朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
就活が終わったので読みました。というのも知り合いの先輩に「就活が終わるまでこれは読まない方が良い」と言われたためです。(笑) それを聞いて何となく察しはつくものでしたが、それを上回ってくるのが朝井リョウの作品。人間の嫌な部分、汚い部分など事細かに繊細に書き上げてくるわけですからまぁ就活を終えて、気持ちの余裕が出来たので読書を決行。
前置き長くなりましたが、まぁ上手いなと。というのも主に登場人物は8人にも満たない?のですが、この少人数の性格を上手く使い分け就活というイベント内で人間関係はもちろんの事、それにまつわる尊敬、畏怖、嫉妬。それがなぜ起こるかというと自己分析をする人間に直面する自分という人間が「何者」であるのか分からないから。こういったジレンマを、丁寧にかつそういう場面にするこの作品は確かに就活中には読むことをオススメしませんね。(笑)
何かに似てるなと思うのは大学受験だと僕は思います。コンプレックスから来る嫉妬、それに伴い発生する学歴厨的な存在。僕も就活しながら多少なりとは考えてみたものですが、いざ作品としてこの朝井リョウが書き上げるとここまですごみや解像度を高く書き上げられるものなのだと感服しました。 -
Posted by ブクログ
ついに『ゆとり』三部作を読み終えてしまいました!
3作目になっても、マンネリとか勢い衰えるとか全くありません。
むしろ一番好きかも?
特に「腹と修羅」が最高でした!
あの宮沢賢治の名作をもじったタイトルからしてもう面白い。
「精神的スタンプラリーin北米」もお気に入りの私は、結局こういう話に爆笑するんだなと思いました。
それにしても、朝井さんの言葉のチョイス・言い換えの絶妙さに毎度感心させられます。
バレーボールというスポーツを「バレーボール」という言葉を使わずに表現すると、こんなに身も蓋もない感じになるんだな、とか、エッグスンシングスの別名、確かにその通り!とか。
愉快なエピソードだけでなく、魅力あふれる楽しい文章をたっぷり堪能しました。
辛い時や元気が足りない時には、繰り返し読みたいシリーズ、ナンバーワンです。
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Posted by ブクログ
心の葛藤とか、かっこいい言葉ではなくて、腹黒さ、ズルさ、情けなさ、恥、イタい、劣等感、のような、心の奥にしまって蓋をしておきたくなるような気持ちを取り出して分解して手に取って眺めるような事を主人公たちがしているのを読んでつい、自分も同じことをして、はぁぁ〜となってしまう。
「何者」や「どうしても生きてる」や、朝井リョウさんの作品で何回かそれをしてみて、分かっていながら今回も笑
私はアラフォーなので「まぁみんなそんなもん」とも思えるけれど、そういえば19歳ぐらいの時はもっとナイーブで、一つ一つしっかりダメージをくらっていたなぁと思った。
はぁぁ〜となりながらも、希望の光が一粒、あるところがよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレえぐい小説だった。と思った。
ここまで踏み込んだテーマを扱えるのか。
しかも書き方が普通に上手い。ただそれだけでは人気になりきれない。
この小説が人気であることは、これが時代にとても即しているからというのがひとつの大きな要因だと思う。これを受け入れる人が増えているという時代の変化を感じる。
佳道、夏月、大也たちに感情移入させられる。
そして後半になるにつれ八重子がおめでたくて正義感に浮かされているやつだと思ってしまう。
そうやって印象の高低もコントロールされていたと思う。けれど八重子の人生では八重子が正しいんだと思う。というか、手の上で転がされるように主人公たちを正しい、八重子は浅はかだと思わされるのが癪なだけかもしれない。
人は皆違う。
では、その人の個性、生まれ、そして欲は、どこからは「正」しくて、どこからは「犯罪」なんでしょうか。
社会に「犯罪」だと線を引かれた人は、どうやって生きていき、どうやってその欲を解消すればいいんでしょうか。
多様性、ジェンダー論という言葉を聞くようになった時代で色々な存在がrevealされてきた。そうした人たちと現行の法律の折り合いの悪さ……いや、恐らく昔からその時代に生きていた全ての人が納得できる善悪の定規や法律など無かったはずで、それは時代やメインな価値観が変われば後から悪かったことにされたり可哀想だったことにされたりする(隠れキリシタンや、戦時に平和を願った人など)。
授業で一度だけ聞いたことがあった。
小児性愛者が、自分の欲を叶えるのは社会的にいけないことだから、必死に抑えていて苦しいのだというインタビュー。
でも多分そのインタビューは多くの人は知らなくて、ネットでは「ぺド」と略され絶対的な悪とされている。
でも、そう呼んでいる人たちは、自分が時代の価値観に合わない側になった時にどうするんでしょうか。
そして呼ばれている人は、それを正しいと信じているのか、それとも社会の側と同じく悪だと「把握」しているのか。それを考えたことはあるのでしょうか。
私は幸い大学で触れたことのあるテーマが多少絡んでいたけれど、このような題材と出会いが無かった人が呼んだらショッキングかもしれないね。
追記
「マイノリティの中でもマイノリティ」が主人公だったけど、「マイノリティの中でもマジョリティ」の人だって世界を恨んだり苦しかったりしてるよ。と思ったけど、それは八重子が終盤で似たようなこと言ってたわ。あれは八重子がヘイトキャラで終わらないためだけでなくそういう読者からの非難への予防線だったんだろうか……というメタ推察。 -
Posted by ブクログ
誰もが「あの人こそスターだ」と認める存在がスターだった時代から、誰しもがスターになれる時代へ。本書はそんな今を生きる二人の若者を描いている。
主人公の尚吾は、細部へのこだわりを大切にし、長い時間をかけて作品を仕上げ、対価を払った人にだけ届ける映画の世界へ。一方の紘は、生産から消費までのサイクルが速く、瞬く間に拡散されていくYouTubeやネット配信の世界へ。それぞれの道を進みながらも、互いを羨み、もがき、葛藤し、自分が本当に成し遂げたいことを模索していく二人の姿に、深く心を動かされた。
主人公以外の人物の言葉にも、まるで今の自分に向けられているかのような、はっとさせられるものがあった。30代を目前にした今、自分の生き方を見つめ直すきっかけになった。
また、夜空の星が実際には星型をしていないように、現代のスターのあり方も、誰もが思い描く形とは限らない。星を用いたこの表現も秀逸だと感じた。
何を大事にするのか。誰の姿を思って行動するのか。それを考えながら、自分が何を成し遂げたいのかを見つけていきたいと思う。 -
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何かを創る仕事をしているひとには刺さるはず。
特に私はSNSで活動しているので、刺さり、えぐられ、八つ裂きにされ、最終的に転生した。
細部に神が宿ると信じ、質を求め続ける尚吾。
自分の感覚を信じ、センスを磨き続ける絋。
大学生の2人が共同監督で作った映画は、映画通の中では名の知れた賞を獲る。
その後、
尚吾は有名映画監督に弟子入りし、
絋は小さなボクシングジムのYouTube動画作成を手伝い始める。
映画界では、高品質なものを提供できる一方で、時間がかかる上に、有料だから拡散されにくく見てもらうハードルも高い。
YouTube界では、無料で拡散されやすい一方、消費されるスピードもはやく、そのペースに合わせて生産するため質の担保が難しい。
単に映画とYouTubeの比較だけではない。
質とは何か、価値とは何か、時代で変わったものは何かを問う話。
質が良いとは言えないコンテンツを毎日SNSにあげつづけ、
ただ続けてきたという事実と、
それに応じて増えたフォロワーの数だけで評価されている気がしていた。
自分は何もすごくないはずなのに、
ないものをまるである様に見られている気がしてならなかった。
続けられる事が才能?
そんなの才能じゃない。
みんな毎日歯磨きして、顔洗って仕事行ったり家事したりしてるだろ。
私はそんなものではなく、偽物が通用しない世界でも輝ける唯一無二の才能が欲しかったんだと思う。
読み終わった今も、私は新しい道標を見つけられていない。
だけど、差し出すものには自信を持てる自分でいたい。
と思った。