あらすじ
『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本を読んで思った。
そうだよね。周りの目を気にしながら生きるのめんどくさいもんね。でも、周りの目を気にしないと、それはそれでめんどくさい。考えるのがめんどくさいから、先にどこ住みたいとか、いつ結婚したいのかとか、先に用意してるけど、やっぱめんどくさい。
でも、人生退屈だなーって気持ちも湧いた。自分は仕事が好きだからなんとか暇つぶし出来てるけど、退職したら退屈すぎてダメになりそう。どうやって暇つぶししようかなーって思う。
本の帯にインザメガチャーチを別の角度で見た作品ってあったけど、人生って豊かになりすぎて生命の危機を感じないからこそ、暇になり過ぎていて、自分が動くためのガソリンのような何かを探しているのがテーマの1つ。今回の主人公は、ダイエットとお菓子作りで、インザメガチャーチは、ファンダメンタルなんだ。結局人間って、暇潰しのためのなにか"しっくりくるもの"を探してるだけだんだ。
何か夢中になれるものある人羨ましいー
色んなことして"しっくりくるもの"見つけよ
Posted by ブクログ
え、めちゃくちゃ面白かったんですけど。
これ、朝井リョウのエッセイ読んでいるみたいじゃないですか?副音声で朝井さんのツッコミが入っているかのようでじわじわと笑いが止まりませんでした。
朝井リョウ流に多様性、令和、LGBTQ+、SDGs…について言語化してくれます。お得意のケーキのお話もあります。
Audibleで読んだのが良かったのかな?個人的にはもっと評価が高くてもいいと思います。
朝井リョウって面白い!人間って面白い!
Posted by ブクログ
生殖器目線での人について書いているが、人間を俯瞰して書いているため面白い。
多様性の受け入れには必ずマジョリティ側のマイノリティに対する上からの目線が含まれていると感じた。
"自分を走り続けさせてくれるものが欲しい"この言葉に共感した。
生殖し種を残すことが生物の本質なのに人間は思考を持ってしまったせいで、発展と同時に余計に考えるようになってしまった。
後半に主人公と対照的な性格のマイノリティが現れ、"しない選択"ではなく"する選択"を選ぶ場面は心を動かされた。また、感覚を共有できる人がいることはやはり幸福なことであると思った。
主人公は自分なりの人生の進め方(意味)を見つけており、自分にもしっくりくる生きる意味があればいいなと思った。
Posted by ブクログ
著者のPodcastを毎週聞いていて、たまには本も読まなきゃ、と本書を手に取った。
語り手と主人公の心の声と主人公の発話と主人公の対話相手のセリフとごっちゃごちゃに入ってくるのに誰だか分かる。
Podcastで感じる著者の頭の回転の速さを想起させられた。
そして仕事や真剣な私事の話題の間も、全く関係無い食べ物のことを同時に考えたりしてるのが著者の性格表しちゃってる感じするなあ。
主人公と同じような境遇の後輩の颯との価値観がとても離れているのが面白い。
年代がちょっと違うだけで世間の空気がガラリと変わったことを如実に表していて。
世代差もあるだろうし、もちろん個人差もあるだろうし地域差もあるだろう。
なにしろ異性愛でない個人が皆、尚成のような意見(「拡大・発展・成長」興味ない主義的な)に必ずしもなるわけではない。
語り手を人間以外からの(例えばネコとか)視点にして人間を相対化して語る小説は昔からあるけど、本書のケースは今までなかっただろうし、輪廻し、人以外の場合もあるという設定も面白い。
ところで、自分はもし自分の子どもが生涯独身か、LGBTQなどだったら、特別養子縁組を勧めようかな、なんて思っていた。
人助けの為でなく、子どもを育てるというのは本人にとってとても価値のあることだと思っているので。
しかし本書を読み、なんかそれはできないみたいな記述があったので子ども家庭庁のホームページにアクセス。そこには以下の条件があった。
「養親となるには配偶者のいる方(夫婦)でなければならず」
あ、そうなのか、と思った。
となるとLGBTQの場合、法的に婚姻できないと難しい。
パートナーシップ制度ってどこまで認められるんだろ。現状養子縁組はムリかな?
自分の知識で養子というとヤン・ウェンリーとユリアン・ミンツなのでてっきり単身でも問題無いものかと思っていた!
(フィクションの中のしかも戦時中の状況の常識を今の日本に当てはめてはいけない!)
うーん勉強になった。朝井リョウ恐るべし!
いやー社会制度もっと拡充させるべきだなあなんて考えさせられた。朝井リョウ、世の中に一石投じてるなあ。
Posted by ブクログ
これまで読んだ本の中で1番感動した。
秘密を抱えてる人、特に自分が決めた秘密ではない人。そんな人が救われる言葉で溢れていて美しい。
見た目は同じ人間だけど、なんだか自分だけが宇宙人なんじゃないかとずっと思ってきた。
そんな人間が、この世に私以外にもいる。それでも、大丈夫だよとそっと背中をさすってくれる作品。
Posted by ブクログ
ずーっと私の頭の中で朝井リョウさんが喋り続けてた。
セクシャリティ関係なく非常に共感した。
これだけ評価が高いのだから共感している人多いのだろうなぁ。
ただ性質上リアルの知人に勧めるのは人を選ぶと思います。形式も含めて受け入れる姿勢で読みはじめて欲しい。
自分の価値観は自分にしかないですよね。環境や社会がそうさせないことも含めて“しっくり“がぎっしり。
非常に面白かった。読んでない朝井リョウ作品も読もうと思えました。
Posted by ブクログ
時間差でめちゃくちゃ効いた。
読み終わってから自分の行動を振り返ったとき、「もしかしたら自分にも当てはまってるんじゃ?」と思うことがたくさんあった。
今まで行ってきた、言語化できない行動に言葉を与えてくれた本。
Posted by ブクログ
読む手が止まらなかった。とある同性愛の一個体が今の社会で生きている中で生じた思考、考察を細やかに深掘りしており、どうやって生きていったらいいのかを一緒に考えながら読んでいた。
タイトルが目立つ装丁で、出だしを読んでから「そういうことか!」となり、なんとなく、カバーをかけました。
視点が変わると世界が変わる。自分の人生の見え方も。こういう小説、好き。
Posted by ブクログ
僕はゲイでもなんでもないけど、主人公の職場に対する考え方がすごく似てて、共感しまくりでした。
語り手がち○こっていうのが斬新でよかった
Posted by ブクログ
温和で話好きな寄生獣が語り部のような話だった笑
主人公が冒頭で買ったものの伏線や、LGBTQ➕についての昔と今など、要素は多いが、アットホームな雰囲気でうまくまとめているので読みやすい
朝井リョウ節全開
生きるための原動力をテーマに、生殖機能の語り部によって描かれる生物や幸福の本質に迫る一冊。
語り部の口調も相まって、ちょいちょいCV朝井リョウで聞こえてしまう呪いにかかっています。助けて。
匿名
至って真面目な「生き方」の本
やっぱり自分は朝井リョウさんの本は好きなんだなと再認識出来ました。繋がりの意識を求める現代人の生き方を見事に表現されていて、朝井さんと同世代の自分にグサッときました。
独特な目線から話してるなあ、人間のことを「ヒト」と読んだり〇個体とカウントしたり、、、新鮮で面白くて次々読んでいったらいつの間にか最後のページに。フレンドリーな口調が読みやすかったのかも。
人間は成長とか変化しないことを恐れていて絶対今にとどまろうとしないし、後戻りなんてもってのほか、、、ほんとそうだよねぇ、と思いながら読んだ。脳が発展していて身の回りがある程度満たされているから、暇なときに「生きてる意味ってなんだろう」みたいなことを考え始めるの、すっごく人間らしいよねぇ、とも。
ある事象に対する人々の見方や風潮の変化についての描写が興味深かった。
Posted by ブクログ
ヒトが生きる世の中の風潮(拡大や成長を無意識に促す文化、人はそれぞれも多様性を謳う文化)について、同性愛者という孤独を感じながら生きる主人公とそこに潜む生殖体を通じて、生きることは何なのか。語っている斬新な小説だった。
本来であれば恐らく重い内容な気がする。世の中の拡大や成長に馴染めず、自分から受け入れられないものだと感じて秘密を抱えたり感情に蓋をしたりしながら生きていくことの重さ。それを日常起こり得ているシーンから第三者目線で考えさせられるものがあった。
ただ、その内容を生殖体が第三者として面白おかしく解説したり突っ込んだりしながらストーリー展開していくのが、小説の流れに明るさとポップさが加わり読みやすくて面白い内容だったなと感じた。
斬新な小説に出会った感覚!
Posted by ブクログ
なるほど
『生殖記』でした
漢字が多い文体なのでめげそうになりつつも
彼(と言っていいのかな)の語りがとても温かくて
楽しかった
異性愛個体と同性愛個体
いろいろと勉強になった
Posted by ブクログ
まるでずっと朝井リョウくんのトークを聞いているような語り口でとっても面白かった。
自分のアイデンティティーが誰にも、家族にすら打ち明けられない孤独っていうのはしんどそうだ。
社会が変わるには時間がかかりそうだけど、自分の大切な人に対しては、色々な価値観について、ジャッジはせずにただ話して聞けるような関係性は築いていけるといいなぁと思った。
Posted by ブクログ
ポッドキャストやエッセイで朝井さんについて少し知っている分、その要素が入っているのも面白いなと思った。どちらかというと資本主義に対する問いかけと感じた。そこを踏まえて生産性をキーワードと感じた。世の中のなんとなくの雰囲気が間違っているのでは?という視点を持たなければならない。と同時に間違っていても、それが正解みたいな社会で生きないといけないということもどこかで理解しないといけない
Posted by ブクログ
正欲と少し似てる部分があったが、この本は語り手視点で主人公についてポップな口調で書かれておりクスッと笑える部分が多かった。
幼い頃の関わってきて共同体によって人格形成がされるのは本当にそうだなと思う。とはいえ、異性愛者が都合よく作り上げた社会で生まれた、そうじゃない人にとっては生きづらい社会なのでやはり人格形成に大きく影響受けてしまうよなと思った。
アドラー心理学ででてくる、共同体感覚による幸福感は確か自分的に腑に落ちていたが年を取るにつれて共同体への貢献度が下がったり、退職したあと自分の共同体がなくなったりした時の失望感が大きくなるという考え方がなかったためなるほどなと思った。
共同体感覚での幸福感は共同体への依存性があるるのだなと。
尚成の人柄が好きというか、とても賢くて理性的な人だと思った。
「次」がないとどうすれば良いか困る気持ちや、
会社に対して常に拡大、発展、成長への意欲がない部分は共感できる。笑
Posted by ブクログ
斜めから斜めに書いたような作品だった。
独特な語り手、「成長」を前提とした社会への問いかけ、そして一冊を通して何かが起こりそうで、結局大きなことは何も起こらない。そのどれもが正面からではなく、少しずれた角度からこちらに迫ってくる。
改めて、朝井リョウさんは、語り口は穏やかなのに言っていることは鋭利だなと思った。
「成長」を前提とする社会に対して、主人公の「親」が抱く「ほっといてくれよ」という感覚に、共感した人も少なくないのではないだろうか。
『正欲』しかり、朝井リョウさんは、世の中に確実に存在しているにもかかわらず、まだ大きな声として語られていない違和感を見つけ、そこに疑問を投げかけるのが本当に上手い。
そして今回面白かったのは、「成長」を問う作品でありながら、物語そのものもいわゆる「成長物語」になっていないことだ。何か大きな出来事が起きて主人公が変わるわけでも、分かりやすい答えに辿り着くわけでもない。「何も起こらなかった」という読後感すら、この作品のテーマと繋がっているように感じた。
『イン・ザ・メガチャーチ』もそうだが、朝井リョウ作品は社会へのメスの入れ方こそ鋭利である一方、著者自身がどこに立っているのかは、あまり明確には見えてこない。
だからこそ読者それぞれの読み方が担保されるのだろうし、その距離感こそ朝井リョウ作品の魅力なのだと思う。
それでも、これだけ鋭い問いを投げかける人だからこそ、一度くらい朝井リョウさん自身の「鋭利なアンサー」も読んでみたい。
Posted by ブクログ
p.40
そう考えると、ヒト特有の悩みの原因って、実はそこにある気がするんです。自分は必ず死ぬということと、その死までの大体の期間を把握している。ここです。死の存在とそれまでの大体の期間を把握するということは、死を起点に逆算ができるということでもあります。
p.95
でも。きっと皆、実は気づいてもいるんですよね。企業も国家も個人も、永遠に“今よりももっと”を達成し続けるなんて、不可能だってこと。
最初から中盤ぐらいまではとても面白かったですが、後半、結末が少し物足りなく感じてしまいました。何か大きな出来事が起こると思ってました。でも、尚成としてはこれでよかったのかもしれません。
Posted by ブクログ
読み始めはどの視点なんだ、と思っていたが、本当に不思議な視点の本だった。
同性愛者の生きづらさ
自分も何のためにと考えさせられるような感じだった。
Posted by ブクログ
変な設定と思ってたが、読み始めるとゲイとわかり話違ってくる。とにかく主人公の考え方生き方を客観的に説明してくれる。生きてるだけでは納得できないヒトの宿命。やる気の無さがバレないように社会人する擬態は共感する。マイノリティから見た世界の見え方も興味深い。多和田くんの出現で他人との関係変化するか?とのドキドキあったが、まだそこまでには至らずか。結局「もしかして…」の先にはいかないまま。
Posted by ブクログ
こんな語りの発想があるのか!と思ったし、これで最後まで行くのか?とも思ったらそうでした。
成長、拡大といった波に乗っていくことが暗に求められている世の中でそこに違和感を感じる主人公がとりあえず「次」を求めている姿がありありと描かれていて面白かった。
Posted by ブクログ
同性愛者の男性の生殖器から見た人間の生態を記録した日記。物語的な展開とかはなく、ただただ平凡な日々を中で葛藤や苦悩を抱えた主人公やその周りのキャラクターの生態を生殖器が客観的に読者に向けて話している感じ。
Posted by ブクログ
社会の中で、ただ淡々と生きる主人公の話。
何を頑張ったってそれほど意味がないと思い、常に人に叱られない程度に仕事をこなす。期待しただけ無駄と思っている。こんな社会人って結構多いのかなって思った。
わたしが特に気になったのは、主人公がめちゃめちゃ朝井さんだってこと。
わたしはポッドキャストが好きで彼のもよく聞くが、朝井さんはかなりのスイーツ好きで、食生活にも気を遣っているし、毎日一万歩以上歩くという目標を設定している。これTHE朝井すぎて朝井さんか?ってかんじ。あと、朝井さんは一人称「私」だったはずです。まあ、大概自分が経験していることを書くのが作家なのだろうか。
Posted by ブクログ
『イン・ザ・メガチャーチ』での本屋大賞受賞を機にこの作品を手に取った。「生殖」という観点から現代社会を語る。しかも語り手は主人公の生殖器という、かなり朝井リョウみを感じる独特な視点だった。
まさに言語化の神様!現実的で触れづらいテーマとユニークな文章の対比がとても面白かった。淡々としていながらも、主人公に対してノッたりツッコんだりする語り口が印象的だった。
性的マイノリティーである主人公は、社会の中で少数派としての生きづらさを抱えながらも、波風を立てないように「普通の人間」を擬態し続けている。その様子を、生殖器という第三者的な存在が解説していく構造が面白い。自分ではうまく言葉にできないような感情まで掬い上げられていく感じがあった。
作中に出てくる「共同体感覚」という言葉。そこに馴染めない感覚や、むしろ手放したいと思う気持ちにも共感してしまう。理解しきれないと思っていた心情の解像度が、読んでいるうちに少しずつ上がっていった気がする。
エンディングが印象的だった。主人公が少しでも前を向ける形で終わったことに、ほっとした。本屋大賞で興味を持った人にぜひとも読んでほしい!
Posted by ブクログ
拡大、発展、成長…これなんだよな…いやぁ~朝井さんはやっぱりモヤモヤの言語化の達人なのよね…この文体は最初はとっつきにくいけど慣れたらスラスラ…
Posted by ブクログ
主人公の生殖を司るモノとしての語り手、という立場を一個挟んでいるだけで、朝井リョウさん自信が普段考えていることなんだろうなぁ。
それくらい文章に自我が出ている笑
小説というよりエッセイに近いのかも?
Posted by ブクログ
読んだことがない小説、語り手の斬新さ、主人公の過去の葛藤から現在の達観に至る道筋、周囲の人々の諦念、重いのか軽いのか分からないストーリー…。
色々要素だけを抽出すると、朝井リョウの凄さがよく分かる。実際「なんだこりゃ、とにかくスゲーヤバい小説やな」という印象に終始引っ張り続けられる読感なんだが。
じゃぁハマったかというと、ハマり切れてない。これはもう読み手の感性の問題で、俺の場合は感性の老化(劣化ではないと思いたい)が原因。LGBTQとかそういうことではなく、この小説が持つメッセージ性だったり表現手法に感性がついていけてないことをグイっと突きつけられている感じを受け続けた気がする。
尚成ならこういう時、美味しいものを食べることを想像しつづけることで、この怒涛の小説をやり過ごせるんだろうなぁ