朝井リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウさんの本読むのは3冊目。
面白かったー!!
(正欲、イン・ザ・メガチャーチ、生殖記、どれも濃い、濃い)
尚成程にこの世を恨んじゃいませんが、「生産性」が正義とされる社会で、異性愛者ながらも子供を産んでいない自分は頷けるところもありました。
ただ、幼い頃から同性愛者と自覚して、それを隠しながら生きてきた彼の苦しみとは比べものにならないとは思います。
このまま社会に背を向けて生きていくのかな、、と終盤までかなり不安になりましたが、尚成なりのハッピーエンド(と言えるのか?)を見つけられたようでホッとした。
やっぱり前向きな終わり方だといいですね。
前半は割と同じような話が続くので、読 -
Posted by ブクログ
昔から祖父に連れられ、映画に触れ、
本物にこだわり続ける尚吾と、
島育ちで映画は大学に入るまでほとんど見たことがなく、美しいもの、心動かされるものそのものを映像として残したいと考える鉱。
正反対の2人の主人公が、本物が何なのかわからなくなった、様々な価値観が溢れる現代で自分たちの進む道を探る物語。
矛盾と葛藤。
正解のない世界。
質を求めれば原価が合わなくなり、利益がなくなる
自分の仕事感も問われているような作品だった。
朝井リョウの作品にはまり、読み続けているのですが、読後感がみんな考えさせられる物が多いなあと
じゃあ、私はどうする?と問われているようで
そういうところが好き。
-
Posted by ブクログ
人生観を揺さぶられる小説だった。
登場人物全員の気持ちに共感できるところがあって、所々切なくて、熱量を持ってどんどん狂ってく展開にハラハラしながら一気に読んだ。
今実際にSNSで見る陰謀論の話や現実であった出来事も盛り込まれていて、これはどこまでホントなの?と、すごく面白かった。
「結局誰だって、信じる物語を決めて生きているだけだ。」そうなんだよなー、SDGsだって、環境問題だって、みんな自分の信じる宗教戦争だ。
他者の状況を知らずに生きてこれた時代のほうが幸せだったのかもしれないな。
とりあえず40代の身としては、若い子と友達になることはない(それは若い子が気を遣ってくれているのだ)ことを肝 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」という言葉が象徴的な作品だった。物語の中心人物・澄香は内向的な性格ゆえ、大学でも自分らしく振る舞えず、生きづらさを抱えている。そんな中で、自分と性格や考え方が重なるアイドル・垣花道哉に出会い、次第に狂気的とも言えるほどのめり込んでいく。その結果、周囲との関係は悪化し、父親を騙してまでお金を得ようとしてしまうが、皮肉にも澄香自身は以前より明るく、充実した日々を送っているように見える。この物語を通して、結局「幸せ」とは何なのか、どう生きることが正解なのかを強く考えさせられた。アイドルの運営側が、いかにしてファンの視野を狭め、物語
-
Posted by ブクログ
「推し(推し活)」をテーマにした物語だが、その描写の射程は想像以上に広く、老若男女それぞれの内面が驚くほど高い解像度で描かれている。
人を推すという行為に潜む熱量、依存、承認欲求、そして不安定さを、どれも矮小化せず真正面から描いている点が印象的だった。
誰かを推したことのある読み手ほど、自分の感情や動機を容赦なく照らし返され、少し苦しくなる。
それでも不思議と、その痛みには「気持ちよさ」も伴っていて、読んでいる最中、何度も胸の奥を掴まれるような感覚があった。
重たいテーマを扱いながらも、読後感は意外なほど良い。
感情を揺さぶられたあとに、静かに整理される余韻が残る。
「推す」という行為を -
Posted by ブクログ
2つの視点ですごーく面白かった。
ファンダム経済の危うさというか、人間の視野、視座、視点のお話で、読み終わったけど個人的には何が幸せなんだろうなーっていまだによくわからない。
ちょっと昔にマイルドヤンキーが一番幸せだみたいな話があったけど、基本的に人間って「視野をある程度狭める」ってことが幸福感につながるって話よね。
幼稚園児とか小さい子供がやたら幸せに見えるのは無垢であり、視野が狭いからとも言えるんだろうな。
海外でも先進国よりも発展途上国の人の方が幸せの総量は多そうだなっていつも思うのもそれ。(貧困地域で友達がいて、家族がいて、一緒にご飯を毎日食べて笑っている、これ以上に何が必要なの?幸せ -
Posted by ブクログ
朝井さんの故郷である岐阜への旅のお供に。
朝井さんは時代を風刺した作品を書かれるのが上手い人だなと思っており、なるべく新刊とされているうちに読むことで、内容をより新鮮に感じることが多いなと思っていました。
そのため、約10年前に単行本として発表されたこの作品に対して、懐古的な感想を持つだろうと思っていました。
ところがどっこい、2025年に読んでもとっても新鮮!
AIの進歩が凄まじいここ数年を生きている現代人が感じることを10年前に予見してたのか?
それとも人間は10年前から同じようなことをずっと考えながら今まで生きてきたのか?
というようなことを思いながら読み切りました。
結論、朝井さ -
Posted by ブクログ
人はつい、物事を0か100かで判断し、大きな言葉でまとめてしまう。けれど現実は無数のグラデーションでできていて、本来ひとつとして同じ色はない。その一つひとつと向き合うことこそが、人と関わるということなのだと気づかされた。
それは性的志向に限らない。考え方、趣味、価値観、好き嫌い——あらゆる人間関係に当てはまる。自分もまた、無意識のうちに誰かを決めつけ、その誰かを傷つけているかもしれない。その想像に至ったとき、静かな不安とともに、向き合い方を変えたいという思いが残った。
絶望は、未来を想像できるだけで和らぐことがある。想像力は、苦しい環境の中に留まっているだけでは育たない。環境を変えることで