あらすじ
『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
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Posted by ブクログ
ほぼ一気読み。
多様性という社会、そのものにもいろんな立場からいろんな思いがあるんだなと思った。誰がどの権利を持って、許してあげる?赦してあげる?立場になっているのか確かにそんなことは考えたこともなかった。自分も散々使ってきた「そういう時代だから」という言葉、これをこれまで構成してきたのも自分という自覚なかったなぁ…ほんところころ流行に乗せられて雰囲気でみんな生きてるのかも…と思った。他人の目線を気にして生きても仕方ないけど一方で全くないと緊張感がないという話もしっくりきた…
この物語で1番面白かったのは颯と尚成の会話の部分でその中で出てきたこのフレーズ「否定系の意思表示って、誰にも見えないんですよ」
この流れで尚成も180度変わっていくと思いきや、また違った方向に変わったのもまた面白かった。いろんな種がいるなぁ…本能さんの語り?実況も独特で楽しく読めた。
Posted by ブクログ
朝井氏のファンです。
これは自伝的小説ではないの?(自分の思い込みかも、その観点からの書評はどうも見当たらない)
万一そうなのだとしたら、彼が手に入れた小説家としての言語感覚や細やかな心理描写、社会に対する冷徹な観察眼は、この社会をサバイブするために、自衛するために身につけざるを得なかった能力なのだろうか。
「乱用してきた処世術」は、共同体との関係値は、今も変わらないのだろうか。朝井氏の言葉が気づきと解放をくれたと同時に、読後何とも言えずやるせない気持ちにもなりました。(ただの想像でしかないのですが)
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吾輩はちんこである、っていう話。ほぼ哲学。
生きるために監視カメラを求めていて、ちゃんと共同体の一部にならないと食っていけない、ああ、資本主義社会を生きる人間だなって思った。
いわゆるマイノリティの人たちは、なんでそんなに自分たちを自分たちで差別するんだろうって思ってた。現実は、拡大発展成長をあたりまえに望める人、右ききの人が生きやすい社会なのか…と納得した。
あと、人が恋愛を語りたがる理由もわかった気がする。大好きな友達と恋人の違いは何?結局みんな生殖器なんだ。
行動しなかったことによる後悔と、人へのねたみ、あるのかな〜?やっぱ思い立ったら行動すべき?
颯とランチした時から何かあるか?と勘繰ったけどくっつかなかったか。私はなんも考えてなさそうなマイペースな人、面白くて大好き。私、やる気満々前のめり社交おしゃべり人間で、うざかったかなって後悔したり、誰かとしゃべりたくて何か頑張りたくてむずむずするから、その冷静さ、欲のなさ、行き着いてしまったものかもしれないけど憧れる。
最後に!なんならもっと精神的な描写を深化して欲しい!哲学補いじゃなくて!思想が面白いから、どういう感じ方で、それをどう表現するか気になる!
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尚成があまりにも自分すぎてびっくりした。なぜ朝井さんはこんなにも色んなタイプの人間の解像度が高いの…??
周囲が意欲的に「拡大・発展・成長」に向けて動けるのが不思議すぎて、そして全ての事柄が正直どうでも良くて、でも共同体に擬態せざるを得ないってまさに私すぎる。マット運びの例えとか実際に自分が学生時代に思ってたことだし(一見運んでるように見えてるだろうけど全然重くないなぁと)。私も最後の尚成みたいに自分なりのしっくりが見つけられるかなぁ。
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おれのことが書いてある!!?
社会的立場から心境まで何一つ同じで、何故だ何故わかる朝井リョウという気持ちで読んでいた…。
むしろおれに代わってこの世界に対してめちゃめちゃ怒ってくれて、呆れてくれて、そして言語化してくれてありがとうと心の底から思った。頑張って生きていくかあ、やだなあ…。
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「自分が本当に欲しいものは何だろう、みたいな生温かい悩みって、次の自分の新商品化どうしよう、みたいなことだと思うんです。」
正にそれ!!!
絶対に誰しもが感じるであろう感覚を言語化する文章力が本当に素晴らしすぎて…!!
ただ漫然と生きるだけじゃ許されない、
常に拡大、成長、発展を求められる息苦しさ。
昔から「自分はダメな人間だ、このままボーッとしていてはいけない、何か動かないと、結婚はしたいと思ってないけどいつかはしないと…」と常に見えない何かにせき立てられながら生きていると感じていましたが、それが拡大、成長、発展を求められていたからなのか、と腑に落ちた感覚でした。
10代の頃、これからの人生が全く見通せない時期に自分の生きる意味とは…みたいに病んでいたのはそういうことだったんだなあ〜
子どもが生まれてからはあまり考えなくなったのも
「育成しなければならない次世代個体がいる以上、親個体は走ることをやめるわけにはいきません。幼体のあの二つのつぶらな瞳こそ、共同体感覚に発破をかけてくれる超高性能のレンズなのです。」と明確に答えを書いてもらっていて納得オブ納得!
それにしても主人公の尚成、手を添えて力は込めずの加減が上手すぎて羨ましい。すらすら言葉出てくるその能力、ほしいです。
匿名
至って真面目な「生き方」の本
やっぱり自分は朝井リョウさんの本は好きなんだなと再認識出来ました。繋がりの意識を求める現代人の生き方を見事に表現されていて、朝井さんと同世代の自分にグサッときました。
独特な目線から話してるなあ、人間のことを「ヒト」と読んだり〇個体とカウントしたり、、、新鮮で面白くて次々読んでいったらいつの間にか最後のページに。フレンドリーな口調が読みやすかったのかも。
人間は成長とか変化しないことを恐れていて絶対今にとどまろうとしないし、後戻りなんてもってのほか、、、ほんとそうだよねぇ、と思いながら読んだ。脳が発展していて身の回りがある程度満たされているから、暇なときに「生きてる意味ってなんだろう」みたいなことを考え始めるの、すっごく人間らしいよねぇ、とも。
ある事象に対する人々の見方や風潮の変化についての描写が興味深かった。
Posted by ブクログ
成長病に対する考察が秀逸
死にがいを求めて生きている、とテーマはかぶる
暇と退屈の倫理学を読み途中だから余計にわかるわかるってなった
日頃よく考えている内容を掘り下げて考察してくれていて、それをしっくりくるワードチョイスで書いている、好みすぎる!!
「需要を飛び越えて新商品化」日々抱いていた違和感の正体をズバッと言い当ててくれた、好き!!!!!!
Posted by ブクログ
生殖本能視点で物語が進行し、語りがとてもユニークだった。
本作で度々取り上げられる共同体感覚。
全ての人は共同体に属しており、人は共同体に貢献することで、幸せを得ることができるというアドラー心理学による考え方。
素晴らしい考え方であり、自分自身アドラー心理学の本を読んだ際には感銘受けたのだが、本作を通して自分が共同体というものについて、深く理解できていなかったことに気付かされた。
近年重視されている多様性という言葉。
これまで共同体から見ないふりをされてきた人達の視点からしたら、勝手で上から目線な言葉なのだということに気付かされた。
共同体内にも優劣があり、大多数の意見が反映され、少数の意見や行動は共同体に背くものとしてみなされてしまう。
多様性について、言葉にするのは簡単だが実践にはかなり困難が伴うものだと感じた。
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生殖本能視点とかどういう脳みそしてたらこんなこと思いつくんだろうと著者への畏敬の念が堪えない。正欲の時よりその気持ちは強くなった。現代社会に対する皮肉なのか。
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超SF的な話だなあと思って読み進めていたら、結構人間の内面を分析する話で意外だった!
人間のよく考える生きる意味とか働く意味とかそういうのを超自然的に俯瞰して種の拡大発展のためですってまとめちゃうの面白いなって思った。
多様性とかも本来は生存の厳しい環境下で種の保存を優先するために生まれたもので、今更発生した価値観では無いよとか、人間は安定した環境下の生き物になったので単為生殖のみでいいのでは??的な考え方はびっくりするくらい俯瞰してないと無理だろ。朝井リョウは何食って生きてんだ。
Posted by ブクログ
主人公 尚成の男性器目線が語るストーリー。
今までにない視点で面白かった
心の声が出てくる小説はよくあるけど、男性器ならでは(?)の声が漏れる場面もあり、面白い。
同性愛者の主人公が考える様々な場面から「多様性」について考えさせられるストーリー。
LGBTQ +の人たちに向けた制度整備をするためのNPO法人を立ち上げた後輩の「法整備が進むにつれ、LGBTQ+の人を苦しめる可能性もある。カミングアウトできた人たちにとっては良いことをしていても、出来ない人たちにとっては同性婚や色々な制度が出来ることによってより格差を感じる場面が出てくるかもしれない」といった考えにははっとさせられた。
多様性という言葉が広く用いられるようになった今、マイノリティをマジョリティが「認める」といった上下関係みたいなものが出来上がってしまうようにも思う。誰が認めようが認めまいが、個々がしっくりと幸せを感じられるようになるにはどうしたら良いんだろう、そんなことを考えさせられました。
Posted by ブクログ
今まで読んだことのない語り視点で面白かった。
周りが発展、成長をするために行動することに対して尚成のように自分も理解できていない。けれど、それが普通とされているからそのレールに取りこぼされないようにとりあえず周りに合わせて擬態している感じがある。そのため、尚成の考えにとても共感できてラストはどのようにまとめるのかと思ったが、尚成は最終的に自分のしっくりくるものを見つけられていて自分も見つけられたらなあと感じた。
Posted by ブクログ
家電メーカーの総務部で働く尚成に宿った男性器が、尚成と人生を共にしながら人間の共同体の構造を紐解いていくお話。小説というより、独特のテンションで進行するドキュメンタリーのような感覚で読めます。
『正欲』に引き続き、「多様性」をテーマにした一冊。『正欲』が「多様性」という価値観によって苦しむ人たちを描いていたのに対し、本書はその「多様性」の根源を解き明かそうとしています。
オーディブルで聴いていたのですが、男性器の一人称部分で、寄生主を「尚成は──」と呼ぶのが印象的でした。「小生は──」と聞こえる響きは偶然ではないはずです。尚成をあえてへりくだった調子で呼び、「オス個体」「メス個体」「一個体」といった生物学的な呼称を用いることで、どこかコミカルな距離感が生まれています。重苦しい雰囲気だった『正欲』とは対照的に、本書は軽妙な語り口の中で、人間を含む生物のしくみを冷静に掘り下げていきます。
人間社会のあらゆる階層を緻密に描き出す筆致には感心しましたが、朝井作品によくある「不気味なほどの共感」を今回はあまり感じなかったため、「面白かった」とは言い切れませんでした。
しかし、マイノリティでありながら、あらゆる拡大・発展・成長から一歩引いた立場を守ろうとする尚成の姿を読むうちに、「マイノリティとは何か」という問いを改めて考えさせられました。共同体感覚を掲げ、拡大や成長を求める人の方こそ、ある意味でのマイノリティなのかもしれません。どちらが正しいというよりも、異なる立場同士がどう共存できるかを考える余地があるように思います。
尚成もまた、ふとした瞬間に「拡大・発展・成長」への期待を抱くことがありました。いくら成長を望まないと思っていても、共同体の中では、やはり「成長したい」という欲が芽生えてしまう。それこそが、人間という生き物の性なのかもしれません。
Posted by ブクログ
Audible版。その構成員に対して拡大・発展・成長に貢献することを求める共同体。そこから密かにドロップアウトして、ただ心身が時間的に前進することを求める30代LGBTQ男性の言動と、その生殖本能の語り。面倒臭さや無関心さ、生きづらさなど、境遇は違うけど共感するところもあった。
女性朗読者の男声が幼すぎて最初は主人公が中高生だと誤解して聴いてたけど、朗読自体は良かった。
Posted by ブクログ
同性愛者は社会的にどういう立場にいて、なぜそのようになっているのかということを共同体の価値観という視点から考えさせられる。即ち神に依らない場合の善悪の判断は結局共同体の価値観によって決まるということ。例えばSDGsとは人間が共同体として今後100年程度の生活を維持するためのものであり、まさに共同体としての価値観に基づいている。
資本主義の共同体での金銭調達能力は人間社会における生殖活動と同様に共同体の拡大を目指すもので、その能力に欠ける個人は共同体から排除されうることは一般的によく理解できる。端的には仕事ができなければ職がなくなるということである。それに比べて家族や学校といった共同体の目的は非常に曖昧で、それぞれがその正義に基づいて正誤を判断するというのは一見平等なようでマイノリティにとっては非常に危険な社会となりうる。
同性愛者の立場を共同体の価値観に貢献できないという劣等感的な視点で考えれば、例えば社会の中で仕事をしていない人達と同様に扱われているということかという視点は理解りやすい。家庭で無職の子どもが立場を失い隠されるような扱いを、生まれながらにして背負うというのはいくら人間の共同体価値観の帰結とはいえあまりに不合理だと思ってしまう。
Posted by ブクログ
「正欲」と似たテーマをもちつつ、こちらのほうが幾分かポップ。大部分が内省(ただし第三者視点ではあるので同時に客観でもある)で、共感できる部分も新鮮な部分もあった。自己の幸福を何に委ねるかを常に問いかけられながら、都度整理しながら読んだ。もし岸、樹、颯、大輔のその先の問いがあったなら尚成の人生は変わっていったのかな。彼なりの幸せやしっくりが続いていきますように。
Posted by ブクログ
あるものにナレーションさせる手法は、令和版の吾輩は猫である的と感じた。時代のギャップもあり取り扱う内容は全く違うが。
著者の別の作品の「正欲」と視点が似ているが、こちらの方がユーモラスな仕上がり。「次」がない中で生きていくのは確かに苦しいし、特に日本を想定しているはずだが、正しく生きているか相互に監視しているという洞察も素晴らしい。
Posted by ブクログ
内容もなにも知らないまま勧められて購入。
5ページほど呼んだあたりから止まらなくなった。
こんなにも現代社会や人の心情に対して言語化がうまいのか〜だから話題なのかと納得した。
1人の人生を俯瞰から見ているようだった。
自分はなりたくないなと思いながら羨ましいとも思い、実際に自分が登場人物ならどのように思うのかをたくさんの視点から考えた。
なんのために生きているのか、社会へ寄与することと自分の幸福を結びつけすぎても良くないなと思った。
Posted by ブクログ
今まで見たことない視点からの小説だったから、新鮮で面白かった。
ただ、所々で専門書を読んでいる気持ちになった。
興味はあるのだけど、難しい言葉が羅列されすぎていて読むのに疲れてくる感覚。
文字を追っているだけの時間も、まぁまぁあった。
敢えてそういうふうな作りにしている気もしたし、この作りにすることで物語を通して伝えたい意図みたいなのが何となく分かる気もする。
最後まで救われないなぁと思ったけど、救われる救われないの話でもないんだろうなぁという感じ。
読みながら自分の考えと照らし合わせてもみたけど、何か1つの明確な方向が決まることはない気がした。
終盤に近付くにつれ若干主人公の気味の悪さみたいなものを感じる自分に、ちょっと嫌な気持ちになる。
Posted by ブクログ
新しい題材というか、視点の物語。
三十代、ゲイであることをひた隠しにし
資本主義の社会(共同体)のレースから降り
生きやすいよう、見えるもの、感じることをトリミングし続けて自分にしっくりくる生き方で
日々を過ごす主人公と
その生殖器が語り部の話。
私も取り止めのないことを
悶々と考えるタイプなので
読んでいてあてられて、ヒリヒリするような感覚がたくさん合った。
世界はそんなに悪いものじゃないはず、なんて
今でもどこかで信じているけど
ヒトという括りを語られる部分に触れると
哀れで醜いかも。なんて思ってしまったり。
だからどう、結果こう、という物語ではないけど
人の営み、人の人生における
葛藤や諦め、そういうものがすごく響いた。
読んでよかった!
2026年、実に良い出会いの滑り出し!
Posted by ブクログ
朝井リョウさんの本は難しい。
結局、書いてあることの半分も頭に入ってこないから、内容もあんまり理解できてない。
朝井リョウと会って話すと、疲れるだろうな。理屈がすごい、、、。
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初の朝井リョウ作品。斬新な切り口で、主人公の内面がとても丁寧に描かれていた。結局何が言いたいかわからん!的な部分もあったが、そこも含めて一個人の人間なのかな。
Posted by ブクログ
性に関する小説かと思いきや、ナレーション語りがかなり多めの類だった。中盤まで(樹が心情を吐露)、ナレーションのしつこさに読み進めるのがしんどく思えたが、それ以降面白くなってきた。
この世界は、異性愛個体を軸に中心、成長・発展・拡大を前提として皆が社会で生きている。の旨の考え方にすごく納得感があった。
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これも人気のある本だと知った上で読み始めた。読み始めると一人称が変わっていて不思議な感覚がした。なかなか進まないところとどんどん読めるところとあった。朝井リョウって変わってる人なの?もう少し読んでみよう
Posted by ブクログ
同性愛者の男性の生殖器または生殖機能が語り手で、自意識を持ち、人間に限らずあらゆる生物の個体の生涯に寄り添い、個体から個体に寄生?するという特異な設定。
語り手の特性から、登場人物は「個体」と呼ばれる。
序盤に出てくる夜間勃起のエピソードに語り手の属性が現れるが、以降は特に強調されることもなく、悠久の時に存在しつつ主人公に寄り添う客観的な存在となっている。
寄生された男性逹家尚成が主人公で、幼少期に自分の性属性を自覚し、周囲との不調和に悩み、自我を消し周囲の行動様式を意識的に模倣するという処世術を身につける。
彼は異性愛者が大多数を占める共同体の行動原理が、規模の大小に関わらず、均衡、維持、拡大、発展、成長にあると認識し、それに関与しないことを処世術の帰結として徹底している。
彼が属する職場は彼の生存に必要な金銭を定期的に提供してくれる「媒体」で、帰属意識や忠誠心はもとよりなく、出勤という行為は「何もかもが異なる別の星に毎日日帰りで出稼ぎに行く」という表現が彼にとっては「しっくり来る」。
この感覚は多かれ少なかれ多くの人と共有されるのではないだろうか。
いわゆる生産的なことを極力回避する彼が見出した生活様式は、時間をかけて手作りしたスイーツを好きなだけ食べながら、体重や体型を維持(改善ではない)するための食事やトレーニングを欠かさず継続するという、時間を浪費する、第三者からみれば極めて非生産的なものとなっていく。
同性愛者という属性ゆえに内面を外部世界から隔絶することで生存を確保してきた主人公にとって、自分を相談相手として高く評価する友人たちの存在や、同じ同性愛者でありながら社会と積極的に関わり、あまつさえNPOを立ち上げ同性愛者たちの生活環境改善を目指す元後輩の出現は意外であり、衝撃的だった。
自らの行動様式が同性愛者という属性に必然のものでなく、生活環境に起因すると気付かされた主人公だが、社会により積極的に関与する選択はせず、行動様式は変えないまま、社生殖技術の革新に伴い性や家族、結婚に関わる社会常識が変わる将来を期待することを選ぶ。
大半が主人公の心理的描写や概念的な記述で、物語としての動きは少なく、興味が薄い人には読みづらいのではないか。
課長や友人や後輩から「前から思っていた」と主人公について言おうとするコメントが何なのか、想像してしまう。
Posted by ブクログ
本年度最大の衝撃作!と帯にありましたが、それほどの衝撃でもなかったです。ヒトは拡大、発展、成長のレースから降りられないという部分は、本当にそうだと思います。どこまで行けば満たされるのか、求め続けるのはしんどいです。時短や便利になった気がしても、あいた時間を有効活用できているかも疑問です。