朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「多様性」って言葉は、どこまでいってもキリがないものだなと思った
「多様性」と「異常」ってどこに境界があるの?
水とか、風船が割れる瞬間に性的感情を抱く人がいる。その人が望んでそうなってるわけじゃなくて、本能的にそう感じてしまうのなら、それはマジョリティが描く性欲とかけ離れているから「異常」なの?
その対象がたまたま児童だと、「多様性」では済まされない犯罪という明確な境界がある。けど、物的証拠だけでは、その人の根本の考えとか感情は置いてけぼりにされちゃうんだよね。
でも、もし私が最後の3人が「児童ポルノ写真所持者」とゆう情報しかなかったら、とてつもない嫌悪感を抱くと思う、多様性でもなんでもないよねこれ。
何が正しくて、どこまでを受け入れるべきなのか、
明確な答えは分からない。ただ、その「分からなさ」そのものを突きつけられたことが、心に残ったことだった。
「多様性を理解する」ということは、全てを肯定したり、理解したりすることではなくて、理解できないものを前にして、それでも簡単に切り捨てず、自分自身の嫌悪感や偏見も含めて考え続けることなのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
ゆとり世代である作家朝井リョウの日々を綴ったエッセイ2冊目。
こんなに尾籠な話を汚くならずにおもしろく記せる作家が、どこの世界におろうか!
「お腹下しスト(=私)」
「快便家(過激派)」
「尿道カテーテル」
など、思い出しても笑ってしまう言葉が並ぶ。
電車でうっかり笑ってしまったのだが、むかいの席に座るサラリーマンに「わかってるよ。おもしろいよね」顔でうんうん頷かれて、なんかもう・・・。
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「本は、言葉とともに、視点を与えてくれる。世界を見つめる視点を増やすことは、今あなたを苦しめている相手を倒す武器にはならないかもしれない。だけど、あなたの心がある一点からの圧力によって押し潰されそうになったとき、目には見えない盾を構築する要素にはなってくれるはずだ」 -
Posted by ブクログ
「冷笑」という言葉。最近、周りの大学生からよく聞く言葉です。しかし、その冷笑という言葉を使っていないだけで自分も同じことをしているというのを認めるのがとても嫌でした。
そんな時、冷笑が如何に陳腐な構造であるかをこの本で以て知りました。ダサいことはしたくない、格好悪い姿であがいている人と距離を置いておくことが正解だと思ってきた僕はこの本を読んでよかったです。読書をすることは「物事を多角的に捉える」訓練だと昔から言われてきていたのに、できていませんでした。
あまつさえ、就活にこれから差し掛かる自分の疑問が、強く響き合ってより深く作品と向き合えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ理香さんによる拓人の「何者」アカウントの種明かしにゾクっと鳥肌が立った。ここに関してはサスペンス・ミステリージャンル要素すら感じる。
拓人の達観した態度や理香さんに指摘された「自分は他とは違う何か(何者か)」と信じたい気持ちにどこか心当たりがあり、夢中で読み進めながらも目を逸らしたくなっていた。他人から評価されることを恐れて、一歩下がったところから世界を眺め、あたかも自分だけが全知全能の神的な存在と信じてたい、そんな弱さが自分にもあると平手打ちを喰らった感覚。
サワ先輩の、投稿文の140文字に選ばれなかったところにその人の「何者」があると言った発言から、自分を含む多くの現代人が、不特定多数(鍵アカなら特定)の人に向かって、選び抜いた単語、文章、表現、絵文字、写真等を巧みに組み合わせて理想(?)の「何者」をSNS上に表出させようとしている。
その「何者」がそのまま受け取られることもあれば、読者によっては妬みや呆れ、怒り等様々な感情を伴って解釈された全く異なる、発信時の狙いからは歪んだ「何者」として受け取られ、自分の「何者」が至る場所、時間、受信者の中で構築されることになる。
今度からインスタ投稿する時は、「この投稿は何者になりたい用の投稿だろう」と一旦確認して投稿ボタンを押すことにしよう。 -
Posted by ブクログ
あえて敬称をつけずに言わせてもらうが、朝井リョウの作品は読んでいて胸が苦しい。
一致しているわけではないが同じ時代を生きてきているからか、社会からの圧力に右往左往し影響を受けまくっている登場人物たちに痛々しいくらい同情してしまう。自分の過去と重なる部分が多い。だから読み進めたくなくなる。
仕事、仕事、仕事の日々は頭の中に全く文章が流れてこなかった。5日間という奇跡のシルバーウィークの後半2日間でようやく読み終えた。精神的に余裕のある時にしか読めない本だ。
生きがい。死にがい。自分は何のために生きているの?なんのために生まれたの?何を残せるの?何も成し遂げてないのに生きていていいの?
自分を見失うたびに、
あいつより劣ってる、あいつのあそこには優れてる。あいつもきっと問題を抱えてるはずだ。人は見せないだけで不幸を抱えてる。
そうやって安心してきた。
でもそれをすればするだけ疲れるだけだ。
じゃあ、人は何を生きがいに生きるのか?
自分のためだけには生きられない私は、誰かのために生きたいし、誰かのありがとうを聞きたくて他人に手を差し伸べる。
人という生き物は難儀だ。
どの世代に生まれても、どの社会に生まれても、誰しもが抱える問題。誰しも繰り返す悩み。この悩みを持っている私は平凡だ。平凡がいい。 -
Posted by ブクログ
本当に求めているものが何か分からない、〝成長、繁栄、拡大〟ばかりを追い求める•••
誰しもが感じたことがあるけど口に出すことはないモヤモヤを、すっきりと言語化してくれている。
会社などの共同体において、そこまで能力がないのに〝やる気がありそう〟なだけでチャンスをもらえたり評価が上がることがある。
数字で見える成果なんてほとんど無いのになぜ評価されるんだろう?と気になっていたけれど、〝共同体の成長と拡大に貢献してくれそうな人材だから〟だったんだと腑に落ちた。
この〝共同体の成長と拡大に貢献してくれそう〟=良いこと というのが生殖の視点から語られていて面白かったし、明確な答えはないけれど非常に考えさせられる本だった。
この本の主人公はどこか朝井さん本人に似ていて、きっと朝井さん自身が同じような葛藤を抱えたことがあったのだろう。