朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
帯の言葉が強烈で、これはすごい本だと思わず読んでしまいました。
久しぶりの朝井リョウさん、受け取るものが多すぎて読んで疲れてしまいました。
私の推しは嵐が最初で、そしてきっと最後です。
あれほど何かにはまって、追いかけることはもうないだろうなと思います。
毎年のライブに行けるか行けないか、そのために1年を生きていました。
ジャニーズの推し活って、お金を積ませないファン思いのシステムだったのかなと思います。
もちろん熱烈なファンのお金の使い方は凄まじいですが、お金を積めば積むほどというような売り方はしていませんでした。
本作において熱狂を作る側のビジネスとしての捉え方は、人の気持ちを計算して利用する恐ろしさを感じました。
そこまで我を忘れてはまるなんて恐ろしいと思う反面、少し羨ましいと感じます。
Sometimes I try to limit my point of view because there are too many things happening in the world. -
Posted by ブクログ
「自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
多様性尊重ためには「対話」が必要だけれども「対話」できる得る事柄は社会的・集団的倫理から排除されないことのみ。結局はマジョリティの想像の範囲内。
マジョリティが自身の考えが集団で共有している倫理の範囲内(正欲)であることか確認するために、同じもの同士で話し、違うものを腫れ物として扱う。
マイノリティ同士での「繋がり」に居場所をつくることとなる。
現代は障害や性別などの多様さを当たり前のものとし始めている。
これまで不利益を被ってきた人々が救われているのは事実であろう。
しかし、障害や性別にカテゴライズされないもの、つまり性癖や性格、価値観などはいかがなものか。
自身の「正欲」が「正欲」であると過信してないだろうか。その過程において他者を排除してないだろうか。
多様性、素晴らしい考え方であるが、とてつもなく複雑で困難で、汚い部分に触れることとなる。
理解しようとする過程に価値があり、その困難な手続き(対話・衝突)を支え得る寛容な姿勢が必要であろう。
この本に出逢えてよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「朝井リョウのエッセイが面白すぎる。」そのウワサ通り、いやそれ以上に面白いエッセイだった。彼自身もユニークな人なのだが、周りの人間も変わった人が多い。特に母。「私の車が爆発します!」。え、映画のセリフ?爆弾魔やばすぎる。朝井さんの携帯電話の機種変更の話も面白すぎた。機種変更後に、まさか、松たか子もびっくりの告白をショップ側は受けて、きっと耳を疑ったに違いない。全てをなかったことにしたいなんて要望、今まで携帯ショップは受けたことあるだろうか。とにもかくにも天然な母と天気運・計画性のない友人(本人含む)とノンデリ美容師とおちゃめな眼科医が周りにいる朝井さんの楽しそうな人生がちょっぴりうらやましくなった。
-
Posted by ブクログ
第3話 立て!金次郎!
この話めちゃくちゃいい。クレームを起こさないことを最優先に考える学年主任と、生徒の特長を考える主人公。やり方が合わず、悩む主人公だが、最終的には主人公のやり方で保護者が納得し、褒めてくれる。
ここまで読んで、主人公も結局は保護者のことばかり気にしていてなんだかなあと思ったら、さらにその先の展開があってびっくり。嫌な気持ちになって終わってしまったけど面白かった。
前編通して、日常からちょっとずれた登場人物たちの奇妙な様子から目が離せない本。ちょうど荻原浩さんの「陰謀論百物語」を読んでいたから、似た雰囲気を感じてなんだかお得な気分になった。 -
Posted by ブクログ
全部おもしろかった!
朝井リョウさん大好きです
寝る前に我が家の小学生男子に
1番初めのうんこのお話を読み聞かせてあげたら
大爆笑でした、、、小学生にも刺さります
私は美容師の話と就活の話が好きでした
美容師って変わり者が多いイメージ持ってますが
それにしても引きが強すぎます
就活したことないのに
就活の苦労について原稿書けるってどういうことですか!?
ご自分で添削して、つっこみ入れまくって面白くなってましたけど
素直に作家さんってすごいなと思いました
あと、「時をかけるゆとり」という題名に対して
表紙の装丁が秀逸すぎて笑ってしまいました
この風景見たことある(笑
3部作全部購入したので、次も楽しみです -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白くて一気読みでした!
本編前に掲載されたTwitterのプロフィール欄を見て「あー、苦手だなあ」と思ったやつがあります。理香と隆良のやつです。
「意識高い系」だったり、ポジティブな言葉を並べていたり、なんかキラキラした生活を連想させるSNSの書き込みを見ると、どうも寒いものを感じてしまうのです。
だから、主人公に共感して読み進めました。
名刺はえーっと思ったし、なんで英語で書くんだとも思ったし、合間合間のツイートも強がって綺麗事書いてて痛々しいとも思いました。
そうしたら、ラスト40ページくらい、主人公と理香との対峙の場面で、ひっくり返りました!
見事なカウンターをくらってグサグサ刺さりました!
そうか、私も「観察者」だったんだ……。
「カッコ悪い姿のままあがくんだ」と断言する理香は、カッコよいなとすら思いました。
また、心に強く響いたのはサワ先輩の言葉
「選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表してるんだと思う」(p204)
「ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ」(P205)
140字の世界に振り回されないようにしないとなあと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ美しく洗練された表紙だと思った。生殖の記。古事記を連想した。重厚な話が展開されるのだろう、と想像して読み始めたら、それは生殖器視点の語りだった。
人間ではない視点でコミカルな語り口。作者はふざけてるのか等と思いつつも、さくさく読み進められ、その中で、いつの間にか、人間の幸せとはなんなのだろう、という真面目な問いに辿り着いた。娯楽としての面白さと、哲学としての興味深さが共存している、斬新な本だと思った。
成長だけが全てではない。仮に生産性がなくたって、平等に扱われなければならない。平等権は基本的人権の内の一つだ。
人間は成長や拡大を目指し過ぎている、という視点と、実は誰もが成長や拡大には限界があることに気づいているが、相互監視の状態で言い出せないだけ、という視点が興味深かった。
成長ができなくても、本人が幸せに生活できる環境を整えられたら理想的だ。しかし、成長しない/生産性の低い人間をほっておいてくれるほど社会は優しくない。
途中、ちょうど他の本でも読んだ、アドラー心理学の話も出てきた。共同体への貢献が幸せにつながる、という話。確かに「貢献できている」という思いは、幸せに繋がるようにも思う。
しかし、これって実は洗脳なんじゃないか、なんて思ったりした。社会に貢献できていることを、褒め、讃え、幸せと感じるように矯正されているのでは、なんて考えた。
また、同性婚への議論も、当事者ではない私は、ついつい「理解が進んで良かったね」等と考えてしまうが、そもそも理解しているしていないに関わらず、これまで不当に扱われていたこと自体がおかしいのだ、という当たり前の主張に、耳が痛かった。
以下、引用。
そもそも同性愛個体同士が婚姻関係を結ぶためにどうして異性愛個体の許可が必要なのでしょう。異性愛個体同士の結婚に同性愛個体は賛成も反対もしていないのに。そんな余地もないのに。
引用終わり。
こちらの主張ももっともだと思う。特権を持っている人間は、それが当たり前になってしまい、自身の特権に気づかない。このことには、自分自身も注意を向けていきたいと思う。
生殖器がしゃべる、という、ギャグ漫画のような設定から、こんなにも考えを深められる物語になるとは思いもしなかった。朝井リョウ氏の他の作品も読んでみたい。