あらすじ
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
最後の高揚感からの二重の絶望。現代の宗教ともいうべき、推し活のすごみが感じられた。一気読み。男性も女性も老いも若きも、コミュニティ=仲間と熱中すべき対象を求めている。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白い
推し活を仕掛ける側の話がゾッとした。
確かに人は物語に弱い。
自分に物語がないから、誰かの物語の一部でありたいと思うし、その場所を守ろうとする
視野を狭くすればするほどのめり込んでいく
一方で、そんな人生もある意味本人にとっては楽しいのでは、幸せなのかもしれない。
Posted by ブクログ
「本質的であろうとするほど、冷笑だけが溢れて人生の砂時計を眺めてるだけになる。」がだいぶ響いた。この自縄自縛な状態に心当たりがありすぎる。自分はもうちょい視野狭めたほうがいいのだろうな。
アイドル好きとしては、界隈の描写のリアルさが面白かった。「オタ活」はしていても「推し活」はしていない自分からすると、近いようでだいぶ隔たっている人種だったけど。サバ番とかその界隈が苦手な理由が詰まってた。
Posted by ブクログ
推し活と陰謀論
沼る理由はどちらも「物語」
人は物語が好きだっていうフレーズを前にどこかで読んだんだけどなんだったかたな
私自身は何かに夢中になるということが皆無の人生だったので、ファンダムの詳細な分析は興味深かった(私の場合は共感力の不足だな)
推しがいるのは楽しそうだけど、先の選挙で躍進した党もこのファンダムの理論に基づいて活動していたんだ思うと恐ろしい。
広い視野を持ち、自他との境界線を保つ事で物語に飲み込まれない。大事。インザメガチャーチというタイトルの秀逸さを感じる。
味噌汁
味噌汁の味噌を溶かす場面が繰り返し出てくる。
隅川詢子が味噌玉を溶かすシーンで、自分の分だけがなかなか溶けなくて、何度もかき混ぜてやっと溶けてホッとする。まだ迷いがあったけれど無理矢理向こう側へ自分を押しやって納得させようとしている感じ。
国見の「でも、どの物語にも呑み込まれない人生って、間違いはしないけど別に楽しくないんですよね」「だからもう何をするにも、自分はこうやって間違うって腹決めて脳みそ溶かして動くしかないんですよね」
すみちゃん
隅川詢子が最初からすみちゃんと呼ばれていたので澄香と混乱してしまって、もしやこれは…と思っていたらやはり。
"すみちゃん"の章が出てきた時、キターと思ってしまった。
Posted by ブクログ
途中までかなりいい。三者のそれぞれの視点から何が人を突き動かすのかが描かれている。推し活から抜け出した人、これから推し活にハマる人、推し活を作り出す人。それぞれの過程がスッと入ってきて面白い。ある程度近年の推し活ブームを知ってるとより理解しやすいと思う。個人的には味噌汁も良かったな。ダイエットのための味のしない味噌汁、節約のための作り置きの味噌汁、手軽だがその分美味しさに欠けるインスタントの味噌汁。それぞれの性格・生活が反映されていた。
どの本にも感じることだが、起承転までのスピード感はいいけど、結になると物足りなさを感じる。この本もそうだった。なので星4、
Posted by ブクログ
自分がまさに最近アイドルグループの推し活を楽しんでいるので、特に仕掛ける側の描写が面白く感じた。誰も今後がどうなるかが分からず、読者に委ねらているところが怖い。虚しさや切なさ、怖さや興味深さ、いろいろな余韻が残る話だった。
頑張ったことが還元されるのではなくやらなかったことが還ってくるという冒頭のくだりから惹きつけられ、そのまま一気に読み終えた。
(…お父さんが可哀想すぎない??なんか胸がきゅっとなった。)
Posted by ブクログ
'自分を使い切る'
なるほど!と思うワードで流石です。どれほどリサーチしたんだろう。ファンダムとカルトの境界は何処だろう。
'やらなかった事'への後悔故お金を搾取されていくすみかパパ、これも一種のスパチャ?かと思ったり。
海外でも読んで欲しいけど、文章に主語がない上に、会話文(といっても「」が付いてるだけで会話ではない)と地の文(といってもネットのコメントであり登場人物の言葉ではない)が入り乱れた構成で状況や感情を表現していて、読み応えあるけど翻訳難しそう。
12/12 迷ったけど追記
どうしても思い浮かべてしまう事件。時間が経っても当事者界隈や関わった人達を思うと辛い。とても危険を孕んだテーマで一石を投じる内容。
あと、2つの思想のネーミングが同じな理由ってどこかに記述あったかな?読み逃したかもなので再読する。
Posted by ブクログ
子供の頃はみんな自分の物差しで世界を図り考え、行動をしていた。年齢を重ねるにつれて、他人との共存が始まり自分の本当の思いを隠しながら人に見せれる形に変換しながら生活をしていくようになる。それは自分の好きという価値観もだし、友人関係恋人関係においてもだ。きっと思いを隠す段階で自分の本音を言葉で隠すようになる。それは他人に気づかれないようにしていると同時に無意識に自分も気づかないように。
そんな世の中だからこそ、人は自分の本音を伝えることができる人を大切にしようとする。時に、その行為が相手にどのような影響を与えるのか考えることもせずに。ただ自分の理解者が存在しているという心の拠り所を手放さないように自分のために行動する。
人の思考は子供の頃から年齢を重ねていくにつれて自分の世界から社会の世界を見るようになる。社会の世界という視点に呑まれた時、自分とはどういった人物なのかわからなくなり、虚無感に襲われる。そういった考えに陥った大人が子供の頃を想起するような出来事、物語に出会った時自分の世界という視点に戻り社会の世界で生活を始めてしまう。そんな人の集団がここでいうメガチャーチ何だと思う。
Posted by ブクログ
めっちゃくちゃエンターテイメント!って感じで面白かった〜
私は、人間を推し活する人しない人の2つに分けたら、推し活する側?(ファンクラブは以前1つ入っていて毎年ライブに行ってた)だけど、SNSで発信したりしないし、ライブ以外の課金もしないから彼女たちに共感はせず読んだ。ただ、多くの登場人物に共通する、孤独を埋める手段としての推し活、仕事相手との距離感のバグは、同じ立場になった時自分は絶対にそちらに行かないだろうか...??とぞっとした。
オーディション番組って興味なかったけど今年初めてみてハマったので、客観的に見て勉強になったし、解像度の高さに感心した。