朝井リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『何者』を読んでまず感じたのは、これは就職活動を描いた青春小説ではなく、「自分は何者なのか」を誰よりも他人の目によって確かめようとする人間の弱さを描いた作品だということだった。
物語は、就職活動を控えた大学生たちが情報交換を目的に集まり、互いに励まし合いながら未来へ向かって進んでいくところから始まる。それぞれが夢や理想を語り、面接やエントリーシートに向き合う姿は、ごくありふれた学生生活の一場面に見える。しかし、その穏やかな空気の裏では、SNSで見せる自分、本音を隠した会話、他人への嫉妬や劣等感が静かに積み重なり、人間関係は少しずつ歪み始める。物語が進むにつれ、就職活動そのものよりも、その過程 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物凄く考えさせられる内容で読み応えもあり、面白かった。
一見、どこかの普通の家族•大学生•若手社会人の物語が描かれている中で、社会で一般化されている性欲、その中に秘めているそれぞれの正欲が語られている。
最初の事件の描写から、この物語はどの様に終着するのか分からなかったが、展開に驚かされると共に読後は考えさせられるものがある。
人によって、正しさや欲は違う。それを分かろうとしても分かってもらえない。共有しないほうが楽だけど、誰かと分かり合えることで繋がりや生きる意義を見出せることもある。ただそれを多様性という形で、分かった様な姿勢もまた誰かを傷つける。かと言って、塞ぎ込まずにそれぞれの正しさを -
Posted by ブクログ
『正欲』を読み終えてまず感じたのは、これは「多様性」を描いた小説ではなく、「理解できないものと、私たちはどう向き合うのか」を描いた小説だということだった。
読み始めた頃は、それぞれ別々の人生を歩む登場人物たちが描かれる群像劇という印象だった。検事、不登校の中学生、大学生、シングルマザー。一見すると何の接点もない人たちの物語が淡々と進んでいく。しかし読み進めるにつれて、それぞれが「普通」という価値観に苦しみ、自分を隠しながら生きていることが少しずつ見えてくる。そして終盤、それまでバラバラだった物語が一本につながった瞬間、この作品が本当に描きたかったものがようやく理解できた。
印象的だったのは -
Posted by ブクログ
とても面白かった。性欲と正欲の話。
朝井リョウワールド全開で、今回はマイノリティとマジョリティの対比、程度による苦しさを描いている
マジョリティ=正しいとは限らないのは前提だが、常識を疑わないと寄り添えない人々がいるかもしれないと考えさせられた。到底理解できない価値観や性的嗜好を持って生まれた人間の葛藤や彼らの世界の生きづらさと、世間的には正しい側の人間の持つ価値観や正義感が描かれており、自分もどちらにも転ぶ可能性がある話だと思った。あらゆる事に否定や疑いから入るのでは無く、理解や受け入れの姿勢を保ちたいと思ったと同時に、それすら傲慢なのでは無いかと感じた。