩ってくれる素敵なもの。けれど、それが自分の存在そのものを支えるいちばんのアイデンティティになってしまうと、「これがなくなったら生きていけない」「ここから離れたら居場所がない」となってくる。失うのが怖くてやめられないと必死になってしがみつく。空っぽになるまで。
 「物語にのめり込むこと」と「物語に喰いつぶされること」が、あまりにも近いのだ。その境界の曖昧さが、この本の持つ何よりの恐ろしさなのだと思う。

 それから読後感はもう本当に最悪だった。思い込みの力が無敵ではないことに打ちのめされる。

 ほんの少しでも再生の兆しがあれば、もう少し晴れやかな読後感になったのだろうけれど、嘉彦が何年もかけて強固に創りあげた「幻想の娘」が砕け散るところで終わっているものだから、余白はあっても希望はちっとも見えてこない。

 ただ一つだけポジティブに見るとしたら、嘉彦と澄香は、全部が露呈したからこそ、初めて本物の関係を作れる可能性が生まれたのだと思う。ここから嘉彦の踏ん張りどころだ。

 絵に描いたような「正しい父親」になるんじゃなくて、ただの一人の弱さをもつ個人として、娘の前に立てるか。親と子という立場を脱ぎ捨てたところで向き合えるのか。そこでまた「教える側」「正す側」に逃げてしまえば、嘉彦に残された余生があまりに長すぎるだろう。
 でももし嘉彦が、自分の中で勝手に作り上げた「幻想の娘」に縋るのではなく、目の前にいる澄香と一緒に、これからの物語を作っていけたなら___。

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2026年09月10日

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