柳田國男作品一覧

  • 遠野怪談
    -
    令和版遠野物語! 民俗学の金字塔『遠野物語』に記された怪異は、現代の遠野でも日々起きている!?  民俗の故郷・岩手県遠野市に伝わる怖くて不思議な体験談を現地在住の気鋭が綴る 欠ノ上稲荷のご利益と恐ろしい神罰 神が棲まう聖なる早池峰山 遠野市立博物館に出没する人ならぬ子ども 訪問者にとり憑く鍋倉城跡の赤い女 仙人峠道路を彷徨う事故車の霊 伝承園オシラ堂に潜む黒い影 異界へ通ず! 土淵町柏崎に出現する光る山道 市役所、早池峰山、商店街… 市内各所で耳にする招待不明の鈴のような怪音 又一の滝で耳にした、生者を求める山の神の危険な呼び声 悪霊が蠢き訪れる者にとり憑く花巻の某ダム 柳田国男の『遠野物語』の舞台・岩手県遠野市――この地に暮らす著者が聞き集めた現代の怪奇譚集。 ・観光地・伝承園内のオシラ堂で目撃された真っ黒い影の正体「伝承園」 ・早地峰山付近で聞こえる謎の声。耳を貸してはならない理由とは…「雪山トレッキング」 ・多くの人で賑わう市立博物館に現れる謎の子ども「博物館奇譚」 ・霊験あらたかな神社が仇なす者に牙を?くとき戦慄の神罰が下る「欠ノ上稲荷のご利益」 ・人ならざる霊の仕業か…日常に差し込まれた怪異を綴る八話「モンコ」 ∸―など収録。この地には今も不可思議な怪異が息づいている…
  • 水木しげるの遠野物語
    完結
    3.7
    妖怪コミックの聖典誕生。遠野物語を水木氏が漫画化! ザシキワラシ、河童、鬼……岩手県遠野市の厳しい自然の中で、人々の想像力が生み出した妖怪たちが、今動き始める!柳田國男氏の名著『遠野物語』は、100年前のベストセラーにして日本民俗学の原点ともなった名著です。これを水木しげる氏がコミック化。格調高い文語体で書かれた原書の魅力を、水木氏ならではの想像力・描写力で完全にビジュアル化し、新たな魅力を作りあげています。ザワザワと心騒ぐ、日本の風土から生まれた怪異の世界。さらに『遠野物語』と『水木しげるの遠野物語』、百年を隔てたこのふたつの本を生み出す母胎・揺籃となった遠野地方の、現在まで残る豊穣な風土をレポートするコラム「2010年遠野の風景」も併録。
  • 忘れられた日本人
    4.3
    柳田国男・渋沢敬三の指導下に、生涯旅する人として、日本各地の民間伝承を克明に調査した著者(一九〇七―八一)が、文字を持つ人々の作る歴史から忘れ去られた日本人の暮しを掘り起し、「民話」を生み出し伝承する共同体の有様を愛情深く描きだす。「土佐源氏」「女の世間」等十三篇からなる宮本民俗学の代表作。 (解説 網野善彦)

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  • 一つ目の諏訪大明神
    -
    1巻2,090円 (税込)
    いよいよ来年は七年に一度の御柱祭!  諏訪神社の総本社である諏訪大社は古くから謎の多い神社だ。 縄文遺跡に囲まれ、精霊信仰を取り込んだ独自のミシャグチ信仰や 狩猟の神、軍神、風の神という多様な貌を持つ諏訪明神……。 神仏分離政策にとって破壊されたと言われる 普賢菩薩騎象像の片目の姿の元々の形が、一つ目の神であったとの 仮説で展開する古代史と大社と仏教の関係を通して 諏訪氏の源流に迫る労作。 【目次】 まえがき 第一部  一つ目の諏訪大明神 第一章  神仏習合時代の諏訪神 第一節  仏法紹隆寺 第二節  普賢菩薩騎象 第三節  普賢菩薩勧発品 第四節  明治の神仏分離 第五節  一つ目の諏訪神を推理する 第二章  葛井池の片目の魚伝説 第一節  葛井の清池 第二節  手長足長の神 第三節  ダイダラボッチ 第三章  神が目を傷つける話 第一節  柳田國男氏の一目小僧 第二節  眇眼で跋者の山の神 第三節  貝塚茂樹の古代中国の山の神 第四章  柳田國男の一目小僧の結論 第一節  諏訪社の人身供犠 第二節  諏訪の御柱 第三節  南宮とタタラの押立柱 第四節  美濃国の南宮 第五節  伊賀一の宮、敢国神社 第六節  浜南宮 第五章  金屋子神 第一節  金屋子神とタタラ製鉄 第二節  金屋子神祭文 第三節  死の忌みを嫌わない金屋子神 第四節  諏訪明神と金屋子神の一致点 第五節  金屋子神と蚩尤 第六章  天目一箇神と鉄鐸 第一節  鉄鐸の鳴る音は御左口の声 第二節  多度大社と伊勢平氏 第三節  銅鐸と鉄鐸 第四節  薙 鎌 第五節  風の祝 第六節  諏訪神は蛇体の風神 第七章  ミシャグチとフルの争いの話 第一節  守屋山は諏訪神社の神体山か 第二節  先代旧事本紀の語る物部氏の伝承 第三節  御霊信仰と守屋 第四節  高句麗朱蒙と沸流国王 第五節  百済の建国神話とフル 第六節  新羅昔脱解と瓠公の争い 第七節  ミシャグチを追跡する 第八節  昔脱解伝説の考察 第九節  海童と八幡信仰 第十節  銅剣文化の担い手、安曇・物部氏 第十一節 御衣着祝誕生をめぐって 第十二節 諏訪神社祭政体試論 第二部  新天皇に寄り添ふ       一目一足の鍛冶妖怪 第一節  夜通し行われる秘儀 第二節  折口信夫説と天皇霊 第三節  大和平定の剣フツノミタマ 第四節  一目一足の鍛冶神 第五節  天皇霊について 第三部  仏教と諏訪大社 第一章  源平合戦と諏訪武士 第一節  諏訪神社の武士化 第二節  源平合戦 第三節  旭将軍木曾義仲 第四節  鎌倉幕府と諏訪神社 第五節  承久の乱と諏訪盛重 第二章  上社と仏教 第一節  上社神宮寺、年中行事 第三節  上社本宮の社殿配置 ほか 第三章  下社と仏教 第一節  諏訪盛澄 第二節  金利満貞 第三節  武田氏の下社堂塔の再興計画 第四節  千手堂・三重塔の再建 第五節  下社神宮寺案内 第六節  社僧も出仕した下社の行事 第七節  常楽会と瑜祇経秘文奉納
  • いまこそ知りたい日本の思想家25人
    3.0
    現代日本を支えている、日本思想の礎となった25人について概説。日本思想史を俯瞰できる入門書。 1 日本思想の黎明期 空海 道元 親鸞 吉田兼好 世阿弥 2 日本の近世の葛藤 山本常朝 荻生徂徠 本居宣長 安藤昌益 二宮尊徳 3 日本の近代の幕開け 横井小楠 吉田松陰 福沢諭吉 新渡戸稲造 内村鑑三 4 「日本哲学」の始まり 西周 西田幾多郎 九鬼周造 三木清 和辻哲郎 5 世界における日本思想の独自性 北一輝 鈴木大拙 柳田國男 丸山眞男 吉本隆明
  • 北神伝綺 上
    完結
    4.4
    【電子版巻末特典:紙版未掲載イラスト収録】昭和の大学者、柳田國男が完成させた学問、民俗学。その民俗学が科学となるために捨てねばならなかった異端の部分を受け継いだ影の民俗学者・兵頭北神が紡ぐ、闇のフィールドノート!!
  • 言葉の周圏分布考(インターナショナル新書)
    4.0
    テレビ番組『探偵! ナイトスクープ』の全国アホ・バカ調査で示した分布図で、方言が京都を中心に何重もの円を描いていることを見せ、言語学会を驚かせた著者。その後1991年、膨大な私費を投じて全国1208市町村からのアンケート回答を集計、数多くの言葉の分布図を作成した。本書では50数枚の方言分布図を丹念に読み解き、日本語の伝播の歴史と背景にあるストーリーを面白く興味深く描き出す。身近な「どっさり」や「醤油」などの分布図を、方言にまつわるエピソードとともに解説。なかでも源氏物語での「戻る」に注目し、その変遷を史料を駆使してどこまでも深掘りし、古代に遡り波照間島まで旅する論考は圧巻。また、周圏分布の原点に立ち返り、柳田國男が『蝸牛考』でとなえた方言周圏論について検証する。謎解きの強烈な助っ人、「小竹探偵」とのやりとりも楽しい。『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)、『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)につづく第3弾!
  • 民間信仰
    4.0
    河童・濡れ女子のごとき魔物、疫病をつかさどるハヤリ神、人に憑く姿の見えない妖怪ノツゴ、門松・松飾りを焼く正月行事や初田植・穂掛け祝いのような農耕年中行事など―日本の民衆生活に沈殿している信仰の数々。その正体は何なのか、どのような構造で意識の底に堆積しているのか。本書は、柳田國男門下の宗教民俗学者が、日本人の宗教生活に分け入った明快な書である。高度成長期以前の暮らしのなかに多彩な怪異と信仰が蠢いている姿を活写し、日本人の精神的伝統へと踏み込んで、長く読み継がれてきた一冊。
  • 新訂 妖怪談義
    3.3
    柳田国男が、日本の各地を渡り歩き見聞した怪異伝承を集め、編纂した妖怪入門書。現代の妖怪研究の第一人者・小松和彦氏が最新の研究成果を活かし、原典に当たり、詳細な注と解説を入れた決定版。
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    4.2
    現在の岩手県遠野市は、以前は山にかこまれた山間隔絶の小天地だった。民間伝承の宝庫でもあった遠野郷で聞き集め、整理した数々の物語集。日本民俗学に多大な影響を与えた名作。
  • 絶対読むべき日本の民話 遠野物語
    -
    1巻330円 (税込)
    連綿と語り継がれた民話・説話から古きよき時代の日本を感じよう 岩手県出身の小説家・民話蒐集家である佐々木喜善によって語られた遠野地方にまつわる民話を、日本民俗学の開拓者で本書の著者・柳田国男が筆記・編纂し自費出版した名著。数多くの著作を残している柳田国男の初期の代表作のひとつ。全119話からなり、雪女やカッパ、山姥、サシキワラシなどの妖怪も本書には登場しています。日本の民俗学に大きな影響を与えた本作をじっくり味わえば、新たな発見がきっとあるはずです。 地勢 神の始 里の神  カクラサマ  ゴンゲサマ 家の神  オクナイサマ  オシラサマ  ザシキワラシ 山の神 神女 天狗 山男 山女 山の霊異 仙人堂 蝦夷の跡 塚と森と 姥神 館の址 昔の人 家のさま 家の盛衰  マヨイガ 前兆 魂の行方 まぼろし 雪女 川童 猿の経立 猿 狼 熊 狐 色々の鳥 花 小正月の行事 雨風祭 昔々 歌謡
  • 先祖の話
    5.0
    人は死ねば子孫の供養や祀りをうけて祖霊へと昇華し、山々から家の繁栄を見守り、盆や正月にのみ交流する――膨大な民俗伝承の研究をもとに、日本人の霊魂観や死生観を見いだす。戦下で書かれた晩年の傑作。
  • 一目小僧その他
    4.0
    日本全国に広く伝承されている「一目小僧」「橋姫」「物言う魚」「ダイダラ坊」などの伝説を蒐集・整理し、丹念に分析。広く伝わる伝説とそれらに対する人々の信仰を辿り、日本人の精神構造を読み解く論考集。
  • 神隠し・隠れ里 柳田国男傑作選
    3.2
    自らを神隠しに遭いやすい気質と定義したロマン主義者であり、一方で、社会を冷徹に見通し、たとえば普通選挙の実現を目指すなど変革者でもあった柳田。30もの論考から、その双極性を見通すアンソロジー。
  • 日本の祭
    3.6
    古来伝承されてきた神事である祭りの歴史を「祭りから祭礼へ」「物忌みと精進」「参詣と参拝」等に分類し解説。近代日本が置き去りにしてきた日本の伝統的な信仰生活を、民俗学の立場から次代を担う若者に説く。
  • 山の人生
    4.0
    山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、山の神の嫁入りや神隠しなどの怪奇談、「天狗」や「山男」などにまつわる人々の宗教生活などを、実地をもって精細に例証し、透徹した視点で綴る柳田民俗学の代表作。
  • 日本の昔話
    3.0
    『藁しび長者』『狐の恩返し』など日本各地に伝わる昔話106篇をやさしく美しい日本語で綴った名著。「むかしむかしあるところに――」からはじまる誰もが聞きなれた昔話の世界に日本人の心の原風景が見えてくる。
  • 毎日の言葉
    3.6
    普段遣いの言葉の成り立ちや変遷を、豊富な知識と多くの方言を引き合いに出しながら語る。「なんにでも『お』を付ける風習」「二言目にはスミマセンという」など、今でも興味深く役立つ内容。
  • カドカワ・ミニッツブック カタログ
    無料あり
    1.0
    日本人の可読文字数は1分間で約400字から600字だと言われています。カドカワ・ミニッツブックでは1分間=600字で読了時間を算出し、表紙に明記しました。通勤通学の電車、ちょっとした待ち時間に30分前後で読めることを考え、コンパクトに編集しました。アニメ、テクノロジー、IT、サイエンス、ゲーム、マーケティング、ジャズ、サブカル、ライフハック、お金、マナー、フィギュアスケート、健康、歴史、文豪など、KADOKAWAの多彩なジャンルのミニッツブックを130冊(2014年6月4日現在)収録。スマホやタブレット(PCでも)で気軽に読めて、満足のある読後感お届けします。 青嶋ひろの/阿部新助/井沢元彦/石戸奈々子/氏家祥美/江口晋太朗/遠藤文康/大江千里/大友啓史/大原ケイ/岡田光信/花京院えり/鹿島茂/角川アスキー総合研究所/株式会社アストロアーツ/川上量生/京極夏彦/倉西誠一/KREVA/剣持高史/後藤正文/五味常明/柴門ふみ/三枝龍生/坂巻匡彦/櫻田潤/嶋浩一郎/白土謙二/菅野薫/瀬戸内寂聴/高崎卓馬/田川ミユ/武鑓行雄/田中章義/田村大/東京ゴールデン商会/ドミニク・チェン/中山智/永井一史/永井孝尚/夏野剛/七尾功/並河進/ニコニコ学会β実行委員会/浜村弘一/林信行/樋口景一/福島治/富士山を世界遺産にする国民会議/別冊カドカワ編集部/堀江貴文/本多真/松浦茂樹/松尾スズキ/MIKAWAYA21/宮島賢也/宮本拓海/モーリー・ロバートソン/ヤシマノブユキ/柳田國男/山崎俊輔/湯山玲子/吉田尚記/RucKyGAMES/渡部潤一
  • 赤星鉄馬 消えた富豪
    4.5
    武器商人として活躍した父から受け継いだ莫大な資産を惜しみなくつぎこみ、日本初の学術財団「啓明会」を設立し、柳田国男ら錚々たる学者の研究を支援。アメリカからブラックバスを移入し釣りの世界で名を馳せ、弟たちと日本のゴルフ草創期を牽引。樺山愛輔や吉田茂をはじめとする華麗なる人脈を持ちながら、ほとんど何も残さずに世を去った実業家、赤星鉄馬。評伝に書かれることを注意深く避けたかのようにさえ見える、その謎に満ちた一生を追った本格ノンフィクション。
  • あやかしの國
    -
    日本には妖怪がいる。古くから深い森や山、人の力の及ばない自然や理解し難い現象を人々は畏怖し、妖怪の存在を信じてきた。時に恐ろしく、時にユーモラスに語られるそれらと共にこの地に暮らしてきたのである。 奈良時代に書かれた書物では妖怪という言葉は、人知を超えた怪奇現象そのものを表していた。その後、それらは姿形を持ち、長く生きた動物や古い道具が変化したものが加わってゆく。後者は九十九神とも呼ばれ自然崇拝、精霊崇拝といった日本人の精神や信仰の原点と重なるようにも思える。だからこそ日本人にとって妖怪は身近な存在であり続けているのだろう。 また今も妖怪を愛する多くの専門家たちがその姿を伝えている。古くは「鳥山石燕」(1712年~1788年)などが多くの妖怪画を残しているが、現代においては特に「水木しげる」の描く妖怪画が、誰もが知る妖怪の姿であろう。それ以外にも様々な小説、映像作品で妖怪は描かれ続けている。 そして、口伝で伝えられていた各地の伝承を消えてゆく前に、記録として残そうとしたのが民族学者「柳田國男」であった。本書では彼の記した「妖怪談義」に記された妖怪を中心に、江戸時代以降の古い文献や巨匠「水木しげる」によって記された妖怪たちを厳選して紹介していく。近年の映像作品におけるそれぞれの妖怪たちの活躍も紹介するので併せて楽しんでいただけたら嬉しい。
  • 生きることばへ 余命宣告されたら何を読みますか?
    -
    1巻1,760円 (税込)
    《人は普段、いつもの平穏な日常が続くことを疑わない。だから思いも寄らない病や命の危険に突然直面すると、未来への不安、死への恐怖が避けようもなく広がる。そこで人の生、そして死は、どう見えてくるだろう。その問いに正面から向き合った文化人らの作品を読み解きながら、生きるための希望を探りたい。》本文より 特別寄稿 窪島誠一郎 解説 黒川創 【登場する主な書物】 正岡子規『病牀六尺』、中江兆民『一年有半』、高見順『死の淵より』、原民喜『夏の花』、保阪正康『「特攻」と日本人』、島尾敏雄・吉田満『特攻体験と戦後』、石牟礼道子『苦海浄土』、鶴見和子『遺言』、真木悠介『時間の比較社会学』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、柳田国男『遠野物語』、奥野修司『魂でいいから、そばにいて』、若松英輔『魂にふれる』、石内都『ひろしま』、フランクル『夜と霧』、目取真俊『水滴』、大城立裕『カクテル・パーティー』、大田昌秀『沖縄 鉄血勤皇隊』、岡本太郎『沖縄文化論』、吉村昭『関東大震災』、津村節子『紅梅』、西部邁『西部邁 自死について』、北条民雄『いのちの初夜』、ソンタグ『隠喩としての病い』、小田実『「難死」の思想』、小林秀雄『ドストエフスキイの生活』ほか
  • いま蘇る柳田國男の農政改革(新潮選書)
    4.0
    かつて農商務省の官僚だった柳田國男は日本の農業の弱点を見抜き、改善策を次々打ち出した。が、その思いは時の体制に葬られ、志を継ぐ後輩たちも、やがて忘れさられた。国際競争力はおろか、高い関税で命脈を保たれる今日の農業。近現代を貫いて横たわる農政の病とは何か? 柳田が見出した希望の策を現代に蘇らせる。
  • 妹の力
    3.5
    かつて女性には神秘の力があるとされ、祭祀を取り仕切り、信仰の対象にもなっていた。女性に託されていたものとはなにか。全国の民間伝承や神話などを丹念に検証し、担っていた役割を明らかにする。
  • 妹の力
    -
    かつて女性は固有の神秘の力をもつものとみなされ、祭祀をつかさどり、信仰の対象にもなってきた。柳田国男は民俗学の方法を縦横に駆使して、そうした時代の女性に託されていたさまざまな役割を明らかにする。「妹の力」「玉依彦(たまよりひこ)の問題」「玉依姫(たまよりひめ)考」「雷神信仰の変遷」「日を招く話」「松王健児(まつおうこんでい)の物語」「人柱と松浦佐用媛(まつうらさよひめ)」「老女化石譚」「念仏水由来」「うつぼ舟の話」「小野於通(おつう)」「稗田阿礼(ひえだのあれ)」からなる。

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  • 美しい日本人
    -
    現在の日本と日本人を見つめ直す 明治以来、日本には数多くの、無私の人、潔い人、天晴れな人――、ひと言で言うなら「美しい日本人」がいました。 そうした人々の生き方を知ると、そうそう、日本人ってこうだったんだよなあとしみじみ胸に迫るものがあります。歴史に名を残さないまでも、こうした日本人は市井にたくさんいたはずです。 ましてや、殖財と私利私欲に走る人たちのニュースが連日のように報じられる昨今だからこそ、そんな“偉人”たちの片鱗に触れれば、痛快な思いがしたり考え直したりするのではないでしょうか。 “偉人”の人生は、我が身を映す鏡でもあるのです。 本書では、かつて『文藝春秋』で記事になった数百人の人物のなかから、“美しく生きた日本人”73人を厳選しました。 たとえば、政官界からは鈴木貫太郎、白洲次郎、土光敏夫……、国際社会からは緒方貞子、杉原千畝、植村直己、盛田昭夫……、実業界からは本田宗一郎、星一、井深大……、文化からは小津安二郎、城山三郎、淀川長治、兼高かおる……、学問からは柳田國男、白川静、牧野富太郎……、芸能からは高峰秀子、渥美清、坂本九……と多岐の分野にひろがっています。ときにその恩恵は、現在の私たちにも及んでいます。文芸や芸能であれば、大多数の国民がその恩恵を享受していることでしょう。 本書が読者諸兄の人生と思考にとって、良き一助になれば幸いです。
  • 江戸の思想闘争
    3.0
    死んだらどうなるのか。「鬼神(霊魂)」は存在するのか、しないのか。「社会秩序」はいかにして生まれるのか。「道」をめぐる、儒家と国学者による「国儒論争」とは何だったのか。伊藤仁斎、荻生徂徠、太宰春台、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤ほか、近代社会の根本問題に果敢に挑んだ思想家たちの闘争を考察。「死」と「贈与」の言説への、思想史と社会学のアプローチによって江戸の思想を展望する、挑戦的な試み。 序章  贈与で読み解く江戸思想 第一章 死んだらどうなるのか ――本居宣長と死後の問い 第二章 言葉と文字─ 自言語認識と『古事記』の再発見 第三章 他者問題 ―― 「漢意」とイデオロギー批判 第四章 翻訳問題 ―― 荻生徂徠の言語観 第五章 「日常」の発見 ―― 伊藤仁斎と「道」の言説 第六章 二つの秩序問題 ―― 荻生徂徠の社会理論  第七章 「文化」の起源論争 ―― 太宰春台と賀茂真淵 第八章 論争の展開 ―― 本居宣長と「道」の言説 第九章 贈与の逆転 ―― 本居宣長から平田篤胤へ 第十章 死者の人情 ―― 平田篤胤の死後観 第十一章 死後の審判と生命の贈与 ―― 平田篤胤と「幽世」の誕生  終章 鬼神論の近代的展開 ―― 柳田国男と和辻哲郎
  • NHK「100分de名著」ブックス 柳田国男 遠野物語
    3.6
    1巻880円 (税込)
    山の神、里の神、家の神をはじめ、天狗、山男、山女、河童、幽霊などの話が百十九話収められた『遠野物語』。牧歌的な昔話としてイメージされる一方、そこには、現実世界を生きる人間たちの「負の遺産」ともいうべき姿が活写されていた。自然について、神様について、人間の生死について、かつての日本人は何を感じて生きてきたのか――。古層の記憶をたどりながら、私たち現代人の未来について考える。「100分de名著」ブックス書下ろし特別章として「世界の中の『遠野物語』」を収載。
  • 大江健三郎の「義」
    5.0
    謎だらけのポストモダン小説の先駆『同時代ゲーム』はなぜ書かれたのか。自伝的要素の強い『懐かしい年への手紙』に登場するギー兄さん、『燃えあがる緑の木』の新しいギー兄さんは、なぜ「ギー」なのか。大江健三郎の全小説を精読し、柳田国男の影響を確信した著者は、大江と柳田の深い関係を探っていく。しかし、大江の謎は柳田のみならず、『万延元年のフットボール』と島崎藤村『夜明け前』との類似点へと行き着き、いつしか不思議な親和性を持つ文学者のつながりは平田篤胤へと辿りつく。これまで海外文学の影響下において読み解かれてきた大江健三郎文学に、深く根を下ろした日本文学の伝統とは一体何か。大江研究の第一人者が読み解く、知的好奇心に満ちた快著!
  • 沖縄の文化―美術工芸の周辺から―
    -
    沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第4弾。 東京出身である著者・渡名喜明氏が、公平な目で外から、中から見つめた「沖縄の文化」。本書には、芭蕉布や紅型といった沖縄好きなら若者たちも知っている題材も登場することで、いわゆる「美術品」「工芸品」への知識に浅い読者でも読み進めていくことができる「沖縄文化論」である。  本書の初版が発行されて26年。下記の作品紹介文が記された時代から、さらに多くの各分野の専門家達が、「沖縄の文化」について議論を交わしてきた。著者がかつて柳宗悦の論理から沖縄の美術工芸、文化を検証していったように、現在は本書をもとに展開する議論もあるだろう。沖縄返還から40年。沖縄の歴史上、かつての大和と最も同化している現代において、もう一度「沖縄の文化」、本当の美について考えさせられる電子復刻版。 「「沖縄の文化」の特質は何か。各時代、各分野の人々がこの問いに答えんとしてきた。古くは羽地朝秀、近代に入って伊波普猷、柳田国男、柳宗悦、戦後は岡本太郎。そして沖縄に関わる多くの学者、作家、文化人がこの問題に何らかの発言を続けている。本書も、特に美術工芸の分野からこの課題に迫らんとするものである。柳宗悦の論理を<今>という時代に、沖縄の<内側>から検証しつつ、物の作り手・使い手のいきざまや民俗に気を配り、一方で、中国・日本本土からの文化伝播とその受容の形まで問おうとする本書は、従来の「沖縄文化論」あるいは「沖縄の美」論とは一味違った涼味を添えてくれるはずである。(1986年初版発行時の作品紹介文より)」
  • お葬式の言葉と風習 柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典
    4.0
    かつて日本では自宅で葬式をし、野辺送りで火葬場や埋葬地に向かい、火葬や土葬をするのが普通だった。本書は柳田國男『葬送習俗語彙』(昭和12年刊)に出てくる言葉の中から約180を選び、著者自身の聞き取り調査を盛り込みながら切り絵とともに解説。各地の葬送習俗に使われる言葉は隠語が多く、何を指すのか分からない。その言葉を解き明かしながら伝統的な葬送の風習を見つめ直す。著者自身による切り絵も不思議な魅力。
  • おもしろ方言47都道府県まるわかり~小学生のミカタ~
    -
    【ご注意】※この電子書籍は紙の本のイメージで作成されており、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 方言のこと、これ1冊で全てがわかる! おなじみ「ことば探偵・佐栗新吾」が今回はアイドルをプロデュース!? 47都道府県から集まったアイドル「HGN47(ハイパー・ガールズ・ネクスト47)」をトップスターにのし上げるべく大奮闘! でも、方言の違いで仲間うちのコミュニケーションも難しいアイドルの卵たち。先輩芸能人たちのアドバイスを受けて、どのような成長物語が見られるのか…。本書では、楽しい漫画もまじえて、同じ意味だけど地域によって違う方言、方言の歴史・全国での区分について、さらには、あの柳田国男「蝸牛考」まで易しく解説。アイドルたちが出会う先輩芸能人たちには、お国ことば自慢を徹底取材! また、全国に散らばる、方言ネーミングの商品名&社名などを一挙に紹介! 方言クイズもあって、これ1冊を読めば、方言のすべてがバッチリわかる! ※この作品はカラーが含まれます。 (底本 2023年4月発売作品)
  • 海上の道
    3.0
    日本民族の祖先たちは、どのような経路をたどってこの列島に移り住んだのか。表題作のほか、海や琉球にまつわる論考8篇を収載。大胆ともいえる仮説を展開する、柳田国男最晩年の名著。
  • 怪談前後 柳田民俗学と自然主義
    -
    明治四〇年前後の「怪談の時代」を同時代として生きながら、「それぞれの自然主義」のあり方として民俗学と私小説を立ち上げた柳田國男と田山花袋。「自然主義」をめぐる「怪談の時代」の顛末を描き出す。
  • 海南小記
    -
    大正9年、柳田は九州から沖縄諸島を巡り歩く。日本民俗学における沖縄の重要性、日本文化論における南島研究の意義をはじめて明らかにし、最晩年の名著『海上の道』へと続く思索の端緒となった紀行文。
  • 海南小記
    -
    著者は大正九年、九州東海岸から沖縄の島々の果てまで足をのばし、そこに行なわれる数多くの民俗を比較対照してみる機会を得た。「本書のごときは、いたって小さな咏嘆の記録にすぎない。もしその中に少しの学問があるとすれば、それは幸いにして世を同じうする島々の篤学者の、暗示と感化とに出(い)でたものばかりである」…著者はこう謙虚に述べると同時に、日本の民俗学の開眼を高らかにうたいあげた。『雪国の春』とならぶ柳田国男の生涯をかけた学問の出発点。

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  • 角川ソフィア文庫目録2020
    無料あり
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 角川ソフィア文庫は、創業以来の伝統を受け継ぐ総合教養文庫レーベルとして、古典・歴史・詩歌・思想・自然科学など様々な分野の名著を刊行してまいりました。〈仏教の思想〉シリーズ、中学生からやさしく読める古典入門〈ビギナーズ・クラシックス〉、日本民俗学の父の代表作を精選した〈柳田国男コレクション〉、和のビジュアル文庫〈ジャパノロジー・コレクション〉、松岡正剛が読書の深奥を明かす〈千夜千冊エディション〉など、バラエティ豊かな作品やシリーズをそろえています。 ※掲載されているタイトルは2019年9月現在

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  • 神々の闘争 折口信夫論
    -
    折口学成立の起源と秘密に迫る本格的論考! 柳田國男と折口信夫の対立の根源を台湾の「蛮族調査報告」を初めて読み解きながら明らかにし折口学の世界的普遍性を論じる力作。「群像」新人文学賞優秀作収録。
  • 合本 考えるヒント(1)~(4)【文春e-Books】
    -
    【考えるヒント】「良心」について、「平家物語」、「花見」…。さりげない語り口で始まるエッセイは、思いもかけない発想と徹底した思索で、読者を刺激し新たな発見を与える。永遠に読み継がれるべき名著。【考えるヒント2】「私の書くものは随筆で、文字通り筆に随うまでの事で、物を書く前に、計画的に考えてみるという事を、私は、殆どした事がない。筆を動かしてみないと、考えは浮ばぬし、進展もしない…」と述べる著者が、展開した深い思索の過程が本書。もはや古典ともいえる歴史的名著の第二弾。 【考えるヒント3】戦後の混乱する思想界に衝撃を与えた「私の人生観」、柳田国男が目指した学問世界の意義を正確に読み解き、現代知識人の盲点を鋭くついた「信ずることと知ること」ほかの講演を収録、話し言葉による新しい批評表現の可能性を示した画期的な書。「知の巨人」の思索がたどり着いた到達点を示すシリーズ第三弾。 【考えるヒント4】文学史上の奇蹟と言われ、「途方もない歩行者」と評されるフランスの詩人アルチュール・ランボオ、日本の現代詩を語る上で忘れ得ぬ抒情詩人・中原中也。ランボオがこの著者にあたえた啓示が詩人の言葉を再生させ、また、中原と特異な交流を持ったうえでの洞察がいきいきと描かれる。詩人二人との関わり合いから生まれた著者若き日の凜然たるエッセイに、ランボオ詩作品の訳業の一部を収めた魅力的編集の「考えるヒント」シリーズ第四弾。
  • 京極夏彦講演集 「おばけ」と「ことば」のあやしいはなし
    4.6
    日本各地に言い伝えられる「妖怪」から江戸・明治期の絵師・河鍋暁斎、 「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるまで令和版「妖怪談義」。 「水木しげる作品」がウケ続けているわけは? 柳田國男が『遠野物語』で描いた「河童」「山人」… 「幽霊」「妖怪」「おばけ」の怖さ 「私は京極だが、京極は私でない」のはなぜか? 目次 はじめに 第一談 世界の半分は書物の中にある 第二談 水木“妖怪”は何でできているか 第三談 水木漫画と日本の“妖怪”文化 第四談 「怪しい」「妖しい」「あやしい」話 第五談 柳田國男と『遠野物語』の話 第六談 河鍋暁斎はやはり画鬼である 第七談 幽霊は怖いのだろうか? 第八談 「ことば」と「おばけ」との関係 第九談 日本語と“妖怪”のおはなし
  • 近代の超克 現代日本のエッセイ
    -
    近・現代をいかに超えるか? 著者の代表的エッセイ――〈前近代的なものを否定的な媒介として近代を超える〉……著者の生涯を貫ぬいて実践された主題に添って書かれた「柳田国男について」は、柳田国男の現代的な再発見を促がし、フォークロアや口承文芸、〈近代〉から排除されたB級文化話芸などが、教養主義的価値観から解放され陽の目を見た。活字中心の価値観に、根柢的改変を迫った、衝撃的エッセイ。
  • 漁民の世界 「海洋性」で見る日本
    3.0
    日本人の中には「海」がある。なぜ田植えのときにイワシを食べるのか。山村でも神事の供え物には海の魚を使うのか。日本文化の基層としての海洋性。村落共同体ともノマドとも異なる漁民たちの「ゆるやかな定住」。知られざる海の生活から見えてくる「もう一つの日本」。柳田国男以来の硬直した日本観の見直しを迫る画期的論考。(講談社選書メチエ)
  • ケガレの起源と銅鐸 射日・招日神話で解く日本文化
    -
    独自の研究に基づく画期的新説により、日本文化史の新たな時代が拓かれる。 古代史最大の謎とされる銅鐸、日本精神文化の底流を貫くケガレ観。両者を結びつけるのは岩戸神話、その源としての射日・招日神話であった。列島の歴史に深く浸透する神話を紐解くことで、餅やカラスの民俗、大嘗祭などの謎も明らかに。 独自の研究に基づく画期的新説により、日本文化史の新たな時代が拓かれる。 【目次】 はじめに 序 章 第一章 銅鐸 埋められた太陽 第二章 烏勧請の意味とその目的 第三章 餅はケガレの象徴 第四章 境界と銅鐸 第五章 天岩屋戸神話とケガレ忌避観念の発生 終 章 柳田国男と網野善彦が提起した疑問について 資料編 銅鐸はどこに埋めたか 附 編 あとがき 【著者】 木村 成生 木村 成生(きむら・しげお) 1953年1月生まれ。 民俗研究家。元・古書店店主。『散歩の手帖』編集発行人。 古書店を営むかたわら、長年にわたり歴史・民俗について独自に研究。 2000年より個人誌『散歩の手帖』を発行。野鳥観察の記録・随筆から始まったが、24号より「銅鐸」「烏勧請」などに関する研究成果を発表した。個人誌は30号で休刊となったが、その後も民俗に関する研究を続けている。
  • 月と不死
    -
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。

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  • 現代版 妖怪絵巻・あやかし図録
    -
    本書は既刊「あやかしの國」の改訂版である。しかし「ただの改訂版では面白くない」と、大幅に追加要素を加えた。まずは全妖怪の「描き起こしのイラスト」を追加した。これが「あやかし図録」のタイトルのゆえんである。妖怪の数も新たに増やした上で、時に恐ろしく、時にユーモラスな妖怪達の姿を独自の解釈も加えて全てイラストで紹介している。 また、妖怪といえば「水木しげる」なしでは語れないと、各妖怪の「ゲゲゲの鬼太郎」における活躍も新たに紹介している。独自の解釈も含め様々な妖怪像を楽しんでいただけると嬉しい。 -------------------------------------------------------- 日本には妖怪がいる。古くから深い森や山、人の力の及ばない自然や理解し難い現象を人々は畏怖し、妖怪の存在を信じてきた。時に恐ろしく、時にユーモラスに語られるそれらと共にこの地に暮らしてきたのである。 奈良時代に書かれた書物では妖怪という言葉は、人知を超えた怪奇現象そのものを表していた。その後、それらは姿形を持ち、長く生きた動物や古い道具が変化したものが加わってゆく。後者は付喪神つくもがみとも呼ばれ自然崇拝、精霊崇拝といった日本人の精神や信仰の原点と重なるようにも思える。だからこそ日本人にとって妖怪は身近な存在であり続けているのだろう。 また今も妖怪を愛する多くの専門家たちがその姿を伝えている。古くは「鳥山石燕」(1712年~1788年)などが多くの妖怪画を残しているが、現代においては特に「水木しげる」の描く妖怪画が、誰もが知る妖怪の姿であろう。それ以外にも様々な小説、映像作品で妖怪は描かれ続けている。 そして、口伝で伝えられていた各地の伝承を消えてゆく前に、記録として残そうとしたのが民族学者「柳田國男」であった。 既刊「あやかしの國」では彼の記した「妖怪談義」に記された妖怪を中心に、江戸時代以降の古い文献や巨匠「水木しげる」によって記された妖怪たちを紹介している。本書ではそれらに新たに多くの妖怪を加えた。それぞれの妖怪たちの本来の伝承、イラスト、近年の映像作品での活躍、さらに「ゲゲゲの鬼太郎」での活躍と様々な角度から妖怪を知ることができる補強版となっている。
  • 恋する民俗学者1 柳田國男編
    -
    近隣の家の書庫の書物を読み漁る幼い國男。上京後も学校にも通わぬ弟を見兼ねた兄の引き合わせで森鴎外に会い、文学を知る――。故郷に残す幼なじみと、叶わぬ秘めた恋、そして生涯の盟友・田山花袋との出会いを描く。
  • 恋する民俗学者(1)
    3.0
    柳田國男の知られざる人生を中心に、明治期の若き文豪たちの交友関係を描き出す……。いかにして、一人の青年が文豪たちと肩を並べて語り合い、さらに民俗学者としての道を歩むことになったのか……。
  • 皇国史観
    3.7
    幕末維新から令和の代替わりまで 歴史と天皇をめぐる「思想の戦い」が始まる! なぜ徳川御三家から尊皇思想が生れたのか? 「衆」と「番」の論理で幕末維新を読み解く タテの儒学、ヨコの国学 大日本帝国憲法 伊藤博文と井上毅の“暗闘” 南北朝正閏問題・天皇機関説事件は「大衆の反逆」だった? 昭和天皇への御進講・平泉澄の挫折 柳田国男VS.折口信夫 相克する天皇像 「網野史観」が天皇像をリニューアルした? 近代天皇制の枠組みが壊れた日 ほか 迫り来る外からの危機 「国のかたち」はどうなる?
  • 口語訳 遠野物語
    4.1
    百年の月日を越え、語り継がれ読み続けられている不朽の名作『遠野物語』。柳田国男が言い伝えを採集し流麗な文語でまとめた原文を、今日の読者にわかりやすく味わい深い口語文に。大意をそこなわずに、会話を遠野方言であらわしながら再構成していく冒険的な試み。丁寧な注釈も付す。原典への橋渡しとして。
  • 故郷七十年
    4.0
    創立60周年を迎えるにあたって神戸新聞社は、兵庫県出身で82歳の柳田國男に回顧談を求めた。柳田はこれを快諾、25回にわたって聞き書きがおこなわれ、200回にわたる連載記事「故郷七十年」に結実した。一回の談話は3時間、長いときで5時間に及んだという。本書は近代日本の知識人の自己形成の物語、明治文学史の重要な一部、民俗学の誕生を語るもの。数ある自伝、回顧録のなかの白眉を文庫本でお届けする。
  • 故郷喪失の時代
    -
    1巻2,200円 (税込)
    忘れられない人、場所がある。 あの日以来、ずっとフクシマのことを考えてきた――。 日本を離れ、長らくドイツで教鞭をとってきた著者の脳裏に去来する言葉がある。 石牟礼道子、井上光晴、大江健三郎、柄谷行人、小林秀雄、島崎藤村、谷川雁、寺山修司、中上健次、中野重治、萩原朔太郎、水上勉、柳田国男、横光利一、保田興重郎、李恢成、若山牧水……。 自らの過去から近現代へと、深い哀しみとともに綴られる思索の旅。 【目次から】 序章 フクシマ以後を考える 第一章 故郷という概念 第二章 懐かしさの演出 第三章 離郷と望郷 第四章 故郷はどのようにして失われたか 第五章 水上勉の故郷 第六章 故郷という共同幻想 終章 周縁と故郷の文学
  • 古事記とは何か 稗田阿礼はかく語りき
    3.0
    日本最古の歴史書と言われる古事記。そこには1300年にわたって日本人に受け継がれてきた叡智の結晶が詰まっていた! 天照大御神や須佐之男命といった、誰もが一度は耳にしたことのある神話や伝説は、どのようにして生まれたのか。本居宣長や柳田國男らによる、これまでの研究を取り上げながら、古事記の成り立ちと魅力を、物語形式でやさしく解説する究極の一冊。これで古事記の全てがわかる!
  • コモンズとしての日本近代文学
    5.0
    重たい文学全集はいらない。 日本近代文学は、いまや誰でも今ここでアクセスできる我々の共有財産(コモンズ)である。そこにはまだまだ見知らぬ隠されている。日英仏の文化とITに精通する著者が、独自に編んだ文学全集から、今の時代に必要な「未来を作る言葉」を探し出し、読書することの本質をあらためて問う。 【目次】 はじめに 文芸オープンソース宣言 寺田 寅彦『どんぐり』 織り込まれる時間 夏目 漱石『夢十夜』 夢をいきる時間 柳田 国男『遠野物語』 死者への戦慄 石川 啄木『一握の砂』 喜びの香り   南方 熊楠『神社合祀に関する意見』 神々と生命のエコロジー 泉 鏡花 『海神別荘』 夢と現実の往還 和辻 哲郎『古寺巡礼』 結晶する風土 小川未明『赤いろうそくと人魚』 死者と生きるための童話 宮沢 賢治『インドラの網』 インドラとインターネットの未来 内藤 湖南『大阪の町人学者富永仲基』 アップデートされる宗教 三遊亭 円朝『落語の濫觴』 落語の未来 梶井基次郎『桜の樹の下には』 ポスト・ヒューマンの死生観 岡倉 天心『茶の本』 東西翻訳奇譚 九鬼 周造『「いき」の構造』 永遠と無限の閾 林 芙美子『清貧の書』 世界への信頼を回復する 谷崎潤一郎『陰鬱礼賛』 闇のウェルビーイング 岡本 かの子『家霊』 呼応しあう『いのち』 他
  • これを語りて日本人を戦慄せしめよ―柳田国男が言いたかったこと―
    -
    明治末刊行の代表作『遠野物語』に続き、『山の人生』では、さらに山間部の壮絶な人間苦が描かれた。近代を謳歌する当時にあって、柳田は文明から隔てられた過酷な人生に目を向け、そして晩年の『海上の道』では日本文化の根源を大胆に語った。その半生を俯瞰し、新しい学問・民俗学を通した日本人へのメッセージを探る。
  • 婚姻の話
    3.5
    人はどうやって結婚相手を見つけ,子をなすのか? 既成の学問が問うてこなかった婚姻習俗の歴史と意味を,柳田国男(1875-1962)は積極的に論じた.「嫁入」ではなく「聟入」が婚姻の主流であったこと,娘宿・若者宿の結婚相手の選択や性教育の場としての機能,家における主婦の権威など.本書は,婚姻における個人の自由が保障された戦後直後,今後の結婚問題を考えるために提示された味わい深い読み物である.(解説=上野千鶴子)

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  • 根源的構想力の論理
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 経験と思想の基礎としての感覚は、その置き換え難い重みをもって、世界の根底にふれ鍛えあげられてソリッドな感覚となる。こうした感覚の根底にはたらく構想力、すなわち「感覚する力」としての根源的構想力の論理を解明する。非在(根源的に現前しえないもの)の根源的現前はいかにして可能か。純粋無垢の煌きは可能か。根源的構想力のはたらきは、純粋記憶の底からなされる、非在のものの反復・再現前化である。まず、直接性切断としての「祭り」と「仮面」そして「言語」が、そこを横切る超越的他者の痕跡と人格のアルケオロジーとして考察され、つづいて「根源的構想力の機動性の深い場」としての詩歌・絵画・彫刻の分析をとおして、そこに生起する命のかたちと永遠のフォルムが明らかにされる。 【目次より】 凡例 第一章 根源的構想力の論理 第一節 三木清の「構想力の論理」 第二節 構想力、その「非在のものの反復」 第三節 根源的構想力あるいは感覚する力 第四節 セザンヌのモティーフ 第二章 「仮構機能」としての構想力 第一節 構想力がめざすもの 第二節 仮構機能 第三節 構想力と身体図式 第四節 「形」の論理 第三章 表象をよぎるもの 柳田國男と折口信夫 第一節 戦慄せしめるもの 第二節 仮面の論理 第三節 祭りの構造 第四節 「まれびと」の他界性 第四章 仮面の不在 近代ヒューマニズムの陥穽 第一節 都市化現象の本質 第二節 直接性という神 第三節 仮面と人格 第五章 言語ゲームのかなた 言語の外部あるいは理性の他者 第一節 越境する知 第二節 直接性切断としての言語能力 第三節 言語ゲームが示すもの 第六章 感覚・経験・思想ー森有正論 第一節 もう―つの西洋体験あるいは「荷風的」 第二節 「日本人とその経験」 森有正の日本文化論 第三節 森有正の純粋感覚論 第七章 命のかたち 西行の思想 第一節 西行的なるもの 第二節 心なき身 第三節 無常と数寄 注 あとがき 参考文献 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 細谷 昌志 1943年生まれ。哲学者、大阪大学名誉教授。大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒業。京都大学大学院宗教学専攻博士課程(文学博士)。 著書に、『文化の深淵としての宗教 宗教的作用論序説』『カント表象と構想力』『田辺哲学と京都学派 認識と生』『根源的構想力の論理』など。
  • ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか
    4.3
    若くして才能を発揮しながら、29歳で夭逝した童話作家・新美南吉。代表作「ごん狐」は、50年以上にわたって小学4年生の国語教科書に採用され、読み継がれているが、その今日的な視点については見過ごされてきた。 コミュニティが果たす役割、生態系の保護や自然との共生、民俗知の継承といった課題が見直されるなか、南吉の描く世界は、現代社会に多くの示唆を与えてくれる。 遺された童話群を柳田国男、宮本常一ら民俗学者が掘り起こしてきたフォークロアの世界と比較するなど、作品に潜む思想性を読みなおし、今の時代を生き抜くヒントを見出していく画期的な試み。
  • 三栄ムック 古事記を旅する神話彷徨
    値引き
    -
    国生みから天孫降臨、推古天皇まで 神話の歴史旅へ 著者略歴 はじめに 『古事記』のなかの神話 目次 第一章 日本の神と天皇を知る  神話の起源『古事記』とは何か  イザナキとイザナミ夫婦の始まりと国生み  天から追放されるスサノオアマテラスとの対峙  オオクニヌシの国造り妨害する兄弟の神々  天孫降臨最初の地は日向  海幸彦と山幸彦の兄弟喧嘩をおさめたトヨタマヒメ  桃太郎伝説を生んだ神武東征  関東から九州まで東奔西走ヤマトタケル  神話と史実の狭間に登場する『古事記』のなかの天皇  天皇家に受け継がれる秘宝三種の神器 第二章 全国の神話の舞台を訪ねて  三貴子の神々が宿る伊勢・熊野  神々の存在を身近に感じる国で「始まりの世界」を逍遥する出雲神話  コラム1 絵図と遺跡が物語る【古代の出雲大社】 コラム2 八百万の神々が出雲に集まる【神在月】  天孫降臨の霊山から黒潮の海へアマテラスから日向三代へ日向神話  コラム3 神の里に伝わる民族文化【高千穂夜神楽】  初代天皇即位の地で神武東征の道筋を辿るヤマト神話 コラム4 神の鎮座する山【三輪山】  日本発祥の地オノコロ島を往く国生み神話  コラム5 ヒルコ神の鎮魂劇【淡路人形浄瑠璃】  数え切れないほど生活に密着した存在八百万の神々  神霊に近しい存在として登場する『古事記』の中の動物  古代人の食生活をうかがい知る『古事記』の中の食べ物 第三章 民話の世界を覗く  神々が住む理想郷と人間との出会い神話と民話  今もこの地に伝わり残る遠野民話と民間信仰  岩手の山麓で聞いた口頭伝承柳田國男と、『遠野物語』の足跡 おわりに ゆかりの地に今なお息づく神話 奥付 裏表紙

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  • 山怪実話大全 岳人奇談傑作選
    3.4
    大好評、大人気「山怪」本、黒本。 登山者、山岳人により実話として語られた山の怪談・物語の名作の数々を欺界の雄、東雅夫氏が厳選集成! 山の裏側を垣間見る未曾有のアンソロジー。 <目次> 「不思議な山」夢枕獏 「山の怪談」深田久彌 「焚火をかきたててからの話」上田哲農 「木曾御岳の人魂たち」西丸震哉 「谷底の絃歌」大泉黒石 「山で見る幻影」下平廣惠 「夢」串田孫一 「山のおばけ座談会」山高クラブ 「黒沢小僧の話」務台理作 「奥会津檜枝岐怪異譚」石川純一郎 「雪女」関野準一郎 「山の神の怒」田中貢太郎 「木曾の怪物」岡本綺堂 「炭焼の話」岡本綺堂 「山村民俗随談」柳田國男 ほか、全26話
  • 座談の思想
    -
    話し言葉の豊かさや情緒によって、座談はときに著作よりも雄弁にその人の思想の本質をあらわす。座談の場で、相手の発言に誘発され生じる着想や反発、沈黙――その一瞬に、文章にはあらわれない思想の幅や誠実さが浮かび上がる。桑原武夫、柳田国男、丸山眞男らの膨大な対話を掘り起こし、近代日本思想史を捉え直す画期的評論。
  • 死者と先祖の話
    3.0
    都市化や延命長寿化がすすみ、人々と宗教との関わり方、寺院や墓のあり方が激変する時代、死を棚上げしたまま、無葬無墓・寺院消滅・脱宗教等の社会現象だけが肥大化してきている。日本人は死をどのように受け止めて、死者はどう供養され、先祖たちはどのように祀られてきたのか。そしていま、みずからや家族の死を、私たちはどのような形で迎えたらよいのか――。柳田国男『先祖の話』と折口信夫『死者の書』という、戦時下に著された二つの書をてがかりに、鎮魂・供養・往生・看取り等から、日本古来の信仰や死生観を見つめ直す。 第一章 戦後と東北 第二章 英霊と鎮魂 第三章 供養と骨 第四章 折口と柳田 第五章 往生と看取り 第六章 死と生
  • 死と向き合う言葉
    3.0
    悔いなく死ぬためには、 死をどう考えればよいのか? 「死とは何か」 あの哲学者や思想家、宗教家や文学者は死をどう考えてきたのか。 今こそ「死に方」と「生き方」を先賢たちの死生観から学ぶ。 当代一の知識人と文学者が、古今東西の名著を紐解き、死の本質を語り尽くした書。 「呉智英先生は、語りに語ってくださった。まるで、思いついたことは全て今ここで言っておきたいのだというように。その中には、ここで呉先生が語らなければ、もしかしたら永遠に忘れ去られてしまうかもしれないというようなレアな話もある。だから、読者の中には、死の議論の筋道を見失う方や、これではまるで読書案内本のようだと感じる方もおられるに違いない。でもそれこそが、最終章で私たちの考察が辿り着いたことなのである。生きて死を見つめ続ける力を支えるのも言葉、死んでしまうという有限性の克服となるのも言葉であった。この本は呉先生が、末期の言葉のように、遺言のように、辞世の句のようにして語られた言葉を記したものである。 そしてそれは、先生と私が互いに老いを実感するようになったから、今後の生き方と死に方をじっくり語り合ってみようという企画が立ちあがった頃には、全く予想もできなかった事態へと世界が変容し、否応なく、より鋭利な思考へと向わざるを得ない差し迫った死の議論となったのである。」(「あとがき――遺される言葉 加藤博子」より抜粋) まえがき 死、この不条理なもの 呉智英 第一章 「死への問い」を問う 第二章 物語で描かれる死 第三章 死後に継ぐもの 第四章 捨身 第五章 霊魂のつらなり あとがき――遺される言葉 加藤博子 【先賢たちの死生観】 カミュ、サン=テグジュペリ、ミヒャエル・エンデ、ニーチェ、ドストエフスキー、釈迦、孔子、荘子、イエス、平塚らいてう、宮澤賢治、ユヴァル・ノア・ハラリ、柳田國男、ノヴァーリス、小泉八雲、上田秋成、折口信夫、深沢七郎、ハイデガー、三島由紀夫、手塚治虫、水木しげる、宮崎駿、江藤淳、西部邁、ポー、大竹晋、岡崎次郎、本居宣長、荻生徂徠、沖田×華、カズオ・イシグロ、木下恵介、ゲーテ、小林秀雄、シェリー・ケーガン、親鸞、シュタイナー、平敦盛、高山彦九郎、谷川健一、谷崎潤一郎、つげ義春、橋田壽賀子、福沢諭吉、プレスリー、フランクル、法然、正宗白鳥、マルクス、ヤスパース、山折哲雄、ユング、オスカー・ワイルド、ビアズリーetc.
  • 社会学を学ぶ
    3.3
    社会学とはどういう学問か。また、社会学を学ぶ理由は何か。これらはそのまま、「社会」とは何かという問いにつながる。本書では、著者自身の経験に即しながら、パーソンズの行為理論、マルクスの物象化論、レヴィ=ストロースらの構造主義、フーコーの言説分析、ルーマン/ボードリヤールのシステム論、柳田国男の習俗の思考、ベンヤミンのパサージュ論などを通して、これらの問いに答えてゆく。社会学の本質に迫る、渾身の入門書。
  • 社会をつくれなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門
    -
    ツイッターやフェイスブックなどのSNSは普及したがユーザーが語るのは「私」だ。なぜ日本ではソーシャルが浸透しないのか。本当の意味でのソーシャル実現を目指した柳田國男の思考から、その要因と解決策を探る。
  • シャーマニズムの文化学 : 日本文化の隠れた水脈 [改訂版]
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 陰陽道・呪術・神楽・易い・霊学など、「シャーマニズム」とも呼ばれる、死者や異界と交信するための“知”と“技”の体系を、聖徳太子や安倍晴明、異界遍歴の物語、さらに柳田国男や宮沢賢治など近現代の作家に探求し、日本文化の多様性を再発見する。今回、シャーマニズムの視点から「日本神話」を読む章を追補。

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  • 宗教の深層 ──聖なるものへの衝動
    3.0
    科学的世界観の浸透によって、近代人は聖なるものの喪失という不自然な生を強いられている。世俗化する時代にあって、救済はいかにして可能となるのだろうか。本居宣長や夏目漱石、柳田國男などの作品と人生に近代における求道の跡をたどり、聖性を希求してやまない人間の宗教意識の根源に迫る。
  • 生老病死
    -
    超少子高齢化がすすみ、新奇なモラルや価値観がひろがるデジタル社会。そんな文明の十字路に、突如として得体の知れない新型コロナの禍が襲ってきた。 私たちはどこへ向かうのか。いま見直すべき「日本」とは何なのか。 谷崎潤一郎、正岡子規、柳田國男、西田幾多郎、鈴木大拙からハイデガー、レヴィ=ストロース、カズオ・イシグロ等まで、先達の思想と足跡に解決の糸口をさぐる。 生き恥をさらすか、晩節を汚すか――日本を代表する宗教研究者が、みずからの心身に向き合いつつ、「その時」へと向かう日々のなかで綴る、円熟のエッセイ。絶筆さえ予感させる驚きをもって結ばれた好評新聞連載、待望の書籍化!
  • 昭和の思想家67人
    5.0
    「昭和」が終わり二十年が経とうとしている。その六十余年の歴史には、目まぐるしい思想変遷があった。戦前―戦後という大きな断絶、六〇年安保、七〇年大学闘争、オイルショック、ポストモダン、バブル経済……。時代意識の転換はいかに起き、作家や学者たちはどのような発言をしたのか。マルクス主義の人間学を樹立しようとした三木清、大衆の肉体主義を批判した丸山真男、大衆の自立こそが変革の出発点だとした吉本隆明をはじめ、芥川龍之介、柳田国男、福田恆存、三島由紀夫など、彼らの功罪を含めて果敢に批評。ベトナム戦争をめぐって開高健をやり玉にあげた吉本隆明や、丸谷才一の「国家論」に噛み付いた江藤淳などのエピソードも印象深い。また、八〇年代以降、西部邁や小室直樹、浅田彰が登場してきた必然性を考察。司馬遼太郎、長谷川慶太郎といった思想家の範疇におさまらない人物が登場するのも斬新である。豊饒な昭和思想史を総括した記念碑的労作。

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  • 新釈遠野物語
    4.0
    東京の或る交響楽団の主席トランペット奏者だったという犬伏太吉老人は、現在、岩手県は遠野山中の岩屋に住まっており、入学したばかりの大学を休学して、遠野近在の国立療養所でアルバイトをしている“ぼく”に、腹の皮がよじれるほど奇天烈な話を語ってきかせた……。“遠野”に限りない愛着を寄せる鬼才が、柳田国男の名著『遠野物語』の世界に挑戦する、現代の怪異譚9話。
  • 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」
    4.5
    事大主義とは、強者に追随して保身を図る態度である。国民性や民族性を示す言葉として、日本や朝鮮、沖縄で使われてきた。本書は、福沢諭吉、陸奥宗光、柳田国男、朴正熙、金日成、司馬遼太郎などの政治家や知識人を事大主義の観点で論じ、時代の変遷を描く。日本への「島国根性」という批判や、沖縄への差別意識はどこに由来するのか。韓国と北朝鮮の相剋の背景は何か。自虐と侮蔑が交錯した東アジアの歴史が浮き彫りに。
  • 【19冊 合本版】柳田国男コレクション
    -
    ◆『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』 日本の民俗学の原点を知る必読の物語。 ◆『雪国の春 柳田国男が歩いた東北』 柳田国男が歩いた東北から日本を考える。 ◆『新訂 妖怪談義』 妖怪研究の端緒となった書。小松和彦氏の校注付の決定版。 ◆『一目小僧その他』 およそこの世の中に「人」ほど不思議なものはない。 ◆『山の人生』 山の神秘、人々の悲劇を辿った代表作! ◆『海上の道』 日本民俗学の巨人が著した最晩年の名著! ◆『日本の昔話』 日本人の心の原風景がよみがえる昔話106篇。 ◆『日本の伝説』 各地に語り継がれた伝説を紐解く。 ◆『日本の祭』 祭のルーツを民俗学から解き明かす。 ◆『毎日の言葉』 語り部の口を経て伝えられてきた、力強く美しい日本語を味わう。 ◆『先祖の話』 あの世とこの世を行き来する先祖と家の繋がりを明らかにする。 ◆『海南小記』 柳田の南島研究の原点。 ◆『火の昔』 火の発展を辿れば人類の生活史が見えてくる! ◆『妹の力』 なぜ女性が祭礼を取り仕切っていたのか。 ◆『桃太郎の誕生』 だれもが聞いた物語に秘められた謎とは。 ◆『昔話と文学』 昔話から、日本人の自然観や生活理想、信仰心を探る。 ◆『小さき者の声 柳田国男傑作選』 柳田国男の代表作だけを集めた傑作選! ◆『柳田国男 山人論集成』 神隠しにあった人々はどこへ行ったのか。 ◆『神隠し・隠れ里 柳田国男傑作選』 神隠しに人々が託した思いとは。 ※本電子書籍は、上記19作品を1冊にまとめた合本版です。

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  • 十二支考 1
    続巻入荷
    -
    1~3巻2,574~2,772円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 柳田国男とともに草創期の日本民俗学を先導した“巨人”南方熊楠。十二支の動物をめぐって,東洋から欧米にわたる古今の典籍を駆使し,鋭い自然観察と自由闊達な文体でつづった空前絶後の博物誌。各巻に解説を付す。第1巻は,寅(虎),卯(兎),辰(龍),巳(蛇)に関する4編。
  • 十二支考 1
    -
    1~3巻2,860~3,080円 (税込)
    ※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 柳田国男とともに草創期の日本民俗学を先導した“巨人”南方熊楠。十二支の動物をめぐって,東洋から欧米にわたる古今の典籍を駆使し,鋭い自然観察と自由闊達な文体でつづった空前絶後の博物誌。各巻に解説を付す。第1巻は,寅(虎),卯(兎),辰(龍),巳(蛇)に関する4編。

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  • 「捨て子」たちの民俗学 小泉八雲と柳田國男
    3.0
    柳田國男が幼い頃妄想した虚構の母。小泉八雲が神秘化した「ジプシーの血筋」。二人の民俗学者に共通する「捨て子」意識を手がかりに、日本民俗学の起源とその可能性を明らかにする。
  • 生と死をめぐる断想
    4.0
    序章 死をそばに感じて生きる 團十郎の辞世  死生観表出の時代  自然災害のインパクト  どこから来てどこへ行くのか  二つの立場  テクノロジーの進化の果てに  1章 「知」の人の苦しみ 伝統的な宗教の後に  岸本英夫の実践  合理性の納得  頼藤和寛の世界観  はじまりのニヒリズム  「にもかかわらず」の哲学  自由意志の優位と揺らぎ  多田富雄の受苦  人格を破壊から守る  サイコオンコロジー  医療の現場で  ホスピスとデス・エデュケーション  遺族外来、がん哲学外来  禅の否定するもの  「わたし」を「なくす」  河合隼雄の遍歴  ユング心理学と仏教  切断せず包含  2章 スピリチュアリティの潮流 崩れつつある二元論  オルタナティブな知  理解できないものへの態度  時代という背景  第三の項へ  ポストモダンの現象  ベクトルの交わるところ  島薗進の視点  「精神世界」の隆盛  個人の聖化と脱産業化  鈴木大拙の霊性  宗教的でなくスピリチュアル  玄侑宗久との往復書簡  「而今」の体験  「いのち」との関係  潮の満つるとき  海のメタファー  親鸞の絶対他力  生死の中で生死を超える  日本的発現  ゆりかごとしての風土  3章 時間を考える 代々にわたり耕す  柳田国男の「先祖」  個体から集合体へ  つなぐラフカディオ・ハーン  田の神と山の神  時代からの問い  四つの類型  折口信夫の「海の他界」  野という中間地帯  身近な行き来  かのたそがれの国  うつし世、かくり世  帰ってゆく場所  先祖の時間  線をなす時間  層をなす時間  輪をなす時間  自然との親和性  季語のはたらき、リズム  津波を詠んだ句  山川草木悉有仏性  「衆生」の範囲  貞観地震と津波  暴れる国土  山川草木悉有神性  瞬間瞬間にふれる  不動の中心  技法としての行  色即是空  井筒俊彦による視覚化  縁起という実相  根源のエネルギー  式年遷宮  「木の文明」  生の造形  宣長の「悲し」と「安心」
  • 精霊の王
    -
    柳田國男の代表作に『石神問答』があります。石神=シャグジは四千~五千年前ほど前、この列島に国家が存在しなかった時代へと遡る「古層の神」です。国家が誕生するとこの古層の神は零落してしまいます。しかしながら、この縄文的な精霊は、芸能と技術の専門家たちの世界で、たくましく生き残っていたのです。「宿神(しゅくじん)」という名前で、能や造園といった分野では深く敬愛される存在でした。国家などの秩序を支える神に力をあたえ、秩序の世界に創造をもたらす存在は、中世には「後戸(うしろど)の神」と呼ばれていました。本書の旅は、蹴鞠の名人・藤原成通の不思議な話から始まります。そして金春禅竹の秘伝書『明宿集』と中世における宿神の奇跡を辿り、縄文的要素の残る諏訪へと向かいます。そこで出会う太古の記憶は不思議な感動を覚えずにはいられません。そこからさらにユーラシアに散在する宿神的な痕跡をおいかけることで、その人類的な普遍性へといたります。熱く力強い筆致でわたしたちの前に現出する世界に圧倒されずにはいられません。本当に世界を動かしている驚くべき力に触れる壮大な人類史を描ききった瞠目の書です。
  • 世界史の実験
    3.7
    大勢の死者が出た東北大震災の後,著者は柳田国男が戦争末期に書いた『先祖の話』を読み返す.外地で戦死した若者たちの霊を思う柳田にとって「神国日本」とは,世界人類史の痕跡を留める「歴史の実験」場だった.柳田の思考の「方法」を見極め,ジャレド・ダイアモンド,エマニュエル・トッドらを援用した卓抜な世界史次元での「文学」と「日本」批評.

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  • 殺生と戦争の民俗学 柳田國男と千葉徳爾
    -
    「異端」ゆえに「正統」な、柳田國男の弟子・千葉徳爾。狂気にも似たその研究に迫る渾身の評論。「青年運動」「殺生」「残虐性」など斬新な切り口で柳田の民俗学を捉え直し、現代社会の問題点へも切り込む意欲作。
  • 全国妖怪事典
    4.0
    日本人はなぜ、妖怪に惹かれるのか――。妖怪とは自然への畏怖や闇に抱く恐怖が表現された、日本人の心理や生活の記憶を留める民俗資料である。柳田國男以来の妖怪研究の伝統をふまえ、文献に現れた七百四十余の妖怪を都道府県別に整理・分類、種別や出現場所、特徴等を紹介した、本邦初の本格的妖怪事典。妖怪を愛するすべての人に贈る必携の一冊。
  • 葬送学者R.I.P.
    3.0
    “葬式マニアの美人助手&柳田國男信者の落ちぶれ教授”のインテリコンビ(恋愛偏差値0)が葬送儀礼への愛で事件を解決!?新感覚の“お葬式”ミステリー!!
  • 疎開体験の戦後文化史 帰ラレマセン、勝ツマデハ
    -
    1巻3,960円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 戦争の裏で、子どもたちを中心に人々は地方への疎開を余儀なくされた。避難ではなく疎開と呼ばれた銃後の人口移動政策を、敗戦後の文学はどのように語り、位置づけてきたのか。疎開に人々は何を思い、どう記憶してきたのか。 柳田国男、太宰治、石川達三、「内向の世代」のテクストや映画を糸口にして、疎開にまつわる様々な資料も使いながら、1945年から戦災を経験した子どもが大人になる70年代までの疎開の描かれ方をたどる。その語りは一様ではなく、いつ疎開を経験したのかという世代の違いや、地方/都市の相違が多様な語りを生み出している。 文学を通して疎開をみたとき、そこに立ち現れるのは敗戦後に突然もたらされた平和な日常への戸惑いであり、幼少期を戦禍のもとに過ごした葛藤である。銃後の記憶を抱えて戦後を生きた人々の思いを照らし出す。
  • 旅コンテンツ完全セレクション 心躍る博物館
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ●本電子書籍は、固定レイアウト型(フィックス型)で作成されております。 ●本書は、同名の紙媒体の出版物(紙書籍版)を底本として作成しているため、内容は、原則、紙書籍版印刷当時のものとなります。 ●ご購入前に必ず、当説明文末尾の【電子書籍版ご購入に際しての注意事項】をご確認ください。 エリア横断で旅の目的地を探せる。圧倒的な紹介スポット数から、未知の出会いが生まれる。日本を楽しむ選択肢が大きく広がる。 あなたが観たいもの、体験したいこと。日本の旅コンテンツのすべてが、美しい写真とともに網羅された、全く新しい国内旅行のシリーズ誕生。 圧倒的な掲載数、写真数で深まる知識と驚き。日本博物館大全 全国約340の博物館をテーマ別に掲載。 「考古・民族」「科学・天文・宇宙」「自然」「工芸」「歴史・文化・暮らし」「信仰・祭り」「交通・インフラ」「植物・生物・動物」「メディア・娯楽・スポーツ」「食・飲料」「地域」など11テーマに分ける。 特集は国宝、重要文化財を多数収蔵する東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3大国立博物館。歴史ある各館創立の背景を記述し、貴重な収蔵品の紹介とともに、ミュージアムショップのグッズなども紹介。 企業博物館は、日本を代表する10社の企業を集め、車、時計、ジュエリー、ウイスキーなど多岐にわたる製品ジャンルを並べる。 特長 ●他書を圧倒する掲載数、写真数。こんな展示があったのかと思われる珍しい博物館も多数収録。 ●展示内容や展示物の紹介にとどまらず、イベントやおみやげなど、見て学ぶだけでない楽しみ方も提案。館内の見取り図なども適宜紹介し、博物館に付属するレストラン&カフェも紹介、バラエティに富んだ展開。 コラム・読み物 ●博物館にゆかりの人物を紹介する。 ・日本考古学の父:ガウランド ・日本のエジソン:藤岡市助 ・日本初のエコロジスト:南方熊楠 ・日本民俗学の創始者:柳田国男など ●ユニークでエンタメ溢れる博物館を紹介。無料で楽しめる大学ミュージアム、博物館網走監獄、日本の鬼の交流博物館、伊賀流忍者博物館、カップヌードルミュージアム、海洋堂フィギュアミュージアムなど。 【電子書籍版ご購入に際しての注意事項】 ●特典がある場合の利用期限は、紙書籍版の利用期限が適用されます。 ●構成および一部の表記について、紙書籍版と異なる場合があります。 ●紙書籍版のような、「別冊があり、取り外して別冊ごとに使用すること」および「別冊の綴じ針を外し、広げて使用すること」はできません。 ●紙書籍版とは色味が異なる可能性があります。また、フルカラーページや網掛けページがある場合には、モノクロ端末では見づらくなる可能性があります。ご購入前に、必ず、電子書籍版のサンプルにて表示状態をご確認ください。
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三
    4.3
    第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 民俗学者・宮本常一の人と業績を、財界人・渋沢敬三との交流から描いた傑作評伝。 日本中の村と島を歩き尽くした男がいた――。 瀬戸内海の貧しい島で生まれ、日本列島を隅から隅まで旅し、柳田国男以来最大の業績を上げた民俗学者・宮本常一。 「日本資本主義の父」渋沢栄一の孫として生まれ、財界人として活動する一方で、パトロンとして物心両面で宮本を支え続けた渋沢敬三。 対照的なふたりの30年に及ぶ交流を描き、宮本民俗学の輝かしい業績に改めて光を当てた傑作評伝。 第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 解説・稲泉連 電子書籍化にあたり、新稿「素晴しき「助平」たち――渋沢栄一と宮本常一」を収録した。
  • 魂にふれる——大震災と、生きている死者 【増補新版】
    -
    悲しいと感じるとき、亡き愛する人を感じたことはないだろうか。 悲しいのは、亡き人が近くにいるからだ、そう思ったことはないだろうか。 西田幾多郎、鈴木大拙、田辺元、井筒俊彦、小林秀雄、柳田國男、池田晶子、須賀敦子……。 日本思想史に連なる人々との「対話」を通過して、「死者の哲学」が立ち上がる。 若松英輔のエッセンスが詰まった初期の代表作に三篇の新原稿を加えて編む。 2011年の3月11日、君は大切な人を亡くした。 ——その前年2月7日、ぼくも妻を喪った。
  • 小さき者の声 柳田国男傑作選
    3.0
    表題作に加え「母の手毬歌」 「こども風土記」 「木綿以前の事」 など柳田の代表作として名前の挙がる著名な6作品を一冊に収録! 柳田が終生持ち続けた幼いころの直感やみずみずしい感性を随所で感じられる。
  • 地名の研究
    4.0
    日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
  • 地名の謎を解く―隠された「日本の古層」―(新潮選書)
    3.5
    太古の時代から、「地名」は風土や原初的な神話世界と強く結びついていた。古代につながる難読地名から平成の市町村合併まで、土地の名前には日本人の心性や自然観、人間の営為を知るための鍵が“暗号”のように埋め込まれている。柳田國男や谷川健一など先人の研究に導かれながら、その歴史的変遷と秘められた意味に迫る。
  • 中国の神話 神々の誕生
    -
    「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する! 最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。 司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。 多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。 (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年) 第一章 異形の神像 第二章 瞽師の伝承――中国の語部 第三章 風の神の発見 第四章 鍛冶師と山の神 第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝 第六章 神話の世界の消失 第七章 乱――エピローグ あとがき 解説 蜂屋邦夫
  • 東京の三十年
    -
    明治初年幼くして上州館林から上京、丁稚奉公から始まる苦しい文学修行を経て『蒲団』『田舎教師』などを著し、日本自然主義文学の代表的作家となった著者の文壇回想記。島崎藤村、柳田国男、国木田独歩等との交友、明治から大正への激動する時代の新思潮、生、死を縦横に捉えて、自然主義文学の盛衰、文壇の側面、数十年に亘る〈東京〉の風俗・文化・市街風景の変遷変貌を生き生きと描く。
  • 東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ
    4.0
    1巻1,600円 (税込)
    いま最も脂がのっている小説家が、東大生150人を前に、14回にわたって、挑発的、刺激的、縦横無尽に、世界文学、日本文学を語りつくした名講義。 小説の起源を古代中国の歴史と志怪・伝奇にまでさかのぼって見極め、翻って、横光利一「純粋小説論」、小林秀雄「私小説論」、柳田國男「山の人生」からドストエフスキーの小説の重要な場面に必ず差し込む斜めの光を発見する。斜光はいったいどこから来るのか、そして何を照らし出すのか? われわれは斜光に導かれて、フロイトの「家族小説」へ、そして『源氏物語』へ、さらに谷崎潤一郎へとたどり着く……。 学生には全講義の要約がレポートとして課せられた。そのレポート16本を収録する。
  • 遠野ものがたり
    4.0
    今から100年以上昔、民族学者の柳田国男が遠野に伝わる民話を聞き書きして著した不朽の名作『遠野物語』。摩訶不思議な出来事が数多く起こったという北上山地に囲まれたその地には、かっぱ淵や曲がり家などお話に登場する場所が保存され、多くの人がいまも訪れています。しかし、『遠野物語』は、読み継がれているはずの名著にもかかわらず、題名は知っていても実際に読んだことがないという人が意外に多く、断片的には知っていても、お話として語れる人は少ないのではないでしょうか。そこで、本書は『遠野物語』の中から、「オシラサマ」「オクナイサマ」「ザシキワラシ」「マヨイガ」「大津波」……など7つのお話をとり出し、原作の意味を損ねないようにしながら新釈を加えてさし絵をつけ、世代を問わずにお楽しみいただけるモノクロ絵本に仕立てました。ゾクッとする<みちのく>の世界を、味わい深い方言とさし絵とともにどうぞ。

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  • 遠野物語
    -
    本書は、岩手県遠野町出身の民話蒐集家、佐々木喜善氏によって口述された遠野近辺に伝わる民話・伝承を、著者が書きとめ、編纂して1910年(明治43)に自費出版したもので、柳田国男の原点をなす著作となった。内容は河童、天狗、ザシキワラシなど妖怪にかかわるもの、山人、神隠し、死者などに関する怪談、さらには祀られる神、各種の行事など多岐にわたる。『遠野物語』は全部で119話からなるが、続いて発表された『遠野物語拾遺』には、299話が収録されている。

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  • 遠野物語拾遺retold
    3.8
    『遠野物語』が世に出てから二十余年の後――。柳田國男のもとには多くの説話が届けられた。明治から大正、昭和へ、近代化の波の狭間に集められた二百九十九の物語を京極夏彦がその感性を生かして語り直す。
  • 遠野物語拾遺retold 付・遠野物語拾遺
    4.0
    『遠野物語』から二十余年後、柳田のもとには多くの説話が集められた。近代化の波の間にあった二百九十九の譚を京極夏彦が感性を生かして語り直す。角川ソフィア文庫には原著も併載、読み比べも楽しめる。
  • 遠野物語 全訳注
    4.0
    全部読まなければ、この本のすごさはわからない! 日本民俗学の創始者である柳田の原点にして代表作には、いったい何が論じられ、企てられたのか。 「平地人を戦慄せしめよ」という高らかな宣言に込められたものとは何か。 「ザシキワラシ、オシラサマや河童たちが躍る不思議な世界」 「叙情豊かな日本人の原風景」 という本書がまとってきたイメージの奥にある真価を読み取るための、 懇切な解説つき全文現代語訳。
  • 遠野物語preview
    -
    柳田國男の代表作『遠野物語』を京極夏彦がリミックスした『遠野物語remix』。その一部を切り出した『遠野物語preview』がミニッツブックで登場! ふと顔をのぞかせる異界を、静かな筆致で描く。
  • 遠野物語remix
    3.5
    山で高笑いする女、赤い顔の河童、天井にぴたりと張り付く人……岩手県遠野の郷にいにしえより伝えられし怪異の数々。柳田國男の『遠野物語』を京極夏彦が深く読み解き、新たに結ぶ。新釈“遠野物語”。
  • 遠野物語remix 付・遠野物語
    3.9
    雪女、座敷童衆、オシラサマ――遠野の郷に伝わる説話を収めた『遠野物語』。柳田國男の名著を京極夏彦が深く読み解き、新たに結ぶ。角川ソフィア文庫には原著も併載。読み比べなど、楽しみが広がる決定版!
  • 遠野夢詩人 佐々木喜善と柳田国男
    -
    この話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。――日本民俗学の名著『遠野物語』はこの一文から始まる。民話の宝庫・遠野に生まれ、自ら作家を志した佐々木鏡石こと喜善。しかし柳田国男との出会いが彼の運命を大きく狂わせていく。作家であることを夢みながら、「語り部」にしかなれなかった男。本書はその死の前日までの日記ほか、膨大な資料をもとに書きおこされた渾身の評伝小説。幻想と詩情あふれる北国に夢破れて散った一人の人間の生涯を描く。
  • 21世紀の民俗学
    3.2
    自撮り棒、事故物件、宇宙葬、ホメオパシー、 アニメ聖地巡礼、無音盆踊り、河童の選挙権……? 未来のようでいて過去、あまりに古くて新しい。 インターネット、スマホ、最新テクノロジーが 神仏・祭り・習俗と絡みあう新世紀のリアルとは――? 柳田国男や宮本常一以来、 不安定で流動的な現象の中にこそ 日本人の変わらぬ本質を見出してきた民俗学が、 新時代に切り込む。 民俗学者による「WIRED.jp」、異色の人気連載がついに単行本化!  【目次】  序 ―― 二一世紀の「感情」 1 ザシキワラシと自撮り棒 2 宇宙葬と星名の民俗学者 3 薬師如来と「ガルパンの聖地」 4 テクノロジーの残酷 5 景観認知症 6 文殊菩薩の化身たち 7 無音盆踊りの「風流」 8 ポケモンGOのフィールドワーク 9 祭の「機能美」と戦後建築 10 複数のアメリカ国歌 11 UFO学のメランコリー 12 山伏とホメオパシー 13 お雑煮の来た道 14 すべての場所は事故物件である 15 河童に選挙権を! 16 大震災の「失せ物」  ありえなかったはずの未来─「感情史」としての民俗学  おわりに  参考文献

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