【感想・ネタバレ】生殖記のレビュー

あらすじ

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ほぼ一気読み。
多様性という社会、そのものにもいろんな立場からいろんな思いがあるんだなと思った。誰がどの権利を持って、許してあげる?赦してあげる?立場になっているのか確かにそんなことは考えたこともなかった。自分も散々使ってきた「そういう時代だから」という言葉、これをこれまで構成してきたのも自分という自覚なかったなぁ…ほんところころ流行に乗せられて雰囲気でみんな生きてるのかも…と思った。他人の目線を気にして生きても仕方ないけど一方で全くないと緊張感がないという話もしっくりきた…
この物語で1番面白かったのは颯と尚成の会話の部分でその中で出てきたこのフレーズ「否定系の意思表示って、誰にも見えないんですよ」
この流れで尚成も180度変わっていくと思いきや、また違った方向に変わったのもまた面白かった。いろんな種がいるなぁ…本能さんの語り?実況も独特で楽しく読めた。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

吾輩はちんこである、っていう話。ほぼ哲学。
生きるために監視カメラを求めていて、ちゃんと共同体の一部にならないと食っていけない、ああ、資本主義社会を生きる人間だなって思った。

いわゆるマイノリティの人たちは、なんでそんなに自分たちを自分たちで差別するんだろうって思ってた。現実は、拡大発展成長をあたりまえに望める人、右ききの人が生きやすい社会なのか…と納得した。

あと、人が恋愛を語りたがる理由もわかった気がする。大好きな友達と恋人の違いは何?結局みんな生殖器なんだ。

行動しなかったことによる後悔と、人へのねたみ、あるのかな〜?やっぱ思い立ったら行動すべき?

颯とランチした時から何かあるか?と勘繰ったけどくっつかなかったか。私はなんも考えてなさそうなマイペースな人、面白くて大好き。私、やる気満々前のめり社交おしゃべり人間で、うざかったかなって後悔したり、誰かとしゃべりたくて何か頑張りたくてむずむずするから、その冷静さ、欲のなさ、行き着いてしまったものかもしれないけど憧れる。

最後に!なんならもっと精神的な描写を深化して欲しい!哲学補いじゃなくて!思想が面白いから、どういう感じ方で、それをどう表現するか気になる!

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2026年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「自分が本当に欲しいものは何だろう、みたいな生温かい悩みって、次の自分の新商品化どうしよう、みたいなことだと思うんです。」

正にそれ!!!
絶対に誰しもが感じるであろう感覚を言語化する文章力が本当に素晴らしすぎて…!!
ただ漫然と生きるだけじゃ許されない、
常に拡大、成長、発展を求められる息苦しさ

昔から「自分はダメな人間だ、このままボーッとしていてはいけない、何か動かないと、結婚はしたいと思ってないけどいつかはしないと…」と常に見えない何かにせき立てられながら生きていると感じていましたが、それが拡大、成長、発展を求められていたからなのか、と腑に落ちた感覚でした。

10代の頃、これからの人生が全く見通せない時期に自分の生きる意味とは…みたいに病んでいたのはそういうことだったんだなあ〜

子どもが生まれてからはあまり考えなくなったのも
「育成しなければならない次世代個体がいる以上、親個体は走ることをやめるわけにはいきません。幼体のあの二つのつぶらな瞳こそ、共同体感覚に発破をかけてくれる超高性能のレンズなのです。」と明確に答えを書いてもらっていて納得オブ納得!

それにしても主人公の尚成、手を添えて力は込めずの加減が上手すぎて羨ましい。すらすら言葉出てくるその能力、ほしいです。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生殖本能視点とかどういう脳みそしてたらこんなこと思いつくんだろうと著者への畏敬の念が堪えない。正欲の時よりその気持ちは強くなった。現代社会に対する皮肉なのか。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同性愛者は社会的にどういう立場にいて、なぜそのようになっているのかということを共同体の価値観という視点から考えさせられる。即ち神に依らない場合の善悪の判断は結局共同体の価値観によって決まるということ。例えばSDGsとは人間が共同体として今後100年程度の生活を維持するためのものであり、まさに共同体としての価値観に基づいている。

資本主義の共同体での金銭調達能力は人間社会における生殖活動と同様に共同体の拡大を目指すもので、その能力に欠ける個人は共同体から排除されうることは一般的によく理解できる。端的には仕事ができなければ職がなくなるということである。それに比べて家族や学校といった共同体の目的は非常に曖昧で、それぞれがその正義に基づいて正誤を判断するというのは一見平等なようでマイノリティにとっては非常に危険な社会となりうる。

同性愛者の立場を共同体の価値観に貢献できないという劣等感的な視点で考えれば、例えば社会の中で仕事をしていない人達と同様に扱われているということかという視点は理解りやすい。家庭で無職の子どもが立場を失い隠されるような扱いを、生まれながらにして背負うというのはいくら人間の共同体価値観の帰結とはいえあまりに不合理だと思ってしまう。

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2026年01月27日

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