【感想・ネタバレ】イン・ザ・メガチャーチのレビュー

あらすじ

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

各所多方面にえらい切り込んでいらっしゃるので、「大丈夫?朝井さん、作中の倫太郎みたいに消されない(違う)??」と心配になりましたが…

『推し活』というテーマを軸に、展開される登場人物たちのストーリー。そこに、陰謀論、MBTIをはじめとするカテゴライズ文化、孤立、孤独など、現代社会に対しての解像度の高さはさすがだぁ、と思いました。
そのあたりをうまく織り交ぜながら、登場人物たちが「視野を広げたり」逆に「狭めたり」しながら、最終的に一つの出来事に収束される流れは圧巻でした。

思ったのは、よく私たちは視野を広げるように言われますが、ありとあらゆる情報が入ってきてしまう今の社会では、広げすぎてしまうことで逆に無力感を感じてしまうこともあると思うのです。

また、自分で考える力がないと、陰謀論や怪しげな宗教、スピリチュアルに簡単に引っかかってしまう。
そういった意味で、この作品で使われている「視野を狭くする」という言葉の意味は、『今、ここ』に集中するマインドフルネス的な意味合いなのだろうと思いました。

『今、ここにいる自分』に必要なものはなにか。
今やるべきこと、自分が欲することに集中すること。
自分の意思に反して、情報が入ってきすぎてしまう今だからこそ、大切なことなのだと思います。

私も推し活してますので、共感する箇所多数でした。積んだりはしませんが笑
推し活は『福祉』という記述がとてもしっくりきて、それだけに持続可能な推し活を自分のテーマとして掲げて行きたいと思いました。大袈裟(笑)

いやぁ〜楽しかった!!

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いわゆる推し活に限らず、この世の全てのコミュニティにはその中の人たちだけが共有する信念があって、宗教的な側面を含んでいるんだと思う。

自分から視野を狭めて、この間違いを犯すと決めないと行動に移せないし、そうやって「自分を使い果たして」いないと心から楽しめない。
視野を広めることはあらゆる間違いに気づいてしまうことだから縛りを自分で増やすことになる。
そんな視点が描かれていた。

外から見たら「ヤバい団体」だけど、中の人たちは本当に生き生きしてるし人生を楽しんでいる。
バランスを保って楽しめるのが1番だしそういう人が大半なんだろうけど、ストーリーに気持ちを動かされる感受性豊かな人は気付かぬうちにどんどんハマっていくんだろうな。

年齢や性別などで層を分けるのではなく、気質別でマーケティングする視点も面白かった。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだこれは。すんごい。

朝井氏がインタビューで語っている通り、まさに令和の時代の空気をぎゅっと閉じ込めたタイムカプセルのような小説でした。ファンダム経済を下敷きに、陰謀論、現代家庭、新興の低層社会階級、SNS、中年期の孤独その他今の時代を形作る要素をここまで詰め込みきれいにピースをカチッとはめてしまったことに驚きでした。

小説の構造がまた美しかった。立場の違う様々な2者の行動or発言が対比構造になった場面がいくつもあり、まるで教会に響く音楽の重奏かのようでした。そのうちの2人がニックネームを共有することで一つに収束する魅せ方は思わずそうきたか!と膝を打ちました。物語最後の一瞬に向けて、久保田の脳内と面前で響く言葉の応酬、盛り上がりと強烈な光は、まるでメガチャーチでの儀式が最高潮に達した時の熱狂と恍惚を表現しているかのようでした。

帯文がとてもキャッチーですが、自分は「どんな思想も簡単に反転させられる時代」という言葉がとても良くこの時代を切り取っていると感じました。平成は昭和の延長と言われることもありましたが、近年のジャニーズ/フジスキャンダル(奇しくも芸能界)はまるでその意味での昭和の終わりを象徴するかのような出来事でした。昭和、平成に当たり前だった価値観はもはや令和では通用しない。それをまざまざと見せつけられたタイミングでのこの小説というのもまた数奇なものですね。いや、朝井氏のことだからそれも計算ずくなのかもしれません。

現在進行系のエプスタイン事件のすべてが明らかになってからこの本を読み返すと隅川の場面はまた違った見え方をするのだろうかと、興味を持っています。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推し活×INFP×マーケティング×陰謀論者みたいな話。
私は特に、離婚して孤独を感じている40代の久保田慶彦の、今までやってこなかったことが返ってくるという言葉が怖いと思った。
視野が狭まると行動力が高まるとかも、ちょっとわかるなと思うし、今の推し活って、そんなに無駄にCD買ったりファンの頑張りで記録を作らなきゃいけないのかーって思ったり、それを促すマーケティング側の視点とか、面白かった。
最終的に、私はもっと子供と接する時間を大事にしようと思った。
最後の章の「最初から目の前の大切な人に対して自分を使い切るべきだった。たとえ社会や会社から後ろ指をさされても、正解よりも本物の気持ちのほうを抱きしめて、愛する人との時間をもっともっと設けるべきだった。」という箇所が、子どもがいる身としては一番心えぐられた。

「すみちゃん」の章は、突然、なぜ本名じゃなくてあだ名なんだろう?と思ったけど、ふつうに隅川絢子の話だと思って読んでいた。けど、そのあと、あ、これ武藤澄香のことだったんだ!と気づいたとき、うまいなーと思った。この2人はお互いに、自分と同じだ!と思うシーンがあるので。

ファンのことを花道って呼んだり、ことあるごとに、ブルームマイセルフ✿って言ってたり、細かい設定も面白かった。そういう界隈ほんとにありそう。

購読者特典の動画も面白かった。テロップのツッコミとか。

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2026年02月15日

ネタバレ 購入済み

推し文化の切り取り

推しにまつわる様々な人たちの話がつながっていく物語。正直怖い。のめり込みは気づくとそこにあるもの。そういう怖さを感じながらのめり込んで読んでしまった。

#ドキドキハラハラ #怖い #ドロドロ

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本屋大賞ノミネートと、個人的に好きな作家さんなので購入。

推し活をする者にとっては身に積まされる物語。
恥ずかしく、恐怖もある。
視野を狭めて生きていく世界は果たして幸せなのか?
読み終わりはシュワっと消えてなくなる感覚。

それにしても朝井リョウさんの、特に女子への解像度高くて尊敬。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推し活とは無縁の人生なので、なかなか食指が動かなかったが、ファンダム経済をテーマに仕掛ける側とのめり込む側の視点から現代日本の集団心理が描かれ、とても面白かった。
特に印象に残ったのは、隅川絢子といづみのやり取りで描かれた、推し活は同じ人を推しているというだけで、相手の年齢や立場、その他人間関係を築く際に踏むステップを無視して、唯一無二の対等なコミュニティに属することができるということ。離婚して張り合いなく生きる久保田慶彦を例に挙げられる、中年男性の孤独と対照的な女性のコミュニティで行われるケアに繋がるが、人は何かのコミュニティに属して人と繋がっていたいものなのだと実感させられ、現代の諸々の生きづらさもまた推し活ブームの一因であるということ。私自身に刺さったのはもちろん、現代社会を生きるどの人が読んでも、ハッとさせられるような人の本質の気づきを得られるんじゃないかと感じた。
武藤澄香のinfpに関する自身に対する悩みや友人関係でのいざこざ、離れることのない将来への不安が、推し活へのめり込む過程がとても丁寧で、自分ごとのように感じる部分があったが、著者の手法としての寄り添いが今作ではやり過ぎに感じられて冷めてしまった。
誰かが作った物語に狂わされてしまう人を見る中で、では一体どうすれば良いのか考えるが、膨大な数の現代社会に蔓延る鋭い要素を投げかけられて消化できずにいる。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近朝井リョウさんがこの作品について語られている動画をよく見ていて、読み終わったあとも見返しました。

少し前のものにはなりますが私の見てきた感じてきた体験してきたものと全く同じ物語でした。オーディション番組、ヴィーガンの話題 、MBTI診断、デモ活動など懐かしさを感じました。
と同時にもう今はまた別の話題、ムーブメントに移り変っているのだなと思うと時の流れの速さなのか移り変わりの速さなのか、、、どちらしろ世界の様々な動きの速さに色々と考えさせられました。

ただエンターテインメントとしてあったものたちが情報の伝わるスピードが早くなっり、遠い見知らぬ人々と“推し”ているもの、いわば“信仰”しているものが同じであれば繋がることができたりと様々な要因で自身の人生に加入してきてしまう、、、。それは本当に幸せなことなのか、いや好きなものに没入できることは当事者からすれば幸せなことなのだろう。と同時に危うさもあるけれど、、、。

これが私が生きてきた時代なのだと後世にのこしたいと思う作品でした。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今の日本経済の中心である推し活の話。久保田も澄香も隅川も、みんなメガチャーチの中にいる。3人とも、最後に本当に大切なものに気づくが、澄香も隅川も、推しているときは盲目で、惜しみなく自己犠牲を払ってしまう。久保田のみならず、世の男性は仕事第一で、家族とのかけがえのない時間に気をかけないことを後悔する。「友達いますか?」と聞かれた時に、孤独にならない人生を送りたいと思う。メガチャーチの中では、推される側も推す側も、共倒れしてしまうのかなと思った。今の日本経済の流行の脆弱さが垣間見えた。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何か物事に盲目的に熱中することを肯定する内容で、多くの読者は読んでいて救われると思います。身銭を切って推しに貢ぐことを、肯定的に表現していて、それは仕事•学業•人間関係•趣味など、現代人が多くの時間を割いて取り組んでいることを肯定してくれる。だけど、それを疑うことを放棄する態度は、排外的な考え方が加速してしまいそうでどうなのかなと思いました。あくせく働くのは辛いように見えて楽。楽なのは伝わったが、それを礼賛することには賛成できないかなぁ。

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2026年02月16日

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