朝井リョウのレビュー一覧
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謙遜もなく、虚勢もなく、20代という年代の疑問なり、葛藤なりを素直に描いていると思った。
学生とは違う、社会人として20年過ごしてきた人とも違う、これからどのようにでも選択できる危うさと自由を持つこの年代の不安げで挑戦的な行動と考えがすごくみずみずしく、まぶしい。
読むのは2度目なのだが、何歳の時に読むと共感できるのか、感動できるのか、嫌な気持ちになるのかは人それぞれだと思うけれど、私は今読んで好きな話と、なんとなく気持ちが沈む話は入れ替わっているような気がした。
何様!何様?といつの間にか経験を積んだと思っていた、人生の荒波を乗り越えてきたと思っていたけれど、それはとても危うくて、自分勝 -
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ネタバレ気になったところからつまみ読み。
三浦透子さんのエッセイ、これは時を置いてまた読みたい。
私も、”自分の倫理観を育てる努力”を見習って実行しよう。
また、三浦さんがいつか振りがざすかもしれない大きな刀とやらを見てみたい、そんな気もしている。
最近、短歌を読み始めた。
千早茜さんのエッセイ中にある日記を読みながら、この感覚短歌になりそう、と思う箇所についつい付箋を貼った。
歌を沢山読みたくなった時、まずは日記を認めてみる、その中からこの感覚忘れたくないと思う場面を短歌にしていく。
旅に出たら、やってみよう。
掌編とはなんぞや、それも知らずに読んだ方丈貴恵さんの「落書き」。
うん、掌編を知ら -
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ネタバレ私はYouTubeを拠点に活動するバーチャル配信者…VTuberだ。
そして同命者(≒私の中の人)は、まがりなりにも、とある別の創作活動をしている。
そんな同命者は、自身もむかしは尚吾のような考えを持っていた……。
そのことを、思い出させられたみたいだ。
「歴史に名を残したい。
一流のものに触れるべき。
クリエイターたるものストイックたるべき。」……。
ただ、大人になった今、作中尚吾に覚えていたのは、ある種の同族嫌悪だったのかもしれない。
あるいは嫉妬だったのだろうか。
その教えをまさしく実行し、実現せんとする一人の青年に対しての。
同命者は、その「べき」を頭の中で盲信しつつ、実行で -
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ネタバレ読み終わった後に、もう一度序盤のページを開いて読み直した。
p22の雄介のセリフ
「小さなころからずっとずっと一緒で、二人でいろんなことを助け合ってきたのに、あの瞬間だけ、助けることができなかったんです。二十年間の中で、あの一瞬だけ、俺はどうすることもできなかったんです。そのことがずっとずっと許せなくて…こいつの人生が止まった瞬間に何もできなかったから、せめて、こいつの人生がもう一度始まる瞬間には、絶対に立ち会いたいって、そう思ったんです」
この言葉の背景を知ってしまった今、もちろん素直には受け止められない。
自分本位過ぎるほどの裏面を知ってしまった今、
ここに純粋な友情は見えない。
オンリ -
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ネタバレ自分の好きな作品について、どうかその作者が作りたいものを作れていて、それによって生活も満足に成り立っていると良いと思う。
ただ現実はきっと作りたいものを作っているだけじゃない。
プロとして生活のために制作を選ぶことは、自分の好きなことだけをやれるわけではない。
安定したクオリティ。予算内での模索。定められた期間。
何よりも、売り上げ。
需要を満たし、経済活動となること。
それによって自分が生活していけるということ。
主人公の尚吾と紘は、共作映画で受賞してから方や伝統的な監督路線へ、方やSNS中心のファストコンテンツの方向へと向かっていった。
前者は裏打ちされた信頼があるものの多様化する社会