あらすじ
☆2026年本屋大賞受賞☆
【第9回未来屋小説大賞】
【第2回あの本、読みました?大賞】
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
まだ読み始めて序盤だけど、この時代に読む小説として、考えさせられるトピックがてんこ盛りで、描写も丁寧でとても面白い
共感させられることや、確かにーがたくさん。
メモ
•自分以外の誰かと一つの物事を同じ目線で見つめることができる時間というのは、すごく貴重なのかもしれない。それが友情と呼べる時間なのかもしれない
•中毒症状がある方が苦しくないのだ、人生は
•なんでも選べる時代だからこそ、自分では何も選べず、結局流行に振り回されやすくなる
Posted by ブクログ
推しのグッズを買って、推しがいるから頑張れるで生きたきた。あえて視野を狭くして「作られた物語」に没入していた方が楽だったのだと気づかされた。
信じた正解にエネルギーを注ぎ「尊い!」と叫んでいた方が幸せだったのに、この本は私がうすっら抱えていたモヤモヤを容赦なく言語化し、我に返らせてしまった。
現実を直視して問い続ける生き方は、社会的に正しいとされるものの、実際には最も孤独でしんどい。
「前向きに生きよう」なんて甘い解決策は一切くれず、冷徹な現実だけをドカンと置いていかれる。
読む前の自分にはもう戻れない。
Posted by ブクログ
ファンダム経済にとどまらず、現代日本を「物語」というキーワードで説明しつくすことができてしまう衝撃。世界史の授業で「歴史は繰り返すんだな」と学んだ時のように、ひとつひとつの事象が、ある潮流に則ったものだと解明される痛快さと、自分たちはその潮流から逃れられないという諦念とが同時に湧き上がってきて、複雑な読後感だった。
帯にあるように、ファンダム経済を築く者、のめりこむ者、かつてのめりこんでいた者、3人の視点が登場するが、それぞれの立場が次第に入れ替わるつくりになっているのがうまい。ある者にとっての人生の糧は、別の者にとっての嘲笑の対象であり、ある者にとって「視野を拡げて」見えた世界は、別の者にとっては「視野狭窄」に過ぎない。辿る道は正反対にみえる2人の「すみちゃん」が重なる展開も鮮やか。著者自身もアイドルファンを公言しているだけあって、応援広告やサバ番、信徒気質のファンなど、推し活の描き方にリアリティがあった。アイドルを応援していて留学経験がある大学生としては、澄香にとても感情移入した。母親から言われる「風呂からあがる時シャワーかけといてね」も身に覚えのある会話すぎて、読んでいてゾッとしたほど。
自分は無宗教だが、信仰は人が生きていくために必要なものだと解釈しているため、現代の日本人は「物語」を信仰する、という説明にはとても納得したし、たった一つの「本質」なんてものは存在しないのだから、「視野を拡げる(と本人は思い込む)」行為も終わりがなく、主観的でしかないのにも頷ける。
語り手3人は「物語」信仰で救済されることはないため、自分も「物語」に飲み込まれながら生きるしかないんだ、と暗い気持ちになったが、
「どこかで、“この視野で、ある程度の確率で、間違う”と覚悟を決めるしかないのだ。」 (p.370)
という一文が心に残った。
人間は何か信じられるものを、たとえそれが妄信だと嗤われても、それを信じ込んで生きるしかないのだから、そのことを受け入れるほかないのだと感じた。
匿名
刺さる側と分かっていながらも
かなり最悪な読後感だった。
でも、かなりおもしろかった。
昔ドルオタもしていたし、今もライブに行きやすくなるために上京して、私物グッズ入りガチャに6万使って、推しの音楽や言葉を勝手に人生の救済にしている時点で、自分の中に“信徒性”があること自体は前から自覚していた。
ライブ後に「神」と何度言ったかわからないし、作品や言葉を拡大解釈して、勝手に巨大な感情を抱いてしまう感覚も覚えがある。
ただ一方で、“推し”という言葉を安易に使いたくない気持ちもずっとあった。(現時点でドルオタではないから)
周りから見れば十分推し活をしている側なのに、「ただの消費や疑似恋愛とは違う」という意識でどこか斜に構えていたし、その“自分は少し違う側だと思いたがる感じ”も含めてかなり厄介だなと思った。
序盤では骨格診断やMBTIみたいな、令和の若者にとって身近な話題もかなり多く出てきて、「現代」を詰め込んだ空気感がすごかった。
身近に見る言葉や価値観だからこそ読みやすくておもしろい反面、「こういう要素を入れると若者は読み進めやすい」という作者の意図を少し感じて、若干冷めた部分もあった。
ただ、読み進めるほど単なる“令和あるある小説”ではなくなっていく。
人が何かを信仰し、共同体に救われ、依存し、選民意識を持ち、それでも孤独なまま生きていく話としてどんどん複雑化していって、自然と考えさせられた。
あと個人的にかなり考えさせられたのが、“楽しかった”だけでライブを終われなくなった感覚。
彼の音楽を聴くと確実に心を掴まれるし、好きか嫌いかで言えば比較するに値したいくらいに純粋に好き。
でもその一方で、自分の時間やお金や生活を削ってライブへ行っている感覚もずっとあって、手放しに「楽しかった!」だけでは終われない瞬間がここ数年かなり増えた。
ステージ側は「いつでもここにいるから」と言ってくれる。
でも、実際に消費されているのはこちら側でもある、という感覚もどこかにあった。
その曖昧な違和感をかなり言語化されていて苦しかったし、同時に「自分はまだマシな方なのかもしれない」と安心したくなる感覚まで含めて、かなりこの作品の“信徒”そのものだった気もする。
「疑似恋愛」「プロデューサー」「アナリスト」「学級委員長」「信徒」みたいに、同じオタクでも依存や執着の向きが細かく分けて描かれていて、解像度が異様に高い。
オタクにとってのホラー小説だった笑
「推し活」の光と闇を抉る物語
俳優への心酔やファンダムの熱狂を、個人の孤独を埋めるための「巨大な教会(メガチャーチ)」に見立て、その救いと危うさを鮮烈に暴き出します。
「視野を広げすぎると不安になるが、狭めすぎると狂う」というジレンマに、現代を生きる誰もが戦慄するはず。信じることでしか自分を保てない人間の脆さを残酷なほど美しく描いた、2026年を象徴する衝撃作です。
色々な意味で刺さった
INFP気質があり、学生で、現在進行形でオタク仲間とオタ活に励んでいる自分には深く深く刺さりました。途中の描写は少し、いやかなりダメージを負いながら読みました。でも、その痛みも含めておもしろかった。
印象に残っているのは、久保田さんと道哉がカフェで会話しているシーン。道哉の台詞がつらつらと続く中で、「つまり何が言いたいの?」と思いながら読んでいたら、まさに同じようなことを久保田さんが漏らしていてびっくり。この時の道哉のような台詞って意図的に書けるものなんだ、と唸りました。朝井リョウさんの文章力に脱帽です。
推し文化の切り取り
推しにまつわる様々な人たちの話がつながっていく物語。正直怖い。のめり込みは気づくとそこにあるもの。そういう怖さを感じながらのめり込んで読んでしまった。
Posted by ブクログ
現実に戻される最後の一文は衝撃的だった。
人は信じることで孤独から逃れられる。慶彦にとっての澄香(理想像)、橋本、青木、道哉。澄香にとってのBloome道哉。隅川絢子にとっての倫太郎、陰謀論。誰かと共通の話題を持ち寄り、コミュニティを築くことが崇拝の目的なのかも知れない。信じている間、人は寂しくない。隣には自分と同じものを見上げる信者がいる。それだけで安心できる。大胆になれる。信者と一緒なら大きな行動だって起こせる。40代男性がメイクに挑戦してみたり、親に嘘をついて推し活資金調達のために金を無心したり、世界の真理を広めるために街頭演説をしたり。これが幸せなのだ。目が覚めるまでは。
酷なことに視野が狭まっている間も、見えていない部分には現実がすぐ側にあって、意図せず今まで見えていなかった部分を見てしまった時、一瞬で世界は輝きを無くす。でもそれは信じることの副作用的なものであって、現実と向き合わなければならない日は必ず来る。何故なら信じることがコンプレックスに所以してるからだ。慶彦は仕事と娘、澄香は同級生と自己肯定、隅川絢子にとっては将来。不安で孤独だから信じる。
メガチャーチの中にいる時、最も恐ろしいことは視野が狭まりきっていないことだ。後半の澄香と隅川絢子は「これでいいのだろうか」と自問自答しながらも無理に視野を狭めていて辛かった。2人が対峙しているシーンはその心情が描かれていて面白かった。
人は何かを信じ、共有している。悲劇的な現実を見ないようにメガチャーチの中で視野を狭めて生きている。
ところで朝井リョウさんは何でこんなに解像度高く書けるの。私もオタク経験があるからオタクのリアルさに懐かしさを感じました。
Posted by ブクログ
面白く、一気に読んでしまった。
今の日本で誰が騙し、誰が搾取されている側なのか、何が幸せなのか、正解などわからないと思いながら読んでいた。
個人的には、中年男性の孤独にも触れ、これまで見逃していた新しい気づきだった。
面白かったけど、読んでいて心地よくなるタイプの物語ではなく、考えさせられて辛くなるタイプの面白さだったので、読むのは一回でいいかな。
浅井リョウさんの作品、また読んでみよう。
Posted by ブクログ
オタクの理解度が高くてすごい。サバ番はチラッと見た程度だけど、よくリサーチされているなと思った。
オタクの解像度が高すぎるあまり、Twitterをあまり見ていない人や推しを作ったことがない人には刺さらなさそうだとも思いました。
本質を追い求めて視野を広げるべく視点をどんどん後ろに引いていくともはや何も行動できなくなる まさにその通りだと思います。
苦しくなった
自分の仕事に活かせるのではないかと読み進めましたが、どちらかというと「オタク」側に寄り添ってしまって苦しくなってしまいました。
孤独を自覚することの辛さ、それを何かで埋めて自分を使い切る、そうさせるための物語…
世の中はそれらで満たされているってことなんですかね。
一気に読める!!
朝井リョウさん、5冊目かな。相変わらず、サクサク読める展開。会話しながら、脳内思考が繰り広げられるところが、臨場感があって好き。私はユリちゃん側の熱量の低い人だから、推し活で楽しんでいる人が羨ましかったけど、やっぱりバランス良く推さないと人生詰むわな、、、。視野が狭くも広くもバランス大事。個人的には、アイドルプロデューサーが冷静すぎて、リアルに感じた。てか、最後の終わり方!!続き書いてーー!!バレるのかな。家族関係の再構築できるのかな。あー気になって寝られなくなっちゃった。これが、視野の狭くなる感覚かな。朝井リョウさんの自叙伝が個人的に一番面白いよ。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんって、1つの文章から2つ以上の意味を読み取れる文章を書くのがお上手。
これから推し活するたびに、国見がチラつきそう。。
あと、友達のアクスタをパクったり、友達に動画視聴等を強要したり、自分のものではないパソコンで動画を再生したり、お父さんに嘘をついてお金を振り込ませたり、澄香ヤバ女すぎる。。
★3.8くらい