【感想・ネタバレ】生殖記のレビュー

あらすじ

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

軽快な語り口で、生殖機能が語り続けます。軽やかであり、クスッと笑える口調とは裏腹に、内向的かつ解像度高く俯瞰しながらLGBTQ+目線から、または転生する生殖機能目線からの視点で社会や人間、生物の本質を見抜きバッサリとそれは爽快に活字にしてくださっています。救われると同時に、生殖機能が軽快に語ることで、こんなにも楽しく、事実に向き合わせてくれるなんて、天才!!!と感動しながら読み進めました。

最初の文章の「尚成…〜」って語り口からして小難しい主人公なのかな?と第一印象を感じつつ、読み進め 序盤で生殖機能が語るという衝撃。タイトルそういうことかー!と気付くと鳥肌が立ちました。「尚成」主人公の名前と、生殖機能からの視点、社会から見ても小生…、小さい人生…色んな意味を考えさせられる「しょうせい」が掛け合わさっていて、主人公の名前自体が「しょうせい」なのか…さすが朝井リョウさん…上手い!と感動しました。

生殖機能が語る という文体が発明すぎて、身震いしました。

しかも、生殖機能は魂のように意思を持ち続けたまま輪廻転生するという衝撃。



4の終盤の、

“何かしらのごっこ遊びを続けているだけなんじゃないか”

声に出して爆笑しました。

本当のことってこんなにも面白いんだ…!と改めて感じました。清々しく、資本主義の疑問と限界をこんなにおもしろく言語にしてくれて感動と感謝の気持ちが湧き上がってきました。


中盤にさしかかる辺りで、“尚成”は読んでいる自分自身でもある、と確信しながら読み進めました。


解釈の問題についての箇所は、自分の都合の良い解釈になってしまう(解釈せずにはいられない)人間って愚かだな…、自分の経験(日々、人に伝えたい事がうまく伝わらなかったり、話ズレてきてるなーと感じたり)からもそうだよな…という共感と、愚かな自分への反省(尚成は自分だ!だなんておこがましい!)と同時にやってくるこの矛盾した感情(共感と羞恥心と反省と)にさせてくださる朝井リョウさんの巧みな手法はさすがだなあ、と思いました。


生物によっての生殖機能の形成によっての行動原理の解釈は、すごい!!確かにー!!と読書(前のめりになりながら)していて楽しかった部分です。


会話の中で解決したようでその場限りの解釈での終結という現象(有耶無耶)は日常会話であるある!!と感じました。友達などとの会話の後、ひとりになって振り返ると、アレ違ったかも…とか間違ってたなーとかなることばかりなので。人と会うと毎回反省している私ですが、解釈のズレがあるから毎回疲れるのかー反省ではなくて解釈のズレでのストレスだったのかーと私の悩みをも新たな扉を開けてくれたような気がして、嬉しくなりました。

政治の話でもあるある!!根本を具体的に話し合おう!?ってことあるある!!!と感じて、感動しました。日々薄っすら感じていたこと(解像度が低く、モヤモヤになる感情)が、朝井さんの解像度の高い丁寧な文体で私の頭にある点と点が線に繋がり、アドレナリンどっっパー〜でした。 


“ヒトって正誤の判断ができるわけじゃなくて認知能力とそれに伴う感情がやけに発達してるだけ”

たしかに〜となりました 笑

後半は一気に読み進めました。
AIナニーへの実現への未来があると思うと、現状 暗い方向へ向かいつつ感じていた未来も進化して希望が持てる未来にもなり得るんだな、と明るい気持ちにさせてくれました。

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2026年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前提として、生殖機能目線の斬新な設定と難しい話題もすっと頭に入ってきてくれるようなライトな語り口が面白い!
でもそれよりも内容がこれまた自分に響くものだった。なぜだか読み終わったら涙が出た。感動とか悲しいとかではない。何故なのか自分でもわからず理由を考えてみた。
きっと私は(実は多くの人もそうなのか?)尚成のように力を入れず手を添えるだけでマットを運ぶ生き方をしてきた。もっと主体的に生きた方がいいというのは散々色んなところで言われてきているから理解はしているけど、その方が楽だから。そして主体的になれるような目標がない。頭を使わず没頭できる作業があることに安心するのにもものすごく共感。でもそれをずっと後ろめたく感じてきた。その末路を見ているようで苦しくなった。人の話も上辺だけで聞き、深い人間関係を作ってこなかったことも。恐らくこういう人間は、マカロン屋のおじさんのように内に内に籠るのを辞め自分を開放していくことで未来が拓けるのかなとも思った。けどその勇気もないし、そもそも自分の本音もわからないので開放のしようもない。そのあたりの苦しい気持ちは普段胸の中の見えない届かないところにしまってあるはずなのに、それをチクチク針で刺されたような感覚になった。
颯のようにありのままの自分でやりたいことを見つけて生きるベースには、家庭と学校での受け入れられてきた経験があるっていうのが、最近よくきく自己肯定感ってやつなんだろうな。
何か自分の生き方を改善する答えが見つかったわけではないけど、色々考えを巡らせるきっかけになった。

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2026年10月18日

Posted by ブクログ

なぜゲイは生きずらいのか、なぜ人間は家庭を持って子供を作りたがるのか、なぜ会社員として組織に属して必ず向上することを定められるのかっていう今まで私が考えなかった「生きている上で面倒臭いこと」を考えて言語化しているのが面白かった
トランスジェンダーやセクシャルやレズビアンやゲイっていうのが多様性になるけれども、それらは結局人間っていう種の存続につながっているっていう考え方もよかった
あと善悪っていうのは宗教観が根付いた国であるならば宗教が定義づけてくれるんだけれども、日本にはそういう宗教の強い考え方っていうのがないから、結局同調しなきゃいけないっていう圧力に苦してしまうっていうのが日本人の善悪なんだっていう考え方も面白かった
あともう1個面白かったのが他人の目を気にするなっていうのは他人が問いかく言おうが自分の志を貫き抜けっていう意味ではなくて、他人の目っていうのは時代によって変わるんだからいちいち毎回気にしていても時代によって変わってしまうものなんだよって言う文章も印象に残ったし、私自身が楽になれた
人の考え方で自分の価値観が変わったのは久しぶりかも。貴重な経験でした。

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2026年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【AIによる概要】Claudeとの対話より
* 共同体や資本主義の仕組みの捉え方が良かった
* 共同体に加わってハッピーエンド、という展開にならないところが良かった。どう読み取るかまでは整理できていないが、「そういう在り方もありえる」と感じた
* マイノリティの描き方がうまい。『正欲』と比べて、よりポップに別の角度から描かれている
* ドキッとする描写もありつつ、朝井リョウらしいポップな語り口が面白い。話し方が自分と似ている部分もあってクスッとした
* 一瞬で読み終わった

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2026年10月13日

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主人公の尚成の生殖本能が話し手となる、まさに生殖記。
尚成は同性愛者である事を33年間ひた隠して生きてきたが、社会人として働く中で色々な異性愛個体や同性愛個体と関わる中で本当の幸せってなんだろと考え始める。
社会の中で悪目立ちしないよう自分を殺して生きてきたが、いよいよ自分の性について真剣に向かい合う時が訪れる。
尚成の心の声と生殖本能の語りがユニークで引き込まれていきます。
人類がこれから直面する社会的問題にも切り込んでいる。
とても興味深い内容でした。

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2026年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝井リョウ作品には、個人的には小説っぽい小説と、評論っぽい小説があると思う。
本作は評論っぽい小説で、個人的には朝井ワールド全開!!と沸き立ったが、大衆受けするのは小説っぽい小説の方だと思うので、本屋大賞にノミネートされたのが本作、というのは意外な感じがした。

生殖機能、という斬新な視点ではあるが、斬新だからおもしろい、という単純なわけではなく、月並みな言葉にはなるが、忠実に「生物学的な視点からの現代社会」を描ききった点が本作のおもしろさであると思う。

特に、SDGsやLGBTQ+に対する評価の仕方は、これらに対する私のモヤモヤを具現化したようで、心に留めたい言葉がたくさんあると感じた。

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2026年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しく洗練された表紙だと思った。生殖の記。古事記を連想した。重厚な話が展開されるのだろう、と想像して読み始めたら、それは生殖器視点の語りだった。
人間ではない視点でコミカルな語り口。作者はふざけてるのか等と思いつつも、さくさく読み進められ、その中で、いつの間にか、人間の幸せとはなんなのだろう、という真面目な問いに辿り着いた。娯楽としての面白さと、哲学としての興味深さが共存している、斬新な本だと思った。

成長だけが全てではない。仮に生産性がなくたって、平等に扱われなければならない。平等権は基本的人権の内の一つだ。

人間は成長や拡大を目指し過ぎている、という視点と、実は誰もが成長や拡大には限界があることに気づいているが、相互監視の状態で言い出せないだけ、という視点が興味深かった。
成長ができなくても、本人が幸せに生活できる環境を整えられたら理想的だ。しかし、成長しない/生産性の低い人間をほっておいてくれるほど社会は優しくない。

途中、ちょうど他の本でも読んだ、アドラー心理学の話も出てきた。共同体への貢献が幸せにつながる、という話。確かに「貢献できている」という思いは、幸せに繋がるようにも思う。
しかし、これって実は洗脳なんじゃないか、なんて思ったりした。社会に貢献できていることを、褒め、讃え、幸せと感じるように矯正されているのでは、なんて考えた。

また、同性婚への議論も、当事者ではない私は、ついつい「理解が進んで良かったね」等と考えてしまうが、そもそも理解しているしていないに関わらず、これまで不当に扱われていたこと自体がおかしいのだ、という当たり前の主張に、耳が痛かった。

以下、引用。
そもそも同性愛個体同士が婚姻関係を結ぶためにどうして異性愛個体の許可が必要なのでしょう。異性愛個体同士の結婚に同性愛個体は賛成も反対もしていないのに。そんな余地もないのに。
引用終わり。
こちらの主張ももっともだと思う。特権を持っている人間は、それが当たり前になってしまい、自身の特権に気づかない。このことには、自分自身も注意を向けていきたいと思う。

生殖器がしゃべる、という、ギャグ漫画のような設定から、こんなにも考えを深められる物語になるとは思いもしなかった。朝井リョウ氏の他の作品も読んでみたい。

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2026年10月02日

購入済み

朝井リョウ節全開

生きるための原動力をテーマに、生殖機能の語り部によって描かれる生物や幸福の本質に迫る一冊。
語り部の口調も相まって、ちょいちょいCV朝井リョウで聞こえてしまう呪いにかかっています。助けて。

#深い #共感する

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2026年04月29日

匿名

購入済み

至って真面目な「生き方」の本

やっぱり自分は朝井リョウさんの本は好きなんだなと再認識出来ました。繋がりの意識を求める現代人の生き方を見事に表現されていて、朝井さんと同世代の自分にグサッときました。

#笑える #アツい #共感する

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2025年12月29日

QM

購入済み

独特な目線から話してるなあ、人間のことを「ヒト」と読んだり〇個体とカウントしたり、、、新鮮で面白くて次々読んでいったらいつの間にか最後のページに。フレンドリーな口調が読みやすかったのかも。

人間は成長とか変化しないことを恐れていて絶対今にとどまろうとしないし、後戻りなんてもってのほか、、、ほんとそうだよねぇ、と思いながら読んだ。脳が発展していて身の回りがある程度満たされているから、暇なときに「生きてる意味ってなんだろう」みたいなことを考え始めるの、すっごく人間らしいよねぇ、とも。
ある事象に対する人々の見方や風潮の変化についての描写が興味深かった。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上司に「人格を持ってるとさ………性器が」と教えてもらって、どういうこと?!と俄然興味を持って読みました。
面白かった!!
朝井リョウさん初めて読んだのですが、とてもテンポが良いですね〜。読みやすかったです。
そして、同性愛者ではないものの自分も感じたことがある、社会を構成する一人としての生き苦しさが言語化してあって、わかる〜、と感じながら読みました。
面白い本なのに、私の言語化能力が低すぎて伝えきれない!もどかしい!
親個体と少しでも違う遺伝子持って生まれてきただけでオールオッケー!みたいなところ、好きです。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

インザメガチャーチは難しそうだけど、こちらなら読めそうかも、むしろどんな本だよという興味で購入。

尚成と同じで現状維持しか希望していない仕事でも、趣味でも、日常生活でも、家庭でも自然と"今よりもっと"を求めるし、求められるし、監視カメラが今よりなければ確かに私もただ生きている、だけのヒトになってしまいそうかもと思った。
最初は同性愛、異性愛個体とか色々出てきて、難しい内容で合わないかもと思ったけど、読み進めていくうちに尚成にも同感する部分が増えていった。
何はともあれオス個体目線で語られるのがシュールで面白かった。この小説の1番の良さなんだと思う。

話の内容の一部に出てきた、近い将来実現されるのかもしれないけど、有性生殖じゃなくてAIとか人工的なモノからヒトが作られるのは怖い。制御できない個体が出てきそう。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」の考え方が好きなので、
↓
人間や動物の体、心、行動は、遺伝子が自分自身のコピーを次世代へ効率よく残すために作り上げた一時的な「乗り物(サバイバル・マシン)」に過ぎない。生物は遺伝子の乗り物。

まさにこれじゃーん!と思いながら読む。
しかし参考文献には出てこなかったので朝井さん的には違うのかな?

よく俺のムスコが勝手にとか、人格が聞くけど
だからか?本体(尚成)と遺伝子キャラが人格違って面白い。

尚成、自分の周りにいたら、会話が歯痒くて仲良くはなれなさそう。
でもお菓子作り爆食と、筋トレダイエットを並行してやることで
好きなもの食べられるという永久機関的発想は、なるほどー!と思ってしまった


気になった言葉
・どの個体も、生命体としては死を、共同体としては縮小と崩壊を無意識レベルで避けて生きている。
・実際、同性愛者の自殺って多いんですよ。なんか世間からは性的指向に悩んで苦しんで死んじゃうって思われがちですけど、俺は、生まれながらに課された”巨大な秘密を最期まで隠し通す”っていう理不尽なミッションが自

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

 多数派が全てを決めるのではなく、少数派(マイノリティ)であっても阻害されることなく幸せに感じれる社会になって欲しいです。
 個人と社会(共同体)の幸福の両立があるべき姿です。憲法の幸福を追求する権利でも規定されています。
 人は歴史で選挙権や男女均等雇用法など個人が平等に扱われるように権利を勝ち取ってきました。
 人の均衡・拡大・成長は進化論の1つとして本能に備わっていますが、人の平等性も同じように本能に備わっていると思います。
 長い時間が必要になりますが、マイノリティも幸せに感じることができる平等な権利を有する社会になることを期待します。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

独特だ。まず思うのはこれ。
物語を進める語り手は意外な存在である。

セクシュアルマイノリティがテーマかと思って読み始めたがそうではなく、“共同体”がテーマだった。
主人公、尚成は同性愛者である。
異性愛者が主に構築する“共同体”において、彼の立ち居振る舞いは理解されなかった。
そうして彼は、“共同体”が目指す「拡大、発展、成長」に貢献することを潔しとはせず、“共同体”を構成する人々から浮かない程度に擬態して、時間を消費するために生きるようになった。

彼が“共同体”に持つのは、まさしく怒りである。
時が進み、社会は多様性を重んじるようになったが、彼からしてみると、マイノリティを受け入れて“あげている”、その傲慢さに虫唾が走るのだ。
これは同著による『正欲』においても、表現されていた感情であるが、生々しく、人間らしい感情で胸が苦しくなる。

物語の落としどころは想像を超えたものだった。
後半のとあるセリフが脳裡に蘇る。
「そうやってシャットダウンして自分の世界を狭めていくのって、なんていうか、避難には成功してるし快適かもしれないけど、それだけじゃないですか」
部屋に戻った後、同僚達は尚成に対しどう接するのだろうか。
尚成はこのまま時間を消費できたとして、彼の思い描く未来に到達できるのだろうか。
到達できない場合に何を思うのだろうか。
選択した生き方には、既に綻びがあるように思う。“空虚”に生きる尚成は、ひたすら不気味だった。
社会に不満を抱いても、自分の認識だけをすり替えて、特に努力せず生きる、その姿もまた、私には傲慢に見える。
思考や行動を停滞させることに警鐘を鳴らされているような、そんな気分にさせてくれる、興味深い本だった。

ちなみに、本作は物語ではあるが、物語の構成が説明形式であるため、一般的な“小説”を期待して読むと、しっくりこないと感じるかもしれない。
それでも、同著によるエッセイシリーズっぽいラフさもあり、読みにくさは感じなかった。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

視点が面白すぎる。同性愛者という自分とは異なるセクシャリティの人がどのように生まれた時に考えて生きているのか、この主人公の性格も相まった視点ではあると思うが、自分はいままで感じたことのない考えや感情が描かれていた。序盤が面白すぎたが故に、終盤にかけて期待が膨らみすぎてしまい、思ったよりも普通の結末(?)だった。それにしても、朝井リョウはどの視点の人間に立っていても解像度が高すぎて鳥肌。

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2026年10月21日

Posted by ブクログ

共同体は常に発展し続けている中で、そこへの貢献は"しっくりこない"主人公の話。

主人公はセクシュアリティによって共同体から阻害され心を閉ざしてきた。
そして、そんな共同体の発展には全く寄与したくないと考えている。
そのため、ダイエットやお菓子作りなどそこから目を背けられるものに手をつけている。

一方で、共同体の監視は厳しくて成長や自分の意見を求められる日々。

自分は恵まれた環境にいたから、アドラー心理学を読んでいても共同体貢献かふむふむって感じだったけど、そりゃ他者を信頼できないよなと感じる。

その中で同じセクシュアリティの同僚や主人公自身が選んでいく"しっくり"が全く異なるのがとても面白い。

自分自身も共同体への貢献が"しっくり"くるのか、はたまた他のものが"しっくり"くるのかじっくり見つけていきたいなと思った。

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2026年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思っていたのとは違うけど面白かった。特に幼少期の経験などが人生に与える影響は大きいよねと頷けた。自分は同性愛者ではないが、頷ける部分も多かった。

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2026年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやーおもしろかった!自分とは全く違う考え方をする人の気持ちの動き方がわかった気がして、とても新鮮で楽しかった。理解できないような人と人が今も尚同じ世界で暮らしているのは、それぞれにそれ相応の役割があるとも考えられた。それにしても、それぞれが頑張りすぎずに生きやすいような世界であり続けて欲しいと思った。
なにより最後に、生殖器が語り部になった経緯を説明してくれたのがすっきりしてよかった。
朝井リョウさんのエッセイを呼んだことがあるけど、ところどころ、あー朝井リョウさんだー!となる文面があって、それも楽しめた!ほんとに読みやすくて、大好きです。

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2026年10月10日

Posted by ブクログ

ところどころ語り手の主人公に対する評し方や意見や、主人公の他人に対する興味のなさ具合にクスッと笑えるシーンが多々あった。テーマが性的少数者を扱う重たいテーマであるが、それとは裏腹に文体は軽妙で読んでいて昏い心地はしないのが個人的に本書の良い点と思えた。「同性愛者を扱うよ!でも憐憫や同情なんか抱かず軽い気持ちで読んでねー」というような意図を感じた。

この小説で改めて気付かされたのは、「この機能いつ使うねん」と思う家電とか「何が変わったの?カメラの高画質とかそんな求めてねーよ。それより値段安くしろ」と思える最新版のスマホなど、わざわざ拵える必要あるか?と思える商品を続々と出す企業は「成長」という一社員の欲を満たすための副産物に過ぎないんだなぁという事だ。社会に必要、不必要なんて極論どうでもいい。心のどこかで薄々気づいていたかもしれないが、改めて言語化されると身に染みる。そしてこうした無意味な営みを真正面から突き詰めると、残るのは虚無だけだ。とても虚しい。

性的少数者を題材にしているが、サイコパスやソシオパスのような他人と同調できない社会的少数派な人にも当てはまるので、社会に馴染めないといった方にはおすすめ。
視点の鋭利さ、思考の深奥さに毎度脱帽です。

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2026年10月09日

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(オーディブル利用)
「生産性」「時短」「タイパ」ばかり気にして生きてきたけど、こんな考え方があったとは。
おもしろいなー。なにもせずにぼーっとすることや、時間がかかるし意味もあまりないことも、たまにはいいかもしれないなって思った。
途中から語り手がアレである必要なかったんじゃ?とも思ったが、面白い設定だったのでよしです。

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2026年10月07日

Posted by ブクログ

生きる意味や社会の仕組みについて、朝井リョウ独自の着眼点から切り込んでくる今作は深く考えさせられる1冊だった。
他者を理解しようとする事は時に傲慢であるということを改めて感じさせられた。

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2026年10月07日

Posted by ブクログ

なかなか 文体に馴染めずに ゆっくりゆっくり読んだ

相手の心の奥を 素手でぐうっと握りながら もう片方の手は その背をやさしくさすってあげる みたいな本

苦しくなるけど 救われる 不思議な気持ち

こんな伝え方 よく思いつくなぁ
作者の発想とセンスに脱帽

主人公が 幸せそうなラストで良かった

何かが解決したわけではないし そもそも 問題なんて最初からあったのかどうかすら 分からないくらい

ただ
気持ちいいなぁ楽しみだなぁ
と 歩く主人公の姿を 嬉しいと思えた

この本の語り手が「よかったね 」 と声をかけたように

そうだね
よかったね

私も そう言ってあげたい

いつか そう言われたい

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2026年10月07日

Posted by ブクログ

ずっとおもしろい。どうしたらこんな着眼点で本を書こうと思うのか、、、
コンセプトはともかく、内容は深い問題をテーマにしてる。浅井リョウ先生の作品にはハズレがありません。

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2026年10月04日

Posted by ブクログ

『イン・ザ・メガチャーチ』での本屋大賞受賞を機にこの作品を手に取った。「生殖」という観点から現代社会を語る。しかも語り手は主人公の生殖器という、かなり朝井リョウみを感じる独特な視点だった。

まさに言語化の神様!現実的で触れづらいテーマとユニークな文章の対比がとても面白かった。淡々としていながらも、主人公に対してノッたりツッコんだりする語り口が印象的だった。

性的マイノリティーである主人公は、社会の中で少数派としての生きづらさを抱えながらも、波風を立てないように「普通の人間」を擬態し続けている。その様子を、生殖器という第三者的な存在が解説していく構造が面白い。自分ではうまく言葉にできないような感情まで掬い上げられていく感じがあった。

作中に出てくる「共同体感覚」という言葉。そこに馴染めない感覚や、むしろ手放したいと思う気持ちにも共感してしまう。理解しきれないと思っていた心情の解像度が、読んでいるうちに少しずつ上がっていった気がする。

エンディングが印象的で、主人公が少しでも前を向ける形で終わったことにほっとした。所々やかましくて好き。
本屋大賞で興味を持った人にぜひとも読んでほしい!

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2026年10月09日

Posted by ブクログ

朝井リョウは小説としては正欲に続く2作め。
朝井リョウさんはなんかちょっと書いてる内容にしては流行り過ぎてる気がするな、と思っていた。決して貶してるわけではないです。基本的にはマイノリティが共感できるテーマのように思うのだけど、マジョリティが「流行ってるから読んでると言う不思議な構図じゃないかって。でもマジョリティに読ませるためにあえて軽い文体にしたり、語り部をちょっと変わった形にしたりしてるんだなって本作で気づきました。そう思って今インタビューを読むとやっぱり、「自分には関係ないと思ってる人に届くのが理想」とおっしゃってました。なんか、すごく腑に落ちた。生殖期はまさにみんなに読んでもらうために書いたんだなという感じがしました。
その上で一部の人にはドンピシャで刺さるんだろうなと‥。そしてプロモーション上手いし、本人が喋り上手いし。でも残念ながら私にとってそこまで衝撃のある読書体験ではありませんでした。好みの問題かな。

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2026年10月25日

Posted by ブクログ

俯瞰と言語化の力、エッセイと小説の技巧を駆使して、ある見解を新形式のエンタメとしてまとめた才能に脱帽。イン・ザ・メガチャーチなどの作風を期待して手に取った方にはお好みではないかもですが、私には面白く、どんどんと読み進めてしまいました。

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2026年10月22日

Posted by ブクログ

朝井リョウ氏の文章体は本当に読みやすい。今時のテーマだし、ちょっと自叙伝的?と勘ぐってみたりw
同性愛個体♂だったので次は♀版かな生殖記とはうまいこと考えたなと感服

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2026年10月16日

Posted by ブクログ

とあるヒトのオス個体に宿る◯◯視点から、人間の生き方と未来を描く。
語り部のせいか、リズムをつかめるまで時間がかかってしまいましたが、後半になってからは楽しく読み進めることができました。
似たようなスタンスの者として、"しっくり"を見つけるまでの苦労に思わず共感してしまいました。
私はまだここまで達観はできていませんが、いつかはたどり着きたい境地ですね。

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2026年10月16日

Posted by ブクログ

視点と語り口がおもろい。
同僚のキャラもみんな癖があって、考え甲斐がある人たちばかり。
確かに、インザメガチャーチとか正欲に繋がるモチーフを感じるわ。

他の人の感想を読んで結構噛み締めてる。

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2026年10月14日

Posted by ブクログ

感想
チン○を主体にした時点でもう勝ってるような気がする。

チン○にヒトは地球で好き放題やってる割に地球を大切にしようと言っているのが笑えるというのはどうなの?

筆者は欲とか生殖とか根源的な話題が最近多い?

色々性について考えさせられた。最後のオチはちょっと怖いな。


あらすじ
尚成という男性33歳の生殖器が主人公。尚成は同性愛者であり、主人公自体の出番はなさそうだ。尚成は性に悩み、総務部の仕事にも力が入らない。色々自分の性について調べて、世の中の事がほとんどどうでも良くなっていた尚成は、同期の大輔と付き合っていた樹に恋愛相談などされる。

後輩だった多和田が会社を辞めて、NPOを立ち上げる。色々話を聞くと多和田はゲイで同性婚を認めさせるための活動をしている。尚成は話に惹き込まれそうになるも、多和田からのNPOの誘いを断る。

上司や後輩、同期から踏み込んだ話をされそうになるもギリギリのところで躱し、尚成は次にやることを考えなくて良いように高カロリーなスイーツを食べて、ダイエットのために運動に邁進する幸せな日々を送るのだった。

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2026年10月12日

Posted by ブクログ

私は異性愛者なので前提条件は全く異なるが、
・結婚もしておらず子供もいない(望んでいるができなかった)
・特筆したキャリアや会社からの評価もない
・これといった社会貢献もしていない ことによる
→拡大・発展・成長側の人間からのプレッシャー、共同体に貢献していないことへの肩身の狭さ

・死ぬまで続く人生を退屈に持て余し、目の前の時間をただ消費している
・社会を変えることはできないとずっと不貞腐れている
・自分や将来に対して期待を持てない
→何度も期待を裏切られ、心を折られてしまった人間の心理

という点で私の中にも尚成と通じる部分があると感じた。

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2026年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

総論興味深くすらすら読めた。令和を捉えるのががやはり上手な朝井リョウ!
普段なら自分にもっと刺さる内容のはずだけど、おそらくタイミングの問題?で期待ほど刺さらなかった。。

以下メモ
人間は社会の拡大、成長、発展に向けて動き続けるしかない生き物であるという視点は、日頃自分も考えるテーマだから共感した。非現実的だと分かっていても全世界の発展を一斉に止めれば良いと何度思ったことか。思えば世界レベルでなく個人レベルで考えてみても"今日の夕飯味付けイマイチだったから次は醤油足してみようかな"とか"この部屋散らかっているから棚買って整理しようかな"とか、日々の生活でも小さな成長を繰り返している。これが無くなると主人公のように本当にただだらんとするのみ。成長発展は生命に課された逃れることのない宿命なんだな、と、改めて気付きを得てもう諦めることにした。。。

あと主人公の生き方の背景には「自分を虐げていた側の社会に貢献したくない」的な怒りの要素や、そもそも異性愛者優位の社会でサバイブに必死という要素があったと思うんだけど、そういった背景が全く無い(異性愛者、それなりに困らず生きてきた)のに社会の発展に興味が無い•どうでもいいと思う人々(これが現代の大多数だと思うのだけど)のことはどう捉えれば良いんだろうか。朝井リョウに聞いてみたい!

作中で出てきた、まだ咀嚼できていないけど覚えておきたい楓のセリフ
「否定系の意思表示って誰にも見えないんですよ」「どんどん外界を遮断して、自分から独りに逃げ込んで、色んなことを"してやらない"ってして、それで世界を否定した気になっても、周りから見ればそれって、ただそこにいる人なんです」「意識してやらないでいたこととか、意識して言わないようにしていたこととかって、誰の目にも見えない分、自分にだけはめちゃくちゃ目につくようになると思うんですよ。切り捨ててきたものたちが、逆に自分をどんどん縛っていく。」

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2026年10月04日

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