【感想・ネタバレ】生殖記のレビュー

あらすじ

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「成長」というワードはよく見聞きするが、資本主義共同体である今生では、至って普通の事だったんだね。人類皆前進みたい病で急かされている、何か結果を出さなさいいけない感覚に陥っている。共同体にとって有用な個体でなければならない。拡大、発展、成長を目指す共同体の理念による個体同士の「監視」によって、理念に反する個体は排斥されていく。「私は共同体の人間だ」と「擬態」する事が「成長」に繋がるという訳ですね。失敗すると、経済的困窮に繋がり「死」に繋がってしまうというのはとても腑に落ちた。仮面を身に付けている自分がいつも「気持ち悪い」と感じていた。本音に薄々気付いていたから。共同体として「成長しなければいけない」と。

共同体から抜け出すには、もしくは排斥されても生き残れる道は経済的自立だ。

尚成は、LGBTQ+に属しているからこそ共同体への疑問を投げ掛けられたが、それらの背景がない場合は、そもそも共同体の理念に染まっている為気付くのが困難なのかな?

SDGsの件に関しては何とも滑稽だと感じました。
環境破壊を繰り返してきた「人間」を「絶滅」させる事が1番地球保全に繋がるということに。




生殖本能 = 拡大、発展、成長
共同体を占める異性愛個体が、神のいない世界の神様的役割を担っている。

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

25歳になって周りが結婚・出産ラッシュの中焦りを感じていたタイミングで出会った本作品。本当に結婚したいのか?子供が欲しいのか?なぜこんなに焦っているのか?言葉にまとめるのが難しいモヤモヤを朝井リョウさんが上手く言語化してくれていてスッキリしました。

結婚したい子ども欲しいって思ってたけど、それって周りの友達と話が合わなくなるのが怖いだけなのかも。自分だけ皆と違う人生になることとか、ずっと独りで生きていく可能性とか、そういう不安が結婚とか子ども欲しいって感情に変換されていただけなのかも。
こんな感じのことが書かれていて、大共感でした。

恋愛・結婚・出産に悩めるのって贅沢なことなんだというのも、この本に出会っていなければ気づけませんでした。

これからも朝井リョウさんの作品にたくさん触れていきたいな〜。

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

LGBTQのタブーな部分にも触れていてなかなかにインパクトのある作品だった。
1番印象的だったのは、社会の発展や成長に関与せずにいかに次にやることを探すかという部分。大体の人は自分のやりたいことをするための時間を作ろうとするものだが、時間を潰すためにやることを探すという考えが、理解できる人はすごく理解できそうだけど、全く理解できない人も大勢いるだろうなと思った。この不景気で自分も特に社会に貢献するという気は起きないが、せめて自分のやりたいことを見つけて実現できればと思う。

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2026年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいる間中ずっと憤っていました。当事者です。ゲイじゃないけど。
人ならざるものを語り部にしているやり方は面白かった。それによってヒトより広い視点を持ち、ヒトの営みに冷めていることが不自然ではなかったけど、特性上、また傍観者である以上始終突き放している態度で話が進んだのが悔しかった。
なんだかまるで、こういう存在(社会から見た主人公の存在)があります、こういう視点があります(語り部じゃなく生き方や世間の捉え方に)、こういう考え方があります、なんの疑問も持たずに生きてきた異性愛者はこうですよね、などなど筆者が考えたり行き着いたことが列挙してあって、マイノリティの世界を知らない人の教師になろうとしているみたいな本に思えました。
マイノリティすべてがこうではないですよ、もちろん。3人くらい明示されましたけど、マジョリティのそれぞれがそうであるように彼ら我らも十人十色の考え方捉え方生き方です。
主人公に共感同調して生きる/読むくせがあるので、自分を殺して全て諦めて希望の世界が来たるまで逃げのびる選択をした主人公が胸糞悪かったです。そこが意外にもちょうど自分と重なっていることを突きつけられたから。
大きな流れに逆らうことは、みっともないことだと思います。だからやりたくない。でも、本書にあったように、消極的な意思表示は意思を表示していることに気付かれない(意訳)というのはその通りだと思います。
逃げて、自分がこうであることをずっとずっと前から決めて生きてきたのに、俯瞰した視点から現状を突きつけられて大変嫌な気持ちになりました。
でも語り部的には、私が何をどうしようとしなかろうと大差ないんですよね。社会的にも、奇跡中の奇跡を起こして大変大きな変革成果を上げなければ、何かを成したことにはならない。救いがない。救いはないです。
であれば、この本を読んだ結果として、大変嫌な気持ちになりました、というだけで、明日からの世界は何も変えなくたっていいんじゃないかと思います。誰かが奇跡を起こした未来にたどり着いてしまった時、悔しい気持ちになるかもしれないけど。みっともないことをしない方を選ぼうかな。消去法で。消極的に。投げやりに。
マジョリティが全員で僕らを救ってくれないと、僕らは永遠に救われないんです。なんの目的に対した行動の結果であってもマイノリティが救われたという事実にたどり着くまでは絶対に救われないんです。大きな流れが偶然僕らを救いあげるまで、僕らのような存在は外側に生きて、救われないまま死んで消えてなかったことになるだけなんです。こちらが頭を下げるのは本当に腹立たしく意味もないことですが社会通念上要望がある時には頭を下げるのが道理となっていますね。お願いします。
怒りのままに書いたので支離滅裂だと思います。気が向いたら書き直します。激情を揺さぶられる大変面白い小説でした。ありがとうございました。
あと、あんまり本を読んで来てないので口にしていいものか迷いますが、書き方と内容の二点で、これって小説って呼んでいい……んですか? これを小説と呼んでいいことになっている世界なんですか? とは思いました。本当に以上です。

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2026年04月06日

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