朝井リョウのレビュー一覧
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2026年21冊目『桐島、部活やめるってよ』
朝井リョウさんが本屋大賞を受賞したということで、彼のデビュー作を再読。改めて19歳でこれを書いたという事実に衝撃を受けた。
前回読んだのは学生の頃。
社会人になった今読むと、「高校ってこうだったよな」という懐かしさと同時に、カーストや部活の息苦しさみたいな、あまり思い出したくない感覚までリアルに蘇ってきて少ししんどい(笑)
登場人物はみんなそれぞれの立場で、学校という世界でうまく生きていくために必死なんだよね。その温度差や視点の違いが丁寧に描かれているのが面白い。それにしてもなぜ朝井さんはそれぞれの視点の感情や立場をこんなに上手く言語化できるの -
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就活。たいていの大学生が憂鬱になるワード。私もその一人だ。
今までのらりくらりと生きてきた人にとっては、自分の人生を一度見つめ直す機会になる。本当に、自分は「何者」?とここ最近ずっと自分自身に問うている。
私は、自分のことを就活で見つめ直す中で、自分の好きなものと嫌いなもの、大切にしたいものがたくさん見えてきた。
この作品の主人公は、自分と人を比べて相手は劣っていると勝手に決めつけ、勝手に評価してしまう。内定はもらえず、人より優っているはずなのになぜだと思う。
だけど、面接官はそれをしっかり見抜いていて、人の立ち振る舞いは顔に出ると思った。普段の些細なことから気をつけていく大切さがある。ポジ -
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小説のあらすじに「読む前の自分には戻れない」とあったけど、本当にそうで、価値観変わるほどの衝撃を受けた。
この世に生きる全ての人に読んでほしい。
人間誰しも生きていくうえで持ち合わせている「欲」の話。
多様性を受け入れようなんて言っている時点で、あなたは正しいほうの人間なんでしょうね、おめでたい人間ですね、あくまでも理解する側の人間なんでしょうね、といわれてるようで、そんな自分の考えの浅はかさにやるせない気持ちになった。
簡単に共感できるとか、そういう気持ちも分かるよ、なんて言えなくなる。ただ、佳道と夏月の会話で一番印象に残っているシーン
「その人、ひとりでいないといいね」
「誰も -
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ネタバレ「成長」というワードはよく見聞きするが、資本主義共同体である今生では、至って普通の事だったんだね。人類皆前進みたい病で急かされている、何か結果を出さなさいいけない感覚に陥っている。共同体にとって有用な個体でなければならない。拡大、発展、成長を目指す共同体の理念による個体同士の「監視」によって、理念に反する個体は排斥されていく。「私は共同体の人間だ」と「擬態」する事が「成長」に繋がるという訳ですね。失敗すると、経済的困窮に繋がり「死」に繋がってしまうというのはとても腑に落ちた。仮面を身に付けている自分がいつも「気持ち悪い」と感じていた。本音に薄々気付いていたから。共同体として「成長しなければいけ
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現代の「消費社会」について小説にしたものという印象を受けた。
朝井リョウさん今までも『生殖器』や『正欲』でも消費社会について取り上げている一面があるなと感じていたが、今回はがっつり「消費社会」について小説にしているなと。
現代において、広告業界を中心に消費者の欲求をコントロールしている側面があるよね、という現代の「消費社会」の批判。
この問題として、欲望や欲求が尽きないこと。
以前は「モノ」の消費が中心で手に入れると満足することができたが、現代では「コト」消費が中心でそこにはゴールがなく、欲望が尽きない。
そういった消費構造の中で、私たちは生きていると自覚するのが大事だなと改めて感じた。
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「正しさ」とは何か考えさせられる。
自分の「正しさ」を突き通そうとすればそれによって自分とは別の「正しさ」を排除してしまっているのだ。
正義の押し付けは悪になりかねない。
と自分の主張を書いていても思うのだが、この主張も正義の押し付けなのかもしれない。書けば書くほど、キリがなくなってくる。が、感想であるから割り切って書くことにする。
無意識的に人間は自分とは対極にある正しさを排除しながら生きているのではないか。
また、そうすることによって「繋がり」を感じているのだ。そしてその「繋がり」を用いて別の「繋がり」を自分たちの見えている世界から排除し、気持ちよくなることによって、「生きている」「自分も -
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発売時流し読みでしか読んでいないので再読。
当時よりも面白く感じた
でも、色々とやる気のない主人公なので新生活に読むのはタイミング違った笑
朝井リョウの本を読んでいると、何が普通で何が普通じゃないのかが分からなくなるというか、今まで見てた世界の姿を見直したくなるような、そんな感覚になる。
この主人公は最終的にしっくりくる自分の姿を確立して幸せそうだけど、周りの『普通』の人からは全然理解されていなかった(なんか達家の最終形態、ジョーカーの闇堕ちを思い出したんだけどそれとも違う…)
共同体の成長・発展を願う颯とその逆を行く達家の会話も興味深かったし、30代のリアルを話す樹の相談シーンも印象的