朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代社会の「まだかさぶたになっていない生傷」を、そのまま真空パックして提示するような朝井リョウの恐るべき観察眼。前作『正欲』にも通じる、人間の本質を抉り出す解像度の高さ。本作で解剖されるのは「ファンダム経済」と「推し活」の深淵。
単なる「推し活の肯定」という表層的な着地を許さない凄み。純粋な熱狂が、いつしか狂信や陰謀論へと絡め取られていくドロドロとした過程。そこにあるのは、安易な教訓や解決策の提示ではなく、圧倒的なリアリティを伴う変容の生々しい記録。30代・40代の男性であっても、常に「お前のことだ」と喉元に刃を突きつけられているような、逃げ場のない当事者意識の喚起。
言語化を拒むような複 -
Posted by ブクログ
「推しがいる生活は人生を豊かにする」
今話題の推し活を様々な視点から、仕掛ける運営、負けられないガチオタ、神にもすがりたい狂ったファン、これまで推し活したことある人には真ん中ぶっ刺さる一冊!さすが斜め左上を行く朝井先生です
時代の流れはCDは必要ないのに、推しのため、特典のためと何十枚何百枚と購入
もうデジタルで視聴できるのに、なんでCD商戦は変わらないんでしょうね
サイン会がオンラインでも開催されるようになったのはいまどきですが、山のように届くCDどうしてるんやろ?
売上実績が数字として目に見えるから無くならないのでしょうけど、もうプレーヤーすらあるか疑問の中、CD生産すること事態勿体無 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『結局皆、信じるものが欲しいんだと思います。特に、この社会は生きづらい、自分はこの世界に不当に扱われていると感じる人ほど。』
結婚しなくても幸せなこの時代にーなどと言うフレーズが使われるほど現代はさまざまなコンテンツに溢れている。
孤独や連帯感の欲求に、仕掛ける側が「推し活」と称してつけ込むのだろう。
オンライン上でたくさんの人と繋がっているよりも、現実で1人でも多くの「私服でお茶をする友達」がいる方が真っ当に生きられるのかもしれない。
・小さな声で呟いてみる。すると、まるでキスをしたような形で、唇の動きが止まった。
・小さな声でそう呟いてみる。すると、起こりかけた小さな火を吹き消すよ -
Posted by ブクログ
友達に「絶対共感できるよ」とおすすめされて読み始めた本。
どんな本なのだろう、と興味津々で読み始めたけれど、これほど感情移入し没頭するとは思っていなかった。
日常生活において自分はマジョリティ側だと自覚し、都合良く利用される「多様性」という言葉に嫌気がさしつつも、利用してきた私にグサリと刺さった。
佐々木のセリフである
「いつか何かのきっかけで、これまで築いたものなんて全部壊れるだろう」
というセリフと
夏生の
「地球に留学してるみたいな感覚なんだよね、私」
という言い回しが頭から離れない。
私が抱えていた社会への違和感、形容し難い重苦しい感覚ををこの2人が上手に言葉にして照らしてくれたよ -
Posted by ブクログ
「本の袖の著者紹介で遊ぶのが好き」と、ある媒体で語っていた朝井先生。
真面目に経歴を書く作家が圧倒的に多い中、朝井先生は違う。
「お腹が弱い」、「直木賞を受賞し一瞬で調子に乗る」、「バカ舌」等、代表的な作品名の間にちょいちょい個性を出してくる。
こういう、大真面目にボケる、みたいなノリが、私は好きなのかもしれない。
「モデル(ケース)を体験する」
「黒タイツおじさんと遭遇する」
「旅行を失敗する」
「地獄の500キロバイク」
が好きだった。
「直木賞を受賞しスかしたエッセイを書く」
には、食らった…としか言いようがない。
とにかく読んでみてほしい。