【感想・ネタバレ】生殖記のレビュー

あらすじ

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

生殖器視点で書くという発想の斬新さに、まず驚かされた。
数年前に話題になった議員の発言や、現在の社会の風潮に対する作者の違和感や思考が、生殖器視点(ある意味での神視点)という構造をとることで、感情論に流れず、非常に客観的に伝えられていると感じた。

また本作では、わたしたちが共同体感覚を持つこと=安心感を得ることだという点が、繰り返し提示されている。

「仕事でも家庭でも社会貢献活動でも何でもいいから、自分を走り続けさせてくれるものが欲しい」
という言葉は、特に印象に残った。

おそらく今は、価値観が多様化する中で、
「共同体への貢献=善」とする構造そのものに違和感を覚える人が、少しずつ増えている時代だと思う。
そうした感覚を抱えている人にとって、この作品は「しっくり」を得るヒントがある内容だったのではないだろうか。

また、その違和感をもつ人でも認知を広げ自分なりに世の中を解釈するのとで結果的に生きやすさの可能性(幸せだと思える生き方)を提示してくれる作品だと感じた。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとなく私が読んできた朝井リョウの作品とは全体の流れが違う気がした。一貫して生殖本能の視点から1人の人間が描写されている。
あれほど隠したがってる秘密も、打ち明けてしまいたいと思っているような節が見えるしょうせい、人間だなぁ。それも自分から打ち明ける勇気はないから相手がもう一歩踏み込んできてくれればいいのに、なんて期待してしまうのもめちゃくちゃ人間。都合のいい物語みたいに他人は思ったほど踏み込んでこないし、一瞬の勇気は本心を隠すことを続けてきた年月に簡単に勝てない。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

面白い〜。語り口がコミカルで可愛かった。
このタイトルと一人称で、下ネタに昇華しないのがすごい。
朝井さん、「正欲」でもそうだったけど、社会で濫用される多様性について言いたいことがたくさんあるんだろうな〜。
個と共同体についてこんなに考えたことはなかったし、言語化されてしっくりきた。

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2025年12月09日

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ネタバレ

神がいない社会ではマジョリティーが神のかわりになるっているのが衝撃的だった。「私」がほかの生き物についてるバージョンも絶対面白い。

テクノロジーが発達したら本当に性欲は消えていくのかなあ。まあ女性としては出産なんてリスクすぎるし、妊娠出産しなくていい方法があればそっちを選ぶのは自然だけど。今性的暴行とかありふれてるのは別に繁栄目的じゃないわけだからなー。

主人公が選んだのもまた一つの道だけど、やっぱり私は「次」に忙しく生きて、コミュニティの発展を自分の幸せにするタイプに落ち着くんだろうな。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

〜感想〜
LGBTQや多様性について深く考えた。
すごく読みやすく、話の内容が入ってきやすくて面白かった。
読み始めと読み終わった後ではLGBTQや多様性への見方や考え方が変わった。

〜特に心に残った部分〜
社会人ごっこ。家族ごっこ。人間ごっこ。皆、上司とか子どもとか世間とか、形を変えて様々に現れる共同体感覚の監視カメラの前を、その都度バレないように駆け抜けているだけなんじゃないかって。

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2025年12月07日

QM

購入済み

独特な目線から話してるなあ、人間のことを「ヒト」と読んだり〇個体とカウントしたり、、、新鮮で面白くて次々読んでいったらいつの間にか最後のページに。フレンドリーな口調が読みやすかったのかも。

人間は成長とか変化しないことを恐れていて絶対今にとどまろうとしないし、後戻りなんてもってのほか、、、ほんとそうだよねぇ、と思いながら読んだ。脳が発展していて身の回りがある程度満たされているから、暇なときに「生きてる意味ってなんだろう」みたいなことを考え始めるの、すっごく人間らしいよねぇ、とも。
ある事象に対する人々の見方や風潮の変化についての描写が興味深かった。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Audibleにて。
ゲイの生殖器視点で、性的マイノリティの苦悩を描いた作品。
ゲイである尚成が、学校と家族という共同体から拒絶された経験をもとに、性的マジョリティによる性的マジョリティのための社会に対する活動に対して線を引き生きていく話。
面白い見方だと思ったのは、性的マイノリティが認められるようになった風潮に対し、尚成が、「認めるって何様だよ!そんなとこ言う前にまずはこれまでのこと土下座しろよ!」と憤る考え方だ。
すべての発言がSNSなどの空間に漂い続け、時代が変わり、考え方をそれに合わせてアップデートしたとしても、かつての発言は残り続ける。
ここで尚成は、社会レベルにたいし、まず謝れと言っているが、いまやこの主張は個人単位に対しても要求できるようになってしまった。
どんどん便利になることで、遊びがなくなり、許す・忘れることができなくなっている。みんな薄々気付いているが、周りが全力疾走しているなかで、誰も自分だけ降りることができない。
強硬に降り続けていた尚成が、本書の最後で社会に希望を見いだすシーンは、一見するとハッピーエンドだが、実はとんでもなく救いのない話なのではないだろうか。

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2025年12月14日

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斬新な語り手、私達が生きる日常の1シーン1シーンを俯瞰的に論理的に言語化する。自分では考えつかない世界の構造に、自分てなんてちっぽけなのかと考えさせられた。
生物学であり、社会学であり、心理学であり、その一方で1人の人生を解像度高く解説する小説。
読み物として多種多様なコンテンツが盛り込まれていて、面白いと感じた。

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2025年12月14日

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ネタバレ

同性愛者である主人公の男性の性器?が語り手の物語。
生殖器としての役割だけでなく、主人公の頭の中まで理解しながら話すため、主人公が人と行動するごとに実況が入ってるようで面白かった。
少年時代に同性愛者であることを疑われ、差別された経験から、周りに公表することや深い人間関係を避け、ただ生きるためだけに保守的な行動をする主人公。同性愛者であることを思考し続けて、自身の生き方を決めつけていたが、同じ同性愛者の後輩がオープンな行動をしているのを見て、自分もできる範囲で人の役に立てる、自分が楽しいとも思えることをして生きようと改心して終わる。

語り手の斬新な立場、軽い口調が面白く印象的だった。同性愛に悩み、諦め、保守的な行動をする主人公の話は読んでいて心が痛んだ。LGBTQの人がそうでない人の世界に住まわせてもらってる、ということがあってはならないと感じた。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

共感できるところと、できないところがあったが、そのバランスがちょうどよく、それによりとても考えさせられる作品だった。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やはり面白いなあ。生殖器目線の語りなんて今までなさすぎて発想がもう異次元。そしてハッとなるような言葉ばかりでてくる。最初は読み進まなかったけど後半に向けてどんどん読んでいった。
それでも、生きていくっていう主人公を書くのが朝井さんぽいと思う。

「人生に大きく関わることほど自分で選べないって、本当だね。大人になればなるほど、その意味がわかるようになる」

「偏見ないよとか言ってくる相手に俺はめちゃ偏見持ってたりしますし、気にしないよとか言われてもお前が気にするかどうかは俺の人生に関係ないから自意識過剰だなって思いますし。誰を好きになってもいいとかお前に許可出される筋合いないし時代関係なく俺はゲイだし」

ヒトって別に正誤の判断ができるわけじゃなくて認知能力とそれに伴う感情がやけに発達してるだけなんだって、再確認したんですよね。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

つい先日読んだ正欲でも感じたけれど、わたしが感じている日常に潜む小さな違和感を、的確に言語化してくれて、読んでいて非常に心地いい。
同性愛者の主人公:尚成を軸に話が進んでいくが、なんといっても、もう一人の語り手の存在が本当に面白い。
キャッチーだけれども達観した存在である語り手がいるからこそ、難しいテーマでもある本作を最後まで楽しめたと感じた。
何度も読み返したい。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ


こんな小説、読んだことない!
語り手がまさかの…というのもあるけど、現代社会の人間を見事に俯瞰してる。

いろんなタイプのヒトが出てくるけど、自分にも当てはまる個体がいるはずです。

朝井リョウさん、やっぱりすごい作家だ。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまたすごい作品。どんな内容かと思えばまさか生殖器がしゃべり倒す物語とは。重たい内容をかる〜く話してくるので逆に不気味。尚成が共同体の拡大・発展・成長に寄与せず、しかしあたかもその仲間の一員かのように振る舞うことを「モノを運ぶ時、手を添えて、でも力は加えず」って喩えるの秀逸すぎるな。最後に尚成なりの幸せを見つけられてよかった。よかった…のか?なんとなく壮大なアイロニーを含んでいる気がするため素直に納得はできない。現実でも隣の人が自分には全く考えが及ばない価値観の中で生きてることもあるのだろうな。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭、地の文の正体が分かった時は若干後退りしてしまったけれど、読み進めるにつれグイグイと引き込まれてあっという間に読んでしまった。
物語のテーマの語り口がこれ以上ないほど独特で、その点だけでも読む価値があったと思う。また主人公の思想についても、思想の生まれる道筋や背景が丁寧に描かれていたおかげで、違和感なく学べたように思う。
途中までは、何かと異性愛個体と同性愛個体の二元論で物事が語られるのが気になっていて、それはそれで世界の見方が狭くない?とぼんやり思いながら読み進めたら、終盤で覆る出来事が起こったので杞憂だったことが分かって良かった。

読んで思ったんだけど、尚成って…
凄い人なのでは。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

おもしろ!!こんな発想どうやったら生まれる?
斬新すぎて初めてのこの感じ!

尚成の考えは全く私とは逆。
このような考えをしているんだろうなと
感じる人は周りには実際にいる。
もったいない生き方だなと不思議に思いつつ、
少しイラつきながら今まで生活してきた。
この本を読むことで、
彼らはそれが普通でそうやって生きているのかと
なんとなく理解できた。

なぜそれを朝井リョウは言語化できるの?
意味わかんない!すごい!!!

周りの人々が言いかけて飲み込んだ言葉
なんだったんだろ!
尚成がそれにどのように答えるのか気になったな~

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

○本のタイトル『生殖記』※2025年本屋大賞ノミネート作品
○著者名 朝井 リョウ(あさい りょう)
○装幀 book wall
○出版社 小学館
○ジャンル 文学・社会
○入手法 Audible + 中古購入
◯どんな本?
ユニークな語り手の視点を通じて、現代社会における生きづらさや個人の存在意義を深く掘り下げた作品。思わず共感しながら自らの生き方を再考させられるような読書体験を提供してくれる。

読後は、自己の理解や他者との関係についての洞察を得られるだろう。

社会のあり方や自身のアイデンティティに悩む方、多様性を尊重したいと考えている方には特におすすめ。
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(主な登場人物の特徴)
○達家 尚成(たつや しょうせい)
・主人公
・33歳
・オス個体
・空気を読む能力が高い
・世話焼き個体を見つけるのが得意
・ 家電メーカー、 3年目に総務部総務課で勤務
・独身寮のマンション七階に居住
・ 1989年10月1日生まれ
・身長174センチ(実際は173センチ)
・大変な日には自分へのご褒美を用意し乗り越える

○柳 大輔(やなぎ だいすけ)
・33歳
・尚成と同期
・ 決断力があるオス個体
・世話焼きで面倒見が良い
・尚成とは十年来の付き合い
・独身寮七階に居住

○岡村 樹(おかむら いつき)
・ 尚成・大輔と同期入社のメス個体
・ 頼れる存在

――――――――――――――
(舞台や世界観)
現代の都市生活を舞台にした物語。

主人公の達家 尚成(たつや しょうせい)は、家電メーカーに勤めていて、同僚との関係や自身の内面的な葛藤から、自分は何のために存在しているのか、社会とどのように関わっていくべきか、といったテーマについて考え、模索している様子が描かれている。

ジャンルを超えた深いテーマが取り上げられていて、語り手の正体に、度肝を抜き、それの独特の見方や考え方、新鮮さやユーモアをもたらしている。

人生における重要なテーマや人間関係についての理解を深めたり、思索を促されるような世界観を楽しむことができるだろう。

――――――――――――――
(魅力)

達家尚成(主人公)が、他者との交流や自分の内面的な思索を通じて、自己理解を深めたり、社会との関わりについて考えたりする過程が描かれ、現代社会における存在意義を探る物語。

物語の語り手が意外なキャラクターで、独特な視点が読者を魅了していく。
このアプローチは本当に新鮮で、ついつい笑ってしまうシーンがたくさんあった。
最初はAudibleで聴いていたため、「尚成、尚成」と何度も繰り返される呼び掛けが癖になり、面白く、いつの間にか親しみを感じるようにもなった。

尚成は家電メーカーに勤務する33歳の男性で、同僚の大輔や樹との関係や彼の内面での葛藤が描かれている。

彼らや周囲の人々が尚成についてどう思っているのか、本音をぜひ知りたかった!
想像していた通りかどうか確かめたかった!
あなたも読めばそう思うかもしれない。

尚成が、会社の日常業務や総務課の仕事に追われる中で、どのように自分を見つめ直していくのかがとても興味深い部分。

彼の人生の意味や自己認識を、多様な考えやユーモアを交えながら楽しむことができる。

さらに、社会の不平等や偏見、生きづらさにも焦点を当て、共感できる部分や心に響く文章、普段何気なく抱えていた感情を上手に言葉にする朝井さんに感心させられた。
彼の文章力は本当に素晴らしい!

読後は、人生や他者との関係について深く考えさせられることは間違いない。

読み進めるうちに、尚成の成長や彼に対する共感の気持ちが高まっていくだろう。

最後には、読者にも希望を持って次のステップに進む力を与えてくれる。

作品が独自の設定を持ちつつ、人々の感情を具体的かつリアルに表現していて、現代社会における生きづらさや自身を大切にすることを再度考えさせられた。

この作品は単に物語として楽しむだけでなく、わたしたち読者に対して大切なメッセージを伝えていると感じた。

ぜひ手に取り、自分の視野を広げてみてほしい。
読後には、心がスッキリと晴れやかな気持ちになるはず。

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(ひとこと)

語り手の正体に衝撃を受け、その新しさや独自性に興味を引かれました。

そして、朝井さんの文章表現がやや回り道なものではあると感じましたが、その工夫のおかげか、内容がしっかりと理解でき、物語に夢中になれました。

新しい知識や理解を与えてくれたことで、それは単なる楽しい読書体験を超えたものとなりました。
朝井さんに心から感謝します。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇〇目線て、本当に(笑)
正欲ほどのセンセーショナルさはなかったけど、やっぱり考えてもみなかったことを提示された。

明日も当たり前に生きようとしている人たちの営みが当たり前じゃない人もいるよねというのは前作と共通するテーマなのかな。

頭の中がまとまらないので徒然と。

生まれついた性でなんとなく先導したり、受け身になったりする。それは生殖器の性質上という側面もある。

マットを運ぶ手に力を入れないという表現が繰り返し出てくる。

自分とは違う、変わっている対象への恐怖?畏怖?排斥しようとすること。

共同体に貢献する、発展するということにまるで興味がない人もいる。

多くの人が持つ、恋愛についての悩み、結婚するか、子どもを持つかどうか…悩みすら持てない、贅沢な悩みだとと主人公は言う

体外で出産ができる装置ができた場合に、同性愛は生産性がないとまだ言えるのか。そもそも生産性のない個体はいないと言うのも綺麗事か

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2025年12月10日

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生殖器が話者というとても変わった小説だったが、資本主義社会や現代社会の歪みを皮肉的にユーモラスに描いていて、その部分はとても共感できた。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生殖器の語りというかつっこみがユーモラス。
ハッピーエンドと言えばそうなんだけど、どこか可哀想だと思ってしまう終わり方。でもこの可哀想って感覚こそ、異性愛者が勝手に押し付けてることなんだろうな。

尚正、なんだかんだで自分が生きやすい生き方を探し実行してる。頭いいし、妙に器用だし、けっこうすごいやつだと思う。周りに興味がないゆえに、相手の話を否定も肯定もしなくて、人間そのくらいのスタンスでいいんじゃないかなって気になる。

幼少期の共同体での経験がその後の世の中の見方を左右する。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

語り口が読みやすくてスラスラ読める。面白い。

「生殖本能さんかわいい〜」って読んでたけどよく考えたら毎月の生理とかメンタルの不調起こしてるのコイツじゃねえか。敵。
中盤で『恋愛にも結婚にも興味ないけど子供は欲しかったからゆきずりの男とセックスして妊娠した女』が出てきた時、怖すぎて手元の低用量ピルを抱きしめた。

主人公は男だから語られなかったけど女は生理で毎月メンタルおかしくなるのわかってるから、マジでこういうことしちゃったらと思うと怖いよ〜〜〜!!!

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

またやられました、朝井リョウ作品…。
テーマとしては重いはずなのに、この稀有〜な語り口で読みやすく、クスッと笑える場面も。
複数の深いテーマがあるため簡単に"理解した"とは言い難いが、なんとなく全体的に捉えられたのかなぁ、捉えられてたらいいなぁ、という感覚。

アラサーにつきがちな結婚、子どもどうするか問題。まずこの悩みを持てること自体が、性的マイノリティといわれる方からすると特権だ、なんて考えたこともなかった。

人間はすぐ成長とか発展とか考えちゃうけど、生まれた時点で人生の意味や目的は有性生殖として達成してる、みたいなことも書いてあり、なるほどなーと。

マジョリティ側がマイノリティ側に対し何かを許可したりするのはモラハラと一緒だ、みたいな表現もめちゃくちゃ腑に落ちた。

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

この感想をどう書いたらいいか。共同体感覚とか異性愛/同性愛について感じたことを書くとなると、尚成とその相棒が人生(?)をかけて考えてきた内容に一切太刀打ちできる気がしない。
ただ、正欲を読んだときにも思ったけど、やっぱり多数派であるというだけで、そうでない人から見たら特権階級なんだなと。自然と次を目指す意識を持てていること自体、当たり前ではない人もいるということぐらいは、どこで誰が見聞きしているか分からない世の中では心に留めておいた方が良いのかも。

語られている内容とは裏腹に語り口はコミカルで、こういう小説ってほんと稀有〜。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

マイノリティの主人公が抱える社会的な孤独や虚無感を独特の視点から描いている。こんな視点から描けるなんてこの著者以外には不可能ではないだろうか。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

生殖器が意思を持ち、語りを展開するユニークなストーリー。
独特の視点で人間社会を描写していきますが、最終的にはやはり主人公である尚成が到達したあり方に、非常に勇気づけられました。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

2025. 39
『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
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一体誰目線で語ってんだ?思ったらまさか
面白い視点だった

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同性愛者だということを隠して生きている30代男性の生き方を、生殖器である「私」が語る話。

星3.5くらい。面白かったけれど、少し説教くさく感じるところなどがあり、「あーこれTwitter(現X)でよく見るやつ」というような身も蓋もない感想が何回か出てきてしまった。私がツイ廃なのが悪い。

語り口調なのでaudibleととても相性が良く、さくさくと読み(聞き)進められました。ヒトではない「私」視点の話の進み方も斬新で面白かったです。

終着点はどうなるんだろうと思っていたのですが、会社の上司や元後輩や同僚たちの監視カメラ個体たちから「もしかして」の疑惑を解消させないまま、主人公が主人公なりの“しっくり”を得られて物語は終わるという幕引きは、ここで終わるのかとは思いつつも、嫌ではなかったです。


「拡大、発展、成長する共同体」

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

生殖器の人格が見る人間社会。シニカルで斬新、面白い視点だった。スピ系の人がよく生殖器の大切さとか重要性説いてるの思い出した。人間世界の常識や価値観なんてコロコロ変わってそれに振り回されて無理やりでも己や社会の拡大発展のために生きるしかない我々ってなんて哀れなんだろう。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

なるほど…
そう言う事か…
タイトルと装丁からもっと文学的な重たい話しを想像していたので、砕けたラフな文調にびっくりしました。
まさかの目線からの語りから始まる物語は、戸惑いから最初は中々入り込んでいけませんでしたが笑
とても読みやすい文体で最後まであっという間に読むことができました。
フラットな語り口で明るくユーモアを交えて書かれているのですが、内容的にはとても考えさせられるものです。
きっと当事者の方々はそれぞれ、こう言った形を変えた苦悩を抱えているんだろうな、と考えさせられました。
隣にいるかもしれない苦悩を抱えた誰かに、想像力を働かせ「手を添えて力は込めず」寄り添える自分でありたいと思いました。
一見コミカルな話しですが、新たな視点や考えを与えてくれる今の時代に読みたい作品だと思います。

ただ…
朝井リョウさんがメディア露出が多いせいか、ご本人のイメージが強いせいか…
もう読んでいて朝井リョウさんが語っているようなイメージが抜けない笑
最後まで朝井リョウさんがずーっと喋り続けているような感覚でした。
そして同じようなターンが何度も繰り返される。
そこがまたご本人の語り口を思わせる…
良い作品なのかどうかも分からない…
私は今後、朝井リョウさんの作品はエッセイ以外はダメかもしれないな…と寂しくなりました笑

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文体とスタイルがThe朝井リョウだった

悪いとかでは全くなくて、朝井リョウの本を読んでいると、こういう属性の人(男性、ゲイ、ノンバイナリーの人etc)からは世界ってこう見えてるんだっていうのがよく伝わってくる
解像度が高いってことなのかな

追記
読み終わって数日してからじわじわ考えさせられてる。
自分にとって「しっくり」くる生き方は何なんだろう。自分にとっての生き様ってなんなんだろう。最近ずっと答えが出ないけど、それを見つけている尚正は羨ましいなと思った。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

難しかったなぁ
語り口がそこ?!って感じで最初はびっくりした。

けど、主人公が感じてる違和感とかしっくりこなさとかは凄く共感して。
自宅から出ることが出稼ぎってめっちゃ分かるなぁ
玄関から1歩出ただけで疲れるもん。

結局、育った環境がその人の思考回路を決めるんだなぁと。

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2025年12月09日

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