朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
正欲
・つながりは抑止力だ
ただ生きているだけでこちらに迫ってくるものより、人目を忍んで世間を掻き分け突き進まないと辿り着けないものに触れていたい。
・多様性とは自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。
・自分を社会に引っ掛けておいてくれるものが何もない。
・マジョリティ側に生まれ落ちた故に自分自身と向き合う機会が少なく、ただ、自分がマジョリティ側であると言うことが唯一のアイデンティティとなる。特に信念のない人ほど、自分が正しいと思う形に他人を正そうとする
・いつだって幸福より不幸の方がしっくりくる
・社会の流れの市場になれている安心感
・多数派であるということに安住し自分という個体について考える機会に恵まれないのは一つの不幸かもしれない
・自分には必要だったのは、大きな目標や目的のようなゴールではなく、自分から溢れ出る情報一つ一つに耳を澄ませじっと向き合うことのできる自分だった。
・自分の奥底にある異物、自分でもよくわからないものをわからないままに晒し合える時間にしかない安心感
・自分はまともである、正解であると思える唯一の拠り所が”多数派でいる”ということの矛盾
・多数派に立ち続けることは立派な少数派だ。
・自分の幸せのためにお互いを利用している関係はふと崩れてしまう。
・自分が想像できる多様性だけ礼賛して同情求めたり同情して、秩序を整えた気になるな
・正欲は誰しも持っている。
・人それぞれ正欲が違う前提で、生きていくすべは2つ。
①異質な正欲を晒し合える関係・社会を作り上げる
②正欲をぶつけ合って対話することで.方向性は違えど一般的な模範的正欲とのギャップ度合いを思いを馳せ拠り所とする。
③正欲は人それぞれ違うとこを前提として、共感を求めず対話する
あなたが求めているのは「理解されること」より、「わからないまま一緒にいられること」なのかも
理解できないものが残っていることを、お互いに許容できる関係
理解できることを、相手を尊重するための条件にしない。
・不幸の方が楽?
幸せを感じても、別の角度からその幸福の不完全さが見えてしまう。
幸福を感じることと、幸福を正当化することが混ざってしまう。
大事なのは、幸福を感じているときに、その幸福が完全ではないことを知りながら、それでも幸福を感じていていいと思えること。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウ作品には、個人的には小説っぽい小説と、評論っぽい小説があると思う。
本作は評論っぽい小説で、個人的には朝井ワールド全開!!と沸き立ったが、大衆受けするのは小説っぽい小説の方だと思うので、本屋大賞にノミネートされたのが本作、というのは意外な感じがした。
生殖機能、という斬新な視点ではあるが、斬新だからおもしろい、という単純なわけではなく、月並みな言葉にはなるが、忠実に「生物学的な視点からの現代社会」を描ききった点が本作のおもしろさであると思う。
特に、SDGsやLGBTQ+に対する評価の仕方は、これらに対する私のモヤモヤを具現化したようで、心に留めたい言葉がたくさんあると感じた。 -
Posted by ブクログ
いや〜長かったけど読んでよかった。
推し活文化批判の本と思ってたけど、批判というか推し活をするようないわゆる「視野の狭い人」と社会問題に目を向けたり、仕事で冷静を保つ「視野の広い人」それぞれの良いところ、悪いところを見せてくれる本だったな。
本の中でも言ってたように正解なんてない。どっちがいいもないし、正しさを求めて選んだものは本当に自分が欲するものなのか。という疑問も浮かぶ。
なんだか正欲と繋がっているような気もしてきた。
自分はそれこそ、コロナ禍で「陰謀論」と言われていたものに目を向けるようになって真実が分からなくなった。でも当時は、あまりにも新しい情報が一気に自分のところに正解のように降りてきたから、それを強く信じきった。でも懐疑的な視点も持ちつつ、視野を広くしようとしていた。世界の問題に目を向けてた。でもそうした結果生まれたのは孤立、孤独。
せっかくの高校生活、誰とも分かり合えないと思いながら過ごした。みんななんで真実に気づけないの?と見下す気持ち、もどかしい気持ちを抱えて過ごしてた。
当時、私が見下していた何もコロナのことを気にせず推し活をしていた友達の方がよっぽど幸せな高校生活を送ってたと思う。
この世界はあまりにも広すぎる。自ら視野を狭くし選択していくことが人生を形作るのだと思う。
世の中には色んな活動、色んなお仕事がある。それも全部だれかが視野を狭くした結果生まれたものだと思う。
コスパ社会について話すYouTube動画でも、映画とかのパイオニアはコスパが悪い、後から出てくるものはみんなコスパ良いが故にflopするって言ってた。
視野を狭く、コスパ悪く、なにかを愛することや夢中になることこそが人生の豊かさだと私は思う。
逆に自分の視野を狭くしてくれる何かに感謝し、全力で向き合いたい。
でもこれももちろん正解ではなく、私がやりたいと思う生き方。
なにかに夢中になると、それを失った時の辛さや本日は大きい(りんファミが狂ったように)
刺激もリスクもない人生を選ぶか
刺激とリスクで溢れた人生を選ぶか
これだけシンプルなことな気がする。 -
Posted by ブクログ
正直、最初の久保田と澄香の章までは、「推し活」「性格判断」「大学生活の人間関係」など、私には若いテーマで読みにくかった。また、最初の段階で久保田の貯金が澄香の推し活に消費される結末が想像できたので、怖いなという気持ちのままページをめくるのがつらかった。
でも読み進めると、推し活の搾取、宗教・スピリチュアル、サラリーマンの孤独、学生のノリ、貧困、色んな要素が絡まっていき、さらに3人の幸福度が入れ替わり上下していくので、読むのをやめられなくなった。
特に、久保田は希望に満ちた感じになっていったと思ったら、急降下して呆気にとられた。(1番マトモだと思ってたのに...!!ま、でも化粧したり、後輩と友達になれた気でいたり、やっぱ客観的にみたら変なやつか。)
3人のうち、1番共感できる人ランキングが私のなかで何度も変わっていって、結局どの人にもなりたくないという結論になった。笑
さらに、3人以外のサブの人間も、こうなりたいと思える人間があまりいなかったのが、上手いなぁと思った。(菜々、ユリちゃん、道哉は割と光の道を進んでるような感じがしたけど、それでも模範的な人間として描かれてない。)
推し活で大金を使う人って、同じく澄香のように自分と同じ所を重ねてみるのかな?動画1つで色々考察できるなんて凄いな、、、とシンプルに推し活界隈の勉強にもなった。(最近、とあるグループの1人が脱退して、残るメンバーが会見しましたが、使われたマイクが脱退したメンバのメインカラーだったそうな。こういうのも、メンバーの意思ではなく戦略的なのかな?なんて穿った見方をするようになりました。)
他者との優しくて健やかな繋がりをどうやって形成するか。「出し切る」に対して、自分の価値観を今一度考えようと思った。
キーワード
・視野を広くもつことの虚無感、狭くもつことの危うさ
・推し活の構造。熱狂させるためには物語。
・何を正解だと信じ、そこにどれだけ時間とお金を費やすか。余白を何で埋めるか。